著者
実松 克義
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

マヤ民族文化の世界観において最も重要な要素はマヤのカレンダー-とりわけ神聖暦-とその時間思想である。マヤの時間思想はその本質である「ナワール」にあるが、マヤ人にとって、時間とは、生命の火、エネルギー、叡智、サイクル、また歴史を意味する。時間によって世界と生命は創造され、また刷新され、絶えざる維持発展を遂げるものである。
著者
市瀬 孝道 玉利 真由美 嵐谷 奎一 吉田 安宏 野口 恵美子 岸川 禮子 吉田 誠 西川 雅高 吉田 成一 定金 香里 藤枝 重治
出版者
大分県立看護科学大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、黄砂がスギ花粉症、気管支喘息やアトピー性皮膚炎の病態を炎症性メディエータの発現を伴って増悪させることを動物実験で実証した。また黄砂が炎症誘導にあずかる転写因や遺伝子群の発現を変化させることを明らかにした。黄砂の継続的な曝露では、黄砂は一旦アレルギー気道炎症を悪化させるが、 曝露の長期化につれて TGF-β 誘導による免疫寛容が起こり、アレルギー気道炎症が減弱化することが分かった。調査研究では、黄砂飛来時に花粉症を持った人、あるいは持たない人の眼、鼻、咽頭等に影響が見られた。慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者では黄砂日と呼吸機能や症状の変化との間に関連性が見られなかった。黄砂日における来院患者には鼻炎や花粉症患者が多く、続いて気管支喘息患者で、主訴は咳が最も多く半数を超えていた。以上の結果から、 黄砂はアレルギー疾患を増悪する環境要因であることが判明した。
著者
高野 裕久 小池 英子 柳澤 利枝 井上 健一郎
出版者
京都大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2008

粒子状物質・エアロゾルやそれらに含有される化学物質の健康影響について、免疫細胞と気道上皮細胞への影響に注目し、実験的に評価した。その影響は、微小粒子・エアロゾルに含有される化学物質種により異なること、また、ベンゼン環数、官能基の有無やその種類、配置、酸化活性等が健康影響を規定する要因として重要であることも明らかにした。併せて、健康影響評価に有用なバイオマーカーを探索・同定し、健康影響発現メカニズムを分子レベルで明らかにした。

2 0 0 0 OA 摂河泉名勝

著者
池辺義象 著
出版者
金港堂
巻号頁・発行日
1903
著者
鬼界 彰夫
出版者
筑波大学現代語文化学系
雑誌
言語文化論集 (ISSN:03867765)
巻号頁・発行日
no.55, pp.57-173, 2001-02-28

本論は『確実性について』に関する一連の論考1の完結編であり、『確実性』第四部[??]300-676の思考の軌跡をたどり、そこで生み出されたものと最終到達点を明らかにしようとする。このテキストの最終の日付は ...
著者
萩尾 重樹
出版者
日本超心理学会
雑誌
日本超心理学会誌 : 超心理学研究 (ISSN:1343926X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.100-107, 1997-11-25
著者
渡邊 由紀子 冨浦 洋一 吉田 素文 岡崎 敦
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.53-62, 2011 (Released:2011-05-01)
参考文献数
7

九州大学は,2011年4月に大学院統合新領域学府ライブラリーサイエンス専攻(修士課程)を新設した。本稿では,現在,社会でどのような人材が求められているのか,そしてその認識から,どのようにカリキュラムを設計したのか等,新専攻の構想と意義を紹介する。まず,専攻設置の背景を概観し,次に,教育研究上の理念と目的を示す。続いて,養成する人材像と予想される進路について述べ,企業や図書館等を対象としたアンケート調査の結果などから,それらの人材像に対する社会的ニーズを明らかにする。最後に,人材養成のための教育課程および教員組織の編成の考え方と特色について説明する。
著者
塚越 貴之 斎藤 隆文 宮村(中村) 浩子 瀬川 大勝
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.13, pp.55-60, 2005-02-07
被引用文献数
1

本稿では,多重スケール解析としてウェーブレット変換を用いた非写実的画像生成手法を提案する.分散の異なるガウス関数の差分(Difference of Gaussian; DoG)による多重スケール解析を用いた非写実的画像生成手法が提案されている.本研究では,演算量がスケール数に比例する離散2進ウェーブレット変換を用い,従来手法に類似した画像を,より高速に生成する手法の実現を目指す.従来手法と同様に,分解した各成分の詳細度を考慮した重みを乗じ合成することで,エッジのような局所的な情報や,テクスチャのような大域的な情報を得ることができる.提案手法は,インタラクティブな処理を行うアプリケーションや動画像への応用が期待できる.This study is focused on non-photorealistic rendering (NPR) based on multi scale analysis. In the previous studies, difference of Gaussian (DoG) functions has been mainly used for multi scale analysis. