著者
阪上 弘彬
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.242-254, 2013 (Released:2013-11-01)
参考文献数
35
被引用文献数
2 1

ESDは地理教育における重要なテーマとなっている.国際地理学連合・地理教育委員会(IGU-CGE), ドイツ地理学会(DGfG)では,ESDの観点が盛り込まれた諸宣言や教育スタンダードを作成し,地理教育におけるESD推進を進めている.国際地理学連合・地理教育委員会は,社会,環境の変革に対するアプローチは諸宣言の重要な要素であると述べている.社会変革という点でESDとIGU-CGEの地理教育は共通点を有しており,諸宣言の地理的能力においても社会の変革の要素をみることができる.また各国に対し諸宣言を取り組むことを求めており,ドイツ地理教育では諸宣言の内容を反映したレールプラン(カリキュラム)が提案されてきた.ESDはドイツ地理教育においても重要なテーマの一つであり,「ドイツ地理教育スタンダード」では,ESDの要素とともにドイツ独自の観点をみることができた.
著者
安倍 雅史 ハラナギ ホセイン・アジジ ハニプル モルテザ
出版者
独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

西アジアの肥沃な三日月地帯は、地中海式農耕の起源地として知られている。1990年代には、肥沃な三日月地帯の中でも、西側のレヴァントで最初に農耕・牧畜が開始されたと考古学会では考えられていた。しかし、今世紀に入り急速に発達した遺伝子研究は、対照的に東側のザグロスでも独自に農耕・牧畜が誕生した可能性を示している。筆者は、研究の空白地帯であったザグロス地域における農耕・牧畜の起源、またこの地域からの農耕・牧畜の拡散のプロセスを解明するため、イラン・ザグロス地域を対象に考古学調査を実施した。その結果、中央ザグロスで誕生した農耕文化がどのように東漸していったか、具体的な知見を得ることができた。
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.56, pp.275-276, 2003-12

2000年度から実施された「水田農業経営確立対策」により国内の大豆面積と生産量は急増したが、作付けする農家側の意識は「水田転作にすることで高額助成金が支払われる」といったことが目的となって、収穫物から収益を得るといった意識が低いケースが多く見受けられる。播種作業は行うものの管理作業を手抜きし、雑草畑となって収穫作業まで達しない「転作消化の作付」が大豆の本作化にブレーキをかけている。「誰のため、何のための大豆栽培か」を農家が再認識するためにも、原料生産にとどまらず加工販売までを含めて地域全体が取り組み、高付加価値販売による所得確保と利用安定により大豆栽培を定着させる必要がある。そこで、秋田県内の広域JA(農業協同組合)が2000年から大豆生産と加工販売の一貫体制に取り組んだ事例を整理し、地域大豆生産組合の支援方向と商品開発に際しての要点、販売開始以降の利点について明らかにし、大豆生産と加工販売の定着に向けたモデルの提示を行う。
著者
村戸 ドール 樋口 明弘 北村 正敬
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

喫煙は多くの疾患や健康被害の原因や増悪因子として考えられており、特に肺における閉塞性肺疾患や肺癌などの影響がよく知られている。眼表面は肺と同じくタバコの煙を含め外界からの影響を受けている。シトクロムP450(CYP)酵素系は眼表面に存在し、外因子に伴う障害を防ぐ作用も知られているがCYP1A1およびCYP2A6系は肺癌発症に関係することも報告されている。我々は6週齢雄SDラットをチャンバー内に入れ、シリンジを用いてチャンバー内に主流煙を添加することにより曝露した。暴露後、フルオレセイン染色液を用いて蛍光染色法により角膜障害を、綿糸法により涙液量を測定した。次に角膜および涙腺を摘出し、シトクロムP450(P450) 1A1, P4501B1および2B2のmRNA発現変動をリアルタイムPCR法により測定した。タバコ煙暴露ラットは角膜上皮障害が生じ、涙液量の著名な低下が認められた。角膜の免疫染色において角膜上皮障害を示すCYP1A1および8-hydroxy-2'-deoxyguanosineの酸化ストレスにより発現が上昇することが認められた。これらの結果は喫煙が角膜だけでなく涙腺にも影響したことを示唆する。
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.58, pp.27-28, 2005-12

2004年は気象変動が極めて大きく、特に山形県庄内地域では台風15号による潮風害という特異的な気象災害が発生した。この台風は8月20日早朝に山形県に最も接近し、(1)勢力が強く、(2)暴風域が広く、(3)通過速度が遅く、(4)風台風であったことが特徴である。さらに、その後も2つの台風(16号:8月31日、18号:9月8日)が襲来した。このため、庄内地域の水稲の作況指数は「87」と大幅に低下し、酒田地域では1等米比率も低下した。庄内支場の水稲作況解析調査、生産力検定本試験及び系統適応性検定試験(酒田市)においても、品種並びに試験場所間で収量・品質に違いが認められたので報告する。
著者
寺沢 セシリア 恵子
出版者
文教大学
雑誌
文教大学国際学部紀要 (ISSN:09173072)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.51-65, 2011-01

