著者
武内 博信
出版者
鹿児島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

ジルコニアにおける歯肉上皮細胞の接着はpolish、grindingおよびblasting処理に関わらず差はなく、細菌感染を考慮するとジルコニアアバットメントの表面はよりスムースな方が適していることが示唆された。また、ジルコニアおよびチタンの細菌除染に関しては、クロルヘキシジン、電解中性水およびプラスティックチップ超音波スケーラーは効果的であった。しかしチタンにおいては電解中性水による腐食が懸念された。一方でジルコニアは化学的除染にも安定であることが示された。
著者
有村 公良 高嶋 博
出版者
鹿児島大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺(thyrotoxic periodic paralysis: TPP)はアジア系の男性に多く、遺伝的背景が発症に関与していると考えられる。本年度は甲状腺中毒性周期性四肢麻痺(TPP)の新たな候補遺伝子の検討、その他の低K性周期性四肢麻痺(hypoKPP)の遺伝子検査と臨床所見の検討、および東南アジア各国との共同研究の推進を行った。(1)、本年度は従来TPPでは検討が行われていない、内向き整流性K+チャネルから5種類、KCNJ1、KCNJ5、KCNJ6、KCNJ11、KCNJ12を候補遺伝子とし、TPPの男性患者11名の末梢血DNAから蛋白コード領域をPCRで増幅後、塩基配列を調べた。その結果、KCNJ1遺伝子に1個、KCNJ5遺伝子に4個、KCNJ6遺伝子に2個、KCNJ11遺伝子に3個、KCNJ12遺伝子に7個の変異を認めたが、全てSNP databaseに登録済みの正常多型であり、病因となるような変異は認めなかった。TPPの原因遺伝子検索および異常多型の検出の目的で、Na+チャネル、Ca2+チャネル、K+チャネルを含むTPP専用のresequencing arrayの設計を行ったが、作成には800万円のコストが必要であり、今後は、本年度行ったように、従来の方法による原因候補遺伝子の同定を試み、それでも発見できない場合は、十分なDNAサンプルを収集後、市販のSNP arrayを用いて異常多型の検出を試みることとした。(2)TPP以外のhypoKPPの遺伝子検索で、本邦では弧発例が多く、かつ従来hypoKPPで報告されているチャネル遺伝子異常を認めない例が多数を占めた。特徴的なことはその全例が男性であり、TPPの臨床像と極めて類似していた。このことはTPPの病態を考える上で非常に重要かも知れない。(3)前年、アジア各国と共同研究を進めるべく、共同プロトコールを作成したが、現在そのプロトコールに従い、共同研究を推進中である。各国でのIRB申請の遅れのため、当初予定していたDNAサンプルの収集は果たせなかったが、今後も継続する。
著者
山本 清洋
出版者
鹿児島大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

本研究の目的は、学校週5日制が施行された前後2ヶ年間の子どもの生活構造と余暇や生活に関する意識の変容を分析し、学校週5日制の課題を明らかにすることである。子どもの生活構造の変容を分析するためには、生活時間調査を用いた。この研究で明らかになった諸点は、次のようなものである。(1).ほとんどの子どもが学校週5日制を好意的に評価し、施行1年後には、普通の休みと同じ感覚で受け入れている。(2).日常生活に対する子どもの満足感は、学校生活に関係が深いので学校のカリキュラムや学校生活を、学校週5日制と関連させて検討することが肝要である。(3).約50%の子どもが、学校と社会教育機関が準備した地域の諸行事へ参加していることが、施行後の最も大きな生活変容である。従って、今後は、この地域の諸行事を子どもの余暇活動として定着させることが課題となる。(4).子どもは、余暇で何をし、どうすればいいかという能力を有していることから、子どもを地域行事の企画か運営に参加させることが必要である。そうすることによって、子どもが自立して余暇を過す能力が育ち、同時に学校週5日制が社会に位置づくことになる。
著者
桶田 洋明
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学教育学部研究紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:03896684)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.89-102, 2005-03-25

