著者
宮澤 三雄
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

日本伝統野菜・帰化植物・生薬等計21種の植物から香気物質(精油)を得、精油構成成分及び香気特性を解明した。AChE阻害活性については、モミジガサ及びヨブスマソウの精油が強い阻害活性を示した。β-セクレターゼ(BACE1)阻害活性については、数種の精油において阻害活性を有することを見出し、精油香気物質や生物変換生成物の一部にも有効な活性を有する物質があることを明らかにした。本研究成果から、認知機能賦活の生化学的要因に植物香気物質が有効である可能性を示唆した。
著者
岡部 寿男 宮崎 修一 廣瀬 勝一
出版者
京都大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

物理的に離れた場所にいるプレイヤがネットワーク上で対戦ゲームを行う環境構築の基盤を作ることが本研究の目標である。信頼できるサーバを用意することにより容易に実現できるが、サーバ自身の不正やサーバの負荷を考え、サーバなしのいわゆるpeer-to-peer型の環境を対象とする。そのような条件下で、対戦相手の不正を如何に防御するかを考察するのが、本研究の目的である。これまでの研究において、順序機械を用いてゲームを形式的に定義し、その定式化の汎用性を示すとともに、具体的ゲーム(軍人将棋)に対して計算量の削減を行いJaval.4を使って実装した。本年度は、その関連研究として、プライバシーを確保したまま二者間で情報をやりとりし、所望の計算結果(主に認証、認可)を得るためのプロトコルの研究を行った。本研究では、基盤となる認証体系としてShibbolethを仮定し、その上で「マジックプロトコル」と呼ばれる暗号技術を利用して所望のプロトコルを実現する方法を提案した。以下に例を2つ挙げる。例えば、年齢制限のあるWebコンテンツの閲覧の為には、利用者は制限年齢より上であることを証明すれば良く、自分の年齢そのものはできるだけ公開したくない。また、サービス提供側も、年齢制限がどこにあるのかを公開したくない場合がある。このような状況で、お互いに自分の秘密情報を公開しないまま、結果となる判定だけは正しく行いたいという要求が生じるが、これを、Yaoの金持ち比べプロトコル(2人の参加者が、自分の所持金を相手に知らせずに、どちらが金持ちかを正しく判定するプロトコル)を用いて解決した。また、例えば、会社の採用の条件として、大学時代に科目Aの単位を取得しているという条件を課している場合、会社はそれがどの科目であるかを明かさずに、また、大学側は、その科目A以外の単位取得状況は知らせずに、学生が科目Aの単位を取得しているか否かのみを、会社が知るという要求が考えられる。この問題は、紛失通信というプロトコルを応用することにより解決した。
著者
亀田 達也 結城 雅樹 中島 晃 ウェア ポール
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

「人間の共感能力とは何か」という問いは、人文・社会科学の共通の根本問題であると同時に、進化生物学などの自然科学領域にもまたがる巨大な問いであり、社会的存在としての人間を理解する上で極めて重要である。本研究では、「原初的共感」という人間の基礎的な感情作用に着目することで、「高次の共感」、「感情の本質的社会性」といったより大きな問題群を考究可能にするための、概念的な整備を体系的に行った。3年間にわたる研究を通じて、二者間での感情の同期化に関する理論構築に力を注ぎ、表情模倣と呼ばれる現象の特定に成功した。表情模倣とは、ターゲットの感情的な表情表出を、受け手が自分の表情表出に引き受ける(再現する)現象を指す。この現象については、母子間の表情模倣に関する古典的な研究が存在するものの、非血縁の成人間の模倣については断片的な知見の蓄積に留まっており現象の再現性やその規定因はほとんど明らかにされていない。本研究では、表情模倣現象が相手の感情理解のための機能を有するという作業仮説を立て、顔筋の活動電位(EMG)を計測することで一連の検証実験を行った。実験の結果は、この仮説をおおむね支持するものであった。これらの知見は、「原初的な共感」のエンジンとしての表情模倣現象の重要性を示唆するもので、人間の共感能力の理論化に向けて有意義な出発点となる。
著者
宮崎 信之 YANG Jian
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2004

