著者
山口 二郎 中村 研一 宮脇 淳 宮本 太郎 遠藤 乾 新川 敏光
出版者
北海道大学
雑誌
学術創成研究費
巻号頁・発行日
2002 (Released:2002-04-01)

この研究では、1990年代後半から21世紀にかけて急速に進んだグローバル化による福祉国家の解体現象と、これに対する平等概念を基調とした対抗策について、考察した。まず、21世紀初頭に起こった日本的福祉国家の崩壊現象について、「リスクの社会化、個人化」と「普遍的政策、裁量的政策」という2つの軸を組み合わせることで、体系的な説明のモデルを作った。戦後日本では、補助金、護送船団方式など、裁量的政策によりリスクの社会化が図られており、そのことが結果的に疑似福祉国家的効果をもたらした。しかし、市場原理の浸透や透明性を求める市民社会の要求の中で裁量的政策と不可分に結びついていたリスクの社会化の政策まで否定され、新自由主義的構造改革が優勢となったと説明される。また、西欧において福祉国家のモデルが、90年代から21世紀にかけていかに変容、再生したかを比較の観点から考察し、日本に対する教訓を明らかにした。特に、イギリス、スウェーデンなどにおける社会的包摂(social inclusion)の概念を分析し、グローバル化時代における社会的排除(social exclusion)の弊害を明らかにすると共に、社会的包摂を実現するための政策の枠組みやこれを実施する主体について考察した。さらに、格差社会の到来という現状において、市民が政治や政策に何を期待するかについて、東京と北海道において大規模な意識調査を行なった。その結果、平等や公共サービスに関して、多少の地域差はあるものの、市民は格差の小さい社会を望み、充実した公共サービスを望んでいることが明らかとなった。この知見は、これからの福祉国家再生策の重要な基盤となる。
著者
田村 暢一朗 山川 達也
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.919-921, 2017-09-30 (Released:2018-02-27)
参考文献数
4

症例は62歳の男性で,職場の同僚に作業場にある工業用エアコンプレッサーを殿部にむけ噴射され受傷し,当院に来院した。エアコンプレッサーと患者の殿部との距離は約50cm離れており,患者は長ズボンと下着を着用していた。来院時頸部から前胸部にかけての皮下気腫と下腹部に反跳痛を伴う圧痛を認めた。胸腹部CTで直腸穿孔による後腹膜気腫,縦隔気腫,皮下気腫への進展と診断し,緊急開腹術を行った。開腹したところ,腹膜反転部直上から約4cm口側にわたって直腸間膜対側に腸管軸方向に漿膜筋層の裂創と,その裂創の一部に全層性の穿孔部位を認め,Hartmann手術を施行した。術後,縦隔炎や後腹膜膿瘍を形成することはなく,第23病日に退院となった。エアコンプレッサー自体を肛門に挿入せずに,患者とある程度の距離から送気されたとしても,十分に直腸損傷を生じる可能性があると考えられた。
著者
清水 圭介 椙村 憲之
出版者
山梨大学
雑誌
教育実践学研究 : 山梨大学教育学部附属教育実践研究指導センター研究紀要 (ISSN:13454161)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.101-111, 2000

近年"遊び"を動機とした未成年者による凶悪な事件があいつぎ,その増加はTV ゲームの普及率と著しく一致していることが認められており,凶悪犯罪の影にあるTV ゲームの存在は否めない。しかし,今日これほどまでに家庭に普及したTV ゲームをただ単に「犯罪の温床になるから」という理由だけで完全に抹殺してしまって良いものであろうか? 本研究は,TV ゲームが子供たちに与える心理的影響を検討しつつ,今後の課題としてTV ゲームの持つ魅力を教育あるいは心理療法へ生かす道を探る。子供のゲーム感覚には,両親のTV ゲームに対する意識がかなり大きく左右する。ゲーム自体に慣れた子供では,短時間でもかなり優れたリラクゼーション効果を示す反面,内容が残酷でゲーム設定のかなり細かい箇所まで現実性を追求したソフトでは,使用後に抑鬱感や怒り感情を高める傾向がある。また反復使用により暴力に対する感覚や感受性を麻痺させるソフトもあった。
著者
布施 明 坂 慎弥 立澤 裕樹 吉野 雄大 萩原 純 布施 理美 宮内 雅人 横田 裕行
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.19, no.6, pp.703-710, 2016-12-31 (Released:2016-12-31)
参考文献数
9

ツイッターで熱中症の共起ワードに着目し,熱中症救急搬送者数との関係を検討した。2014年6月1日から9月30日の間の,日別の熱中症救急搬送者数を集計し,「熱中症と考えられる」ツイートの114,003件を分析対象とした。搬送者数とツイート数の相関係数は0.91で強い相関があり,地域でも同様であった。共起ワードを検討すると,熱中症とは直接関係性が考えにくい単語でも相関が強い場合があることが明らかとなった。年代別での検討では50代以上で頻出する共起ワードの使用率が他の年代と比較して高かったが,性別での検討では,明らかな特徴はなかった。今回の結果は2014年,単年の分析結果であり,他年にも同様の傾向があるかについては検討する必要がある。50代以上はツイートの利用率は低いが,他の世代に比較して共起ワードの検出率が高かった。本結果をもとに,今後,SNSを用いた熱中症の予防に役立つような手法の開発が望まれる。
著者
河野 敏朗 石戸谷 淳一 遠藤 亮 佃 守
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.100, no.11, pp.899-903, 2007-11-01 (Released:2011-10-07)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