アクリル絵の具を用いて写実的絵画を制作するための描画法を,代表的な作家の描画法から検証し,より客観的,概念的な描画法を導き出したうえで,それらの技法を自身の試作によって実証していく。本研究により,特にアクリル絵の具による,写実的な再現描写による作品の描画法を理解することで,本来アクリル画が苦手と見られていたタイプの絵を制作する時の手助けとなることができる。
著者
桜井 芳生 サクライ ヨシオ SAKURAI Yoshio
出版者
鹿児島大学
雑誌
人文学科論集 (ISSN:03886905)
巻号頁・発行日
no.48, pp.47-77, 1998-12

文化的希少性の理論の-各論として「美」にかんする理論を構想する。まず,カントの議論をヒントにして,美についての二つの問題を提起する。さらに美にかんする探求をするにあたって,「美人」の問題を糸口とする。美人(美人コンテスト)をめぐって,三つの問題が存在することを指摘する。まずは,この三問題に回答をあたえることを第一の目標とする。「携帯決断機」「流動性選好」などを参考にして,「選好の自己明証性不安」と「選択回避性向」などの仮説を提起する。これらの仮説にもとづいて,ミスコンの三つの問題への回答が提起される。後半において,この前半の議論をふまえて,美にかんする一般的な視点が提起される。おもにカント美学における二つの主張にたいする代替案として,われわれの見解が述べられる。最後に「美とはなにか」という問題に関して,必要性も十分性も満たさないが「いい塩梅のモデル」であるとわれわれが考える命題が提起される。すなわち,美とは,無関心性と,ある程度の普遍性(他者による承認の普遍性)があるかのように見せかけることによって,選好の自己明証性不安と選択回避性向を慰撫するようなコト・モノである,と。
著者
今村 利香 高山 忠雄 峰 和治 山之上 卓 下園 幸一 中村 秀俊
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,半構造化面接法にて,DV被害者の実態調査,母子生活支援施設職員及び医療機関職員のDVに関する研修会受講状況と希望する研修について聴き取り調査を実施したほか,郵送調査にて,DV被害者支援を実施している全国の福祉・行政・医療機関のIT整備状況とeラーニング研修の取り組みに関する調査を実施した。その結果を基に,鹿児島県内の福祉・医療機関にてDV 被害者支援を実施している関係職員を対象に,集合研修及びMoodleを用いた研修を実施した。
著者
植村 寿子 下茂 徹朗
出版者
鹿児島大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1988

南九州一帯に広く賦存するシラスは反応性に富む火山ガラスが8〜9割含まれ、量的にも豊富で、工業材料として極めて魅力のある研究対象である。しかしこれまで主に建築資材としてだけ利用され、高度な利用がなされていなかった。最近シラスが見直され、SPG(シラスポーラスガラス)等その特性を活かした利用開発がなされつつある。我々はシラス中のSiO_2(75%)、Al_2O_3(13%)に注目して、これを原料に安価なゼオライトの合成法の研究を行った。しかしシラスには約3%のFe_2O_3が含まれており、これが製品に混入、着色の原因になる事が分かった。シラスの脱鉄法が種々試みられているが、我々は次の系統的に各種のゼオライトを合成する方法でこの問題を解決した。まずシラス(100g)にNaOHとH_2Oの添加だけでNa-P型ゼオライト(60g、Fe_2O_3=1〜2.7%)を合成した。これは黄色を呈するが、高いイオン交換能を有するので廃液処理等着色が不利にならない分野での用途を考える。次に脱鉄されたケイ酸分に富むこの濾液(P型濾液1lが得られる)から各種の高純度ゼオライトを系統的に合成し、それぞれ適した分野での用途に供するものである。例えばP型濾液1lに120gのNaAlO_2を添加して6時間反応させる(100℃)と190gの高純度A型が得られる。同じくP型は5gのNaAlO_2を添加して5g得られる。X型は生成領域が狭く単一相としては合成し難くかった^<1)>。またP型濾液1lに各種の酸を添加して塩を含むゲル状沈澱物(Aゲル80g)を得た。これは水洗すると35g(Bゲル)に減る。Aゲルからは13〜50g、Bゲルからは25gのモルデナイトが得られる^<2)>。この2段階合成法では多種の製品が得られるので、単品コストが緩和され、また広範囲な用途開発が望めるので有利な合成法と思われる。1.植村、四元、染川、隈元、日本化学会誌、3月号掲載決定(1989)2.植村、村田、染川、日本化学会58春季年会発表予定1989年4月
著者
森脇 広 奥野 充 大平 明夫
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

