2 0 0 0 OA 表紙

出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.Cover4, 1988-11-25 (Released:2016-11-22)
著者
山田 尚勇
出版者
国立情報学研究所
雑誌
学術情報センター紀要 (ISSN:09135022)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.139-160, 1990-09-30
被引用文献数
1

本稿においては、研究開発に関わる統計的分析を示すのではなく、日米両国において、大学および企業の研究所で長らく過したあいだの、個人的経験を述べる。 日本では科学と技術がほとんど区別されず、一体として理解されている。しかし、かりにその差を認めたときには、どちらかというと、技術者のほうが科学者よりも地位が高いとする伝統がある。しかるに米国においては、科学は自然の法則を理解(分析)すること、工学はそれを実利に向けて応用(合成)することという、よりはっきりとした区分がなされている。 しかも、基盤となる科学に関わる者のほうが、工学に関わる者より、常に高い評価を受けてきた。 こうした微妙な差異は、科学と技術に関わる2国の政策に、かなりの違いを生んでいる。米国が基礎研究と新しいアイデアの発見にカを入れてきたのに対し、日本では既成のアイデアと技術を導入し、それらにキノ細かい改良を加えた上での製品化技術に集中し、勤勉でレベルが高く、しかも質の揃った技術者、労働者の効果的活用により、高品質、高信頼性の製品を大量生産し、安価に世界市場に供給しつつ、工業立国の面目を発揮してきた。 そうした国策は、近年大幅な貿易黒字をまねくとともに、主として製品の信頼性と価格の差とにより、米国におけるいくつかの産業を極度に圧迫している。そうして起こった貿易摩擦、経済摩擦の結果、日本が基本的アイデアを生み出すこと少なく、もっぱら他国に頼りつつ、甘い汁を吸っているという、技術タダ乗り論が海外に台頭し、高度先端技術の日本への移転を制限する運動さえ起こりだした。 こうした国際状勢の中にあって、日本としては、貿易黒字減らしと基盤的創造性の養成に、いやおうなしに取り組まなければならなくなった。 改めて世界を見まわしてみると、日本製品の廉価供給を可能にした原因として、1人あたりの国民総生産が世界一であるにもかかわらず、日本における実質的生活水準の低さが目につくようになった。すなわち、世界において飛び抜けて多い年間労働時間数、流通機構の過保護による世界一の物価高、過少な社会資本投資の結果としての生活環境の貧困さなどである。そして、国外における日本製品の価格の低廉さは、こうした犠牲の上に可能となっているという国際的指摘がなされだした。 さらに、もともと基礎研究というものは、豊かな「科学資本」-つまり教育、設備、試験研究、知識の集積など-に経費のかかるものである。日本は外国のアイデアにタダ乗りして、こうした資本の投資をもおこたっているというのである。 こうした国際的緊急状態に対処するために、日本は基礎研究にカを入れるとともに、創造性の組織的開発に取り組み始めた。 独創性を発揮するのは平均的思考能力を持つ人たちではなく、他人と変わった、独自の思考をする小数の人たちの集団であることが多い。 しかるに日本の社会では、単一化、画一化を陰に陽に奨励する文化が長らく定着しており、個性の強い者、変わり者が自由に伸びていくにはさまざまな障害が多い。 教育も、幼稚園から高校に至るまで、例外ではないから、大学にはいってから、にわかに個性を発揮しろと言われても、もともとそうした素質を持った人間は、それ以前の過程でかなり排除されてしまっている。 さらに日本の教育システムでは、小中学校の教育にかける経費はかなり潤沢であっても、大学教育、特に大学院にかける経費は、国際的に見てかなり少ない。かつ、教官に対する制限が強すぎて、かれらには自由に過ごせるまとまった期間が少なく、企業で働けず、またほとんどが所属大学の内部育ちであり、人事の交流も少ない。これらの環境条件は、またもや研究者の画一的思考を助長することになる。若手の研究者についても、大学院生を教育、研究過程に積極的に組み込むことが法的にできなくなっており、また、若手の社会人に対する「生涯教育」も思うにまかせない。積極的に創造性を評価するのに臆病であるから、長老に対する功労賞は多くても、若手に向けた大きな功績賞はない。 幼いときから、自分の意見をはっきりと相手に主張し、相手と議論してでも意見を伝えることを教えこまれているアメリカ人に比べて、われわれの行動の主原理は和の精神であり、右顧左眄しつつものを言う会議は、とかく生産的でない。委員会なども初めからとかく同種意見の持ち主で構成されるから、画期的な結果が出にくく、討論会などでも、本来の「秩序ある対決」の精神が生かされない。 個性とアイデアとは切っても切れない関連があるから、個人の確立のないところでは、アイデアそのものを尊重する観念も希薄になる。それはアイデアを出した個人の報われかたにおける日米の差によく表われている。 こうした独創性の低さ、そしてそれに付随した、外国からの先端技術タダ乗り論の非難を解消するには、国として早急に創造性養成の施策を進めなければならない。それについても多くの提案があるが、どうも対症処置に終わっていて、原点に立ち戻って考えなおすことは極力避けているかに見える。それに対症処置そのものが、また画一的、均質的で、別の硬直化を起こしそうなものが多いようだ。ほんとうに独創性を上げようと思うなら、国民全体の均質性、高水準性は多少犠牲になるかもしれないが、幼稚園教育から始めて、個性の自由な発露と、それに伴う多様化を、極力推し進めていくことが必要なのではなかろうか。そうした教育制度の思い切った改革は、なかなかむずかしいと思うが、それなしには、ただでさえ多額な投資を必要とする基礎研究に研究費を注ぎ込んだとしても、独創的な成果は、なかなか思うようには出て来ないのではなかろうか。わが国の研究の理念は、あまりにも実用的、工学的思考に傾きすぎている。たとえば気球との関わり方の歴史をみても、軍事的効用が認識されるまでは、わが国での反応は実に冷淡であったようだ。
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンストラクション (ISSN:09153470)
巻号頁・発行日
no.405, pp.44-45, 2006-08-11

