著者
明仁親王
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1-2, pp.1-26, 1963-12-15 (Released:2010-06-28)
参考文献数
10

1. 肩胛骨の有無, 形態をハゼ科魚類67種についてアリザリン染色によって調べた。これらは次のように分類された。有肩胛骨型47種肩胛骨はよく発達し背方から肩胛骨孔をかこんで二叉するが, 完全に孔をとりかこむものはない。射出骨のうすく染まる体長の小さい時期から肩胛骨は染色点或は棒として現われる。特殊型2種有肩胛骨型より肩胛骨の発達の不十分な型で無肩胛骨型との中間に位する。射出骨の十分に染まった体長の大きな個体でも染色されないものがあり, 又肩胛骨のある場合でも二叉はしないように思われる。無肩胛骨型18種肩胛骨を欠く型である。シロウオを除き射出骨, 烏喙骨の骨化は他の型と変りがない。2. 肩胛骨の形は個体変異が著しく, 種の特徴として重要視することはむずかしいが, 肩胛骨の有無は十分に成熟した個体では特殊型を除き種によって決まっており, 種を区別するには安定した一形質とみなされる。3. 肩胛骨の有無は属を区別する一つの特徴として取り上げ得ると考えられる。
著者
林 宜嗣 Yoshitsugu Hayashi
雑誌
経済学論究 (ISSN:02868032)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.243-269, 2014-12-20
著者
瓜巣 由紀子
出版者
浦和大学・浦和大学短期大学部
雑誌
浦和論叢 (ISSN:0915132X)
巻号頁・発行日
no.53, pp.21-48, 2015-08

わが国では、社会的養護を必要とする児童が増加している。しかしながら、社会的養護の施設の区分には、障害児でありかつ被虐待児である児童が利用する施設である障害児入所施設が含まれていない。障害児でありかつ被虐待児の児童については、児童福祉法に規定される同じ「児童」でありながら、施策の適用の違い、児童福祉施策の対象あるいは障害児施策の対象となるのかにより、施設への入所制度に矛盾があるのが現状である。 そこで本論文では、児童福祉施策と障害児施策の視点から社会的養護の現状と課題について考察した。その考察からわが国の社会的養護は被虐待児をその主たる対象とし、障害児であり被虐待児についての視点は乏しいものであるという知見を得た。この社会的養護の課題解決のため、わが国の「すべての児童」を対象とした政策立案を形成するシステムの構築について提言した。

5 0 0 0 OA 軍事年鑑

著者
国際軍事研究会 編
出版者
朝風社
巻号頁・発行日
vol.昭和6年版, 1931
著者
宝達 勉 高野 友美 土岐 朋義
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

