著者
内田 力
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 = NIHON KENKYŪ (ISSN:24343110)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.195-213, 2018-11-30

日本中世史家の網野善彦(生没年一九二八~二〇〇四年)は、一九七〇年代ごろから新しい歴史学の潮流(「社会史」)の代表的人物として注目されるようになり、のちに「網野史学」・「網野史観」と称される独自の歴史研究のスタイルを打ち立てた人物である。かれの歴史観は、とくに大衆文化の実作者への影響が大きく、映画監督の宮崎駿や小説家の隆慶一郎、北方謙三の作品にその影響がみられる。
著者
宮本 昭彦 渡辺 重行
出版者
日本大学医学会
雑誌
日大医学雑誌 (ISSN:00290424)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.11-18, 2013-02-01 (Released:2014-11-30)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

2007 年に,宮本は,咽頭後壁を丹念に視診する事により,インフルエンザ濾胞を発見し,インフルエンザを早期に診断する事が可能である事を示した19).2009-2010 年の A/H1N1 2009 死亡者は,米国で約12,500 人に対して,日本では 198 例のみで (死亡率:約1/25),世界各国の中でも,日本での死亡率が非常に低かった.本邦の例では,発症後 12 時間以内に 3 割,24時間以内に 7 割,48 時間以内に 9 割がノイラミニダーゼ阻害薬を開始していたが,他国では 48 時間以内の同薬剤投与は 1 割である.早期診断と適切な治療の開始が生死を分けていると言える.Miyamoto らは,2009 年 8-10月の A/H1N1 2009 の 23 例について,観察者間のデータ信頼性 (κ) を示し,「インフルエンザ濾胞」 が従来の迅速検査に比べ感度・特異性も高い事を示した (第一期) 4).本稿では 2009 年 11 月から 2010 年 1 月 (第二期) のインフルエンザ患者 87 例について (第一期と第二期を合わせ110 例) 検討した.2 歳~82 歳 (17.7 ± 13.1 歳,中央値 14 歳) の患者が (発熱から受診までの時間が 1~48 時間,11.8 ± 8.4,中央値 12 時間),超急性期の 3 時間以内が16 例含まれる中で,インフルエンザの診断が可能であった.87 例中,初診日迅速検査陰性が 10 例,この内 8 例は初診から 2 日目に迅速検査が陽性となり,2 例は 3 日目に陽性となった.87 例中,初診日にインフルエンザ濾胞を認めない患者が 1 例あった.第二期の症例の中で,発熱から 3 時間以内という超早期の患者を診察するようになった結果,従来の Definitive influenza follicles よりも更に小さい微小な濾胞が観察された.インフルエンザ濾胞は,迅速検査が陰性の超急性期であってもインフルエンザの診断が可能であった. 理学的所見は,臨床検査・機器の進歩の中においても不変的に重要である.
著者
Yusuke Hibino
出版者
The Japanese Society of Systematic Zoology
雑誌
Species Diversity (ISSN:13421670)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.219-223, 2018-11-25 (Released:2018-11-25)
参考文献数
5

A new finless ophichthid eel, Apterichtus soyoae, is described based on a single specimen collected from off Tori-shima island, Zunan Islands of Izu Islands, southern Japan. The new species is similar to A. moseri and A. klazingai in its numbers of supratemporal pores, preopercular pores, and vertebrae. The new species differs from A. moseri in having more supraorbital pores (1+6 vs. 1+4), the number of branchings of the supraorbital canal (1 vs. 0), shape of the snout (distinctly pointed vs. relatively blunt), eye size (50% of snout length vs. 35–45%; 8.8% of head length vs. 6.3–8.0%), and the number of vomerine teeth (1 vs. 2–5). Apterichtus soyoae can also be distinguished from A. klazingai by the number of branchings of the supraorbital canal (1 vs. 2), the number of infraorbital pores (7 vs. 9), and the location of the lower jaw tip (anterior to a vertical through anterior margin of eye vs. posterior to the vertical). The number of supraorbital pores and branchings of the canal are discussed.
著者
大西 健美
出版者
新潟県水産海洋研究所
巻号頁・発行日
no.2, pp.15-20, 2009 (Released:2012-12-06)

