著者
勝亦 陽一
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

研究全体の概要は、発育期の子どもを対象に「モノマネダンス」による運動技術学習プログラムの開発を行うことであった。2年の研究期間には、投能力を向上させるための視聴覚教材を開発した。股関節および肩甲骨の動きを改善するために作成された教材は、数多くの少年野球選手によって実践された。選手へのアンケート調査を行った結果、肩や股関節周りが柔らかく速く動くようになった等、の意見があった。
著者
辻 雅善
出版者
福岡大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

先の研究において、毛髪中のFatty Acid Ethyl Esters(FAEE)が飲酒量に関連があることを示し、正確な飲酒量の把握を可能にした。一連の研究において、飲酒歴のない者の毛髪中にFAEEが検出され、受動喫煙ならぬ「受動飲酒」の存在を疑った。近年、受動喫煙の有害性は知られているが、「受動飲酒」はその存在自体明らかでない。そこで、「受動飲酒」が実際に起こりうるのかを確かめ、「受動飲酒」の有害性を検討するコホート研究の足掛かりとすることを目指している。平成28年度において、新生児の毛髪中FAEEはほぼ全て同居する親の飲酒により室内空気中に揮発されたものと仮定できることを示唆した。平成29年度では、一般集団における参加者(新生児含む)から得た毛髪中のFAEE濃度をGas Chromatography Mass Spectrometry(GC/MS)にて測定することを目的とした。しかしながら、新生児の毛髪は非常に軽く且つ多量に採取することが困難であるため、現行のGC/MSによる測定法では、FAEE濃度を測定することが難しかった。そこで、平成29年度の前半において、より微量なFAEE濃度を測定するため、GC/MS/MSによる測定法の確立を目指した。GC/MS/MS(SHIMADZU, Kyoto)にZBSV(20 m×0.18 mm×0.36 μm)-BPX5(25 m×0.15 mm×0.25 μm)カラム(SGE Analytical Science, Australia)及び固相マイクロ抽出法(SPME; SUPELCO, USA)を採用することで、より微量な濃度の測定を可能にした。後半は、確立した測定法により、参加者から得た毛髪中のFAEE濃度の測定を進めた。報告時現在、40組程度の参加者に協力頂いており、現在11組の測定を終えた。今後、残りを随時測定していく。
著者
綾戸 勇輔
出版者
信州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本課題では、血管中に電極を挿入し(酸素結合)赤血球や糖(水素燃料)などにより燃料電池反応(酸素+水素=水)を起こさせることで電気エネルギー変換し、心臓ペースメーカー用電源として用いることを目指している。これまで赤血球(中のヘモグロビン)は酸化インジウムスズ(ITO)電極上でメディエーター等を介することなく直接電子移動することがわかっていたが、本課題ではITOを自作することで組成比(Sn/(Sn+In))や焼成温度によりヘモグロビンの直接電子移動反応及び酸素還元反応能に対する影響を調べた。その結果、ITOの組成や焼成温度がヘモグロビンの反応活性に影響することが明らかとなった。
著者
酒井 貴広
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では、高知県西部の幡多地方を中心に、県下に今なお存在する民俗事象「犬神」について考察した。高知県下の「犬神」は、歴史的に様々な「強制力」からの働きかけを受け、今日では特異な変容を遂げている。さらに、戦後の高知県における「犬神」は、学術研究・生活世界・フィクション作品の三者の間で結び付き、時に相互作用を発生させながら今日の変容に至ったと結論付けられる。
著者
佐藤 翔
出版者
同志社大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では利用者に新たな発見を促す排架法の構築を目的に、1)実験用書架閲覧時の視線軌跡と注視行動分析、2)実際の公共図書館における利用者の注視行動分析を行ってきた。結果から、1)実験用書架閲覧時、十分な時間があれば、人は最上段から順に全ての図書を確認しようとする。段によって視線の移動方向は左右反転する。2)タイトルがゴシック体の図書は有意に注視時間が長い。カバーが黒・暗紫色の図書は有意に注視時間が短い。書架上の中央に置かれている図書は注視時間が長い傾向がある。3)公共図書館において、書架上の垂直位置が注視時間と有意に関係し、1-4段目で全注視時間の80%を占める、ことがわかった。
著者
安井 正佐也 木山 博資 水村 和枝 時實 恭平 校條 由紀 吉村 崇志
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は,異なるストレスを負荷した二つのモデル動物(慢性疲労症候群CFSモデル,線維筋痛症FMモデル)の病的疼痛について研究を行った.その結果,いずれのモデルにおいても機械的アロディニアや筋性痛覚過敏が誘発することを実証した.さらに末梢組織に炎症等は認めないが,いずれのモデルにも,腰髄後角でミクログリアの活性化を認めた.このミクログリア活性化を薬剤(ミノサイクリン)で抑制すると,有意に機械的アロディニアおよび筋性痛覚過敏を抑制した.この事から,ストレス負荷によって生じる異常な疼痛の発症に,ミクログリアが大きく関与していることが示唆された.
著者
近藤 武夫
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

