著者
近藤 宗平
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.40, no.7, pp.535-541, 1998-07-30 (Released:2009-03-31)
参考文献数
24
被引用文献数
1 1
著者
五島 史行 浅間 洋二 中井 貴美子
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.108, no.12, pp.1171-1174, 2005-12-20 (Released:2010-10-22)
参考文献数
9
被引用文献数
3 2

線維筋痛症とは, 全身に強い痛みを起こす原因不明の疾患である. めまい, 耳鳴などの蝸牛前庭症状を主訴として耳鼻咽喉科を初診することがある. 症例は38歳女性, 主訴はめまい, 全身の痛み. 聴覚, 平衡機能検査では明らかな異常を認めなかった. 外来加療中に痛みが増悪し, カウンセリング, 自律訓練法を導入した. 入院し, A型ボツリヌス毒素注射, プレドニゾロン点滴などの治療を行い軽快退院となった. 入院中も嘔吐を伴う回転性めまい発作が定期的に認められたが, 明らかな眼振は観察されなかった. 神経の統合異常, 体性感覚の異常などがめまいの原因と考えられた. 薬物治療や心理的治療により疼痛を緩和することが結果的にめまいを抑制したと考えられた.
著者
岡田 俊裕
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR GEOGRAPHICAL SCIENCES
雑誌
地理科学 (ISSN:02864886)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.233-249, 1995 (Released:2017-04-20)
参考文献数
89
被引用文献数
1

小田内通敏(1875-1954)は, 学生時代には史学研究を志向し, 社会学にも強い関心をもっていた。そのため彼の地理学研究は, それらの考察法を重視する傾向をもった。また, 新渡戸稲造(1862-1933)や「郷土会」を介して農政学・農業経済学・植物学などを吸収し, 地域地理学を住民の生業と生活に即して研究する素地が形成された。その最大の成果が社会経済地理学のモノグラフ『帝都と近郊』(1918)であり, 以後, 行政諸機関や企業の委嘱を受け, 朝鮮・満州・樺太・日本各地の集落・人口を社会経済地理学的に調査した。また彼は, このような地理学研究を普及させるための組織づくりにも尽力し, 1926年には地球学団や日本地理学会に対抗して人文地理学会を設立した。歴史学的・社会科学的考察を重視する小田内の学風は, 山崎直方(1870-1929)などの自然科学的な学風に対比される存在であった。しかし, 学界主流を占めた山崎の学風とは異なり, 当時の地理学界・地理教育界に充分波及したとは考え難い。大学の専任教員として地理学研究者の養成にたずさわることのなかった小田内は, その点で小川琢治(1870-1941)や石橋五郎(1876-1946)とも対照的であった。
著者
井川 雅子 山田 和男 池内 忍
出版者
日本口腔顔面痛学会
雑誌
日本口腔顔面痛学会雑誌 (ISSN:1883308X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.3-12, 2014-12-25 (Released:2016-01-26)
参考文献数
65

口腔顔面部の特発性疼痛には,歯科治療を契機とするものが多いが,侵害刺激が加えられていないにもかかわらず発症するものもある.このような症例の中には,明らかな器質的異常が認められないにもかかわらず,日常生活が続けられないほど重症化する例もまれではない.このような特発性疼痛は,従来は神経障害性疼痛,下行性疼痛抑制系の機能不全,また中枢の感作などでその機序を説明することが試みられていたが,一方で,近年の脳機能画像研究の発達により,組織損傷が存在しなくても疼痛が発現しうることが明らかにされつつある.すなわち,侵害刺激ではなくても,個人にとって著しい脅威や不快と感じられるような刺激にさらされた場合に,関連する脳領域が過剰に活動し始めることによって,慢性疼痛に陥ってゆく可能性があるということであり,口腔顔面部の特発性疼痛の発症の機序を考える上で大きな手がかりになると思われる.本稿では,特発性疼痛の機序に関する最近の脳科学的研究の知見について解説を行い,われわれが経験した2症例を供覧する.症例1:74歳,女性.医師に舌がんを示唆された直後から特発性顔面痛を発症し摂食不能となったため,発症から3か月目に胃瘻を造設した.症例2:81歳,女性.上顎左右臼歯部に6本のインプラントを埋入した直後から,上顎左側中切歯に特発性歯痛と全身の不全感を発症し,寝たきりとなった.いずれも劇症ではあるが,三環系抗うつ薬により速やかに治癒した.
著者
青山 一真 寺島 章宥 秋山 隼人 安藤 英由樹
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2017論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.363-364, 2017-09-09

