著者
植木 俊哉
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究では、グローバル化とボーダーレス化が進む現代の国際社会において、国際組織のアカウンタビリティーの確保と向上のために国際法め理論と実務がいかなる貢献をなしうるかについて、国際法協会(ILA:International Law Association)が組織した「国際組織のアカウンタビリティーに関する国際委員会」による国際組織のアカウンタビリティーに関する「勧告的規則・慣行草案」(RRPs:Recommended Rules and Practices)の起草・作成過程への実践的関与や検討を通じて、さまざまな分析と提言を行った。同委員会による勧告的規則・慣行草案は、2004年8月にドイツのベルリンで開催された国際法協会第71回総会において正式にILAの国際文書として採択され、国際組織のアカウンタビリティー確保のための国際的な基準として、世界に向けた提言として具体的に結実した。本研究代表者は、同委員会の日本代表の委員として、RRPs作成過程での議論に積極的に関与を行うと同時に、その成果の分析を行い、論文等の形でこれを公表した。また、その研究成果等を踏まえ、国連本部事務局内での「国連フォーラム」研究会等の場で、国連諸機関に勤務する日本人職員等と意見交換を行い、国際組織の現場におけるアカウンタビリティー向上のための取組み等について実践的な提言を行った。さらに、国際テロリズムとの関係での国連安全保障理事会におけるさまざまな決議採択等の取組みや、21世紀の国際組織の新たな活動の基軸の1つとなる「人間の安全保障」といった概念の展開等の具体的事例との関連で、国際組織の活動のアカウンタビリティーの向上に関する具体的な検討を行い、その研究成果等を公表した。
著者
横山 啓太
出版者
東北大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

数学基礎論の一分野である2階算術の諸体系についての研究,特に逆数学プログラムへの寄与を目的とした研究および,算術の体系のモデルについての研究を行った.2階算術の諸体系についての研究では,昨年度までの研究で得られていたACA_0およびWKL_0における超準解析の手法についてより精密な考察を行った.これにより,2階算術に対応した超準解析の手法が直接表現できるシステムを新たに考案した.さらに,これらのシステムを用いて表現される超準解析の証明を通常の2階算術の証明に直接変換するための手続きを与えた.これにより,超準解析の証明を細かく分析することが可能になり,超準手法を用いた逆数学研究のための新たな手法が得られた.また,これらをさらに発展させ,2階算術の多くのシステムに対して超準解析のシステムによる特徴付けを行い,さらに超準解析を用いたより多くめ証明の分析を進めることを目指して研究を進めている.また,これらのフレームワークの逆数学研究への新たな応用も試みている.また,堀畑佳宏氏と協働で複素解析の基礎に関する逆数学研究をさらに推し進め,いくつかの定理に対する逆数学的な評価を得た.特に,局所的な可積分性が重要となる状況では,WWKL_0が重要な役割を果たすことがわかり,このことからいくつかの逆数学的な評価が得られた.また,正則関数の特異点の扱いについての研究も行った.現在,ピカールの定理の逆数学的評価を目指し,研究を進めている.この他,フーリエ級数の収束性についても逆数学研究を行い,いくつかの逆数学的結果を得た.以上の結果をふまえ,今までの成果を博士論文「Standard and Non-standard Analysis in Second Order Arithmetic」にまとめた.
著者
北 洋輔
出版者
東北大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本年度は、発達的支援システムの中核となる評価法の確立にむけて、次の四点を主に検討した。1.社会性認知に関わる評価法:PDDの社会性認知に関する神経学的特性を評価するための基礎的検討を行った。健常成人を対象に自己顔認知課題を実施し、NIRSと眼球運動計測装置を用いて、脳血流動態と視線パターンを同時計測した。自己顔認知時に右下前頭回周辺における酸素化ヘモグロビン濃度の上昇が有意に認められた。社会性認知に関わる責任領域の一つが示され、課題・測定法の有用性が示された。2.同評価法の運用:PDDの臨床症状と1で示した脳機能との関連を検討した。健常成人・定型発達児・ASD児を対象に、1の実験パラダイムを行うとともに、臨床症状と心理的特性を併せて評価した。結果、臨床症状が重篤であるほど、脳機能が低下している一方、自己意識傾向が強いほど、脳機能の賦活が認められた。臨床症状・心理的特性を脳機能によって客観的に評価可能と示された。3.行動面の評価および介入による変容:PDD児の向社会的行動を評価するために新規の二次元モーションキャプチャーシステムを開発し、評価を行った。PDD児は向社会的行動の前段階に注目行動の少なさが顕著であること、介入によって注目行動が増加し、向社会的行動を示すことが明らかとなった。4.発達性ディスレクシアに関わる評価法:Magnocellular systemを神経生理学的に評価する視覚誘発電位(VEP)の評価法を模索した。新規の刺激により一定程度の同systemの機能評価が可能であり、発達性ディスレクシア児がVEPに特異性を認めると明らかになった。以上、四点より、発達的支援システムの中核をなす評価法が、教育・心理・神経生理学等の観点からの複数の異なる領域から、融合的アプローチによって到達出来たものと考えられる。
著者
渡辺 正夫 鈴木 剛 諏訪部 圭太
出版者
東北大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