インクルーシブ教育を目指す合理的配慮として,欧米を中心に,読み書きや計算,記憶を助けるテクノロジー(支援技術)が教育場面で提供され,多様な障害者の教育参加が支援されている。高次脳機能障害や発達障害等のある生徒や学生では,全体的な知的機能の障害がなくとも,読み書きなど特定の認知機能に選択的に困難を持つことから,個別の認知機能を支援する技術活用が重要となる。本研究では認知面の機能障害について支援技術と認知機能障害のマッチング研究,効果や困難のアセスメント,それらを合理的配慮として教育現場に実装する実践研究を行った。また結果から,本人,親,教師に,教育場面での支援技術活用についての情報提供を行った。
著者
前野 浩太郎
出版者
国立研究開発法人国際農林水産業研究センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

サバクトビバッタの母親は群生相化すると産卵数を減らす代わりに、大型の卵を産むことが知られており、本申請者はこの相変異が関係した繁殖能力の生理・生態学的研究に従事してきた。その中で、大型の卵から孵化した幼虫の方が小型のものよりも飢餓条件に強いことなどを明らかにしてきた。本種の生息地であるアフリカのサハラ砂漠で行ったフィールドワーク中に雌成虫が産卵する現場に遭遇した。一連の観察の中で、どのように群生相が行動し、交尾・繁殖しているのかを調査した。
著者
金森 寛充
出版者
岐阜大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

飢餓ストレス誘発による心筋オートファジーは自己細胞内蛋白や細胞内小器官を分解しエネルギー産生を代償することで心機能を維持した。急性心筋梗塞においてオートファジーはエネルギー産生を代償し心筋細胞死を抑制することで梗塞サイズを縮小した。また慢性心筋梗塞においてリモデリング抑制と心機能改善に関与した。すなわちオートファジーは心保護的作用がありこれを促進させることは心筋梗塞の新しい治療手段となりうることが示唆された。
著者
大庭 伸也
出版者
長崎大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

大型ゲンゴロウ類の仲間の多くは絶滅の危機に瀕している。ゲンゴロウとクロゲンゴロウの個体数は減少しているが、それらの近縁種のコガタノゲンゴロウ(コガタノ)は増加傾向にある。諸形質について種間で比較したところ、コガタノは他の2種に比べ、①高温下で幼虫の生存率及び成長速度が高まること、②成虫は活発に飛翔すること、③地域間(本州から南西諸島)で遺伝的変異がほとんどないことが判明した。以上の結果から、近年の地球温暖化の影響でコガタノが増加し、成虫は高い移動分散能力を持つことから、過去に減少または絶滅した地域へと再定着していると考えられた。
著者
赤石 樹泰
出版者
武蔵野大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

クルクミン誘導体CNB-001には、経口で正常ラットの記憶力を高める効果が見出されたため、アルツハイマー病治療薬開発のリード化合物として注目されている。本研究では、主に海馬スライス標本を用いた電気生理学的検討により、その作用機序の解明を試みたところ、CNB-001はMAPキナーゼやPKC経路には影響せずに、NMDA受容体ならびにCaMKⅡ依存性機構により、海馬における記憶形成の分子過程である長期増強現象(LTP)を促進することが明らかとなった。
著者
清家 章
出版者
高知大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

