著者
牧野 浩志 鈴木 一史 鹿野島 秀行 山田 康右 堀口 良太
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.I_1001-I_1009, 2015 (Released:2015-12-21)
参考文献数
7
被引用文献数
1 2

都市間高速道路のサグ部での渋滞発生要因については,上り勾配に伴う速度低下や車線利用の不均衡等が知られており,ITSを活用してそれらの是正を図る情報提供等の対策が実施されている.一方,渋滞発生前の高密度な交通流における車線変更行動と渋滞発生との因果関係に関しては,十分な知見が得られていない.本研究では,車線変更行動と減速波の発生・伝播の関係について,路側ビデオ映像に基づく時空間車両軌跡データ等を用いて分析を行った.また,サグ渋滞対策への一つのアプローチとして,車線変更行動を抑制する方策の合理性に関して示唆を得るため,臨界流下で車線変更を繰り返して先を急ぐアグレッシブドライバが,そうした行動によって短縮し得る所要時間について,ミクロ交通シミュレーションを用いて試行的に評価した.
著者
中村 晋一郎 佐藤 裕和 沖 大幹
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.I_1453-I_1458, 2012 (Released:2013-03-26)
参考文献数
10

In this research, we gathered the Historical Maximum Discharge (HMD) of A class rivers in Japan after World War 2nd (1945) and classify these data into the topography-meteorological area. We used Creager curve for analyzing the regional characteristics of HMD. From this analysis, we explained the difference of the flood specific discharge among geographic regions. And we compared the historical maximum specific discharge between as of 1975 and 2009, so we could explain Creager curves in 3 region was updated and the flood specific discharge in most of river converged to Creager curve.
著者
安井 雅彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D2(土木史)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.90-103, 2013

愛知県尾張地方西部の低平地を流れる日光川では,下流部における高潮災害および湛水被害への対応が長年の課題であったが,この解決のための河口締切が実現したのは1962(昭和37)年であった.この研究ではこれに至る経過をとりまとめ,対策の長期化に影響した要因を明らかにする.
著者
上岡 瞳 金谷 健
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.II_59-II_69, 2012 (Released:2013-02-13)
参考文献数
11

ホテルにおける食品リサイクルの実施実態を,食品リサイクルの実施ホテルへのアンケート等によって調査した.得られた主な知見は以下の通りである.1)食品リサイクルを実施しても,食品廃棄物処理コストは増加していないホテルが多い.2)食品リサイクル実施に際して,従業員への事前研修等が必要であり,かつ継続的に必要である,というホテルが多い.3)食品廃棄物の分別においては厨房の協力が不可欠なので,食品リサイクルの組織運営の中心に,調理長を入れるべきである.4)大都市のホテルと地方都市のホテルでは,リサイクル委託の有無の割合に,違いがある.5)食品リサイクルの方法は,飼料化より肥料化が多い.
著者
高野 保英 竹原 幸生
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.I_523-I_528, 2014 (Released:2015-05-18)
参考文献数
14
被引用文献数
3

To measure the falling velocities, the diameters and the aspect ratios of raindrops, consecutive images of raindrops in the open air outside of our laboratory were captured by an ultra-high-speed video camera. For automatic image capturing and avoiding the damage to the image sensor of the video camera due to the strong continuous illumination, a new trigger device was newly introduced to the capturing setup.As a result of the image analysis of the falling raindrops images, the following findings were obtained, when the equivalent raindrop diameter is smaller than 3mm. (1)The relationship between the falling velocity and the raindrop diameter determined by our outdoor measurement is similar to that between the terminal velocity and the water drop diameter determined by Gunn and Kinzer's indoor experiment. (2)The aspect ratios of raindrops determined by our measurement is similar to that calculated by Pruppacherr's model of raindrop.
著者
小塩 達也 O'Brien Eugene Taylor Susan
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
構造工学論文集 A (ISSN:1881820X)
巻号頁・発行日
vol.65A, pp.600-606, 2019-03-15 (Released:2020-01-27)
参考文献数
10

Weigh-in-Motion measures vehicle load on roadway without stopping traffic. Bridge Weigh-in-Motion (BWIM) uses bridges as a weight scale. The advantages of BWIM are its invisibleness to drivers, low cost and simple installation. This study tested a potential of "Contactless Bridge Weigh-in-Motion" without any sensor in bridge. A digital high-speed camera captured bridge deflection by long distance lens, and another camera captures passing vehicle on road surface. Gross vehicle weight is calculated by influence area method by integration of deflection time history and estimated vehicle speed by traffic image. The accuracy of the BWIM system was under 20% for test vehicles with known gross vehicle weight.
著者
関根 正人
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.70-85, 2011 (Released:2011-07-20)
参考文献数
13
被引用文献数
2 10