花粉と・柱頭でのコミュニケーションの障害が受粉時の「ゲノム障壁」として検出される。そこで、この受粉反応時に関連する遺伝子を分子遺伝学的手法により解析した。その結果、新規-側性不和合性、花粉特異的遺伝子群の機能解明、環境ストレス関連遺伝子の解明、コミュニケーションに重要である新規small RNAを大量に同定した。
著者
渡辺 喜勝
出版者
東北大学
雑誌
東北大学医療技術短期大学部紀要 (ISSN:09174435)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.91-102, 1996-01-16

山寺夜行念仏folk-belief
著者
菅野 卓治 橋本 裕之 大谷 登蔵
出版者
東北大学
雑誌
東北大學選鑛製錬研究所彙報 (ISSN:0040876X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.53-57, 1978-09-16

The ion-exchange properties of cesium and strontium into zeolite from sodium salt solution has been studied in zeolite A, zeolite X, zeolite Y, mordenite and clinoptilolite. The distribution of cesium into mordenite from about 1〜2 M sodium chloride and sodium hydroxide solutions is considerably larger than that into zeolite A. The distribution coefficient for 2 M solution of sodium salts was about 300. Therefore, the seperation of cesium from sodium salt solution is possible by using mordenite. The distribution of strontium into zeolites from 1〜2 M solutions of sodium chloride and sodium nitrate were in the order of zeolite A>zeolite X>zeolite Y≃mordenite. The distribution coefficient of 230 was obtained for 1 M solutions of sodium salts. The anion in solutions had no effect on the distribution of cesium and strontium into zeolite from sodium salt solution.
著者
伊藤 正敏 田代 学 藤本 敏彦 井戸 達雄
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

中等度強度の運動によって脳内ドーパミン分泌が生じているか否かを明らかにする目的で[^<11>C】Raclopride-PETを用いて脳内ドーパミンD2濃度の定量を行った。8人の健康な男性(年齢は21.4±2.0歳)の協力を得て、一回は安静状態で、もう一回はエルゴメータ運動を行いながらPET撮影を行った.エルゴメータ運動は強度VO2Max35〜60%で50分間行い、運動開始後20分で[^<11>C]racloprideを静脈投与した.運動に随伴する頭の位置のずれを最小にするために、Plastic face maskによって強固に頭を固定すると共に、数学的動き補正を行った.ソフトウエアは、Welcome Institute開発のSPM5を使用した.次に、この加算画像を用いて脳標準画像に対して形態的標準化を行った.この画像に対して関心領域(ROI)を左右の尾状核、被殻および小脳にとって[^<11>C]raclopride集積の時間変化曲線(TAC)を得、小脳を参照領域として、D_2受容体結合能(BP)、をSimplified Reference Tissue Model(SRTM)、Logan NonInvasive Method(Logan)、Ichise Multilinear Reference Tissue Model(MRTM2)を使って計算した.解析ソフトはPMODを使用した.解析の結果、左右の尾状核および被殻における[^<11>C]racloprideのドーパミンD_2受容体への結合が運動中、一様に減少し手いるのが判明した.その減少の程度は-12.9〜17.0%(P<0.01)であった.運動に際しての[^<11>C]racloprideのD_2受容体への結合の減少は、脳内ドーパミンが分泌されたことを強く示唆するもので、運動に際しての爽快感などの情動感覚と関係すると考えられる。
著者
水波 誠
出版者
東北大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1999