縄文時代から古墳時代を通じて、女性の地位がどのように変化するかを墳墓と遺存人骨から調査した。その結果、全時代を通じて女性家長が存在し双系的親族構造の中で女性はヘッドウーマンの地位を保持していることが明らかとなった。しかし、首長層における女性の地位と権能は複雑であることが明らかとなっている。弥生時代中期と古墳時代中期以降は女性首長の存在が認められず、その間に存在する弥生時代終末期〜古墳時代前期には女性首長の存在が一般的に認められる。つまり、首長層においては首長権を行使するこどに対し、女性の活動が活発的な時期とそうでない時期があるのである。その原因は性別分業と大きな関わりがあると考えられる。特に戦争との関わりが重視される。女性には戦争に関わる権能がない、あるいは積極的には認められていなかったため、戦争あるいは軍事的緊張が高まる時期、もしくは政権の軍事化が行われる時期には女性は首長になり得なかったのではないかと考えられた。また古墳時代中期以降に臨時的な場合を除いて、女帝・女性首長は存在しないので、これ以降女性首長が登場することはなかった。また、古墳時代中期以降は一般層においても父系的編成が行われたと考えられる墳墓群が認めあられた。政権が軍事化するに伴い、首長は男性に限定され、下位層に対しても軍事的な理由から父系的な編成が行われたと考えられるが、それは貫徹せず、双系的基盤は後世に受け継がれた。
著者
山本 周美
出版者
武庫川女子大学短期大学部
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

トランス脂肪酸(TFA)は、不飽和脂肪酸のうち二重結合の立体配置がトランス型になっているものの総称である。工業由来TFAは、子宮内胎児発育遅延や発達障害のリスクとなることが欧州の研究で示唆されている。そこで、本研究では日本人妊婦を対象に、胎児の発育に及ぼすTFAの影響について検討した。胎盤組織から脂質抽出を行い、GC-MSにて脂肪酸分析を行い、児の発育指標との関連を検討した。結果、早産児の場合、胎盤中のTFAの存在比率と出生体重SDスコアが負に相関した。この結果から、TFAが児の発育を抑制する可能性が示唆された。
著者
林崎 浩史
出版者
国立感染症研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

アレルギー性気道炎症は炎症細胞が肺組織に集積することで引き起こされる。我々はこれまでに、T細胞の発現するCD69がそのリガンドであるミオシン軽鎖9/12との会合を介し、組織移行を促すことで気道炎症を誘導する事を報告し、この新規気道炎症制御機構をCD69-Myl9システムと命名した。本システムは気道炎症のみならず様々な疾患にも関与することが推測されるが、その詳細は不明であった。本研究により、CD69-Myl9システムの分子機構の一端を、そして病態形成への関与を明らかにすることができた。今後、より詳細に解析を進めることで、CD69-Myl9システムの治療ターゲットとしての可能性を明らかにしたい。
著者
森 健人
出版者
独立行政法人国立科学博物館
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

