著者
松井 大輔 窪田 亜矢
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.77, no.680, pp.2407-2414, 2012-10-30 (Released:2013-04-25)
参考文献数
31
被引用文献数
4 9

The traditional townscape of Kagurazaka-KAGAI is appraised by citizens and tourists, whereas the structure of this townscape is not yet clarified. This paper clarified following three points.1. Prewar Kagurazaka-KAGAI provided more mysterious townscape for visitors than present condition because there are more complex network of alleys and taller buildings.2. The townscape, which has been rebuilt after the war, underwent big change. But some elements of prewar building design are inherited in KAGAI's buildings. Moreover, many ordinary buildings modeled after KAGAI's buildings in Kagurazaka-KAGAI.3. We need more consideration how to control a design of buildings out of Kagurazaka-KAGAI.
著者
山本 忠
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要. 家政・自然編, 人文・社会編 = Journal of Nagoya women's University (ISSN:21857962)
巻号頁・発行日
no.67, pp.133-145, 2021-03-10

昭和45年告示学習指導要領の高等学校数学ⅡBにおける「平面幾何の公理的構成」は、数学教育現代化の潮流の基に作成されたものである。数学教育現代化のねらいの一つは、現代数学の考え方を初等・中等教育に導入することであった。したがって、教科書や参考書は現代数学的な公理的構成を取り入れた。その結果、当時の実践記録によれば受容困難な場合が多くあった。たとえば「わかりきったことをなぜ証明しなくてはいけないのか」、「教科書と参考書では公理が異なっているので心配」など、生徒の反応は否定的なものが多かった。そこで、教科書、参考書の公理の異同、表現の異同、多様性、合同の公理の扱い方などの項目を設定して、当時使用された教科書、参考書の記述を数量化Ⅲ類の手法で分析した。結果は各教材によるばらつきは大きいことが裏付けられた。そして各教科書は比較的類似性があったものの、教科書と参考書の距離は遠いものがあり、当時指摘されていた生徒の不安も裏付けられた。
著者
横山 雅子 堀 進悟 青木 克憲 藤島 清太郎 木村 裕之 鈴木 昌 相川 直樹
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.11, pp.711-717, 2002-11-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
17
被引用文献数
6 5

目的:救急外来患者におけるアルコール性ケトアシドーシス(AKA)とアルコール性ケトーシス(AK)の実態を把握することを目的に,救急搬送されたアルコール関連患者のケトン体検索を積極的に行い,AKAとAKの実態を前向き(prospective)に調査し,さらに後ろ向き(retrospective)にもAKAのデータ解析を行った。対象と方法:研究1) 1999年11月から2000年1月までに慶應義塾大学病院救急部に搬送された患者のうち,すべてのアルコール関連疾患において,血液ガス分析,血中ケトン体分画の測定,尿ケトン体検査を行った。研究2) 1988年8月から1999年12月に搬送された全患者のデータベースより,飲酒に関連した患者と大酒家を抽出し,血中ケトン体の上昇または尿中ケトン体陽性を確認し得たアシドーシス症例(pH 7.35未満)をAKAとして,その臨床像を検討した。結果:研究1) 3か月の調査期間のアルコール関連疾患の数は,救急搬送患者940人のうち16人であり,AKAは2人であった。AKを5人に認めた。ケトン体比の低下は75%で認めた。研究2)搬送患者27,952人中,飲酒に関連した患者と大酒家として登録されていた患者は210人であり,このうちAKAは9人であった。研究1)と2)を合わせたAKAの臨床像は,全例男性,主訴は意識障害が多く,低体温4人(36%),低血糖8人(73%)であった。尿ケトン体検査は,血中ケトン体上昇で診断されたAKA 9人のうち55%で陰性,11%で±であった。ケトン体比は全例で著明に低下していた。結語:救急搬送患者においてAKAとAKは,アルコール関連患者の43%と著しく高頻度で認められた。AKAは意識障害,低体温,低血糖,ケトン体比の低下を随伴し,大酒家突然死症候群の病態と多くの共通点がみられた。AKAでは尿ケトン体検査の偽陰性が多く,大酒家のアシドーシスでは救急医はAKAとAKを念頭に診察に当たるべきである。
著者
久保 武 坂田 義治
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 補冊 (ISSN:09121870)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.Supplement41, pp.60-66, 1991-02-05 (Released:2012-11-27)
参考文献数
30
被引用文献数
1 1