1)嗅覚学習訓練法の開発:コオロギおよびゴキブリにおいて、それぞれ4種類の異なる嗅覚学習訓練法の開発に成功し、研究の目的に応じて使い分けることが可能となった。2)ゴキブリとコオロギの嗅覚学習能力の解析:ゴキブリとコオロギがヒトに優るとも劣らない嗅覚学習の能力を持ち、匂い学習の中枢機構の研究材料として適していることが明らかになった。特にコオロギでは、幼虫期に一旦成立した記憶は生涯保持されること、同時に7組の匂いを記憶できること、明暗の状況に応じて異なる匂いを報酬と連合させる状況依存的嗅覚学習の能力があること、が明らかになった。これらは昆虫の嗅覚学習能力について新知見をもたらすものであった。3)キノコ体のNO(一酸化窒素)シグナル伝達系の嗅覚記憶形成への関与:コオロギを材料とした行動薬理学的な研究により、NOシグナル伝達系が匂いの長期記憶の形成に関与することが示唆された。また、NO含有細胞の組織化学的染色により、キノコ体にシグナル伝達系が存在することが示唆され、これが長期記憶の形成を担うものと推察された。4)ゴキブリの脳の基本配線についての研究:ゴキブリの頚部縦連合からの逆行性染色により脳の下降性ニューロンを網羅的に同定した。下降性ニューロンは235対あり、その細胞体は23のクラスターを形成していた。それらの樹状突起の脳内分布の詳細が明らかになり、その結果、脳の感覚中枢から胸部の運動中枢に到る脳内の信号の流れの全体像の推定が初めて可能となった。これらの成果をもとに、昆虫の脳の基本設計についての仮説を提案した。
著者
寺川 貴樹 石井 慶造 古本 祥三 菊池 洋平 松山 成男 酒見 泰寛 山崎 浩道
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

陽子線治療と腫瘍血流遮断剤を併用する新規治療法の開発を目的とし,マウス固形腫瘍による治療実験を実施した.本研究の高精度照射のために、マイクロパターンガス検出器による新規ビームモニターの開発に成功し治療実験に用いた。治療効果を[18F]FDGと[18F]FMISOを用いた超高分解能PETと、腫瘍増殖遅延測定から評価した。その結果、単回併用治療において、腫瘍増殖遅延に相加的効果があるだけでなく、腫瘍中心部の広範囲に細胞死が誘発されたが、腫瘍の辺縁部に低酸素状態を含む腫瘍細胞の生存領域が認められた。よって、単回治療後の2回目の併用治療が腫瘍細胞を完全に死滅されるために必要であることが示唆された。
著者
津田 健治 寺内 正己
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

われわれが独自に開発してきた収束電子回折法による結晶構造解析法をベースとして, 試料のナノメーター領域から静電ポテンシャル分布を求める手法を新たに開発することに成功した. この方法をLiNbO_3等の強誘電体に適用して静電ポテンシャルを決定して強誘電分極を検出した. また, この方法を応用して強相関電子系物質の3d電子軌道の秩序の可視化にも成功した.
著者
石本 淳 大平 勝秀
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