近年,東京都心部では想定を超える規模の集中豪雨に見舞われることが少なくない.本研究では,このような豪雨に見舞われたときに都心部の住宅密集地域ではどのような浸水が生じ,どのようなプロセスを経て内水氾濫が拡大するのかに注目し,これを数値解析により予測する手法を開発・確立することを目的とする.さらに,この手法を2005年に妙正寺川流域で生じた浸水・氾濫と,2008年に雑司ヶ谷地域で発生した下水道水難事故時の豪雨流出事例に適用した.結果として,現時点で得られているデータに限られるとはいえ解析手法の妥当性が検証されたほか,実際に被害にまで発展した浸水・氾濫のプロセスが水理学的にかなり精密に解析できるようになり,その理解も深まったと考える.
著者
本屋敷 涼 仲座 栄三 宮里 信寿 福森 匡泰 田中 聡 Carolyn SCHAAB
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.20-37, 2020

<p> 階段式護岸のステップ高は通常0.2~0.3m程度に設定されている.しかしながら,こうした緩勾配階段式護岸の勾配は人の歩行を考えて1/2~1/3程度に取られるため,占有面積が大きくなることや波の遡上高が高くなるなどの問題点を抱えている.階段式護岸設置の主な理由は,人の海岸利用や景観への配慮など親水性向上にある.したがって,実務設計者は,波の遡上高や反射率など防災上必要となる数値的な把握のみでなく,実際に護岸上で繰り広げられる砕波現象,流れや渦の発生など,水理学的特性の把握も求められる.本研究は,CADMAS-SURFを用いた数値計算によって,代表例としてステップの高さが0.2mと1.4mの場合の波の遡上高及び反射率の特性を対象に,波の砕波形態,ステップ上での流れや渦の発生など水理学的な特性との関連を明らかにしている.</p>
著者
村上 大輔 堤 盛人
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.31-43, 2015 (Released:2015-04-20)
参考文献数
21

サンプル(標本)の適切な抽出方法の設計は,統計学における大きな関心事の一つである.空間データを対象とした空間統計学の一種である地球統計学においてもその重要性は同様であり,サンプル地点の配置の議論が近年活発化している.本研究では地価公示・都道府県地価調査における標準地・基準地の選定の問題,本稿では特に削減の問題を例に,地球統計学に基づくサンプリングデザインの方法の応用を試みる.まず,標準地・基準地がどのように選定されているかを概観する.次に,地球統計学の関連研究を簡単に整理した上で,地価公示・都道府県地価調査の主旨に整合したサンプリングデザインの方法を提示する.最後に,提示した方法を用いて茨城県内の地価公示と都道府県地価調査における標準地・基準地の地点を削減する問題を解きその有用性を確認する.
著者
谷口 守 芝池 綾
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D (ISSN:18806058)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.608-616, 2008 (Released:2008-12-19)
参考文献数
18

交通環境負荷低減のため,都市構造をコンパクト化することが期待されている.本研究では,その役割を最前線で担う地方自治体の都市計画行政担当者を広く対象とし,コンパクト化政策の意義と可能性を伝えるワンショット型レクチャー(OL)を通じて,1) 担当者の態度形成の現状,2) 担当者の態度変容,3) 態度形成の要因分析,4) 行動のための障害を明らかにした.分析の結果,1) 現状では低い態度水準がOLを通じて大きく向上すること,2) 態度形成にはOLの他に知識や経験が深く関与すること,3) 実際に取り組む者ほど現在の「制度」を障害とはせず,4) 実現のための様々な障害も多くはコミュニケーションと学習を通じて解消される可能性があることが示された.
著者
羽鳥 剛史
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.231-247, 2016 (Released:2016-09-20)
参考文献数
19
被引用文献数
4

自然災害による想定外の事態に適切に対処する上では,地域住民一人一人が想定を超える災害が起こり得ることを理解することが重要である.本研究では,災害想定を巡る認知バイアスとして,想定外の災害事象が過小評価される問題を取り上げ,洪水災害を対象としてそうした認知バイアスを緩和するためのハザードマップの提示方法について検討する.そこで,洪水ハザードマップの提示に加えて,その前提条件に関する内省機会を付加した内省機会付加型ハザードマップを提案し,愛媛県大洲市肱川周辺住民605名を対象として,本ハザードマップの効果を検証した.その結果,内省機会付加型ハザードマップを閲覧することにより,洪水災害に関わる想定外の事態に対する認識が向上し,災害想定に関わる認知バイアスが緩和される効果が確認された.
著者
湯浅 恭史 中野 晋 岡野 将希
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F6(安全問題)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.I_217-I_226, 2019

