著者
雨宮 智浩 青山 一真 池井 寧 廣瀬 通孝
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2021-04-05

現在の遠隔ビデオ会議システムでは身体運動の伝達に課題があることが明らかになってきた.本研究の目的は,中枢から筋への運動指令なしで,感覚間相互作用により身体に関する潜在的知識(身体図式)を更新させ,実際の身体運動で生じる感覚情報とのゲイン調整を適切に行うことによって擬似的な身体移動体験を創出する手法の確立と適用限界の検証である.多様な身体移動体験を多様な利用者に対して安定して提供するため,(A)自然な擬似移動体験を成立させる多感覚統合のために必要な感覚情報のゲイン調整手法, (B)身体錯覚による身体移動体験の拡張条件, (C)多様な身体移動体験の創出手法の有用性と適用限界を明らかにする.
著者
森田 幸雄
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.105-111, 2018-09-30 (Released:2018-10-06)
参考文献数
15
被引用文献数
3 2
著者
石賀 信史 岩本 伸二 庄 達夫 石原 清宏 酒井 邦彦 岩藤 真治 山本 泰久
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.108-112, 1990 (Released:2009-10-16)
参考文献数
18
被引用文献数
2

大腸内視鏡で虫体を確認した大腸アニサキス症の1例を経験したので報告する.患者は48歳男性, 1988年11月13日夕食時にサバ寿司を食したが, その2日後より右下腹部痛を訴えて来院した。右下腹部に強い圧痛と筋性防御を認めるが腹部腫瘤は触知しなかった.血液検査では9800/mm3と白血球数の増加を認めたが好酸球数は正常範囲内であった.腹部超音波検査で盲腸から上行結腸にかけての粘膜下層の著明な浮腫を認めた.以上より大腸アニサキス症がもっとも疑われ大腸内視鏡を施行した.大腸内視鏡では発赤, 浮腫著明な上行結腸粘膜に刺入したアニサキス虫体を確認し, 鉗子にてこれを摘出した.その後症状は速やかに改善し5日後に軽快退院の運びとなった.
著者
星野 敢 永田 松夫 渡辺 一男 山本 宏 田崎 健太郎 渡辺 敏
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.63, no.11, pp.2668-2673, 2002-11-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
24
被引用文献数
2 1

症例は50歳,女性.心窩部不快感,黒色便出現にて近医受診となった, 1998年8月11日上部消化管内視鏡検査施行され,易出血性の腫瘍を認めたため,同8月14日精査加療目的にて当科紹介入院となった.上部消化管造影検査・内視鏡検査にて,胃穹窿部後壁に基部を有する腫瘤性病変が,幽門輪を越えて十二指腸球部に脱出しており,腫瘤は体外からの圧迫により胃内に容易に還納された.また前庭部後壁にO-IIc病変を認めた.生検の結果はそれぞれ,過形成性ポリープ(group II)と,低分化腺癌であったため, 1998年8月27日,幽門側胃切除術およびポリープ切除術を施行した. 胃内の腫瘤が十二指腸に脱出する報告は多数認めるが,自験例のように胃の上部に発生した腫瘤が十二指腸に脱出することは比較的稀であり,若干の文献的考察を加えて報告した.
著者
稲垣 宏樹 杉山 美香 井藤 佳恵 佐久間 尚子 宇良 千秋 宮前 史子 岡村 毅 粟田 主一
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.459-472, 2022-06-15 (Released:2022-06-15)
参考文献数
37

目的 要介護状態や認知症への移行リスクは,心身の健康状態に加え,社会・対人関係といった社会的な健康状態もあわせて評価することでより適切に予測できると考えられる。本研究では,要介護未認定の地域在住高齢者を対象に身体・精神・社会的機能を包括的かつ簡便に評価できる項目を選定し,それらが将来的な要介護状態や認知症への移行を予測できるか検討した。方法 2011年時点で東京都A区に在住の要介護未認定高齢者4,439人を対象に自記式郵送調査を実施した。既存尺度を参考に選択された54個の候補項目から通過率や因子分析により評価項目を決定した。2014年時の要介護認定(要支援1以上),認知症高齢者の日常生活自立度(自立度Ⅰ以上)を外的基準としたROC分析により選定項目の合計得点のカットオフ値を推計した。次に,合計得点のカットオフ値,下位領域の得点を説明変数,2014年時の要介護認定,認知症自立度判定を目的変数とする二項ロジスティック回帰分析により予測妥当性を検討した。結果 2011年調査で54個の候補項目に欠損のなかった1,810人を対象とした因子分析により,5領域(精神的健康,歩行機能,生活機能,認知機能,ソーシャルサポート)24項目を選択した。ROC分析の結果,合計得点のカットオフ値は20/21点と推定された(要介護認定AUC 0.75,感度0.77,特異度0.56;認知症自立度判定では0.75,0.79,0.55)。二項ロジスティック分析の結果,2011年時点の合計得点がカットオフ値(20点)以下の場合3年後(2014年)の要介護認定または認知症自立度判定で支障ありの比率が有意に高く(それぞれ,オッズ比2.57,95%CI 1.69~3.92;オッズ比3.12,95%CI 1.83~5.32,ともにP<0.01),下位領域では要介護認定は精神的健康,歩行機能,生活機能と,認知症自立度判定は歩行機能,認知機能と有意な関連を示した。結論 本研究で選択された項目は3年後の要介護・認知症状態への移行の予測に有用であると考えられた。とくに認知症状態への移行の予測能が高かった。下位領域では,身体・精神機能との関連が示唆されたが,社会的機能との関連は示されなかった。
著者
畠山健 閲
出版者
郁文舎
巻号頁・発行日
1908
著者
中山 和弘
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.172-180, 2022-05-31 (Released:2022-06-10)
参考文献数
36

