著者
中島 健介 末松 憲治 竹田 英次 辛坊 俊行 佐々木 善伸 高木 直
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.87, no.1, pp.81-90, 2004-01-01
参考文献数
7

デイスクリートのチップ部品とGaAs-MMICのSW-BANKチップを実装したL帯5ビット移相器マルテチップモジュールを開発した. 移相器回路をチップ部品により構成する場合, 高い移相量精度及び振幅精度が要求されるため, チップ部品の特性ばらつきを考慮した設計が必要となる. 本論文では, チップコンデンサ, チップインダクタの特性ばらつきを考慮したモデリングを行い, 更に, GaAs-MMICをモジュール基板上にベアチップ実装する際のワイヤ長ばらつきも考慮し移相器モジュールの特性ばらつきを考慮した設計を行った. 市販のチップ部品を用いて試作した結果, モジュール全体として移相量誤差3.8°r.m.s.以下, 振幅誤差O.15dBr.m.s.以下の性能が得られた. 以上より, 5ビット移相器として十分な振幅・移相精度を実現していることが分かり, チップ部品の特性ばらつき及びMMICのワイヤ実装ばらつきを考慮した本ばらつき設計の有待性を確認した.
著者
畑 淳 小山 裕貴 吉田 孝博 増井 典明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.367, pp.83-88, 2011-01-13
参考文献数
4

本研究では,人の知覚する微小な音質や音像の変化を表現できる測定および解析技術の開発を目標に,時間領域における音響信号測定波形の振幅,傾きに対する比較対象波形の振幅変化量を求める解析法を提案し,検討を行った.その結果,機器の時間経過による波形変化を検出した.また,3次元プロットにおける軌道の位置や形状の変化により,波形の特定の傾きと振幅におけるラインケーブル間の波形変化が可視化できた.また,機器に供給する電源に3次高調波を付加した場合,僅かではあるが局所的な波形変化が確認できた.
著者
KAWAMOTO Mitsuru MATSUOKA Kiyotoshi OYA Masahiro
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
IEICE transactions on fundamentals of electronics, communications and computer sciences (ISSN:09168508)
巻号頁・発行日
vol.80, no.4, pp.695-704, 1997-04-25
被引用文献数
5

This paper proposes a new method for recovering the original signals from their linear mixtures observed by the same number of sensors. It is performed by identifying the linear transform from the sources to the sensors, only using the sensor signals. The only assumption on the source signals is basically the fact that they are statistically mutually independent. In order to perform the 'blind' identification, some time-correlational information in the observed signals are utilized. The most important feature of the method is that the full information of available time-correlation data (second-order statistics) is evaluated, as opposed to the conventional methods. To this end, an information-theoretic cost function is introduced, and the unknown linear transform is found by minimizing it. The proposed method gives a more stable solution than the conventional methods.
著者
石川 俊行 降旗 建治 柳沢 武三郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.398, pp.57-62, 2002-10-18
参考文献数
9
被引用文献数
1

本報告では,物理的歪が音色の好みとどのように関係しているか,実験的に検討した.具体的には,仮想プリアンプによって3種類の物理的歪(空気の歪,真空管の歪,電磁型電気音響変換器の歪)を付加した音源を作成した.そしてこれらと,無歪の音源をそれぞれ聴覚の非線形性を考慮しながら,4項目の品質表現語(明快さ,滑らかさ,やわらかさ,深み)において,一対比較法(Scheffeの方法)によって評価した.その結果,ヴァイオリン協奏曲とギター曲では無歪の音色が,ロックとポップスにおいては電磁型電気音響変換器の歪を付加した音色が好まれる傾向が示唆された.
著者
深瀬 政秋 江川 隆輔 佐藤 友暁 伊東 俊輔 中村 維男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.388, pp.1-8, 2001-10-19
参考文献数
28

ワードに対する同期の取り方が現在主流のパイプラインとは全く異なるウェーブパイプラインは、高周波化、省スペース化、省電力化などの特徴を示すことが期待され、プロセッサの高性能化の有力な手段として研究開発が行われつつある。しかし、従来方式のパイプラインの設計手法とチューニング手法は今なお精力的に開発されていることと比べると、ウェーブパイプラインの本格的な研究はまだ端緒についたばかりなので、その評価は定まっていない。そこで本研究では、ウェーブパイプライン化された各種回路の性能評価を、論理合成、FPGAによるプロトタイプ、スタンダードセルチップの各段階で行う。従来方式のパイプラインを比較対象とし、クロック数、ゲート数、実行速度を評価指数とする。0.5μm CMOSテクノロジィの場合、ウェーブパイプライン化スカラプロセッシングユニットのゲート数は10%少ない。また、これを搭載するプロセッサは、同等レベルのテクノロジィで製造されたSUN UltraSPARC及びDEC Alpha 21164の3.3倍ないし5倍のクロック周波数で動作し、標準的なテストプログラムの実行時間を31%ないし66%短縮する。いずれの観点からも、ウェーブパイプラインの優位性が明らかとなる。
著者
青木 和昭 工藤 峰一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.362, pp.17-24, 2001-10-11
参考文献数
15