南九州の鹿児島湾を構成する姶良カルデラ周辺の臨海平野には完新世海成段丘が分布する.これらの段丘面の編年と高度分布,さらに,露頭調査とボーリング掘削によって得られた構成堆積物の古環境的解析を行い,旧海水準の高度分布を明らかにし,姶良カルデラを中心とした鹿児島湾周辺の第四紀地殻変動を検討した.編年の方法は,テフラと^<14> C年代による.その結果,これまで示唆されてきた姶良カルデラを中心とした完新世の曲隆がさらに確かなものとなった.これは,姶良カルデラの火山活動と関連していると考えられ,桜島火山などの将来の噴火を評価する基礎資料として活用できると考える.
著者
井形 昭弘 園田 俊郎 佐藤 栄一 長瀧 重信 秋山 伸一 納 光弘
出版者
鹿児島大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1988

ヒト・レトロウイルスHTLV-Iによって脊髄症HAM(HTLV-I-associated myelopathy)がおこることが井形、納らにより報告され、この分野に大きな進展をもたらした。2か年にわたる本研究により、多くの貴重な成果を上げることが出来た。すなわち、このHAMの病態が大きく解明されると同時に、HTLV-Iに関連した他の臓器障害の可能性が浮かび上がってきた。HAMウイルスの分子生物学的検索により、HAMとATLのウイルスは変異株ではなく全く同一のウイルスであることが明かとなった。しかしHAMではキャリアに比較してはるかに多量のプロウイルスゲノムを末梢リンパ球中に保有しているという特徴が明かとなった。またHAMリンパ球はHTLV-I抗原刺激に対し高応答を示す。これらのことは、ホスト側の体質に関連しており、HAMとATLにはそれぞれ特有のハプロタイプを有することがわかった。HAMの病態機序に関連して、本邦で既に13例の剖検が行われ、この分析により更に詳細な病理像が明らかにされた。また、HAM患者髄液、末梢血リンパ球由来T細胞株が樹立された。一方、HAM患者の臨床像の分析の結果、肺胞炎、関節症、筋炎、シェグレン症候群、ブドウ膜炎の合併率が異常に多いことが明かとなった。これがはたして、HTLV-Iウイルスが直接おこしているのか、それともHAMに於て自己免疫疾患をおこしやすい状況があるのか、今後に課題を残したままであるが、重大な進展といえよう。治療に関しても、リンパ球除去術プラズマフェレ-シス、エリスロマイシン、ミゾリビン、α-インタ-フェロンなど有効な薬剤が明らかにされた。
著者
長谷川 雅康 渡辺 芳郎 田辺 征一 門 久義 池森 寛 土田 充義
出版者
鹿児島大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2002

(1)反射炉;反射炉の発掘調査結果を種々検討した。重要な結果は、反射炉の基礎部分の寸法が、ヒューゲニンの技術書の寸法にほぼ一致する。2炉・2煙突をもつ基本的な反射炉で、2号炉である。水気防止や強度向上のための工夫と苦労が薩魔人独自の石組の緻密さに見られ、薩摩焼の陶工による耐火煉瓦の焼成が典型である。反射炉建造は壮大な集成館事業の種々採用された諸技術の中核をなし、日本の近代化の先駆的事業であったことが確認される。(2)建築,集成館事業の第一期斉彬時代に、外観は日本の伝統的木造建築で、柱間寸法と小屋組が特徴、機械設備を入れる広い内部空間確保のための試みがみられる。第二期忠義時代(薩英戦争後)は、石造機械工場や鹿児島紡績所の建築など大規模な洋風工場建築の時期。後者の建築には外国人と直接関わり、近代建築技術を摂取した。「薩州見取絵図」や写真・現地測量・地下探査調査結果を踏まえ、コンピュータ解析し、第二期の工場群配置図と模型を完成した。(3)水車動力,川上取水口での流量測定の結果及び磯地域で発見された当時の水路溝の落差・断面積から熔鉱炉や鑚開台で使用の在来型木製縦型上掛け水車の動力を見積った。国内外の水車の歴史を総括し、薩摩藩の鉱山や集成館の水車の技術史上の位置を考察した。(4)工作機械,尚古集成館所蔵のオランダ製形削り盤(重文)の各部の寸法を測定して、図面化した。また、その運動解析を行い、バイトの運動状態とストロークとの関連などを解明した。(5)紡績技術,2種類の「薩州見取絵図」にある綿繰機、広幅織機の絵図を詳察し、復元可能な製作図面を作成し、綿繰機復元に着手した。薩摩藩の綿繰機のわが国繊維技術史における位置付けを検討した。英国プラット社が鹿児島紡績所に輸出した機械類のリストを同国で見出し、従来の定説と比較検討した。
著者
植木 健至 寺山 保彦
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.42-48, 1955-11-30