猫伝染性腹膜炎(FIP)はネコ科動物の致死性ウイルス感染症である。未だにFIPに対する有効な治療方法は報告されていない。我々は抗FIPV薬の検討と共に、新たに同定した抗FIPV薬を猫に投与して、FIPV感染に対する影響を調べた。その結果、細胞内コレステロールの輸送阻害薬であるU18666Aが野外に多く存在するI型FIPVの増殖を強力に抑制することを発見した。また、U18666Aを投与した猫においてFIP発症が抑制または遅延する可能性を確認した。さらに、獣医臨床で抗真菌薬として一般的に使用されているイトラコナゾールがU18666Aと同様の抗ウイルス作用を示すことを発見した。
著者
八木 優英 建内 宏重 栗生 瑞己 水上 優 本村 芳樹 市橋 則明
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0278, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】トーマステスト変法(MTT)は片側股関節屈曲により対側股関節を伸展位にし,その際に生じる股関節内外転運動や可動域制限を捉えることで,筋張力が優位に高い股関節屈筋を推定する評価方法である。この推定は各股関節屈筋が有する,解剖学的肢位での股関節屈曲以外の運動作用を基に行われる。しかし股関節伸展位では股関節内外転運動などで,どの股関節屈筋の筋張力が優位に増加するかは明確でないため,MTTの評価結果に科学的な裏付けがあるとは言い難い。そこで股関節伸展位での股関節運動時に筋張力が増加する股関節屈筋を明示し,MTTの解釈についてのエビデンスを得ることを目的として本研究を行った。【方法】対象は健常成人男性12名(23.8±2.7歳)であった。測定肢位は膝関節より遠位をベッドから垂らした背臥位で,骨盤を非弾性ベルトでベッドに固定した。腰椎の前弯が消失するまで非利き足の股関節を屈曲させ,その位置で被験者に両手で大腿部を保持させた。利き足を股関節伸展10°,外転0°,外旋0°,膝屈曲90°の肢位(基準条件)で検者が保持した。利き足股関節角度を基準条件から他動的に動かした外転条件(外転20°),内転条件(内転15°),外旋条件(外旋15°),内旋条件(内旋15°),伸展条件(伸展25°)の5条件と基準条件の計6条件で筋張力を測定した。測定筋は腸骨筋(IL),大腿直筋(RF),縫工筋(SA),大腿筋膜張筋(TFL),長内転筋(AL),中殿筋前部線維(GM)とした。筋へのストレッチ効果を除外するために,条件間に1時間以上休憩し,筋の測定順と測定条件順は無作為に決定した。硬さの指標である筋弾性率により筋張力を推定可能なせん断波エラストグラフィー機能(Super Sonic Imagine社製)を用いて各筋の筋張力を評価した。本研究では伸張による筋張力増加を評価した。そのため各条件で筋張力の増加した筋はMTT時に,測定条件と逆の運動方向に影響することを示す。統計解析は反復測定分散分析後,計画的検定として基準条件と他条件間でWilcoxonの符号付順位検定を用いて筋弾性率を比較した。有意水準は5%とし,計画的検定では筋毎にHolm法で補正した有意水準を用いた。【結果】一元配置分散分析の結果,全筋で条件間に有意差を認めた。ILでは基準条件(23.9:kPa)に比べ外転条件(41.6),外旋条件(35.8),伸展条件(43.0)で,TFLでは基準条件(18.7)に比べ内転条件(43.2)で,RFでは基準条件(30.1)に比べ内転条件(36.7),伸展条件(37.3)で,ALでは基準条件(12.7)に比べ外転条件(20.2)で筋弾性率が有意に高かった。【結論】本研究結果から,MTTでの伸展制限はIL,RFの,外転運動・内転制限はRF,TFLの,内転運動・外転制限はIL,ALの,内旋運動・外旋制限はILの筋緊張亢進または短縮を示す所見であることが示された。本結果は健常成人を対象とした研究ではあるが,MTTの解釈に有用な知見である。
著者
岡田(有竹) 清夏
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.216-229, 2017 (Released:2019-02-07)
参考文献数
74

Sleep plays a significant role in the developmental processes of infants. However, in modern society, our bedtimes tend to be delayed and our nocturnal sleep time shortened. This night-centered lifestyle or shortened nocturnal sleep time has not only affected the sleep-wake rhythm of infants, but also carries the risk of physical and mental dysfunctions, such as neurological development, behavioral problems (internalizing and externalizing problems), depression symptoms, and obesity. It is necessary for parents and caregivers to fully understand the importance of sufficient sleep for infants for development of the brain and physical and mental functions, as well as the importance of creating an environment that will be able to promote a healthy sleep-wake rhythm in infants.
著者
高久 嶺之介 タカク レイノスケ Takaku Reinosuke
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 = The Social Science(The Social Sciences) (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.51-77, 2019-02-28

論説(Article)本稿は、第3代京都府知事北垣国道がその身を置いた鳥取人脈がどのようなものであったかを明らかにするものである。北垣は、もともとは但馬の豪農であったが、幕末の生野の変、そして幕末・維新の諸運動を通じて鳥取藩の人びととの接触を強め、後に鳥取藩士となる。本稿では、第1に松田道之との関係、第2には原六郎との関係、第3に河田景福との関係、第4に「鳥取池田家」との関係を通じてそのことを明らかにする。
著者
明仁 藍澤 正宏 池田 祐二 岸田 宗範 林 公義 中山 耕至 中坊 徹次
出版者
日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
pp.18-044, (Released:2019-04-05)
参考文献数
32