●発注者の立場を捨て,退職したと聞きました。思い切った決断のように見えますが。藤原 2005年の10月末に退職して建設コンサルタントに転職しました。退職したのは家族を介護するためという家庭の事情でしたが,これを機会に10年余り前から考えていたことを実行したいと思いました。●具体的にはどんなことですか。
著者
犬の研究社 編
出版者
犬の研究社
巻号頁・発行日
1937

2 0 0 0 OA 軍政学

出版者
[海軍経理学校]
巻号頁・発行日
1933
著者
下瀬 純子 角田 幸雄 辻井 康子 江川 宏
出版者
島根県立大学短期大学部
雑誌
島根女子短期大学紀要 (ISSN:02889226)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.11-15, 1984-03-31

毛繊維に付着した食品汚れがイガの食害行動に及ぼす影響について,牛乳,日本酒,ワイン,オレンジジュース,しょう油およびソースの汚染物質付着布を用いて検討した結果,供試した汚染物質間ではイガ幼虫の食害行動に明確な選択性のあることが認められ,特にしょう油およびソースの汚れ付着に顕著な食害の低下が認められた。また,生息密度が食害量に大きな影響を与えることが明らかにされた。
著者
田中 寛二 Tanaka Kanji
出版者
琉球大学法文学部
雑誌
人間科学 (ISSN:13434896)
巻号頁・発行日
no.10, pp.71-95, 2002-09