前報において, 低水温灌漑が水稲の生育収量に好影響を与えることを報じたが, 本年度はかかる現象に対し, 栄養生理的な検討を行うべく, 生育時期別に稲体有機成分を分析した.処理方法の大要は前年同様であり, 得られた水温は貯溜区(対照区)最高29〜34℃, 平均約27℃で掛流区最高24〜27℃, 平均約24℃であつた.なお掛流処理期間は7月27日〜9月30日迄である.実験結果は次に示す通りであつた.1.乾物重 : 伸長期より登熟期にかけて, 根, 茎葉, 穂と順次に掛流区が大となつた.2.登熟中期に至る迄, 茎葉部においては掛流区の粗蛋白含有率は貯溜区よりも常に高く, 澱粉含有率では全く逆の傾向を示した.3.幼穂形成期より出穂直後にかけて, 掛流区において株当粗蛋白含有量著しく大で且つ, 全糖含量もやや勝る傾向がみられた.粗澱粉含量については分蘗期には貯溜区が大であつたが, 出穂後は粗繊維と共に掛流区が凌駕し, 殊に穂部澱粉において著しい差異がみられた.以上掛流区における増収の過程を推察すると, 幼穂発育期において根重の増加に伴い, より多くの窒素を吸収し, これが一方では1穂粒数の増加をもたらすと共に, 他方では二次的に出穂後の光合成等を盛にし, 穂への多量の澱粉蓄積を可能としたと思われる.なお本年度も前報同様, 稈長, 穂長, 1穂粒数, 株当籾重等の区間差を認めえた.
著者
日吉 武
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、体ほぐし・心ほぐしを音楽学習の中で実践するための指導方法と指導プログラムを開発した。そして小中学校の教育現場で実践を行いその効果の検証に取り組んだ。実践の結果、本研究で開発した指導方法や指導プログラムが、学習者の体や心をほぐし、音楽活動に楽しく取り組める効果を挙げ、さらに呼吸の改善、歌唱における発声の改善、器楽演奏における響きの改善、音楽表現の改善に効果を挙げるという示唆を得ることができた。
著者
橋永 文男 古賀 俊光 石田 和英 伊藤 三郎
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.29-37, 1984-03-15
被引用文献数
2

プリンスメロンの成熟に伴う果実(未熟, 適熟, 過熟)の化学成分の変化および生理障害果の一種である異常発酵果(浸出果, 緑斑果)の化学成分を比較した.1.生理障害発生の著しい圃場のプリンスメロン果実は成熟に伴い, 全窒素, アルコール可溶性窒素, 遊離アミノ酸, タンパク質等の著しい増加が認められたが, 対照区の生理障害果の発生の少ない地区の果実では成熟に伴う変化が顕著でなく未熟果と大差がなかった.遊離アミノ酸はグルタミンが最も多く, つづいてアラニン, シトルリンであった.浸出果はアスパラギン酸が多く, アルギニンが少なかったが, 緑斑果は逆であった.2.果実硬度は成熟につれて減少したが, 緑斑果は未熟果と同じであった.糖は浸出果で多く, 緑斑果で少なかった.クエン酸は異常発酵果で少なかったが, 浸出果は酢酸が多かった.また浸出果はカルシウムが少なく, カリウムが多い傾向にあった.3.香気成分は果心部の方が果肉部より多く含み, 酢酸エチル, エタノール, 酢酸オクチル, オクタン酸プロピルが主要な成分であった.異常発酵果はエタノールとイソ吉草酸メチルが増加したが, 大部分の成分は減少した.タンパク質バンドおよびパーオキシダーゼ活性は果実の成熟につれて増加した.緑斑果のパーオキシダーゼアイソザイムは特異な活性バンドが認められた.4.異常発酵果は正常果に比べて全窒素や遊離アミノ酸, エタノール, イソ吉草酸メチルの含量が多かった.そのうち浸出果は硬度, 糖度, タンパク質バンド, パーオキシダーゼアイソザイムなどから過熟果に類似し, 緑斑果は未熟果と類似していた.
著者
島内 円夏 上和田 秀美 福田 健 津田 勝男 坂巻 祥孝 櫛下町 鉦敏
出版者
鹿児島大学
雑誌
南太平洋研究 (ISSN:09160752)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.13-21, 2010