Hybrids of Rhinogobius biwaensis and Rhinogobius sp. BF were identified in the ponds of Sento Imperial Palace, Kyoto City, Japan, from microsatellite and mitochondrial DNA markers. Mitochondrial DNA analysis indicated that five of seven Rhinogobius specimens had R. biwaensis haplotypes, the remaining specimens having those of Rhinogobius sp. BF. In DAPC and STRUCTURE analyses based on microsatellite data, all specimens examined showed intermediate status between R. biwaensis and Rhinogobius sp. BF, the two species being considered to have formed a hybrid swarm in the ponds because genetically pure individuals of either were not found. This is the first report of recent hybridization under field conditions in Rhinogobius fishes from Japan, confirmed by nuclear and mitochondrial DNA data. Hybrid Rhinogobius specimens from the ponds had 5–17 predorsal scales, an intermediate range between those of non-hybrid R. biwaensis (0–6) and Rhinogobius sp. BF (11–20). However, in appearance they were more similar to R. biwaensis than Rhinogobius sp. BF, having bluish-white distal coloring anteriorly on the first and second dorsal fins, a reduced reddish longitudinal band on the anal fin, and lacking yellowish dorsal and posterior margins on the caudal fin. However, they differed from R. biwaensis in having a narrower white posterior caudal fin margin. Further morphological differentiation of the hybrid specimens was not apparent.
著者
荻原 直道
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.193-199, 2014 (Released:2016-04-16)
参考文献数
35

生得的に四足性である霊長類の二足歩行運動を分析し,そこからヒトの二足歩行運動の力学的特徴を対比的に明らかにすることは,ヒトの直立二足歩行の起源と進化を考える上で多くの重要な示唆を提供する.本稿では,我々が進めてきたニホンザル二足歩行の比較運動学・動力学的分析から明らかになってきた,ニホンザルとヒトの二足歩行メカニズムの違いについて概説する.また,どのような筋骨格系の構造改変がヒトの直立二足歩行の進化に重要であったのかを構成論的に検証するために,ニホンザル筋骨格モデルに基づく二足歩行シミュレーション研究も進めている.本稿ではこれらニホンザル二足歩行研究から,ヒトの直立二足歩行の進化に迫る試みについて紹介する.
著者
初宿 成彦
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
大阪市立自然史博物館研究報告 = Bulletin of the Osaka Museum of Natural History
巻号頁・発行日
vol.73, pp.71-89, 2019-03-31

ハルゼミはマツ類につくセミで,かつては大阪府では丘陵地から山地にかけて広く分布するセミとして知られていたが,1970年代から顕著になった松枯れにより衰退した.2000年頃からインターネット媒体により,市民からハルゼミの鳴き声の情報を蓄積してきた.これらにより,大阪府では山地に細々と残る程度にまで減少していることがわかった.人為が影響する前には海岸部や平野にも広く分布していたこと,2030年頃までに大阪府からは絶滅することが推定される.
著者
Junya Sado Tetsuhisa Kitamura Yuri Kitamura Rong Liu Emiko Ando Tomotaka Sobue Yumi Sugawara Keitaro Matsuo Tomio Nakayama Ichiro Tsuji Hidemi Ito Takaichiro Suzuki Kota Katanoda Suketami Tominaga
出版者
The Japanese Circulation Society
雑誌
Circulation Journal (ISSN:13469843)
巻号頁・発行日
vol.83, no.4, pp.757-766, 2019-03-25 (Released:2019-03-25)
参考文献数
32
被引用文献数
5 10

Background: Coffee, which contains various bioactive compounds, is one of the most popular beverages. Further accumulation of evidence is needed, however, to confirm whether coffee consumption would be effective in preventing cardiovascular disease in the general Japanese population. Methods and Results: We evaluated the association between coffee consumption frequency (never, sometimes, 1–2 cups/day, 3–4 cups/day and ≥5 cups/day) and mortality from all causes, heart disease, and cerebrovascular disease, in 39,685 men and 43,124 women aged 40–79 years at baseline, in a 3-prefecture cohort study. The coffee consumption frequency was assessed on questionnaire. Cox proportional hazards regression modeling was used to assess the association between coffee consumption frequency and all-cause and cardiovascular disease mortality with adjustment for potential confounders. During 411,341 and 472,433 person-years in men and women, respectively, a total of 7,955 men and 5,725 women died. Coffee consumption frequency was inversely associated with all-cause mortality in both genders (P for trend<0.001). In addition, the risks of mortality from cerebrovascular disease in men (P for trend<0.001), and heart disease in women (P for trend=0.031) were inversely associated with coffee consumption. Conclusions: In this Japanese population, coffee drinking has a preventive effect on all-cause and on cardiovascular mortality in men and/or women.