パターン認識においては、測定コストの削減、および識別子の性能向上を目的として、特徴選択を行う。特に、識別情報を持たない特徴の除去は、有限のサンプルから識別子のパラメータを推定する際にパラメータの推定精度を向上させ、結果的に識別子の性能向上につながる。通常、特徴選択は全クラスの識別に有効な特徴を選択する。しかし、一般には、特定のクラス集合を他から区別するのに有効な特徴集合は異なる。本研究では、クラスの部分集合に対して異なる特徴集合を選択し、それらを利用して決定木として識別子を構成する方法の有効性について検討を行う。
著者
河原 吉伸 津田 宏治 鷲尾 隆 武田 朗子 湊 真一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IBISML, 情報論的学習理論と機械学習 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.476, pp.63-68, 2011-03-21
参考文献数
14

特徴選択は,所与の特徴(パラメータや属性,関数などの集合)の中から問題解決に有効なその一部を取り出すタスクであり,機械学習や統計科学,データマイニングなどにおける最も重要な課題の一つである.この問題は近年,解釈性や計算効率の有用性から,疎な解を誘導しやすいノルムを用いた正則化損失関数最小化の枠組みで議論される場合が多い.損失関数の多くは集合関数として見た場合,劣モジュラ性を有するため,本稿では,特徴選択を劣モジュラ関数最適化として定式化する.これは,最も疎な解を誘導しやすいl_0ノルムを用いた正則化損失関数最小化を直接扱っている事に相当する.著者らは,2分決定図(Binary Decision Diagram; BDD)を用いた解空間の表現,及び,特徴を選択する評価関数の劣モジュラ性を用いた効率的な探索により,厳密解を含む最適性の高い解を列挙する方法を提案する.さらに,提案手法の有用性に関する検証例を示す.
著者
樋川 和伸 中西 一夫 岡田 政則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.364, pp.73-78, 2006-11-11
参考文献数
8

過去2年半,我々が開発した携帯授業管理システムで,携帯電話を利用した授業の出欠管理を行ってきた.その方法は,学生は携帯電話からWeb出席届けページを閲覧して教員が指示した1個のキーワードを入力して出席届けを行うという単純キーワード入力方式であった.実践上はその方法でも,相当程度の信頼性はあったが,授業に出席していない学生が出席している他の学生からキーワードを聞いて出席届けをすることもできるので,厳密な出席管理には欠けることがあった.そこで,新たに,複数のキーワードを個別に入力可能時間帯を設けて連続的に入力させる多重時間差キーワード入力方式を導入しその効果を測定することにした.今回の発表では,その仕組みと中間結果を報告する.
著者
中岡 美華 手塚 太郎 田中 克己
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.149, pp.47-52, 2006-07-06
参考文献数
9

近年,たくさんの小学校で,幼少者みずからが自らの判断でWorld Wide Webの情報を収集し,利活用する授業が始まった.これまでの情報検索システムでは,利用可能な情報を検索できるキーワードを注意深く選別しなければならず,負荷が高い.幼少者は,抽象化の概念が未発達なため,適切なキーワードを想起すること,また,検索したいものを明確に定義する事が難しい.それゆえに,たくさんの意図しない検索結果が出現する.これらの改善を目指すため,我々は,幼少者がやさしくWorld Wide Webにアクセスし情報を検索できるような手法を開発すること,それにより現在の小学校における総合的な学習の時間で設けられている「調べ学習」が,さらに効果的になるための支援が実現することを目的とし,幼少者の行動特性や思考特性を考慮する方法でWorld Wide Webにアクセスし情報を検索できるような,3次元型ブラウザを開発した.このブラウザは,難解なWorld Wide Web上のページ構造を自動的に3次元空間にレンダリングし,その3次元空間をゲーム感覚で走り抜けるといった負荷の少ない感覚で利用することを実現した.このブラウザの利用により,幼少者はWorld Wide Web上のページ構造を体感的に習得しながら,自らの課題を発見することができる.
著者
瀬下 仁志 野田 隆広 丸山 美奈 田中 明通 高橋 時市郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.388, pp.7-12, 2002-10-11
被引用文献数
3

World-Wide Web(WWW)上の豊富な情報は、調べ学習における調査・探索の対象として有用である。その一方で、情報の膨大さやHypertextに特有なナビゲーションの困難さなどから、何の支援もなくそのまま授業に導入することは難しかった。そこで我々は、WWWを活用した調べ学習を支援するための仕組みとして、高機能なProxyサーバとして構成される学習支援システム「WebAngel」を開発した。「WebAngel」は、インターネット上に散在する既存のWebリソースを選択的に組み合わせ、教師の授業意図、学習スタイルに沿ったかたちに教材化して利用することを可能にする。本稿では、「WebAngel」の概要とその学習事例などについて述べる。
著者
服部 数幸 佐藤 幸男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.1528-1535, 1993-08-25
参考文献数
12
被引用文献数
38