従来型電子冷却システムの限界を打破するため, 本研究では, 超高熱流束冷却が可能な高機能性冷媒としてマイクロスラッシュ二相流利用型超高熱流束電子冷却システムを提案する.マイクロスラッシュ噴霧の有する超高熱流束効果に関し, PIA粒子計測・非定常冷却熱流束のデータベース化とCFD計算条件取り込みによる融合計算を用いた総合的アプローチを行った.その結果, マイクロスラッシュ噴霧は液体窒素噴霧と比較して, 1. 5倍程度の限界冷却熱流束を得ることが可能であり, 新型電子冷却法開発の基盤となる成果を得た.
著者
大堀 淳
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

直観主義的論理学の自然演繹証明システムとラムダ計算との同型関係を拡張・一般化し, 機械語コードの証明論を完成し, コードの最適化やコードの検証をより体系的に行う基礎を構築した。この証明論では, 機械語コードは, 左規則のみからなるある種のシーケント計算として表現され, その操作的意味, すなわち, コードを実行する機械の状態遷移規則は, シーケント計算のカット除去定理の証明から系統的に抽出することができる。さらに, この証明システムは, 低レベルコードのアクセス権限の検証や制御フロー遷移の最適化などの基礎となることが示された。
著者
塩谷 隆 桑江 一洋 藤原 耕二
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

近年,測度距離空間の幾何解析の研究が非常に盛んである.研究代表者は測度距離空間の曲率と収束,特にアレクサンドロフ空間,測度距離空間のリッチ曲率,測度距離空間の列の収束などに絡む幾何解析に焦点を当てて研究してきた.一方で,ディリクレ形式の収束を関数解析的に調べる変分収束理論がMoscoによって研究されたが,これを応用・拡張することは,測度距離空間の列の収束を調べる上で,統一的な視点を与えることとなる.この様な動機により,研究代表者の塩谷と分担者の桑江は,幾何学的な視点から変分収束理論を拡張したが,本研究費の研究において一応の完成を見た.我々はこれを「幾何学的変分収束理論」と呼んでいる.この理論で現れる収束概念は,現在,「Mosco-桑江-塩谷収束」と呼ばれ,確率論の有限次元近似やhomogenizationの研究などにおいて広く応用されつつある.まだ研究途上ではあるが,もう一つの成果として,アレクサンドロフ空間上で「リッチ曲率が非負」に相当する条件の下で,ラプラシアンの比較定理および分割定理を証明した.リーマン多様体に対しては、リッチ曲率がある定数以上になることは,ビショップ・グロモフの不等式の無限小バージョンと同値である.アレクサンドロフ空間上ではリッチ曲率テンソルは定義されないので,リッチ曲率条件の替わりにこのビショップ・グロモフの不等式を仮定した.リーマン多様体の場合と決定的に異なるのは,カットローカスの状況である.リーマン多様体ではカットローカスは閉集合であるのに対して,アレクサンドロフ空間では一般に閉集合にならず稠密になるような例もある.このことから,ラプラシアンの比較定理の証明ではリーマン多様体と同じ方法は通用せず,新しい方法を開発した.
著者
平田 孝道
出版者
東北大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1994