有機スズ化合物は船底塗料や漁網の汚染防止剤などにつかわれ、世界各地で海洋環境に深刻な影響を及ぼしている。本研究では、中国と日本の代表的な水生動物に注目して、その汚染実態と生物影響を調査することを目的としている。(1)中国では、これまで有機スズの研究が少ないので、有機スズ化合物に関する規制が皆無である。本研究では、中国の太湖に五つの調査点を設け、指標生物ドブ貝(Anodonta woodiana)を採集し、プチルスズ(TBT、DBT、MBT)とフェニルスズ(TPT、DPT、MPT)化合物質を測定した。その結果、プチルスズとフェニルスズ化合物質が両方とも初めで検出された。その上、両類汚染物質が有意な地域の濃度差異が見られた。(2)日本三陸沿岸産イシイルカ(Phocoenoides dalli)の親子個体の組織濃度と負荷量を研究し、TBT、DBT、MBT及びTPT、DPT、MPTの蓄積の実態と親子の移行の実証及び特徴を明らかにした。更に、イシイルカ体内のプチルスズとフェニルスズ化合物質の代謝能力、特異的な蓄積臓器としての肝臓におけるチトクロムP450の活性の関係の比較研究を行った。その結果、プチルスズよりフェニルスズ化合物質に対する代謝能力が明らかに弱いことを発見した。これらの一連の研究は水生生物における有機スズ類汚染物資の蓄積、代謝及び毒性のメカニズムの解明に関する重要な知見が得られた。
著者
伊藤 紳三郎 YANG Jian
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

本研究は、ブロック共重合体が形成するミクロ相分離構造内における高分子鎖のコンホメーションを単一分子レベルで観察することにより、ブロック鎖の特異な形態について明らかにすることを目的としている。本年度は、ブロック共重合体のミクロ相分離構造内に混合したホモポリマー成分のコンホメーションをSNOMによる直接観察によって評価した。試料として、ポリスチレン(PS)-ポリメチルメタクリレート(PMMA)のブロック共重合体を用いた。それぞれのブロック成分の重合度は8350および8570であり、対称な構造を有する。これに蛍光ラベルされたPMMAホモポリマーを微量に混合し、成膜後、クロロホルム蒸気雰囲気下にてアニーリングを行った。ここで、ブロックポリマー中のPMMAセグメントはフルオレセインにより、ホモポリマーPMMAはペリレンによって蛍光ラベルされており、それぞれの成分のみを選択的に観察することが可能である。フルオレセイン蛍光観察によって、ミクロ相分離構造の観察を行ったところ、PS-PMMAは156nmの間隔のラメラ状相分離構造を呈した。同一視野においてペリレン蛍光を検出することで、PMMAホモポリマー鎖の選択観察を行ったところ、ホモPMMAはすべてミクロ相分離構造内のPMMAドメイン内に局在していることが明らかとなった。ラメラPMMAドメイン内におけるホモPMMAの重心位置とそのコンホメーションとの相関について詳細に検討したところ、ラメラドメイン中央に存在するホモPMMA鎖は、ラメラ層に平行に配向していることが明らかとなった。一方、PS-PMMA相の界面付近に存在するホモPMMA鎖は、相界面に対して垂直に配向する傾向があることが分かった。ミクロ相分離構造の界面においてブロックポリマー鎖は界面近傍において特に強く配向していると考えられ、このブロックポリマー鎖の配向に依存して界面近傍に存在するホモPMMA鎖も界面に垂直方向に配向するものと思われる。
著者
釜谷 武志
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

辞賦と楽府は口承性において本来共通していたが、後漢期に入って、辞賦の口承性が希薄化していくにつれて、本来保持していた機能の一部を楽府詩が担うようになったと考えられ、物語詩的な楽府詩は辞賦の変質と関連性があると推測される。また、漢代文学に特徴的に見られる時間の推移についての悲哀の感情は、人間の生きる時間が直線的で後戻りのきかないものであるという意識のほかに、罪の無い人間も禍を背負って生まれてくるという意識が底辺にあったから生じたと考える。
著者
藤田 昌史
出版者
茨城大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

晴天日における流入下水や生活廃水中のLAS濃度の日内変動を調べたところ、下水中の界面活性剤の主要な起源として、洗濯廃水が考えられた。そこで、界面活性剤としてLASを含む洗濯洗剤に着目し、ポリリン酸蓄積細菌群(PAOs)の有機物摂取に及ぼす影響を調べた。その結果、界面活性剤がPAOsの酢酸摂取効率を悪化させることに加えて、PAOsの潜在的なPHA源として利用されることが確認され、PAOsに対して正と負の影響を及ぼすことが明らかとなった。
著者
高橋 亮介
出版者
名古屋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