本論文は時系列空間コード化法に基づいた新しいレンジファインダのシステムについて述べている.光パターンを生成する光源としては半導体レーザを用いており,レンズ系によって生成されたスリット状の光をパターンに従い時系列的にスイッチングしながらガルバノミラーで走査して光パターンを生成している.レーザおよびミラーはCCDカメラの垂直同期信号と同期して動作し,カメラの1フレーム時間内に各光パターンが生成され,その投影像が撮像される.光パターンの生成,切換えにむだ時間がないため,約0.3秒で8枚の光パターンの照射と撮像が行われ,距離測定精度が約1%の512×256画素の距離画像を得ることができる.光学系は極めて小型に形成され(W:140mm,H:35mm,D:95mm),軽量であるため(680g),ロボットの視覚など広い用途が見込まれる.本論文ではレンジファインダのシステムの構成,専用画像処理システムについて述べている.またいくつかの計測結果を示し,本システムの有効性について論じている.
著者
島田 竜也 河口 尚広 加賀 健太 山田 博三 森 晃徳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.88, no.10, pp.2054-2068, 2005-10-01
参考文献数
11
被引用文献数
27

近年犯罪の著しい増加に伴い, 侵入者検知の研究・開発の必要性が叫ばれている. 本論文は, 安価で高機能な侵入者検知システム開発のための一つのシーズを提案するものである. 本論文で解決した機能は, (1)光源の移動を含め滑らかな照明の変化に対処できること(2)ゆっくり移動する侵入者の存在領域の明りょうな検出(3)途中で静止する侵入者の存在領域の明りょうな検出の三つの機能である. 機能(1)と(2)は, 互いに矛盾しているように見えるものである. 具体的手法は, 「侵入者を含まない現在の背景画像と現在の入力画像の差分画像から侵入者の存在領域を検出するもの」である. 現在の背景画像をいかに簡単かつ正確に更新するかが最も重要な点であり, 上記三つの機能を同時に実現する手法はなかった. 我々は, 「侵入者検出領域及びその境界では, 加重平均処理を背景画像に施さない」という手法で上記機能を実現した.
著者
大野 泰雅 大沼 宏行 渡邉 豊英
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.98, no.76, pp.55-62, 1998-05-23
参考文献数
6

知的教授システム(ITS)の分野では、プログラム言語を対象とした教授システムについての研究が多くなされてきた。教授システムにおいては、学習者の理解状態を知るための問題演習が欠かせない。問題演習では、学習者の記述したプログラムから誤りを適切に検出する機構が必要である。従来のインタプリタなどでも誤りを検出可能ではあるが、誤りに対する指導を目的とした場合、十分に誤りを識別しているとはいえない。我々は、学習者に容易なスペルミスの訂正を提供でき、さらに誤りパターンを用いて適切に誤りの識別を行なう誤り検出の手法を提案し、実装例を紹介する。
著者
菊田 大悟 成田 哲生 高橋 直子 片岡 恵太 木本 康司 上杉 勉 加地 徹 杉本 雅裕
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPM, 電子部品・材料 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.272, pp.59-62, 2010-11-04
参考文献数
5

p型GaNのエッチングダメージについて深さ方向分布、特に表面のバンド曲がりについて硬X線光電子分光(HAX-PES)法を用いて評価した。光電子の取り出し角を変化させることで異なる深さからの光電子の情報を検出し、p型GaN表面付近のバンド曲がりを解析した。その結果、ドライエッチングを施したp型GaN表面には1〜2×10^<20>cm^<-3>のドナー性欠陥が導入され、ICPドライエッチング時のバイアスパワーを大きくすることで、結晶奥深く(5〜8nm)まで欠陥が入ることが示された。
著者
鮎川 力也 権藤 克彦 荒堀 喜貴
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.95, no.2, pp.217-224, 2012-02-01
参考文献数
15

C言語のコンパイラ最適化器,ガベージコレクタ,及びファイナライザの相互作用によって誤解放の問題が生じ得る.この問題は.volatileなど,現在のC言語の機能では適切には解決できない.本論文では,この問題の適切な解決方法として新しい型修飾子strict_lifetimeを提案し,strict_lifetimeは保守性などの点で適切な解決方法であることを論じる.また,strict_lifetimeをGCCに実装し,CRubyに対する有効性を調査した結果,実装コストと実行コストが小さく,誤解放を防ぐ効果も高いという結果を得た.
著者
ブンクムクラオ ウィチャイ 宮永 喜一 デッジハン コブチャイ
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CAS, 回路とシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.142, pp.39-44, 2001-06-22
参考文献数
9

論理回路設計の回路規模が増大するに従い,設計資産を有効的に再利用していくことが重要になってきている。設計資産はIP(Intellectual Property)とも呼ばれる。提案した構造選択可能なLSIに基づきながら設計資産の再利用のために,パラメータ化設計を用いる。その有効性をPCA(Principal Component Analysis)計算モジュールで示し,FPGAで実現する.FPGA(Field Programmable Gate Array)は,プログラマブルデバイスであり,何回も回路を書き換え可能である。特殊DSPを少量生産する場合,コストが安くできるという大きな利点がある。本報告では,PCAのパラメータ設計方法を示し,また実現した回路での実験結果をしめす。