<p> 平成27年9月関東・東北豪雨及び平成30年7月豪雨では,河川の氾濫や堤防の決壊などにより深刻な浸水被害が発生し,地域の医療機関も被災する事態となった.被災した病院では診療機能が制限され,入院患者を他の病院に転院させざるを得ないケースがあった.被災地域の復旧・復興のためには,住民が安心して暮らすために地域医療の早期再開が望まれるが,被災病院によっては診療再開に長期を要することがあり,医療機関の浸水リスクへの対応は地域医療の継続を考える上での課題となっている.</p><p> 本研究では,徳島県内の医療機関を対象として,自然災害への防災対策の実施状況についてアンケート調査を行った.調査結果から浸水災害を対象とした避難訓練やBCP策定などの対策が進んでいないことがわかった.豪雨災害で浸水被害のあった病院に対し,初動対応から事業再開の対応についてヒアリング調査を行った.これらの結果から,浸水被害を受けた際の早期復旧を実現するために取り組むべき対策や考え方について考察した.</p>
著者
荒木 功平 奥村 謙一郎 安福 規之 大嶺 聖
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.I_267-I_272, 2012

地球温暖化等の気候変動に伴う大雨の頻度増加が指摘されるようになり,各種産業への影響等が懸念されている.特に沖縄県では,亜熱帯特有の高温多雨気候により,土壌侵食を受けやすく,農地や開発事業地等から流出する赤土等は1950年代頃から問題化しているが,未だ解決に至っていない.沖縄のみならず亜熱帯化が懸念される九州地方においても侵食を受けやすい土壌を有している.<br> 本研究では,50年,100年スケールで年平均気温や激しい雨の年間発生日数の経年変化を調べ,九州の亜熱帯化の現状把握を試みている.また,亜熱帯地域である沖縄県国頭郡宜野座村の農地で土壌侵食実験環境を整備し,降雨量~土壌水分~土壌侵食量関係の計測および考察を行っている.
著者
榎村 康史
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.I_103-I_110, 2012 (Released:2013-12-25)
参考文献数
18
被引用文献数
3

洪水ハザードマップは,住民が洪水の危険性を認識し,水害時に速やかな避難を行うためのソフト対策として近年急速に普及が進んできたものの,住民の認知・理解は十分とは言い難い状況にある.洪水ハザードマップが効果を発揮するためには,住民がマップを認知・理解し,防災意識を高める必要がある.本研究では,洪水ハザードマップの住民認知・理解向上のための課題を整理するとともに,熊本県内市町村を対象としたアンケート調査及び洪水ハザードマップの内容分析に基づき,洪水ハザードマップの住民認知・理解向上のための取組みの実態と問題点を明らかにする.また,洪水ハザードマップ改善のための試みとして,人吉市温泉町・下林地区住民を対象とした洪水ハザードマップに対する住民評価の把握の検討を行う.
著者
横山 勝英 大村 拓 鈴木 伴征 高島 創太郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.I_1453-I_1458, 2011 (Released:2012-03-14)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

The spatiotemporal distribution of seawater intrusion in the Chikugogawa estuary was analyzed, and its relationship with the temporal variation of phytoplankton and engraulid fish, Coilia nasus, was discussed. The Chikugogawa estuary is vertically well mixed for most of the year, and a salt wedge is observed only when the tidal range decreases to 2 m or less. We found that the ratio of chlorophyll-a to pheophytin-a during the semilunar cycle varied according to the change in the mixing conditions in the estuary. Further, the number of sampled estuarine fish was related to the salinity and tidal range within the estuary; the fish was caught when the salinity was low and the tidal range was large. It is necessary to regulate the fresh water discharge in the estuary in order to maintain a low-salinity region that is suitable for the migration of fish and their spawning areas to the downstream of the river mouth barrage.
著者
山下 良平
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.74, no.6, pp.II_175-II_182, 2018 (Released:2019-03-29)
参考文献数
24