本年度は以下の研究を行った。ローマ期テプテュニスの家族史研究については、先々年度に作成した論文「ある家族の衰退」を大幅に書き改め、現在印刷中である。また同論文の英語版を外国の学術雑誌に投稿し、審査中である。また博士論文の他の部分についても改訂を進めた。また2006年に発表した邦語論文「ローマ期エジプトにおける兄弟姉妹婚」の改訂英語版Brother-Sister Marriage and Inheritance Strategies in Greco-Roman Egyptをロンドン大学のRowlandson博士と共に作成し、英国の学術雑誌Journal of Roman Studiesに掲載した。ここでは邦語論文以後に発表された研究を批判的に検討し、新たな論点を盛り込みつつ自説を再論した。ザウィエト・スルタン採石場のグラフィティ研究に関しては、前年度の調査概報を公刊し夏期に現地調査を行った。さらにグラフィティの二言語併用状況の歴史的性格を明らかにすべく、プトレマイオス朝行政における二言語併用文書の使用実践について考察し、アコリス遺跡調査の公開研究会で報告「プトレマイオス朝の行政と文字:二言語併用文書をめぐって」を行った『史学雑誌』第118編第5号「2008年の歴史学界」で「古代ローマ」の項目を執筆し、2008年に出版された古代ローマ史に関する邦語文献の紹介・批評を行った。鷲田睦朗氏と共訳したムーリツェン「民衆/民会の権力:ローマ政体への新しいアプローチ」は共和政期ローマの政治体制を論じたもので、ヘレニズム諸王国を下し地中海世界全域にわ社たる帝国を成立させたローマ理解を深めるものである。これらはエジプトを地中海世界の文脈でとらえる作業の一環社として位置付けることができる。
著者
高田 寛治 伊藤 由佳子
出版者
京都薬科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

インスリンをペプチド薬の代表として取り上げ、その経皮吸収を可能とする新規のDDSであるマイクロニードルの製剤としての可能性について研究を行った。インスリン含有マイクロニードルを調製し、-80、20および40℃で1および3ヶ月間インキュベートしたが、いずれの条件下においても約99%の残存率を示した。ヘアレスラットの皮膚にEvans Blueで着色を施したインスリン・マイクロニードルを投与した後、組織学的観察を行ったが、皮膚への障害は認められなかった。また、in vivoにおける溶出性について検討を行ったところ、低水分環境下にあるにもかかわらず投与3時間後にはほぼ溶出が完了していた。吸収率を求める目的でエリスロポエチンEPO・マイクロニードルを調製し、マウス皮膚に投与を行い、その後24時間にわたり血漿中EPO濃度を測定し、薬物動態学的解析を行ったところ、約80%のバイオアベイラビリティBA(吸収率)が得られた。他の蛋白薬への適用の可能性を探索する目的でインターフェロンおよび成長ホルモンを含有するマイクロニードルを調製してラットを用いてin vivoにおける吸収実験を行った。その結果として得られたBA値は、インターフェロンで100%超、成長ホルモンで87%という値が得られた。さらに多糖類の代表である低分子ヘパリンについてもラットにて可能性試験を行ったところ、約80%のBAが得られた。以上の薬物動態試験に引き続いて、インスリン・マイクロニードルからのインスリンの薬効薬理実験をビーグル犬を用いて行った。1頭あたりインスリンの1.0および2.0単位をマイクロニードルとして投与した後、血糖降下率を8時間にわたり測定したところ、同量のインスリン皮下注射時と同等の血糖降下率が得られた。EPOについてもラットを用いて薬効薬理試験を行ったところ、1000および2300IU/kgの投与量時に有意な循環血液中赤血球数の上昇が認められた。以上より、マイクロニードルは新規の経皮吸収DDSとして極めて有望であるとの結論に達した。
著者
小林 仁
出版者
財団法人大阪市博物館協会
雑誌
若手研究(S)
巻号頁・発行日
2007

隋唐時代の俑に関して紀年墓を中心とした出土資料の調査、撮影を実施し、豊富なデータを蓄積しながら各時代各地域の俑の特質について考察を行った。それらの資料を基に、美術史的観点から隋唐時代の俑の様式変遷と地域性の解明を行い、従来注目されることの少なかった地域の様相を明らかにするなど多くの成果を得た。さらに、陶磁史的視点から制作技法や製品の流通の問題などを明らかにし、俑研究の新たな可能性を提供することができた。
著者
竹原 広実
出版者
京都ノートルダム女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

都市部よりもより自立した生活を迫られている過疎地での農家居住者を対象として、人間工学的側面からの住宅環境の実態に関する調査を行った。結果、(1)日常生活の動線上にいくつもの段差があり、その高さも高く危険であり、そして心拍、血圧上昇に関連している。(2)住宅内は全般に暗い。日中での人工照明の点灯、照明数の増加など工夫が必要である。(3)全般的に室温は外気温の影響を大きく受けている。夏の湿度の高さは熱中症の危険もあるためエアコンの利用を啓蒙する必要がある。
著者
内田 昌功
出版者
秋田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