We sometimes experience infant cases leading to unexpected deaths due to foreign bodies. It is often difficult to identify the cause or foreign body invasion by asking questions directly to a child. We experienced an infant case of a chopstick passing through the soft palate, reaching the parapharyngeal space near the inner carotid artery circumference. At the first medical examination, we could not detect the tip of the chopstick, in the pharynx. Using 3-directional-CT images, we could locate the tip of the chopstick in the parapharyngeal space near the inner carotid artery circumference. Under general anesthesia, we could remove the tip of the chopstick from the parapharyngeal space near the inner carotid artery with an endoscope trans-orally.It is important to investigate positional conditions between a foreign body and the vessels in the parapharyngeal space. Images such as enhancing 3-directional-CT before the operation is useful.Furthermore, we have to be careful of the late neurosis by pencil-injury in the region and pay close attention to respiratory tract management.

141 88 1 1 OA 刺客岡田満

著者
真継雲山 著
出版者
大陸出版社
巻号頁・発行日
1920
著者
明木 茂夫
出版者
中京大学
雑誌
文化科学研究 (ISSN:09156461)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.64-40, 2003-03-10
著者
緒方妙子 大塔美咲子
出版者
九州看護福祉大学
雑誌
九州看護福祉大学紀要 (ISSN:13447505)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.57-65, 2013-03

本研究は大学生の月経前症候群(PMS)と日常生活習慣、及び症状出現時の対処としてセルフケアしていることの実態を明らかにし、その関連性を探ることを目的としている。PMS症状に関しては、PMSメモリーリスト52項目1)の結果を、似通った症状2)をまとめて身体・精神・社会的症状それぞれ10項目とし、症状の程度別に示して分析した。統計解析は、単純集計による分析、及び相関に関しては、ソフトSPSS statistics19を用いて、Pearson の両側有意差検定を行った。看護学科女子大学生(1・4年生)212名を対象に質問紙調査を行った結果、以下のことが明らかになった。1.月経前症候群の認知度は4年生69.6%、1年生18.6%であり、学年差が表れていた。2.月経周期が規則的な有効回答者162名中、月経前に何らかの症状が現れる者は97.0%に及んだが、その内PMSを知らない者は56.7%であった。3.日常生活に影響があるPMS症状を持つ者は61.7%、症状が激しい者は30.2%であった。主な身体的症状は「眠くなる」、「下腹痛、腰痛」、「食欲の変化、下痢、便秘」、「ニキビ、肌荒れ」、「疲れ易い」、「頭痛、肩こり、冷え」、精神症状では「イライラする」、「無気力・憂鬱」、「集中できない」、社会的症状では「物事を面倒くさく感じる」、「-人でいたい」などであった。4.日常生活習慣の「運動」、「朝食の摂取」、「良好な睡眠」、「気分転換」は、PMS精神症状と有意な関連がみられた為、日常生活でのこの点での配慮がPMS精神症状軽減に有用であることが示唆された。5.日常生活に影響するPMS症状を持つ者で、セルフケア実践者は87%であり、その主な内容は、「十分な睡眠」、「気分転換」、「周りに"月経前"と言う」、「お腹・腰を温める」であった。この中で幅広い症状に最も多く適用されていたのは「十分な睡眠をとる(60.9%)」であった。

71 71 71 0 OA 量子群の結晶化

著者
柏原 正樹
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.330-342, 1992-11-16 (Released:2008-12-25)
参考文献数
18
被引用文献数
2
著者
増田 俊夫 早見 崇 中條 大志 Hayami Takashi 中條 大志 Nakajo Hiroshi 原 道寛 Hara Michihiro 佐藤 潤一 Sato Junichi 寺本 好邦 Teramoto Yoshikuni 西尾 嘉之 Nishio Yoshiyuki
出版者
福井工業大学
雑誌
福井工業大学研究紀要 Memoirs of Fukui University of Technology (ISSN:18844456)
巻号頁・発行日
no.43, pp.284-292, 2013

Ethy1cellulose (EC) exhibits interesting behavior in the formation of liquid crystals. Early observations indicated that most cellulosics formed right-handed cholesteric structure. However, EC in chloroform and acetic acid (AA) solutions took left-handed cholesteric liquid crystals, whereas EC in dichloroacetic acid (DCA) solution had right-handed ones. In the present study, (phenylacetyl)ethylcellulose (PA-EC) was prepared by the reaction of phenylacetyl chloride with EC having a degree of ethyl substitution (DSEt) of 2.26 in N,N-dimethylacetamide solution using triethylamine as proton scavenger. Reactions were usually carried out at room temperature for one week, which provided a variety of phenylacetyl contents (degree of substitution of phenylacetyl (DSPa) = 0.02, 0.11, 0.32, and 0.43). The chloroform and AA solutions of PA-EC with DSPa = 0.32 displayed a right-handed cholesteric liquid crystalline phase, while the DCA solution showed a left-handed one.