著者
岡本 一弘
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.251-252, 1997-03-12

GUI環境が一般化する中で、データ入力環境についても様々な改善がなされている。しかし、従来の入力支援はアプリケーションに組み込みのものが主であり、アプリケーションプログラムに独立に使用されているのは日本語入力のためのかな漢字変換のような限られた例しかない。汎用的なGUI環境を提供しようという試みとしては、登内らによる、GUI部品をさらに細かい機能部品に分け、カスタマイズを可能にする方法がある[1]。これは、GUIが提供すべき機能構造のアプリケーションへの依存性に着目した方法であるが、結局は各アプリケーションについて個別にGUIを構築する必要がある。この問題はGUI環境が提供すべき機能がアプリケーション、特にそのアプリケーションが処理するデータの性質や内容に依存していることに起因している。つまり、各アプリケーションに対する入力支援の実現はその中で扱うデータの性質や内容をあらかじめ知らないと難しい。ここではプロセス間通信機能を用いてアプリケーションの扱うデータに関する情報を取得し、それを用いてアプリケーションに独立に入力支援を行う方式を提案する。さらに、この方式を実現する場合の問題点について検討する。
著者
関谷 勇司 長 健二朗 加藤 朗 村井 純
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.87, no.10, pp.1542-1551, 2004-10-01

DNSはインターネットの基盤サービスである.しかし,DNSのサービス状況を測定するための手法はまだ確立されていない.そこで本研究では,インターネットにおける名前解決システムであるDNSのパフォーマンスを測定並びに評価するための手法を確立する.本研究にて提案する手法は,世界各地において手軽に実施できる測定手法であり,どのようなDNSサーバ,若しくはDNSサーバ群に対しても行える手法である.本手法では,dnsprobeというツールとダイヤルアップを用いて手軽に測定を行い,基準DNSサーバを用いることによって,測定結果を補正することが可能である.これによって,世界各地からの測定結果を,補正して一律に比較することが可能となる.今回は,この手法を用いて,ルートDNSサーバヘの到達性を27地点から測定する.この結果によって,現在のルートDNSサーバヘの世界の各地点からの到達性と傾向をつかむことができる.本研究の手法を利用することにより,DNSサービスの公平性を判定したり,新たにDNSサーバを設置する場合の設置場所決定に関する一助とすることができる.
著者
力武 健次 中尾 康二 野川 裕記 下條 真司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.18, pp.179-184, 2003-02-27

DNS (ドメイン名システム)にはトランスポート層にインターネット全体のセキュリティを弱めかねない基本的な欠点がある。DNS データベースのトランザクションは大部分がUDP 上でなされており、サービス拒否攻撃に対してシステム全体が影響を受けやすい。本論文では公開されたインターネットゲートウェイシステムにおいて、UDP によるDNS サービスの提供のリスクについて論じる。その代案として、DNS のトランスポート層へのT/TCP (トランザクショナルTCP )の導入を提案し、実装実験による評価を通じて、T/TCPがパフォーマンスの損失を抑えつつ、DNS トラフィックの制御をより容易にすることを示す。The DNS (Domain Name System) has a fundamental weakness on the transport layer, which may affect the overall security of the Internet. The DNS database transaction is mostly performed over UDP, which makes the whole system susceptible to denial-of-service attacks. In this paper, we first discuss the risk of providing DNS service through UDP access on publicly-exposed Internet gateway systems. We then propose introducing T/TCP (Transactional TCP) to the DNS transport layer as an alternative. We evaluate an experimental implementation and show how T/TCP is effective to improve the controllability of the DNS traffic while the performance degradation is minimal.
著者
力武 健次 中尾 康二 野川 裕記 下條 真司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.18, pp.179-184, 2003-02-27