秦漢期から唐代にかけての都城について、主として東西軸構造に注目しながら、空間構成の変化とその意味について検討した。従来、不明な点の多かった北周の長安の空間構成を復元し、漢唐間における都城史の展開の中に位置づけ、その画期性を明らかにした。また曹魏の業や北斉の業、あるいは北魏の洛陽からの影響が重視されてきた隋唐長安の形成について、北周の長安が直接の前身であるとする理解を提示した。
著者
荻 美津夫
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

平成21年度は中国甘粛省の炳霊寺石窟、麦積山石窟等において北魏~北周時代の音楽文化資料の調査研究、韓国百済の都扶余等において音楽文化資料調査を行った。平成22年度は遼寧省瀋陽とその周辺における魏晋墓画像磚・壁画等にあらわされた音楽関係資料の調査研究、続いて吉林省集安において、中国の影響を受けた高句麗古墳群に画かれた壁画資料等による音楽関係資料について調査研究し、多くの資料を蒐集した。また韓国慶州・大邱等において、新羅関係の音楽文化の調査研究を行った。平成23年度は中国新彊ウィグル自治区亀茲のキジル(克孜爾石窟)石窟、クムトラ石窟(庫木吐拉石窟)、およびトルファン(吐魯番)のベゼクリク千仏洞(柏孜克里克千仏洞)・アスターナ古墳群(阿斯塔那古墳)等の調査を行い、多くの音楽文化関係資料を蒐集した以上3年間に中国西北部から東北部、朝鮮の旧新羅・百済の存在した地域の調査研究を行い、極めて多くの音楽文化関係資料を蒐集するなどの大きな成果を得た。
著者
正木 喜勝
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、1925年から1930年まで東京で活動した劇団「心座」の実態を、「上演」という側面から考察した。具体的には、村山知義や舟橋聖一の上演作品の再構築を実証的に行い、彼らと歌舞伎俳優が近代劇という場で接触することで、いかなる問題があらわれたのかということを考察した。同時に、当該の上演が依拠する創作理念の複合性についても明らかにした。長らく等閑に付されてきた心座をこうした文脈において「再発見」したことは、これまでの近代日本演劇研究に新しい視座をもたらすものといえる。
著者
遠西 昭壽 川上 昭吾 大高 泉 吉田 淳 平野 俊英 楠山 研 森本 弘一 磯崎 哲夫 橋本 健夫 劉 卿美 遠西 昭壽
出版者
愛知教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

アジアの中で発展が急な韓国、中国、台湾、シンガポール4ヶ国、中国については教育特区の北京、上海、香港の理科教育の実態を調査した。アジア各国は例外なく理科教育の充実に努めている。特に、韓国では英才教育院、科学英才教育院において英才教育が進められていること、シンガポールでは2007年に「シンガポール大学附属理数高校」(National University of Singapore High School of Math and Science)、理数教育に特化した高校が開校していることが特記すべきことである。コンピュータ教育の充実も盛んに行われている。特に、シンガポールでは国が力を入れ、コンピュータはインターネット、電子黒板等多面的に利用されている。いじめがあるのは日本で、韓国では問題になりつつある。その他の国ではこの問題はない。3年間の本研究で、韓国、中国(北京、上海、香港)、台湾、シンガポールの研究者との交流を深めることができ、国際シンポジウムを開催することもできて、今後の研究交流の基盤が整備されたことは、大きな成果であった。
著者
林 典生
出版者
南九州大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2008

手のひらを用いた園芸活動評価システム構築を目指すとともに、活動現場における園芸活動システム活用の可能性について検討した。その結果、園芸活動の効果を引き出すのは情報共有であることが明らかになり、園芸活動は利用者を中心として、様々な分野の人が関わるチームアプローチであり、その中でコミュニケーション、コラボレーション、コーディネーションの3つの視点が必要である。その視点がないと園芸活動評価システムを構築しても活用が難しいことが明らかになった。
著者
中道 範人
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

私は、生化学的機能が未知であったシロイヌナズナの生物時計関連タンパク質PSEUDO-RESPONSE REGULATOR9(PRR9), PRR7, PRR5の解析を行い、これらはCIRCADIAN CLOCK ASSOCIATED 1(CCA1)とLATE ELONGATED HYPOCOTYL(LHY)遺伝子への転写抑制因子として機能する事を発見した。
著者
新井 陽
出版者
弘前大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