The relationship between the number of male Spodoptera litura caught by a pheromone trap and the hourly mean wind velocity was studied for four months in the field using an automatic counting system. The maximum number of males trapped per hour was observed at wind velocities of 1-4 m/sec. Slightly fewer male moths were trapped when the wind blews strong, although more than 60 males/trap/h were still caught during the daily peak hours (0200-0400h) during very strong wind blews, when a typhoon was approaching. In order to monitor the field occurrence of the adult moth using pheromone traps, the mating activity of the moth and the numbers of males may be more important factors than wind velocity. Key words: automatic counting system, sex pheromone trap, Spodoptera litura, typhoon,
著者
中川 亜紀治 倉山 智春
出版者
鹿児島大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

VERA電波望遠鏡を用いて高精度位置天文VLBI観測を行ってきた。本申請課題の期間に2件の論文が日本天文学会の査読付き雑誌に掲載された。AGB星の星周現象や銀河系内での運動などが明らかになった。年周視差が計測された天体数は6天体に増え、周期光度関係確立のためのデータが揃いつつある。HIPPARCOS衛星のデータをもとにして、視線速度、距離などのデータベースを整理し、およそ300天体の銀河系内ミラ型変光星について6次元動力学情報が整理された。
著者
佐藤 強志 川畑 義裕 野添 悦郎 松根 彰志 川島 清美 馬嶋 秀行 濱平 須美子 上村 亮三
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

(1)動物モデルでの扁平上皮癌腫瘍組織における放射性医薬品輸送蛋白発現の免疫組織学的染色による検討では、輸送蛋白の細胞膜上発現が顕著に観察され、放射性医薬品の取り込みと汲み出しとの相関が明らかであった。(2)ピンホールコリメータを用いたリンパ節模型のシンチ画像撮像では、臨床を想定した条件下ではピンホール径は5mm以上必要であり、小さな径では計数値の不足による雑音の影響が無視できなかった。また、10mmのリンパ節サイズ模型における放射性医薬品の局在識別は5mmが限界であった。
著者
武若 耕司 上田 多門 丸屋 剛 山口 明伸
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、海洋コンクリート構造物の完全非破壊型塩害予知システムの構築を目的とし、ハードおよびソフトの両面から実験的ならびに解析的検討を実施した。主な研究成果は以下の通り。(1)構造物の劣化進行を予測する塩害劣化シミュレーションモデルを構築した。(2)供用構造物中の塩害劣化進行をモニタリングし,構造物の劣化予知が出来るシステムを確立した。(3)劣化予知にあたって既定値とすべきパラメータ(腐食発生限界塩化物イオン濃度やひび割れ発生限界鉄筋腐食量)を定量化した。
著者
古川 龍彦 秋山 伸一 住澤 知之
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