DNS (ドメイン名システム)にはトランスポート層にインターネット全体のセキュリティを弱めかねない基本的な欠点がある。DNS データベースのトランザクションは大部分がUDP 上でなされており、サービス拒否攻撃に対してシステム全体が影響を受けやすい。本論文では公開されたインターネットゲートウェイシステムにおいて、UDP によるDNS サービスの提供のリスクについて論じる。その代案として、DNS のトランスポート層へのT/TCP (トランザクショナルTCP )の導入を提案し、実装実験による評価を通じて、T/TCPがパフォーマンスの損失を抑えつつ、DNS トラフィックの制御をより容易にすることを示す。The DNS (Domain Name System) has a fundamental weakness on the transport layer, which may affect the overall security of the Internet. The DNS database transaction is mostly performed over UDP, which makes the whole system susceptible to denial-of-service attacks. In this paper, we first discuss the risk of providing DNS service through UDP access on publicly-exposed Internet gateway systems. We then propose introducing T/TCP (Transactional TCP) to the DNS transport layer as an alternative. We evaluate an experimental implementation and show how T/TCP is effective to improve the controllability of the DNS traffic while the performance degradation is minimal.
著者
久保田 康司
出版者
関西学院大学
雑誌
マネジメント・レビュー
巻号頁・発行日
vol.10, pp.99-119, 2004-12-24

本論文ではこれまで研究対象として取扱われてこなかった、テーマパークを対象にした価格プロモーションの影響を取扱った。テーマパーク事業の場合、割引によって来場促進をはかるのは容易であるが、その反面消費者は割引価格に慣れてしまうため、通常価格では来場しなくなるというリスクと向き合っている。そこで価格感度測定法により、消費者の内的参照価格を測定し価格プロモーションによってどのような影響が出たかを明らかにする。アンケート調査の結果、一定期間に何回でも来場できる年間パスタイプのチケットを割引した場合、その後同様のリピートを目的としたチケットに対する内的参照価格は下がるという結果を実証した。
著者
小川 史世
出版者
一般社団法人照明学会
雑誌
照明学会誌 (ISSN:00192341)
巻号頁・発行日
vol.92, no.7, pp.341-342, 2008-06-25

川越一番街は,西武新宿線本川越駅から北へ約1km,札の辻(元町)と仲町を結ぶ南北約420mにわたる商店街である.重厚な蔵造りの建物が並び,江戸時代の趣をそのまま残す町並みは,国の重要伝統的建造群保存地区にも指定され「小江戸・川越」の風情豊かな魅力を今に伝えている.2007年5月に,商店街を通る県道の歩道部分で石畳の整備が実施されたことに伴い,老朽化した街路灯を一新した.建物や歩道を柔らかに照らす工夫とともに,蔵造りの街並みを邪魔しない,自らを主張しない街路灯デザインが評価され,「彩の国景観賞2007」(埼玉県主催)を受賞している.
著者
本郷 節之 乾 敏郎 川人 光男
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.14, no.54, pp.1-6, 1990-10-23
被引用文献数
3

Illusions sometimes give us the keys to understand the mechanisms of the visual information processing. But, the mechanisms of the brightness illusions, for example the Mach band of the Craik-O'Brien effect, are not clear yet. In this paper, the role of the filling-in process on the brightness perception is explained. Its computational theory is discussed. And a neural network model of the filling-in process on the brightness perception is constructed based on the computational theory. Some properties of the Mach band and the Craik-O'Brien effect are simulated with the model, and its behavior is similar to some psychological experiment results.
著者
小倉 明夫 前田 富美恵 宮井 明 本郷 隆治
出版者
公益社団法人日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術學會雜誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.60, no.11, pp.1543-1549, 2004-11-20
被引用文献数
14

The contrast-to-noise ratio (CNR.) is often used to evaluate magnetic resonance images, because it has two components, contrast and SNR, and indicates the detectability of clinical lesions. Two methods (using a phantom and using clinical images) are employed to measure CNR. In addition, there are some methods of measurement that use clinical images. In this report, the accuracy of measurement and correlation for signal detectability were evaluated in four methods of measuring CNR using clinical images. The results indicated that the inter-tissue method using an air signal provided good accuracy and was consistent with signal detectability using observer performance. In addition, a small region of interest (ROI) was better suited as the target for CNR measurement using clinical images.
著者
陸 暁光
出版者
神戸大学
雑誌
国際文化学研究 : 神戸大学国際文化学部紀要 (ISSN:13405217)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.107-130, 2006-01