本研究では,絶滅危惧種である希少生物を地域資源として活用する可能性を事例的に検討すべく,地域住民が希少生物の保護と活用に関してどのような認識にあるかを精査し,それらの関係性について統計的に評価した.対象となる希少種はイカリモンハンミョウであり,その価値の捉え方と利活用に関する考え方の相互関係を分析対象とした.2016年10月に石川県内で行われた郵送式質問紙票調査でデータ収集され,409の回収サンプル(有効回答数312)を用いて分析した結果,イカリモンハンミョウが棲む海岸保護に対する支払意思額と労働意思量ともに,自身への経済的メリットに期待する要因が寄与しており,地域づくりの文脈で希少種の保護と活用のあり方を位置づけるうえで,新たな知見が提示された.
著者
清田 裕太郎 岩倉 成志 野中 康弘
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.I_1059-I_1066, 2014 (Released:2015-05-18)
参考文献数
20
被引用文献数
1

2011年3月11日に発生した東日本大震災で首都東京の交通網は完全に麻痺した.道路交通網においても例外ではなく,大規模なグリッドロック現象が発生した.今後首都圏付近で発生する地震に備え,震災時におけるグリッドロック現象の時空間拡大プロセスの分析を行い,震災による渋滞現象の実態を明らかにすることを目的とする.本研究では,タクシープローブデータを解析し3月11日の首都東京のグリッドロック拡大を時系列で分析し,上下車線別のグリッドロック発生リンクの特定とボトルネックと推定される地点を抽出した.
著者
竹之内 健介 加納 靖之 矢守 克也
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F6(安全問題) (ISSN:21856621)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.I_31-I_39, 2018 (Released:2019-02-19)
参考文献数
19
被引用文献数
3

平成29年九州北部豪雨では,中山間地を含む多数の集落で甚大な被害が生じた一方,5 年前の災害経験などを踏まえ,住民が無事避難した事例も確認されている.本研究では,そのような避難に成功した地区などを対象に住民への聞き取り調査を行い,詳細な対応行動や避難につながった背景の分析を行った.調査の結果,地域独自の判断基準の存在が災害対応に効果的に機能していた事例が確認されるとともに,そのような判断基準が地域で継続して定着するような社会環境が存在していた.また当時の住民の対応行動の時系列分析を行い,各種災害情報との対応関係から,実際にその判断基準が災害時に有効に機能していたことを確認した.これらの結果を踏まえ,地域独自の判断基準(防災スイッチ)を災害時に有効に機能させる地域防災の検討と推進を提案する.
著者
伊東 孝祐 大沢 昌玄 伊東 孝
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D2(土木史) (ISSN:21856532)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.1-11, 2017 (Released:2017-01-20)
参考文献数
101

本研究は今まで明らかにされていなかった1938(昭和13)年度まで予算の割付があった帝都復興事業の事業費および財源の全体像を明らかにするとともに,その後の災害復興への影響を考察することを目的としたものである.また関東大震災の復興計画と関連性が指摘されている後藤新平の八億円計画についても触れる.事業誌ならびに財政に関する資料を整理・分析した結果,i)帝都復興事業の規模は予算総額11億1,125万1,520 円,支出総額10億6,490万2,580円であったこと,ii)財源は,国は公債,地方は公債・国庫補助金・国庫貸付金が主であったこと,iii)地方執行事業に対して国庫補助,大蔵省預金部による低利融資,復興事業債への利子補給,外国債発行に対する元利保証といった財政的支援があったこと,を明らかにした.
著者
平子 紘平 森崎 裕磨 藤生 慎 高山 純一 柳原 清子 西野 辰哉 寒河江 雅彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F6(安全問題) (ISSN:21856621)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.I_41-I_51, 2018 (Released:2019-02-19)
参考文献数
18

東北地方太平洋沖地震において,高齢者や障がい者の被害も甚大であったことから,避難行動要支援者の名簿作成が各自治体に義務付けられた.一方,熊本地震において,庁舎の被災等により,名簿が活用できない事例が発生し,平時より避難行動要支援者の精緻な支援計画策定が重要視されている.本研究ではArc GISのNetwork Analystツールの到達圏解析を用い,道路ネットワークを考慮し,避難行動要支援者の避難施設へ到達可能性の検証を行った.本研究では,我が国における超高齢化に伴い,人数が莫大に増加している後期高齢者に着目し,中でも特に避難にケアを必要とする自宅に居住する要介護認定者を分析対象者とした.到達圏解析の結果,要介護認定者の避難時の実態と何人の要支援者が避難所まで到達できない可能性を持つのか,詳細な把握を行うことが可能となった.