Positional alcohol nystagmus (PAN), alcoholic gaze nystagmus (AGN), trunkal ataxia and other oculomotor abnormalities are well-known behavioral changes that follow alcohol ingestion. This paper reviews previous work concerned with these alcohol-induced behavioral changes, including our recent work. We cofirmed that PAN could be elicited by even low blood alcohol concentrations (BAC was 0.02%) and two different types of the form were observed to arise chronologically (PAN I and PAN II). Moreover, a significant linear relationship was found between the intensity of PAN and BAC. When trunkal ataxia was measured with a stabilometer, the circumscribed area of body sway showed the closest correlation with BAC. Other analyses of body sway failed to find any characteristic features of alcohol-induced trunkal ataxia.
著者
武内 重五郎 奥平 雅彦 高田 昭 太田 康幸 藤沢 洌 伊藤 進 辻井 正 蓮村 靖
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.76, no.11, pp.2178-2185, 1979-11-05 (Released:2007-12-26)
参考文献数
19
被引用文献数
20

わが国の肝疾患の病態の特徴を反映し,臨床的に広く使用できるようなアルコール性肝疾患(脂肪肝,肝炎,肝硬変,および肝障害)の診断基準案を提示した.次いで,近年のわが国におけるアルコール性肝疾患の実態を把握する目的で,1968年から1977年までの10年間を調査対象に,この基準に合致した症例を全国の病院内科94施設からアンケート方式によつて集め解析した.その結果,肝疾患による入院患者のすべての症例のうち,アルコール性肝疾患症例の占める割合が1968年の5.1%から1977年10.7%へと直線的に有意に増加したこと,さらに肝硬変の入院症例のうちアルコール性肝硬変の占める割合も有意な増加をみた結果,1977年には16.9%であつたことが判明した.この成績は,わが国でもアルコールに起因した肝疾患に充分注目する必要があることを示している.
著者
Yoshiki Murakami Masaya Shinohara Yosuke Oka Ryo Wada Ryota Noike Hiroshi Ohara Tadashi Fujino Takanori Ikeda
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
Internal Medicine (ISSN:09182918)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.501-505, 2022-02-15 (Released:2022-02-15)
参考文献数
14
被引用文献数
11

COVID-19 vaccine-related myocarditis has been reported worldwide. We herein report two Japanese cases with suspected vaccine-related myocarditis. A 27-year-old man was admitted with chest pain 4 days after the second vaccination. An electrocardiogram (ECG) did not reveal any significant abnormalities. The second patient, a 37-year-old man, was admitted with chest pain 9 days after the first vaccination. His ECG exhibited ST-elevation in multiple leads. In both cases, cardiac magnetic resonance imaging findings were consistent with myocarditis. They recovered with symptomatic relief within a few days. These cases suggest that the benefit of COVID-19 vaccination exceeds the risk of vaccine-related myocarditis.
著者
宮田 幸一 Koichi Miyata
出版者
創価大学人文学会
雑誌
創価大学人文論集 (ISSN:09153365)
巻号頁・発行日
no.16, pp.A35-A60, 2004-03-01

To discuss some of the problems in the relationship between the teaching of nonviolence and Japanese Buddhism, we have to distinguish some levels of nonviolence. At an individual level, some people such as monks and nuns can live without using violence an
著者
池内 有為
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.170-176, 2022-05-01 (Released:2022-05-01)

データキュレーターの役割を“研究によって生み出されるデータから有用なデータを選択し,第三者が再利用できるようにFAIRデータ(見つけられる,アクセスできる,相互運用できる,再利用できるデータ)として流通させ,長期にわたって管理・保存すること”と定義して,研究データ管理サービスやデータライブラリアンとの関係を整理した。また,大学・研究図書館協会の『研究データのキュレーション』に基づいて,データキュレーションのライフサイクルに沿って実務の内容を示した。さらに,日本の現状をふまえてデータキュレーションを(1)分野専門家,(2)図書館員,(3)情報技術専門家で分担することを提案した上で,人材育成について検討した。
著者
長谷川 幸代
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.159, 2022-05-01 (Released:2022-05-01)