本研究では,大学生の大学構内と公道における交通行動を規定する要因を明らかにするために,大学生281人を対象とした信号無視,駐車違反,スピード違反,飲酒運転,及び危険運転の目撃,許容,行動に関する調査を行った。その結果から以下のことが明らかにされた。①各種の違反行為に対する許容と行動の各得点は低く,許容的でも,頻繁に行動するものでもないことが示された。②大学構内では各種の違反に対する許容性が公道よりも高いが,駐車違反と飲酒運転では公道にいて,信号無視とスピード違反については大学構内の方が高いことが示めされ,違反の内容によって行われやすい状況に差があることが示唆された。③行動と関連する要因として,大学構内では,概して目撃と許容が関連しているが,公道では必ずしもそのような一貫した傾向は認められなかった。すなわち,大学構内では目撃によって各種の違反行為が比較的直接的に誘発される可能性が高いことが示唆された。
著者
Qing-hai Hu Jun-jie Xu Zhen-xing Chu Jing Zhang Yan-qiu Yu Huan Yu Hai-bo Ding Yong-jun Jiang Wen-qing Geng Ning Wang Hong Shang
出版者
国立感染症研究所 Japanese Journal of Infectious Diseases 編集委員会
雑誌
Japanese Journal of Infectious Diseases (ISSN:13446304)
巻号頁・発行日
pp.JJID.2016.177, (Released:2016-10-31)
参考文献数
27
被引用文献数
8

We aimed to assess the prevalence and determinants of herpes simplex virus type 2 (HSV-2) mono-infection and HSV-2/syphilis co-infection in human immunodeficiency virus (HIV)-positive men who have sex with men (MSM) in China. A cross-sectional study was conducted on 545 HIV-positive MSM in Shenyang between February 2009 and October 2014. Participants received physical examinations and serological tests for HSV-2 and syphilis. A multinomial logistic regression was used to identify risk factors associated with HSV-2/syphilis co-infection and HSV-2 mono-infection. The HSV-2 mono-infection, syphilis mono-infection, and HSV-2/syphilis co-infection prevalence (95% confidence interval) was 48.6% (44.4–52.8%), 34.3% (30.3–38.3%), and 22.9% (19.4–26.5%), respectively. In regression analysis, after controlling within HSV-2/syphilis-seronegative cases, related factors for HSV-2/syphilis co-infection were age (25–50 years vs. ≤24 years, aOR: 4.55; >50 years vs. ≤24 years, aOR: 43.02), having regular female sexual partner(s) in the past 6 months (aOR: 0.43) and age at first MSM experience (>18 years vs ⩽18 years, aOR: 2.59) (all P < 0.05).The high prevalence of HSV-2 infection and HSV-2/syphilis co-infection in HIV-positive MSM indicates high HIV secondary transmission risk. A campaign for detection and treatment of HSV-2 and syphilis is urgently required for HIV-positive MSM in China.
著者
谷口 博香
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.100094, 2016 (Released:2016-04-08)