アルゼンチンにおいて日系と呼ばれる日本人移民の子孫は、現地で生まれ育ち、社会に溶け込んでいる例がほとんどである。興味深いことに、彼らはネイティブとしてスペイン語を話すと共に日系社会、つまり少数言語コミュニティの中で独特の言語の使い方をしている。具体的には、自分たちの親の母国語である日本語を上手くスペイン語に取り込み、表現の幅を広げている。これは、日本語が全く話せない日系人にも共通してみられる現象である。 1980 年代後半から、アルゼンチンから日本への「出稼ぎ」が著しくなった。比較的学歴が高い日系人であっても、日本での仕事は建築現場や工場などを中心としたブルーカラーの仕事しか出来ないのが現状であった。これは、彼らの日本語能力が不十分であったからというのが主な原因であると推測する。もし十分な日本語教育を受けていれば、もっと日本での職業の選択の幅が広がったのではないかと考えられる。このように日系社会における日本語教育の必要性がある一方で、アルゼンチンで生まれ育つ日系人にどのように日本語を継承していくか、その教育方法が今後の重要な課題となるであろう。 本論文では、アルゼンチンへの日本人移民の歴史を振り返り、日系社会の中でどのような形で日本語が継承されているかについて論ずる。具体的には、アンケートの結果を通し、アルゼンチンの日系社会におけるスペイン語がどのような変容を受け、またどのように日本語と融合しているのかを言語学的視点から分析・考察する。
著者
上野 景平
出版者
社団法人日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.166-169, 1989-04-20
著者
樋口雄一著
出版者
同成社
巻号頁・発行日
2010
著者
渡邉 英徳
出版者
首都大学東京
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

開発したシステムによって,災害の進捗状況をリアルタイムで可視化・アーカイブ化することができ,その結果は事後の報道内容とよく一致していた.成果物は多数のユーザに活用され,公開直後の3日間で30万ページビューを超えるアクセスがあった.加えて,その後に発生した多様な災害に対応するアップデートを施した結果,災害発生タイミングに合わせてアクセス数が増加し,これまでに60万ページビューを超えるアクセスがあり,TV,新聞,ウェブメディアで数多く言及された.このことから,研究代表者らの手法が効果を発揮しており,災害速報システムとして社会に定着しつつあると推測する.
著者
日野 英忠 古橋 紀久 神田 直 田崎 義昭
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.106-110, 1989-04-25 (Released:2009-07-23)
参考文献数
23
被引用文献数
1

頭部X線CTにより診断した前脈絡叢動脈領域梗塞7症例について臨床的検討を行った.神経症状として片麻痺, 半身感覚鈍麻, 半盲の三主要徴候のほか, 全例に著明な自発性低下, 記銘力障害を急性期に認めた.これらの発現機序として, 視床障害の関与を推察した.また見当識障害, 失計算も多くみられ, さらに大脳皮質症状である半側視空間失認, 病態失認も認められた.CT所見は特徴的な内包後脚全域の低吸収域のみならず, 外側膝状体に及ぶ病変も多くみられたが, 視床, 側頭葉, 中脳などのその他の灌流域での異常は認められなかった.脳血管写上, 多くの症例では本血管の主幹部または分岐部内頚動脈での狭窄所見を認めた.脳梗塞発症の原因として脳動脈瘤クリッピング, 高血圧症があげられる.その他蛋白同化ステロイド薬使用後, 再生不良性貧血, 妊娠中の発症があり, さらに性交を契機とした例もみられた.
著者
三上 京子
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2007-03 (Released:2016-11-27)

制度:新 ; 文部省報告番号:甲2367号 ; 学位の種類:博士(日本語教育学) ; 授与年月日:2007/2/20 ; 早大学位記番号:新4454
著者
枡田 幹也
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.386-411, 2010 (Released:2013-08-01)
参考文献数
88
著者
時実 象一
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.238-244, 2011-05-28

日米の公共図書館における電子書籍の利用状況について図書館訪問による実地調査をおこなった. 米国においてはオーディオ書籍提供の長い歴史があり, このルートの上に電子書籍が急速に普及した。2010 年には中都市以上の図書館ではほぼ100% の導入率である. 日本では東京の千代田図書館が2007 年末に先鞭をつけて以来停滞していたが, 2011 年に入り堺市図書館, 萩図書館が相次いで導入し, また鎌倉中央図書館でモニター実験がおこなわれるなど動きが出た. 米国ではOverDrive が主導し, iPad, Kindle などへの対応も始まっている. 日本ではもっぱらWBook システムが用いられている. 今後の課題について議論した.