COVID-19パンデミックは,虚偽や誤解を招くような情報を含めた情報が氾濫するインフォデミックを引き起こし,健康情報を入手,理解し,評価して活用できるヘルスリテラシーにさらに注目が集まった.ヘルスリテラシーは,COVID-19に適切に対応できる効果を持つかについて世界中で研究が開始され,それがCOVID-19に関する知識や行動と関連していたと指摘されている.パンデミックでは,政府や市民がすぐに行動を起こす必要があるため,ヘルスリテラシーの向上に時間をかけることは難しく,緊急の対応と封じ込めが求められる事態に個人や社会が備えるために育成しておくことが重要である.特にCOVID-19に対して適切に対処できるには,ヘルスリテラシーだけでは十分ではなく,政治社会経済的な側面を含めた新しく不確実で頻繁に変化する情報の信頼性を適切に評価して意思決定できるスキルが問われる.また,ヘルスリテラシーの新たな側面としてソーシャルメディアの普及を伴うデジタル化の便益とリスクを,グルーバルで政治的な側面から検討することが必要だとされている.パンデミック対応に必要な連帯や社会的責任を理解する力,健康に悪影響を及ぼす社会的・経済的な構造やプロセスを変化させるコミュニティの能力を向上させるよう政府などに求める力(社会的ワクチンとも呼ばれる),すなわち政治・社会を変える批判的ヘルスリテラシーが求められる.
著者
石島恵太郎 高橋知音
雑誌
日本教育心理学会第57回総会
巻号頁・発行日
2015-08-07