これまで博物館の収蔵標本は概ね科学の発展のために収集されてきたといっても過言ではない。しかし,博物標本は自然物である。自然物の役割は科学的研究活動にのみ限定されるべきなのであろうか。申請者はそうは思わない。芸術,エンターテイメントを含めあらゆる文化的創作活動に対しても自然物たる博物館標本は貢献できる可能性が秘められている。しかしながら,標本の保守管理上の制約から「誰でも」「自由に」博物館の標本にアクセスできる環境を構築するためには膨大なコストが必要となり,ただちにそれを実現することは不可能である。そこで博物館標本の3Dモデルが重要となってくる。3Dモデルを活用すれば,「誰でも」「自由に」閲覧する環境を比較的低コストで整えることができる。また,「博物館標本に自由にアクセスできる環境」に慣れていない一般観覧者に対しても「確実にクリーン」で且つ「損壊の恐れがない」3Dモデルとの接触は良い導入になると考える。上記を踏まえて,本研究ではフォトグラメトリー(写真測量)を用いて効果的に博物館標本を3Dモデル化する方法を検証し,如何にして公開するかを模索するものである。博物館標本の3Dモデルを公開する方法として申請者は3種の方法を考えた。1)インターネット上での3Dモデル閲覧サイトの公開,2)3Dプリントを利用した博物館内におけるハンズオン展示,3)3Dプリントを利用した博物館外におけるハンズオン展示。1)についてはYoshimoto3D(β)として国立科学博物館HP上にデータベースを掲載した(http://www.kahaku.go.jp/research/db/zoology/yoshimoto/database/index3D.html)。2)については複数の博物館で試験的に公開を行った。3)については現在「路上博物館」という館外展示を試験的に展開している。
著者
松林 哲也 上田 路子 澤田 康幸
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では(1)自殺報道が一般の人々の自殺に与える影響、(2)これまでの自殺対策の効果の検証、(3)人々を取り巻く制度環境が自殺に与える影響、の3課題についての研究を推進してきた。統計分析の結果、著名人の自殺報道に対しツイート上で大きな反応があった場合にのみ自殺者数が増えること、経済状況の好転が自殺率の低下につながっている可能性があること、鉄道駅のホームドアには強い自殺防止効果があること、早生まれの若者の自殺率が高いこと、学年暦と若者の自殺数には強い相関があること、誕生日前後には自殺が増えることなどが明らかになった。
著者
渡邉 英幸
出版者
愛知教育大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究の成果概要は以下の通り。まず里耶秦簡の「更名扁書」(公的用語の改定リスト)を読解することで、戦国秦から統一秦にかけての国制変革を検討し、秦の官職名における「邦」概念の廃止の背後にあった国制上の変革を明らかにし、また始皇帝期の避諱に関する条文が、始皇帝の父母の名である「楚」「生」を避けるものであったと考えられることを発見した。次に、戦国末の秦における国境を越える人の移動と帰属の諸相を解明した。さらに、戦国秦から統一秦にかけての畿内領域の呼称の展開と「邦」概念との関係を論じた。
著者
加藤 政洋
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、主として東京・岐阜・大阪・神戸・那覇をフィールドに、昭和戦後期都市政策のなかで生み出された、さまざまな場所とその景観の社会的・地理的性格を検討することを通じ、都市の復興(再建)ならびにそれにつづく新たな都市建設に固有の理念と空間的論理を明らかにした。対象となった具体的な場所ないし景観は、戦災都市の食料品市場(自由市場、闇市など)、露店街、スクウォッター地区(引揚者の集住地区)、そして特殊飲食店街であり、いずれも敗戦後の都市空間に空隙を縫うようにして形成されたところばかりである。当初、それらは体系的な都市政策が実施されないなかで空地を占拠するかたちで確固たる地盤を築いていたものの、復興の進捗に合わせて取り払われるべき「不快」な景観として認識され、最終的には再開発すべき対象として都市政治の焦点となり、実際に移転ないし取り払われるまでの経緯を明らかにしている。
著者
黒田 玲子 大久保 靖司
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

個人の体内時計と社会的スケジュールの不一致によって生じる睡眠時間帯のずれによる社会的時差ボケ(Social jetlag)は、朝型夜型(Chronotype)の違いを調整しても様々な健康影響と関連があるかどうか検討した。まず、質問紙法でのSocial jetlagは高い再現性・妥当性を確認できた。また、Social jetlagの大小と、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症、肥満有病率の関連は、U次型の曲線を示すことがわかった。抑うつ症状(K6>=5点)は、Social jetlagが大きい群で有症率が高かった。産業保健分野で社会的時差ボケの認知の重要性と予防対策の必要性を示唆することができた。
著者
篠原 博
出版者
宝塚医療大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

先行研究ではアーチェリー動作中に生じる「腕のふるえ」はパフォーマンス低下や肩甲骨の安定性を減弱させる要因と指摘している。この「ふるえ」は障害の原因にもなると考えられるため、軽減させる必要がある。我々は表面筋電計および加速度計を使用し、「腕のふるえ」のパワーを解析することや、筋活動を周波数解析することで「腕のふるえ」を引き起こす原因を解明することに取り組んだ。腕のふるえと相関関係を示す筋の活動を分析し、またその筋に対するトレーニング方法を考案した。そのトレーニングを実施した際にどの程度「腕のふるえ」が軽減するのかを検証し、実際に軽減することを確認した。