申請備品である直流電源装置、温度調整器、電子天秤が納入されてから、C_<60>プラズマに関する実験を行った。その結果、以下に述べる結果を得ている。(1)接触電離カリウムプラズマへのC_<60>導入量(昇華用オ-ブンへのC_<60>塗布量)とC_<60>プラズマ生成時間の一部定量化を行った。さらにC_<60>の昇華温度を微調整することによって長寿命かつ安定したC_<60>プラズマの生成・制御が可能になった。(2)プラズマ中の終端電極に取り付けたオメガトロン型質量分析器により、C_<60>プラズマ中のイオン種の分析を行った結果、K^+、C_<60>^-イオンの検出に成功した。さらにオメガトロンの入射、背面及び側面電極へ印加する直流バイアス電圧の微調整によって、高感度かつ高精度のイオン種分析が可能になり、C_<60>^-イオン信号と負イオン交換率との相関関係が明らかになった。(3)C_<60>プラズマ中にシリコン及びガラス基板を設置し、基板バイアスに対するC_<60>プラズマ膜の電気伝導度変化を調べた結果、10^<-2>〜10^<+6>(Ω・cm)の広範囲にわたって膜の電気伝導度を制御することに成功した。また基板バイアスによってC_<60>とカリウムの入射比率を自由に制御することにより、特異な性質を有する膜を生成させることも可能になった。この結果に関しては、赤外吸収分光法による光学的測定及びX線回折による結晶性分析などとの定性的一致を得ている。今後の研究展開としては、高真空かつ強磁場中でのイオン種の“その場"測定及び成膜実験を考えている。
著者
石井 一 木幡 勝則 佐藤 ハマ子
出版者
東北大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

1.4ーピリドン類の合成と確認図1でn=0,1,2,4,6,8,10,12のアルキル鎖を有する8種の4ーピリドン類を合成し、元素分析、IR、NMRスペクトル、融点測定を行って合成した化合物の構造と純度を確認した。2.抽出平衡の検討(1)合成した4ーピリドン類の酸解離定数(Ka)及び配定数(K_D)を求めた。Kaはアルキル鎖の長さを変えても変らないが、Kaはアルキル鎖中の炭本数(n)と共に増大し、両者の間にはlog K_D=0.52+1.42で表わされる直線関係が認められた。(2)レアメタルとしてIn,Pr,Eu,Ybを選び各4ーピリドン類を用いて抽出実験を行い、錯体の結合比、半抽出PH、分抽定数(K_<DC>),抽出定数(Kex),安定度定数(β_3)を求めた、その結果 いずれの金属にも1:3(金属:配位子)錯体としてジクロルエタンに抽出され、Kex,β_3 はアルキル鎖長による影響は認められなかったが、K_Dはnと共に増大することがわかった。3.抽出速度の検討上記金属の4ーピリドン錯体はジクロルエタンに容易に抽出され、速度はアルキル鎖が長くなるにつれ僅がづつ遅くなったが、いずれの錯体も数分〜数十分の振り混ぜて定量的に抽出された。抽出の速度論的な詳細な今後引き続いて行うつもりである。以上の結果より、本研究でとりあげた4ーピリドン系化合物は、金属に対する選択性は乏しいが、上述の4元素はもとより、いわゆる硬い酸に分類される金属(例えば、Al,Ga,Ti,Zrなど)の抽出剤としては有用と考えられる。
著者
石井 一 佐藤 ハマ子 小尾 英樹
出版者
東北大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

1.ヒドラゾン化合物の合成と確認図1でn=1,3,5,7のアルキル鎖を有するヒドラゾン(SAAH)および図2の5-ブロモ-,3,5-ジブロモ-及び5-ニトロ置換ヒドラゾン(SSAH)を合成し、元素分析、IR、NMRスペクトル、融点測定を行って合成したヒドラゾンの構造と純度を確認した。2.抽出平衡の実験(1)合成したヒドラゾンの酸解離定数(Ka)及び分配定数(K_D)を求めた。SAAHのK_D値はアルキル鎖を長くすると増加し(炭素原子1個当りlog K_Dで0.64)、Ka値もアルキル鎖を長くすると増加した。SSAHの場合も、ブロモあるいはニトロ基の導入はKa値及びK_D値に対して極めて有効であった。(2)レアメタルとしてPr,Eu,Yb(一括してLn)を選び、各ヒドラゾンを用いて抽出実験を行い、錯体の結合比、半抽出pH、抽出定数(Kex)を求めた。その結果、いずれのLnもTBP及びClO^-_4の存在下で(Ln^<3+>)(HL^-)_2(TBP)_3(ClO^-_4)錯体として1,2-ジクロルエタンに抽出された。電子吸引性の導入は錯体のKex値の増大に極めて有効であった。3.抽出速度の検討図1でn=7のヒドラゾン(SOH)とYb(III)との抽出反応を速度論的に検討した。その結果、SOHによるYb(III)の抽出は二通りの反応経路、すなわち、Yb^<3+>+HL^-→P及びYb・TBP^<3+>+HL^-→Pで進行し、水相中で1:1錯体の生成反応が律速段階であることがわかった。以上の結果より、合成した一連のヒドラゾン化合物の中では、図2でX及びYにブロモ基を導入したヒドラゾン(DBSAH)がランタノイドの抽出剤として最もバランスのとれた有用な抽出剤であることを実証した。
著者
田倉 哲也
出版者
東北大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