2デオキシ-D-リボースはチミジンホスホリラーゼ(TP)によるチミジンの代謝物の一つである。これまで我々は2デオキシ-D-リボースが血管新生活性を持っていることを見いだしてきた。初年度までに、2デオキシ-D-リボースの光学異性体である2デオキシ-L-リボースを作用させると、TPあるいは2デオキシ-D-リボースがもつin vitroの血管内皮細胞の管腔形成の促進、牛大動脈内皮細胞の遊走能の亢進、血管新生活性の作用を抑制することを見いだして、今年度はさらにTP強制発現ヒト癌細胞を移植したヌードマウスにデオキシ-L-リボースを経口投与して、対照群に比べて有為に腫瘍の増殖を抑制すること、また、脾静脈からTP強制発現ヒト癌細胞を肝転移させる転移実験モデルで転移病巣を有為に低下させることを明らかにした。これらのことから2デオキシ-D-リボースの構造を認識する分子を介して、多彩な機能を発揮させていることがさらに裏付けられた。また、2デオキシ-L-リボースが持つTPの生物活性を抑制作用を利用して新たな抗腫瘍薬剤として用いることができる可能性が示された。TPの発現細胞において低酸素に対して抵抗性であることを見いだしていたがさらに詳細に検討した。デオキシ-D-リボースを加えることで低酸素下でのHIF1αの安定化されるが妨げられること,p38MAPキナーゼの活性化が抑制されることを見いだした。現在、デオキシ-D-リボースが直接に作用する分子が何かを検討中である。TPのノックアウトマウス(TPKO)とTP/UP(ウリジンホスホリラーゼ)ダブルノックアウトマウス(TP/UPKO)を作成した。これらのマウスは雌雄とも妊娠可能で、形態的異常、体重減少などは見られない。TPKOにおいては肝臓でのみTP活性が失われていた。UPKOにおいては肝臓以外のすべての組織でTP活性が欠失していたTP/UPKOマウスでは各臓器ともTP活性が検出されなかった。血中のチミジン濃度は野性型と比較しTPKOは約2倍、TP/UPKOは約5倍であった。1999年にNishinoらはTPがヒトの神経筋疾患であるMNGE(Mitochondrial NeurogastroIntestinal Encephalomyopathy)の原因遺伝子であると報告した。10ヶ月齢の野性型マウスとTP/UPKOの骨格筋ではMNGIEに特徴的所見られなかったが、脳ではTP/UPKOにMRIのT2強調画像で高いシグナルが認められ、また、電顕写真での変化を見いだしており、TP/UPKOはTPの生理的役割の解析とともに、白質脳症のモデルマウスとして病因の解析に有用である可能性がある。
著者
福迫 博 滝川 守国 久留 一郎
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

鹿児島県北西部地震および出水市土石流災害に関連して発生するPTSDに関して実態を調査し,免疫機能の変化について検討した。北西部地震においては,小学生,中学生,高校生を対象とした調査では,震災3カ月後に10.2%にDSM-IV修正版でPTSDにスクリーニングされた。6カ月後の調査時には4.5%に減少し,一年後の調査では3.1%,一年半後は1.8%,二年後は1.8%であった。一方,成人では6カ月後に6.5%,一年半後には4.2%であった。したがって,児童生徒の方が低頻度であり,児童生徒の心の傷の回復力は成人に比べて高いことが示唆された。地区別での検討からは,震度だけでなく,地区のPTSDに対する取り組み特性,余震の頻度などで経過が影響されることが示された。出水市土石流災害においては,災害発生3カ月後には28.8%がPTSDとしてスクリーングされ,その後の調査では20%前後で推移し2年後も同様の頻度でみられた。被害状況の大きさや死者が出ていることから,地震に比べて尾を引いていると考えられた。免疫機能については16名においてCD4,CD8,CD56,NKCCを測定した。被災3カ月後の調査では,16名中3名(19%)のNK細胞活性が正常の-2SD以下であった。これは-2SD以下の度数が約2.5%であることを考えると,7.5倍と高値であった。一方,CD4,CD8,CD56は増加する傾向がみられ,CD8およびCD56は不安の強い者で高値を示した。PTSDと細胞性免疫能の関連については否定的であった。しかし,NKCCの低下していた3名にNKCCの結果に基づいて個人面接をすると,災害発生後フラッシュバック体験をしていたことや雨音に敏感になって不眠であったことなどと語るようになった。フォローアップした結果では,CD8およびCD56は減少することが示されたが,対象者数が少なく決定的なことは言えないと考えられた。