- 著者
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安岡 由美
川田 祐介
長濱 裕幸
大森 康孝
石川 徹夫
床次 眞司
志野木 正樹
- 出版者
- 一般社団法人日本地球化学会
- 雑誌
- 日本地球化学会年会要旨集 2008年度日本地球化学会第55回年会講演要旨集
- 巻号頁・発行日
- pp.39, 2008 (Released:2008-09-06)
神戸薬科大学において,電離箱を用いて、大気中ラドン濃度の連続測定(1984年1月から1996年2月,1989年欠測)をしていたところ,兵庫県南部地震(1995年1月17日)前に,ラドン濃度の異常な上昇が観測された。地殻歪の変化によって,岩石・土壌中の空隙率・空隙連結度が変化し,その結果ラドン散逸量も変化したと考えられる。また,地下水中ラドン濃度や地下水湧水量の変化は,観測地点の局所的な地殻歪を反映しているのに対し,大気中ラドン濃度変化は,ある程度広範囲の平均的な地殻歪変化を反映している。さらに,大気中ラドン濃度の変動パターンは臨界モデル式で回帰することができる。以上のことから,大気中ラドン濃度変化は,地震前兆の観測項目として有用だといえる。