日本で「超人気」と言われている村上春樹の「ノルウェイの森」は、90年代以来、中国でも「村上熱」というブームになっている。googleで調べると、同小説の標題は、中国のページで日本より数倍大きな「森」になっている。同小説が中国に対しても意味深い「森」であると見られる。なぜ中国でも「森」のブームになっているのか、その意味は何か。今まで中国学界ではいろいろな説が出ていたが、「性愛」と言う話題がほとんど避けられてきた。同小説が「100%の恋愛小説」とよく言われているように、「性愛」と言う話題につかなければ「森」に隠されている魅力と意味とは解明し難いのである。中国学校教育では性科学に関する知識が数十年来ほとんどゼロで、一番使われている中国語辞書にも性関係語彙は日本語辞書と比べて極少ない。同小説には性知識が多いし、しかも文学的な表現で現されている。青少年にとって性知識を紹介する教科書らしいものとも言えば、このブームの要因のひとつであろう。性愛と言うことは時代によってその観念とルールが変化しているらしい。特に消費時代において、これをどう考えべきか、どうあることが人間に相応しいのか、今の中国社会にも簡単な問題ではないようである。「森」にその新しい問題が率宜でしかも多岐にわたって議論されているから、特に中国の消費能力ある男性と女性との間で魅力がもたている原因があると思われるか。150年前のマルクスは「完全な人間」と言う言葉をよく使っていた。「森」には「不完全な人間」という言葉が偶然ではなく多箇所に見え、自殺した少女主人公の悲劇な運命を解明するキーワードとも言える(どこまで「不完全」か、なぜ「不完全」になったか)。マルクスが関心の対象としていた社会問題は性愛を主とするものではないが、「森」が主題としている問題は主に性愛である。してみれば、「森」は消費資本主義における新人間の難題を物語としていると言えよう。
著者
工藤 絵理子 片岡 真
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.51, no.7, pp.480-498, 2008
被引用文献数
2 4

「Web 2.0」の概念が主流になりつつある現在,図書館の世界でも,ビジュアル化,情報の表紙イメージや内容情報によって情報を強化した「次世代OPAC」が注目を集めている。スペルチェック/サジェスト機能,絞り込み検索,適合度によるソート,利用者参加型機能,統合検索機能などを備えたシステムが注目され,世界各国で開発・運用され始めている。本稿では,まず現在一般的な大学図書館で導入されているOPACの現状を述べ,次に海外での導入事例をもとに,次世代OPACの特徴を具体的に説明する。さらに,現在開発されている主な次世代OPACシステムについてレビューを行う。最後に,これらのシステムを日本の大学図書館で導入する際の課題と,課題解決に向けたいくつかの方法を提示する。<br>
著者
岩田 重雄
出版者
一般社団法人日本計量史学会
雑誌
計量史研究 (ISSN:02867214)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.91-108, 1996-12-30
被引用文献数
3
著者
須佐美 和弘 相馬 健志 平山 郁夫 仁木 輝記 石橋 弘義
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.319-320, 1992-09-28

我々が開発した「画像電子メール/掲示板システム」にはメール、掲示板、ファクシミリの3種類の機能がある。本稿では、掲示板機能の特徴と実現方式について述べる。
著者
山口 邦久 岡 夏生 井崎 博文 高橋 正幸 福森 知治 金山 博臣 菅 政治
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.493-496, 2008-07
被引用文献数
1

31歳男。腎不全末期の状態で緊急入院し, 同日血液透析導入となり, 腎生検よりnephrosclerosisであった。約8ヵ月後に父をドナーとする生体腎移植を施行し, 急性尿細管壊死は認めず, 血流直後より初尿を認め, 免疫抑制剤に拒絶反応もなく経過した。術後3週間頃より10000ml前後の1日尿量が続き, 体重減少, 皮膚乾燥, 血清クレアチニン値の上昇を認め, 尿崩症を疑った。MRIでは下垂体の形態異常は認めず, T1強調画像で下垂体後葉の高信号は保たれ, 尿検査で低張尿は認めなかった。高濃度食塩水テストを施行してのバソプレシン分泌の変化の検討では, 血漿浸透圧は上昇したが血漿バソプレシン濃度の上昇は鈍く, 正常バソプレシン分泌範囲を下回り, 不完全型中枢性尿崩症と診断した。デスモプレシン点鼻の開始により尿量は減少し, 体重, 血清クレアニチン値も安定した。現在もデスモプレシンの点鼻投与を継続し, 経過順調であった。A 31-year-old man was sent to hospital for urgent treatment. He was in the terminal state of chronic renal failure, and was placed under hemodialysis immediately. Proteinuria and hypertension had been notified since adolescence, had been left untreated, and there was no record of his conditions, was. Living kidney transplantation was conducted 8 months later. The donor was his father. After the operation, rejection was not recognized, but urine volume per day was not reduced and maintained the level around 10.000 ml. At the same time, the decrease of body weight and the rise in the serum creatinine concentration were noted. The results of magnetic resonance imaging and the hypertonic saline test (Hickey Hare Test) have formed diagnosis of incomplete diabetes insipidus. Immediately after the administration of desmopressin (rhinenchysis), the decrease of urine volume was recognized, and the body weight and serum creatinine concentration became stable.
著者
山本 奈恵 木下 秀文 井上 貴昭 川喜多 繁誠 大口 尚基 六車 光英 河 源 坂口 雄沢 足立 靖 坂井田 紀子 植村 芳子 松田 公志
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.665-669, 2007-09

