著者
天野 信之 三浦 周 太郎丸 真 大平 孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.622, pp.13-18, 2006-03-01
被引用文献数
3

ミリ波帯を利用したギガビットクラスの超高速無線LANを実用化するために,天井設置型アクセスポイントと端末局で共用可能なセクタ切り替え型スロットアレーアンテナを提案した。伝搬距離に応じて効率的にシステム要求の利得を得るために垂直面内でセカントビームを形成し,通信エリアとして室内全体をカバーするために水平面内でセクタ切り替えを行う方式を採用した。アンテナ全体構造から1セクタのみを抜き出して電磁界解析を行った結果,最大利得11.6dBi,チルト方向θ=-65〜-60°の垂直面セカントビームを形成し,システム要求を満足することができた。また,反射損失特性の要求についてもほぼ満足した。
著者
山地 哲朗 穂刈 治英 島田 正治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. US, 超音波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.596, pp.63-67, 2002-01-18

近年、空間に仮想的な音源を創り出す音像定位技術についての研究が盛んに行われている。音像定位受聴試験はこの技術を評価するための重要な試験である。しかしながら、音像定位受聴試験の方法についての検討は十分ではない。本研究の目的は、音像定位受聴試験方法の確立である。本稿では、拡声受聴系に焦点をあて、音像の定位感と刺激の提示時間、断続の関係について検討を行った。その結果、提示時間が0.01sから0.3sの間では定位感が上昇し、0.3s以上では飽和すること、また断続により定位感が上昇することが確認された。
著者
吉原 朋宏 渡邊 明嗣 小林 大 田口 亮 上原 年博 横田 治夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.171, pp.185-190, 2005-07-06

我々が提案している並列Btree構造向けの並行性制御手法MARK-OPTが, アクセスパターンが各PE(Processing Element)で均一である環境において有効であることを示してきた.本稿では, アクセスパターンの偏りがある環境における従来手法との比較実験から, アクセス偏りによるMARK-OPTへの影響を考察し, MARK-OPTがアクセス偏りがある環境においても有効であることを示す.また, そのアクセス偏り除去のための有効な手段であるデータマイグレーションの並行性制御にMARK-OPTを用い, データマイグレーションが発生する頻度を変化させた場合の実験から, データマイグレーションによるMARK-OPTへの影響を考察し, MARK-OPTがデータマイグレーションの並行性制御として有効であることを示す.
著者
李 可人 井筒 雅之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OPE, 光エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.97, no.539, pp.55-60, 1998-02-12
参考文献数
11

本論文では、ミリ波帯で動作する新しい光検波器を提案した。新しい光検波器は、帯域動作の利点をフルに生かし、検波器の出力を最大になるように、進行波型の概念を用いながら、多段共振器と反射スタブを設けた。本論文では、共振器と反射スタブをそれぞれショットとオープンの四分の一波長の共平面導波路(CPW)スタブを用いた。光導波路を伝播する光波とフォットダイオードによって生じた共平面導波路を伝播するミリ波との間の速度整合はS字型蛇行ミリ波伝送線路によって実現した。
著者
菊地 一夫 上杉 志朗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.224, pp.23-28, 2003-07-18
被引用文献数
1

近年、中心市街地の商店街の衰退し、地域商業集積間の競争では特定地域のイメージ戦略が重要になるといえる。本稿は松山市の商店街イメージ調査から情報発信の基礎となる因子を抽出し、地域情報化の観点で考察する。
著者
森部 敦 毛利 公美 森井 昌克
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OIS, オフィスインフォメーションシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.283, pp.11-16, 2005-09-08
被引用文献数
3

電話による音声理解による自動応答システムやパソコンによる文字理解に基づく応答システムがある.他方, 以前から会話を成立させるシステムとして人工無能がある.人工無能は文字通り, 主として会話の内容に関しての目的や意図もなく, 会話としての成立だけを目的としている.本研究では, 人工無能において, より自然に会話を成立させるための手法の開発と, その応用として自動応答システム, 特にマーケティングとしての情報提供および情報収集システムへの可能性について考察する.
著者
井口 貴志 高藤 大介 田岡 智志 渡邉 敏正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CAS, 回路とシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.387, pp.41-46, 2005-11-03