2022年5月号の特集テーマは,「データの価値を創出するために」です。近年,イノベーションの創出を目的として,官公庁データ,研究データ,民間データなど,あらゆるデータの利活用が推進されています。これまでの社会では,存在する膨大なデータを収集して「ビッグデータ」としてまとめることが中心となりがちでした。それが昨今は,データの収集,蓄積,管理,流通を的確かつ効果的に行い,それらを利活用して新たな価値を作り出していくことが期待されています。情報専門家であるインフォプロも,従来の資料や情報の収集と提供からさらに発展し,新たな情報資源ともいえる多様なデータを扱う機会が増えてきています。このような中で,改めて身に付けておく基礎知識や求められる能力などについて検討する必要が出てきているのではないでしょうか。今号がこの状況に際して,データ利活用の現状やスキル,人材育成等の側面から皆さまに情報を提供する機会となることを願います。本特集では,まず総論として林和弘氏から,オープンサイエンス政策と学術情報流通を中心とした研究データ利活用の国内及び海外の動向について解説し,さらに展望について述べていただきました。次に,吉武道子氏からは,主に材料科学分野を例に取り上げ,データの種類ごとにデータの利活用の現状と,利活用するために必要な処理であるデータキュレーションについての概観を論じていただきました。池内有為氏には,「データキュレーター」について定義を行い,その役割や人材育成について解説していただきました。河塚幸子氏からは,図書館で利用可能なデジタルデータを中心に現状を紹介,さらにその活用に向けて図書館がどのように対応していくべきかの役割と課題について述べていただきました。水田正弘氏には,データを活用して実社会に役立てる方法について論じていただく中で,必要となるデータに関する状況について解説し,推測統計や記述統計等についてもふれていただきました。大量かつ多種にわたるデータを蓄積していくだけでなく,そこに付加価値を付けて社会に還元していくスキルと人材がとても重要になってきます。インフォプロが直面する新たな課題も出てくると思われます。今号がそのようなことに対して,新たな知見を与える契機になれば幸いです。(会誌編集担当委員:長谷川幸代(主査),今満亨崇,中川紗央里,水野澄子)
著者
水田 正弘
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.183-186, 2022-05-01 (Released:2022-05-01)

「ビッグデータ」は,魅力的なワードであり,情報技術,特にインターネットや記憶装置の異常なまでの発展に伴い,大きな期待と注目を浴びてきた。しかし,実際にビッグデータを活用しようとすると,統計学をはじめとするデータ解析の技術がキーポイントになることが認識されてきた。すなわち,本質的なことは,「ビッグ」なデータを扱うことではなく,「データ」を活用することである。これらの活用のためには,データを扱うための考え方を整理する必要がある。本稿では,データに関係する状況,推測統計と記述統計,その発展形を含めて取り扱う。それらにより,データを活用して,実社会に役立てる方法を議論する。
著者
浜田廣介 著
出版者
童心社
巻号頁・発行日
vol.1ねん, 1965
著者
西 隆太朗
出版者
一般社団法人 日本保育学会
雑誌
保育学研究 (ISSN:13409808)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.6-17, 2015-08-31 (Released:2017-08-04)
被引用文献数
3

倉橋惣三の保育者論については,主にその理論的・概念的な検討がなされてきたが,保育者の資質が単に機械論的に身につけられるものではなく,自己を通して実現されることからは,倉橋の思想も概念のみならず具体的な過程や体験を通して理解されるべきであろう。本研究では,倉橋が保育者のアイデンティティ探求の過程を描いた小説「夏子」をもとに,物語から彼の保育者論を具体的に検討する方法を取った。保育者のアイデンティティ探求の過程において,コミットメント(主体的・全人的関与;commitment),意識を超えたインキュベーション(孵化;incubation)の過程,対象とかかわって自ら学ぶことの意義が示された。また,現代に残された課題として,保育者の省察が論じられた。
著者
大橋 慎平 今村 央 矢部 衞
出版者
一般社団法人 日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.111-116, 2013-11-05 (Released:2015-12-26)
参考文献数
23

Two specimens (131.5 and 147.0 mm in standard length) of the Gelatinous Blindfish Aphyonus gelatinosus Günther, 1878, collected from southern Japan (Kumano Sea and near the Tori Island, part of the Izu Island chain), were found among preserved specimens held by the Department of Natural Science, Faculty of Science, Kochi University, Kochi, Japan and National Museum of Nature and Science, Tsukuba, Japan. Aphyonus gelatinosus is recognizable in having only a single pelvic fin ray, high numbers of dorsal fin rays (92–118) and caudal vertebrae (46–55), few long gill rakers (3–4), and short predorsal length (26.5–30.5% SL). This species and genus is known from the Pacific Ocean, but not from the north Pacific including Japanese waters. Thus, these specimens are a new record of both the genus Aphyonus and A. gelatinosus for Japan.