新潟県沿岸域におけるアカムツの年齢と成長及び成熟と産卵期の関係を明らかにすることを目的とした。(1)緑辺成長率の経月変化から,輪紋は年一回,少なくとも12月以降7月までの間に形成されると考えられた。(2)鱗による年齢査定の結果雌雄別にBertalanffyの成長式を得た。雄;L1=38.6×(1-e-0.179(t+0.337))雌:L1=46.4×(1-e-0.153(t+0.543))(3)GSIの変化及び雌の卵巣の組織切片の観察から,本種の新潟県沿岸域における主産卵期は9月と推定された。雌が再生産に寄与するのは3齢以上であると考えられる。(4)輪紋形成時期と産卵期にずれが見られるため,満年齢時の体長にすると雄で,L1=9.1cm, L2=14.0cm, L3=18.0cm, L4=21.4cm, 雌でL1=10.7cm, L2=15.8cm, L3=20.1cm, L4=23.8cm, L5=27.0cm, L6=29.8cm, L7=32.1cm, L8=34.2cmとなった。(5)実測値から見られる1,2齢の満年齢時のモードは満年齢時の計算体長よりも小さく(L1=約8cm, L2=約13cm),鱗による査定による結果は,第1輪で反Lee現象が見られたことや小型個体サンプルの不足から若齢魚の体長を過大評価している可能性が考えられる。
著者
笹倉 秀夫
出版者
早稲田大学法学会
雑誌
早稻田法學 (ISSN:03890546)
巻号頁・発行日
vol.93, no.4, pp.225-254, 2018-07-30
著者
三上 敏夫
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.364-382, 2006-10-26 (Released:2008-12-25)
参考文献数
83
著者
小川 剛生
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田國文 (ISSN:02879204)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.1-16, 1997-03-31

はじめに一 摂関家の存在証明 : 日本紀神話と大嘗会神膳供進作法二 二条師忠と即位灌頂三 二条家の印明説と寺家即位法四 二条良基と即位灌頂(1)五 二条良基と即位灌頂(2)六 結語
著者
村澤 和多里
出版者
札幌学院大学総合研究所 = Research Institute of Sapporo Gakuin University
雑誌
札幌学院大学人文学会紀要 = Journal of the Society of Humanities
巻号頁・発行日
no.102, pp.111-135, 2017-10-30

本稿では,わが国における「ひきこもり」という概念の成立過程について,先行する問題である「不登校」との関係を中心に検討することを目的とする。「不登校」は1950年代後半に注目を集め,1980年代に入って爆発的な増加を示した。その後,1992年に文部省が不登校が「誰にでも起こり得る」という認識を示した結果,社会の不登校に対する容認的な態度が増していくが,成人期までに引き延ばされた不登校の問題が「不登校その後」として浮上していった。 1990年代後半になって,この問題は「ひきこもり」と呼ばれるようになるが,その後,疫学的調査が行われていく中で,行動上の問題として定義し直されていった。
著者
實政 勲 中田 晴彦 堺 温哉
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005 (Released:2005-04-01)

香料は古代文明発祥地のエジプトやインドにおいて紀元前から知られた存在で、美的効果やリラックス感を演出する有用物質である。ところが、近年人工香料による水質や魚類等の汚染が報告され、その生物蓄積性や環境リスクが懸念されるようになった。本研究は、人工香料による生態系およびヒトへの汚染状況とそのリスク評価を解析した。始めに有明海の海水と様々な栄養段階の海洋生物を採集・分析したところ、ほぼ全ての試料から環状型香料のHHCB(CAS#:1222-05-5)とAHTN(同:21145-77-7)が検出された。とくに、海洋生態系の高次捕食動物である海生哺乳類(イルカ)や鳥類(カモ・カモメ)から世界で初めてHHCBの蓄積を確認され、その生物濃縮係数(海水とイルカの濃度値)は12,000と比較的高値を示し。過去30年間に目本近海で採集したイルカを分析したところ、HHCB濃度は1980年代半ばから近年にかけて増加しており、香料汚染力観在も進行中であることがわかった。ヒトの脂肪および母乳を採集・分析したところ、いずれの試料からもHHCBが検出され、日本人における人工香料の汚染が初めて確認された。このことは、授乳により人工香料が母子間移行していることを示しており、化学物質に敏感な乳児への暴露リスクが懸念された。また、5種類の合成香料を対象に甲状腺ホルモンレセプターを介した細胞のアッセイを試みたところ、一部の物質がホルモン撹乱作用を有することが明らかになった。海洋生態系の高次物にまで生物濃縮され、さらに汚染の進行が窺える化学物質が見つかる例は最近では少なく、ヒトへの染拡散や乳幼児へのリスク、さらにホルモン撹乱作用の懸念を考慮すると、2003年に改正された化審法の理念を参照して一部の合成香料の製造・使用について何らかの制限を設ける時期に来ている。