問題と目的 数唱は臨床現場で頻繁に使われる認知機能検査課題であり,ワーキングメモリを測定するとされている。しかし,数唱を構成する順唱と逆唱のそれぞれの検査がどのような認知機能を測っているのかについて,ワーキングメモリ理論に基づいた見解が,知能検査の理論・解釈マニュアルには示されてはいない。 順唱が音韻ループの機能を反映しているのに対し,逆唱では,視空間スケッチパッドの機能を反映しているという考え方がある(St Clair-Thompson & Allen, 2013)。逆唱において,構音リハーサルだけでは数字を逆の順番で再生するのは難しい。効率的に数字を並び替えるために,数字の視覚イメージが使用されていると考えられている。この仮説を踏まえると,刺激の提示モダリティを変えると,順唱,逆唱において使用される認知機能の差が顕著になると考えられる。たとえば,視覚提示の課題は,視覚処理を促すと考えられる。 本研究では,提示モダリティの影響を個人差の要因も含めて検討することで,順唱で主に音韻処理,逆唱では音韻処理に加えて視覚処理が行われている,という視覚イメージ仮説を検証することを目的とする。実験1 方法 参加者 大学生30名(男性15名,女性15名)が参加した。平均年齢は21.8歳(SD=1.8)であった。 手続き 2(モダリティ)×2(再生方向)の被験者内計画であった。順唱,逆唱の順に実施され,提示モダリティの実施順はカウンターバランスされた。順唱は数字3個,逆唱は2個から開始し,参加者が正答すると数字系列の長さは1増加し,同じ長さの数字系列に2連続で失敗した場合,系列の長さを1減少させた。1つの条件では10試行,全条件で40試行を行った。 採点方法 それぞれの長さの数字リストでの正答率を算出し,順唱では2.5,逆唱では1.5を足して得点とした。結果と考察 課題得点に対して因子分析を行い(主因子法, バリマクス回転),2因子を抽出した(Table 1)。音韻的処理と相性の良い二つの順唱課題と聴覚提示された逆唱課題の得点への負荷量が高いことから因子1は音韻処理を反映していると考えられる。成人を対象にした研究では,逆唱における視覚イメージの使用は効率的な方略であることが示唆されている(St Clair-Thompson & Allen, 2013)。イメージ方略と相性が良い2つの逆唱課題において負荷量が高い因子2は視覚処理を反映していると考えられる。以上から,それぞれの因子を音韻処理因子,視覚処理因子と命名する。実験2 目的 因子負荷の差が顕著な視覚提示順唱と視覚提示逆唱での視覚妨害の影響の程度から,因子2が視覚処理を反映するかどうかを検討する。第1実験で得られたデータから視覚処理因子の因子得点が0以上を高群,0未満を低群とする。視覚処理因子の高い高群では,逆唱において視覚妨害の影響を強く受けるはずである。方法 参加者 第1実験に参加した実験協力者24名(男性13名,女性11名)が再び参加した。 材料 視覚妨害刺激として,Quinn & McConnel (1996)によって開発されたダイナミック・ビジュアル・ノイズ(以下,DVN)を使用した。 手続き 再生段階にDVNが提示される以外は,第1実験の視覚提示条件と同様であった。結果 因子得点高低を被験者間要因,視覚妨害有無と再生方向を被験者内要因とする3要因分散分析を行った。 分析の結果2次の交互作用が有意だった(F (1, 22)=8.31, MSE= 0.54, p=.01, ηp2=.27)。単純交互作用検定を行ったところ,視覚妨害なしにおける因子得点×再生方向の交互作用が有意だった(F(1, 22)=16.53, p=.00)。単純・単純主効果は,因子得点高群の順唱,低群の順唱,因低群の逆唱において,それぞれで有意に視覚妨害ありの方が高かった(F (1, 22)=14.19, p=.00,ηp2=.392;F (1, 22)=6.44, p=.02, ηp2=.23;F (1, 22)=6.93, p=.02, ηp2=.24)(Figure 1)。一方,因子得点高群の逆唱においては有意ではなかった(F (1, 22)=1.02, p=.32, ηp2=.04)。妨害ありにおいてはこの交互作用は有意でなかった(F (1, 22)=0.04, ,p=.84)。考察 課題得点に関して視覚処理低群では順唱,逆唱ともに視覚妨害条件では得点が有意に高くなっていた。一方,視覚処理高群では順唱のみ有意に得点が高くなっており,逆唱では差は認められなかった。視覚妨害ありにおける成績向上は,あり条件が全てなし条件の後に実施されたために,実験参加者が課題の手続きや遂行に慣れたことが考えられる。しかし,視覚処理高群における逆唱課題では向上せず,DVNによって視覚処理が妨害されたことが示唆された。因子2が視空間スケッチパッドの機能を反映していることが示唆された。
著者
稲村 雄 本郷節之
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.1823-1832, 2004-08-15

SSL,SSH,IPSec等のいわゆるセキュアプロトコルを利用することにより,インターネット等の公衆ネットワークを介してプライバシ保護の必要な情報を安全にやりとりすることは,現在では十分現実的なオプションとなっている.しかし,そのようなネットワークの末端となる個々の計算機の内部実行環境を見ると,プライバシを要するデータの機密性/完全性を保護する機構はほとんど用意されていない.そのため,今後はこの内部実行環境に存在する脆弱性を突いた形でプライバシ情報を含む機密データを奪取するという形の攻撃に対する防御が重要性を増すと考えられる.本稿ではそのような計算機内部の実行環境を改善するための一方式として,暗号コプロセッサ等を持たない一般的な計算機ハードウェア(H/W)およびソフトウェア(S/W)で実装可能な“暗号化メモリシステム”なる手法を提案する.
著者
岡田 裕樹 日詰 正文
出版者
独立行政法人 国立重度知的障害者総合施設のぞみの園
雑誌
国立のぞみの園紀要 (ISSN:24350494)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.12-17, 2021 (Released:2021-09-16)
参考文献数
19

本研究では,障害者の高齢化,とりわけ高齢知的障害者について,「認知症」や「身体面の機能低下」,「ダウン症」,「ターミナル」が該当する先行研究を把握するための文献調査を実施した.「J-stage」,「CiNii」の論文検索データベースを活用した先行研究調査を行った結果,①高齢知的障害者は身体機能の早期の低下や罹患する疾病の多さが指摘されており,その背景要因として,食事習慣や運動習慣などの潜在的な要因が関与しており,本人及び周囲が心身の状態の変化に気づかず対応が手遅れになりやすい状況があること,②高齢知的障害者の「認知症」や「ターミナルケア」については,当事者や家族との早期からの情報交換や職員の心理的ケアの必要性などが把握できた.

1 0 0 0 近代将棋

出版者
近代将棋
巻号頁・発行日
vol.1, no.6, 1950-09