L-dopa誘発ジスキネジア(LID)の発症機序の解明と対策の確立のため、パーキンソン病モデルラット(PDラット)とLIDモデルラット(LIDラット)の淡蒼球内節でin vivoマイクロダイアリシス法によりGABAを測定した。LIDラットではPDラットに比較して淡蒼球内節でのGABA放出が増加していることを確認した。またPDモデルの淡蒼球内節にGABAA受容体アゴニスト(muscimol)を注入することによってジスキネジアを誘発されることを確認した。さらにL-dopaを投与したLIDモデルラットの淡蒼球内節にGABAA受容体アンタゴニスト(bicuculline)を直接注入することによってジスキネジアがを抑制されることを確認した。以上の結果より淡蒼球内節へのGABA放出異常がLID発現の原因であると考えられた。
著者
丸山 良平
出版者
上越教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究は乳幼児の仲間関係に焦点化し,遊びの指導と子どもの自発的な遊びの援助プログラム作成のための準備として乳幼児の遊びと保育者援助の実態の解明を目的とした。2005年10月から2006年3月まで幼稚園3歳クラス,保育所0・1歳クラスと2歳クラスを観察した。この観察資料から作成した事例を分析し考察した。仲間関係の特徴は,0歳クラス児では親和的かかわりが期間を通して多い。1歳クラス児では当初は攻撃的関与が多いものの,冬休みを境に親和的関与が増加した。攻撃的関与は物の奪い合いが最多であるが,冬休み後は自制するようになつた。保育者援助は攻撃行動の制止が最多であるが,それによって関係修復までには至らない。2歳クラス児では仲間関係は遊びに依存していた。男女児共にいわゆる「ままごと」が多く,様々なかかわりをしていた。険悪なときユーモラスな発話をして,場の雰囲気を一変させることがあった。保育者援助では解決を急ぐあまりに不適切な指導が見られた。3歳クラス児ではごっこ遊びが主流となっていた。初期は保育者の援助がないと進展しなかったが,次第に子ども達だけでも展開するようになった。怪獣のような悪役をやる幼児が登場し対立関係のあるごっこ遊びが展開し仲間関係も深まった。保育者が遊び込めない子どもをときどき見過ごすことがあった。遊び込めない子ども達がしばしばトラブルを起こすことが示された。観察と平行して文献研究として心理学と保育指導の文献を検討し,乳幼児期の仲間関係の発達と保育者の援助のあり方をまとめた。2006年4月から2007年3月まで対象者の多くが上記と同じ幼児である幼稚園4歳クラス,保育所2歳クラスと3歳クラスを観察した。その資料は分析中で今回は成果を報告できなかったが,今後,稿を改めて報告する。
著者
山本 正信
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

人間の動作を測定しコンピュータグラフィックス上で再現するシステムは,モーションキャプチャーと呼ばれている.モーションキャプチャーは,ゲームやアニメーションなどでのキャラクタの動作生成,スポーツにおけるトレーニングの評価,リハビリテーションにおける治療の評価など広い領域で使用されている.しかし,それらの多くは人体に特殊な装置を取りつけたり,予めマーカーを貼りつけることが多く,自然な状態で人間の動作を測定することが難しい.そのため,非接触に人間の動作を測定できる装置が望まれている.本研究では,市販のビデオカメラを使用することにより,人体に接触することなく自然な動作を測定する手法を提案した.一つのカメラからでは,人体全体を観測することが難しいため,複数のカメラを使って身体動作を測定するシステムを構成した.このシステムを使って野球の投球動作のような素早い動きの測定に成功した.さらに,この測定システムの応用を試みた.一つは動作認識である.測定した人体全体の運動パラメータを動作の特徴を失うことなく2個に圧縮した.これは動作を2次元平面上に視覚化して表せることを意味し,文字認識の技法を用いて動作の認識を行うことが狩野である.実際,ラジオ体操第1に含まれる9種類の動作の認識に成功した.もう一つの応用は,パフォーマンスアニメーションである.この動作測定装置を組み込んだアニメーションシステムを構成し,代表的な演技を測定し動作データベースを作成した.動作をこのデータベースから引用することによりアニメーションを楽に作成することができる.実際,グリム童話の一つを題材に4分程度のコンピュータアニメーションを楽に作成することができる.実際,グリム童話の一つを題材に4分程度のコンピュータアニメーションを制作した.このシステムでは,キャラクタのモデルを動作の測定とアニメーションの作成に共用しているので,動作データのフォーマット変換が不要である.