本稿は前庭電気刺激による加速度感覚提示と視覚電気刺激による視野の広範囲への白色フラシュ提示を既存のHMDとヘッドホンを用いたゲームシステムに組み込んだシステムに関するものである.これらの電気刺激を既存のシステムに組み込む事によって,バーチャルなキャラクタから殴打されるときの感覚を高い臨場感をもって再現する手法に関するものである.
著者
鈴木 翔 須藤 康介 寺田 悠希 小黒 恵
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.167-181, 2018 (Released:2019-03-28)
参考文献数
28

本稿の目的は,大手の結婚相談サービス事業者であるX社の会員を対象にした調査から,学歴・収入・容姿が「成婚の可否」「異性からの選好されやすさ」「結婚相手のより好み」に与える影響を明らかにすることである.分析の結果,以下の三点が明らかになった.第一に,高学歴,高収入,高身長・低肥満といった客観的条件の多くは,男性の高収入を除き,成婚の確率を高めるとは言えない.第二に,男性では,高学歴,高収入,高身長・低肥満であるほど女性から選好の対象とされやすく,女性では,非大学院卒,高収入,低肥満であるほど男性から選好の対象とされやすい.第三に,男性では,高学歴,高収入,高身長・低肥満であるほどより好みしており,女性では,高収入,低肥満であるほどより好みをしている.つまり,結婚相談サービスを利用した婚活では,一般的な結婚とは異なり,学歴・収入・容姿で有利な条件を備えていることが成婚の可否へほとんど影響を与えておらず,これは,男女とも婚活市場における自身の価値に対応したより好みを行うというメカニズムが存在するためだと考えられる.
著者
大神 郁朗
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.33-37, 2011-03-31 (Released:2018-07-26)

野生動物を絶滅から回避させるための1つの方策として,環境省レッドデータブックで絶滅危惧ⅠA類に分類されるツシマヤマネコの保全について講演および意見交換を行った。ツシマヤマネコを保全するためには,生息域内における周辺住民とツシマヤマネコとの関わり方,行政,地元の団体他関係者などを含めた対策,また,ツシマヤマネコの減少の1つの原因となっているイエネコからの感染症対策について獣医師による側面からの支援および野生復帰のための生息域外における動物園における飼育下繁殖事業などそれぞれの分野で今後も継続した対応が必要である。今まで日本国内での絶滅に瀕した哺乳類の野生復帰が成功した例がないなかで,今後の野生動物保全に対して本事業の役割は大きいものと考える。
著者
渡辺 勝敏 前田 洋志
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.409-420, 1995-02-21 (Released:2010-06-28)
参考文献数
23

遺伝学的に別種であることが示されている日本産ギギ科魚類2種, Pseudobagrus aurantiacus (Temminck and Schlegel) (アリアケギバチ) とそのシノニムとして扱われてきたP. tokiensis Döderlein (ギバチ) について, 模式標本を含む多数の標本を基に両種を再記載し, 形態比較を行った.その結果, P. aurantiacusは, より高い背鰭, 胸鰭棘前縁を広く覆う顕著な鋸歯列, 外向きの1-3歯を伴うより高密度な同後縁鋸歯列, より幅広い上後頭骨突起, 上後頭骨突起と同程度の長さの大きな上神経骨, 幅広い擬鎖骨後方突起 (後端>20°), 外翼状骨から大きく離れた舌顎骨前縁より明瞭な若魚の体斑パターン, 等によってP. tokiensisから区別された.
著者
伊藤 潤一郎
出版者
首都大学東京人文科学研究科 人文学報編集委員会
雑誌
人文学報, フランス文学 (ISSN:08368729)
巻号頁・発行日
vol.515, no.15, pp.55-69, 2019-03-23

特集=68年5月(責任編集=西山雄二)
著者
廣松 ちあき 尾澤 重知
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.297-312, 2019-03-20 (Released:2019-03-25)
参考文献数
54

経験からの学びの深化には,内省が欠かせない.本研究は,組織業績達成の中核者として活躍しながらも,経験からの学びが十分とはいえない中堅社員を対象に,内省プロセスの把握を目的として半構造化インタビューを行いM-GTA によって分析した.その結果,その内省プロセスは,まず仕事の問題解決の経緯を振り返り,次いで他者からの働きかけにより,自己の内面的特徴を多角的に検討することが分かった.また,内面的特徴の吟味過程で,自分自身の仕事観・信念と,仕事上の理想状態が葛藤すると,問題の本質的課題を理解しながらも,課題解決に向けた行動に取り組めないことが分かった.さらに,中堅社員の業務環境や振り返りの捉え方が,内省を「問題解決の経緯の想起」にとどめ,内面的特徴を検討する「深い内省」を妨げている恐れがあることが分かった.最後に,中堅社員自身が行動変容に取り組むための,上司からのOJT による内省支援施策の重要性を考察した.

18 0 0 0 OA 国訳漢文大成

著者
国民文庫刊行会 編
出版者
国民文庫刊行会
巻号頁・発行日
vol.第二卷, 1924