辺重み付き有向グラフをネットワークと呼び, 辺重みの増減という辺操作を考える.なお辺重みを無限から有限に減少(それぞれ, 有限から無限に増加)させることは, 辺の追加(辺の削除)に対応する.動的最短経路問題(DSPPと略記)は次のように定義される: "任意のネットワーク, ソースと呼ばれる指定頂点s, 任意の辺操作系列が与えられたとき, 各辺操作の実行後のネットワークにおける最短経路木を再構成せよ".DSPPの応用として, OSPFやIS-ISのようなリンクステート・アルゴリズムに基づいたルーティングプロトコルにおいて, DSPPを効率良く解くことが必要となる.大規模なネットワークと非常に長い辺操作系列に対する実験結果では, Narvaez(2000年)らがで提案したNST(BF)が, 我々が試した現在の10種類の解法の中で最も高速に解を求めることを示した.また, DSPPを解くには, 静的な解法を繰り返して解くよりも, 動的な解法の方が高速に解を求めることも示した.
著者
坂本 龍哉 多田 昌裕 大村 廉 納谷 太 野間 春生 鳥山 朋二 小暮 潔 佐野 睦夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.45, pp.43-48, 2008-05-15

従来の人物位置推定手法の大半は,(1)観測対象領域内に遮蔽物や仕切りがほとんど存在しない環境,(2)壁などの遮蔽物によって観測対象領域が空間的に完全に分離されている環境,のいずれかを観測対象領域としていた.しかしながら(1),(2)のいずれにも該当しない環境,例えば大型ショッピングモールのように,商品棚や背の低いパーティションといった仕切りは存在するものの,空間的には完全に分離されていない環境(半開放型環境)も少なからず存在する.そこで本研究では,従来考慮されていなかった半開放型環境においても,高い精度で人物位置推定可能な手法を提案する.提案手法は,複数のパーティクルフィルタを取捨選択的に用いることによって,半開放型環境において頻発する人物検知センサの誤反応・検知漏れを逐次検出・修正し,従来手法よりも10%以上高い人物位置推定精度を実現した.
著者
井倉 法久 力宗 幸男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OIS, オフィスインフォメーションシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.312, pp.1-6, 2004-09-10
被引用文献数
1

国際標準のDAISY仕様のディジタル録音図書は音声だけでなく、文字・画像を利用できるため、障害の有無にかかわらず子供からお年寄りまで利用できるユニバーサル図書である。しかし、その普及は余り進んでいるとは言えず、その原因として、特に、あらかじめ録音した音声とそれに対応する文章との同期を取る作業の煩雑さや面倒さがあげられる。そこで、本稿では、録音された音声データの音声区間を検知、分割後、大語彙連続音声認識システム「Julius」を利用して、その対応関係を調査し、音声と文章との同期を自動的に取ることが出来るツールを構築した。
著者
黒木 幹人 永田 守男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理
巻号頁・発行日
vol.98, no.635, pp.1-8, 1999-03-05

情報システム開発の要求分析工程において、分析者がユーザの要求を正確に把握することは、ユーザと分析者の知識や経験が異なるため非常に困難である。分析手法としてオブジェクト指向が注目を集めているが、既存の方法論は実装側に偏っているため、ユーザ側で理解しにくいという問題点がある。本研究では、「ユーザと分析者とのコミュニケーションツール」としてユーザ自身が業務内容を表現できる業務フロー図を提案し、これからオブジェクト図を自動生成するシステムを提案することにより、オブジェクト指向システム開発の上流工程を支援する。本研究の分析手法の有効性を確認するために、試作システムを用いた評価実験を行った結果、役割分担に基づく業務フロー図とオブジェクト図自動生成の枠組の有効性を確認した。
著者
奈良 安雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SDM, シリコン材料・デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.138, pp.89-92, 2006-06-26

CMOSデバイスの更なる性能向上に対しては、従来のような微細化技術のみでは既に限界に来ており、歪シリコン技術、メタルゲート技術、High-kゲート絶縁膜技術、薄膜ボディSOI、マルチゲート構造などの新しい技術の導入と共にスケーリングを行っておく必要がある。これらの中でもゲート電極とゲート絶縁膜技術(ゲートスタック技術)は今後の微細化CMOSにおける共通の課題であると思われる。本講演では、今後のゲートスタック技術としてHigh-kゲート絶縁膜とメタルゲート電極を取り上げ、最近の開発成果について述べる。
著者
永見 健一 松嶋 聡 菊池 豊 中川 郁夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.87, no.5, pp.572-579, 2004-05-01
被引用文献数
4