76歳男。患者は頻尿および排尿困難を主訴とした。前立腺生検を施行し, 低分化型前立腺癌およびGleason score 4+5の診断を得た。Maximum androgen blockade(MBA)療法を開始したところ, PSAは低下し, CT上でリンパ節腫脹の消失を認めた。しかし, その後, 腰背部痛が出現し, 疼痛による歩行困難, 嘔吐, 食事摂取困難が生じ緊急入院となった。所見ではFDG-PETで骨以外の病変として右肺尖部, S状結腸に集積を認め, 肺小細胞癌に準じた化学療法を考慮したが, 全身状態の不良にて施行できないまま急速に病状が悪化した。そして症状出現から約3ヵ月後に患者は死亡となった。尚, 剖検所見から本症例は低分化型前立腺癌が脱分化を来し, 多臓器に転移したものと考えられた。A 76-year-old man had been treated with maximum androgen blockade therapy for a poorly-differentiated prostate adenocarcinoma (T3cN1M0, prostate specific antigen (PSA) 65 ng/ml, Gleason Score 4+5=9) since September 2002. By August 2003, his serum PSA levels were undetectable and the lymph node swelling had vanished. However, in December 2004, his serum PSA levels started rising gradually up to 0.66 ng/ml. Radiation therapy on the prostate was then performed (66 Gy). At that time, no metastasis was detected by computed tomography and bone scintigraphy. In August 2005, multiple bone metastases were detected. Immunohistochemical examination of a biopsy specimen from the bone lesion revealed a small cell carcinoma/neuroendocrine cell carcinoma. He died with undetectable PSA levels (less than 0.008 ng/ml) in December 2005. The autopsy showed multiple organ metastases including bone, liver, lungs and others. The immunohistochemical examination revealed pure small cell carcinoma in all metastatic lesions. A precise histological examination of the lungs using a 1 cm serial section could not reveal any tumors compatible with primary lung cancer. We concluded from the clinical history and autopsy findings that his initial poorly-differentiated adenocarcinoma of the prostate dedifferentiated into a pure small cell carcinoma with neuroendocrine differentiation.
著者
阿部良行 中村 雅登 加藤 優子 小川 純一 井上 宏司 多田 伸彦
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.279-284, 1992
被引用文献数
15

症例は56才男性.胸部異常陰影を指摘され, 肺癌の術前診断で, 左下葉切除・リンパ節郭清術施行(病理診断:大細胞癌, T2NlM0).術後6ヵ月, 急性腹症で緊急入院し, 諸検査で肺癌の副腎転移が疑われた.はっきりした感染がないにもかかわらず, 白血球数は21, 800/μlと異常高値を示した.疼痛軽減を目的に腹部腫瘤摘出術施行し, 病理学的に肺癌の転移と診断された.術直後, 白血球数は低下傾向を示したが, 再上昇し, 術後23日目に腫瘍死した.死亡直前の白血球数は46, 500/μlであった.血清中の顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)は146pg/ml(正常<60)と高値を示し原発巣および転移巣の腫瘍組織より抽出したRNAをノザンブロット法で解析し, 両者にG-CSFのmRNAの発現を認めた.本症例では, 腫瘍細胞での自律的なG-CSF遺伝子の発現と血清中へのG-CSFの過剰分泌が分子生物学的に証明され, 白血球増多症に対する腫瘍産生性G-CSFの関与が明らかにされた.