グローバル化の中で、国境を越えた人口移動が盛んに行われ、移民の存在とその処遇はすべての国家において重要な課題となっている。人文地理学の移民研究では、1980年代以降移民のエスニシティとエスニックな空間に注目した研究が数多く行われてきた。しかし、日本においては1990年以降になってようやく研究が進められている段階であり、まだ十分な展開が見られない。 本研究では、1980年代後半以降に「アジア系労働者」として来日した東京都周辺に在住するバングラデシュ人たちの日常生活の一端にアプローチした。1990年代の研究との比較により、現在日本で生活するバングラデシュ人国内の出身地、年齢、家族・友人関係、社会階層といった個人が持つ背景や彼らのネットワークがどのように変化したのか。そして在日バングラデシュ人のエスニック空間が、移民自身の戦略や葛藤、ホスト社会の権力関係等と絡みながらどのような形で生成されているのか、それは移民とホスト社会の双方にとってどのような意味合いを持ちうるのかを検討した。 研究方法は、文献・資料研究のほか、在日バングラデシュ人が多く集まるイベント、ハラールフード店、モスクなどでのフィールドワーク、ならびに当事者である在日バングラデシュ人や関係者、イベントを後援している自治体へのインタビュー調査が中心である。インタビューに際しては、筆者自身がボランティアとして活動に携わっていたNPO団体APFSからご紹介を得たほか、知人からの紹介やフィールドワーク中に出会った方など個人的な伝手を利用し、10名からの協力を得た。 調査の結果、現在の在日バングラデシュ人は東京都北区、中でも滝野川地域や東十条地域周辺に集中していることが明らかとなった。また、ほとんどの者が正規の在留資格を持ち、自らビジネスを行ったり事務職に就いたりと、労働市場の底辺を担う単純労働者としてみなされていた1980年代末とは異なる様相を見せている。そして、彼らのネットワークや生活圏は、彼ら自身の持つ属性(宗教や職業、滞在資格など)の違いによって細分化されており、よりミクロなスケールでの関係性にもとづき構築されている。 一方、彼らの構築するエスニック空間については、大別して2点の特徴が挙げられる。第一に、彼らは上述地域への集住傾向を示すものの、当該地域においては彼らのエスニシティが顕示されず、恒常的なエスニック景観は極めて不可視的である。第二に、彼らが集い、エスニシティを前面に出しうるのは、池袋西口公園で開かれる「ボイシャキメラ(正月祭り)」など、限られた一時的な機会のみである。このイベントは、公園という開かれた空間で行われ、彼ら個々人の存在自体が持つエスニシティ(服装や言語、容姿など)、そしてナショナルな性質を帯びるエスニシティ(国旗や国歌、文字など)が際立って可視化されている。すなわち、本国における彼らの「日常」がホスト社会においては「非日常」となり、ホスト社会である日本の政策と権力の影響を受け、普段の生活において戦略的、あるいは必要性のなさから自分たちのエスニシティや存在を隠していることとは対照的に、それらを示す重要な機会となっている。 以上から、移民によるホスト社会におけるエスニシティの体現は、様々な権利獲得や、観光資源あるいは商業上の必要性による「戦略的」なものであるが、在日バングラデシュ人にとってはこの一時性こそが、日本社会における生存戦略の一環となっていると考えられる。また、在日バングラデシュ人が、ホスト社会における公共物としての性格が強い公園において、その権力性を乗り越え、自らのアイデンティティと差異を誇示しつつも日本社会との良好な関係や友好を示す機会を継続して作り出しているという点は、移民コミュニティとホスト社会が関わり合うことによる多様な空間生成の可能性を示唆している。ある程度の可視性や持続性を前提とした文化的景観に加え、こうした一時的かつ非日常的に構築されるエスニックな空間の持つ意味を検討したこと、そして移民による空間形成の背後にあるホスト社会の権力とアクターを含めた検討ができたことは、エスニック地理学における新たな見方を提示することができたのではないか。
著者
益川 弘如
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.331-343, 2004-09-30
被引用文献数
8

本論文では, 大学学部生を対象に学生自身が協調的な活動を通して知識を構成していく2つの授業の実践と評価を報告する。認知科学研究の基礎資料を理解させる1998年度学部3年生の授業では, 学生自身が担当した研究事例を調べて発表し, 互いの研究事例を関連付け, 全体を統合する3つのフェイズが段階的に含まれるカリキュラムで, これらの学習活動を協調活動作業支援ツールで支援した。理想的な協調学習が起きた場合を想定した学習者モデルを作成し, その学習者モデルとシステムログデータを照らし合わせて分析した。結果, 想定していた積極的な他人のノート参照, 関連付け活動が確認された。特に活発なグループは, 個々の研究例の繋がりを挙げつつ問題解決の特徴をまとめた質の高いレポートを提出していた。この授業成果を元に, 2000年度は授業に段階的に関連付け活動を入れて, 幅広い対象領域においても相互に関連付ける活動を促進させる工夫をした。結果, 統合型のレポートを提出する割合が増加した。以上より, 研究事例の関連付け活動をシステムとカリキュラムで工夫して導入したことで学習者自身による協調的な知識構成活動を促進させることができたと言える。