インターネットやインターネット技術を用いた企業網が多数使われるようになり,ネットワークの信頼性の向上が望まれている.インターネットを提供するISP(Internet Service Provider),企業網等に使われるVPN事業者などは,ユーザヘの提供ネットワークの監視を行うことにより,機器や回線故障などを迅速に検出し,ネットワークの信頼性を向上させている.従来の典型的なネットワーク監視は,SNMPやICMPを用いて,ネットワーク監視端末から機器への到達性を見ている.しかし,ネットワーク内で転送されるユーザのパケットは,機器や回線の故障だけではなく,経路情報の誤りによっても目的地に到達できない.そこで,ネットワーク監視は,機器や回線故障だけではなく,経路情報も監視する必要がある.本論文では,単一組織が管理するAS内部の経路情報であるOSPFに着目し,経路情報監視システムを提案・実装した.この実装を複数のネットワークに接続し,そのネットワークの経路情報の安定度を測定し,経路情報の監視が重要であることが分かった.更に,典型的なネットワーク監視では観測されない経路情報の問題点を検出し,その問題点を解決することで,ネットワークの安定性を向上した例を述べる.
著者
森田 千晶 増永 良文
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.172, pp.145-150, 2005-07-07

近年, 古い資料や写真のデジタル化などに伴い, モノクロ画像の自動着色技術の研究がすすめられている.そのひとつとして, 色合いの参考となる画像(ソース画像)を用いてその色合いをモノクロ画像に転送することによってカラリゼーションを行う手法が提案されている.この手法はユーザの作業負担を軽減し自動的なカラリゼーションを実現させるが, そのために必要となる"ユーザの主観にあうソース画像"の用意が困難である.そこで本研究では, この手法を前提とし, "ユーザの主観にあうソース画像"を, 画像検索技術を組み合わせることによってウェブ上から取得してくる方法を考案する.また, 本稿ではこのシステムのための予備実験として, ウェブ画像検索の検索キーワードの選択方法に関する考察をおこなう.
著者
趙 晋輝 宇野 晋平 久保田 智規 猪股 篤
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.83, no.4, pp.370-378, 2000-04-25
被引用文献数
5

Volterra形非線形適応フィルタは, 一般的な非線形系に適用できる汎用性と, こう配形適応算法の保証される大域収束性などの優れた特徴で知られている.しかしながら, Volterra核が密である場合, 収束が遅く不安定になりやすい, そこで筆者らは, 2次のVolterra形非線形適応フィルタにおいて, Gaussian信号入力に対する誤差曲面形状の重要な性質を理論的に導き出している.本論文では, それらの解析結果を基にして, 白色信号入力と, 有色信号入力に対して, 最適な重み係数ベクトルの修正方向と更新幅を用いた高速収束アルゴリズムを提案し, 計算機シミュレーションによりその効果を実証する.
著者
梶川 嘉延 野村 康雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.82, no.1, pp.1-10, 1999-01-25
被引用文献数
5

本論文では非線形システムの線形ひずみ及び非線形ひずみを同時に除去する非線形逆システムのオンライン設計法を提案する. ここでは, 適応Volterraフィルタを用いて非線形逆システムをオンライン設計する方法を議論する. これまで, 我々は非線形逆システムをオフラインで設計する方法を提案してきたが, これらの 手法では対象としている非線形システムの特性が変化した場合, 非線形ひずみ除去効果が低減するという問題点を有していた. 本論文ではまず, 非線形システムの特性変化が非線形ひずみ除去効果にどのような影響を与えるかについて検討する. 続いて, 提案するオンライン設計システムを示し, その設計原理を3段階に分けて説明する. すなわち, オンライン設計の第1段階として未知非線形システムの線形項(1次Volterra核)を, 第2段階として線形逆フィルタを, 第3段階として未知非線形システムの2次非線形項(2次Volterra核)をそれぞれオンラインで同定及び設計する方法について説明する, 最後にコンピュータシミュレーションにより提案法の有効性を示す.
著者
浅井 哲也 大谷 真弘 米津 宏雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング
巻号頁・発行日
vol.96, no.583, pp.17-24, 1997-03-17

近年の半導体集積回路技術の大幅な進歩により、脳に代表される生体の神経システムをシリコンデバイス上にハードウェアとして実現する試みがなされている。本報告では、近年、神経細胞の膜ダイナミクスを表す古典的神経システムと密接な関係が理論的に示されたLotka-Volterra(LV)型競合神経システムの集積回路化と、その振る舞いについて述べる。またハードウェア化されたLVシステムから、神経細胞やトランジスタのような個々の均一性の無い素子でも、大規模な集団を作ることにより、正確な情報処理が可能であるという一つの証拠を示す。