本研究で採用しているソフトヒーティング法は,感温磁性体と金属環を組み合わせることにより,自動温度制御機能と高発熱を同時に実現することが可能な唯一のハイパーサーミア用デバイスである.今回は,そのデバイスの更なる小型化に着目し,上記の手法を応用した感温磁性粉末のハイパーサーミアへの可能性を検討した.また,腫瘍に対する効果の確認された針状埋込発熱素子の加温可能範囲について,数値解析法を用いることで検討を行った.金属被膜を施した感温磁性粉末の温度制御機能と高周波磁界中での発熱特性については既に明らかにしているので,今回の検討事項としては,金属被膜を施した感温磁性粉末の金属被膜厚に関して,その厚みを変化させたときの発熱特性についてシミュレーションと実験から検討を行った.まず,シミュレーションについては,市販の磁場解析ソフトを用いてモデルを作成し,解析を行ったところ,粉末量固定の場合,発熱量が最大となる最適金属被膜厚なるものを確認することができた.さらに,検証を行うために,種々,金属被膜厚を変化させた発熱粉を用いて実験を行ったところ,同様の傾向が確認された.このことから,粉末状埋込素子の設計が可能になり,より治療効率の高い埋込デバイスを開発していくことが可能になる.続いて,針状埋込発熱素子の加温可能範囲に関して検討を行った.第一種境界条件を適用した二次元の熱伝導方程式を解くことにより,42.5℃以上に加温することが可能な発熱素子からの距離について解析を行った.その結果,腫瘍サイズと発熱素子の配置方法・発熱素子温度の関係を導くことが可能になり,ハイパーサーミア時における治療プロトコルを進捗させることができた.
著者
田中 仁 NGUYEN XuanTinh NGUYEN Xuan Tinh NAUYEN XuanTinh
出版者
東北大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

これまで,海浜変形に関する研究は枚挙に暇がないほど数多くのものがなされている.ただし,これらの既往の研究は,沖浜帯から砕波帯,遡上域までを対象とする研究がほとんどである.海浜において大規模な地形変動をもたらす高波浪時には,このような沖域から遡上域までの海浜部のみならず,波が遡上し,さらには越波が生じる海浜域においても大きな地形変動が生じる.しかし,このような間欠的に生じる越波現象に伴う地形変化については,これまでほとんど研究がなされていない.その理由は,(1)現象の生起がまれであり,またその発生箇所も予測が困難であるため,現地データがほとんど蓄積されていない,(2)間欠的に生じる越波による,ドライな砂面上の薄層流を記述する動力学が確立されていないことなどが挙げられる.そこで,今年度の研究においては,このような越波に伴う地形変化に対する対策工の効果に関する検討を行った.対象は宮城県仙台市に位置する七北田川河口の蒲生干潟であり,同所には砂丘頂部に越波防止を目的とした捨て石堤が建設されている箇所と,未整備の箇所がある.そこで,これまでに開発したモデルを両者に適用することにより,3mの越波防止堤の存在が土砂移動を効果的に防止していることが分かった.一方,越波防止堤が整備されていない箇所については,越流により大規模な土砂堆積が生じることが分かった.また,蒲生干潟海岸では津波の越流により砂浜地形が大きく変化した.そこで,2011年3月以降には津波による地形変動についても現地調査を行い,バリアー地形の回復過程を明らかにした.
著者
渡辺 和雄 TERESHINA E. A. TERESHINA Evgeniya
出版者
東北大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

1)Y_2Fe_<17-x>Ru_x(x=0, 0.25, 0.5, 0.75)粉末試料について、零磁場及び5T、温度10~300KでX線回折実験を行い、広い温度範囲での格子定数のInver的異常を明らかにした。またY_2Fe_<16.5>Ru_<0.5>が示す反強磁性-強磁性メタ転移はa及びc軸方向に~0.6%の磁歪を誘起し、結果として~1.8%の体積変化を生じることがわかった。X線回折実験の結果は、チェコ共和国科学アカデミーで行われた熱膨張測定の結果と一致した。2)複合化合物(Lu_<0.8>Ce_<0.2>)Fe_<17>-Hに関する実験から、反強磁性体である母体化合物(Lu_<0.8>Ce_<0.2>)Fe_<17>が水素化されると強磁性相互作用が優勢となり、反強磁性秩序の抑制が生じることが分かった。この成果を国際会議"2^<nd> International Symposium on Advanced Magnetic Materials and Applications"(ISAMMA 2010)において発表した。成果論文はJ. Phys. : Condens. Matterに投稿中である。3)水素充填化合物Tb_2Fe_<17>H_3及びHo_2Fe_<17>H_3の単結晶に関する18Tまでの磁化測定を行い、水素化物で一般にみられる自発磁化とCurrie温度の上昇のほかに、磁気異方性が容易面型から容易軸型に変化する珍しい振る舞いをTb_2Fe_<17>H_3が示すことを明らかにした。これは、容易軸型異方性及び高い飽和磁化と秩序温度を併せ持つことが要求される永久磁石材料に応用するにあたって極めて効果的である。
著者
篠田 壽 竹山 禎章 荘司 佳奈子 島内 英俊
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

強力な骨吸収抑制薬として知られる一連のビスホスホネート(BP、BPs)系化合物の中から8種のBPsを選び、歯周病治療薬として、どのBPが最も高い可能性を有するかについて種々の検討を行った。その結果、(4-メチルチオフェニル)チオメタンビスホスホネート(TRK-530)に高い可能性が見出されたので、このBPを中心にその薬理作用、作用機序、安全性について検討し、概ね以下の結論を得た。1.TRK-530は、LPS, PGE2,IL-1等による骨吸収の促進を、用量依存的に抑制した。2.現在、骨粗髪症治療薬あるいは高カルシウム血症治療薬として最も広く使用されている窒素含有BPs(N-BPs)は、LPS刺激によるPGE2産生の増加を用量依存的に増強するのに対して、TRK-530はこれを用量依存的に抑制した(マウス頭蓋冠骨器官培養系)。その機序は、抗酸化作用に基づくCOX-2の発現抑制に基づくものと推測された。3.N-BPsは、骨芽細胞系のセルラインにおいて、アルカリホスフアターゼ活性を抑制するのに対して、TRK-30は、用量依存的に増加させた。4.ラットやウサギの歯槽骨に局所投与したTRK-530は、投与部位の骨密度と骨量を著明に上昇させた。5.全身的あるいは局所的に投与したTRK-530は、ラットの実験的歯周炎モデルにおいて用量依存的に歯槽骨の吸収を抑制し、歯周組織の破壊を抑制した。6.BPsの副作用の一つとして報告されている抜歯後の骨壊死に関して、ラット抜歯窩の修復に及ぼす効果を検討した。N-BPsの一つであるゾレドロネートの大量全身投与は、抜歯窩の修復を遅らせるのに対して、TRK-530にはそのような作用は認められず、むしろ修復を促進する傾向が見られた。以上、本研究により、TRK-530は、多くのBPsの中でも歯周病治療薬としての比較的優れた性質を有することが示唆された。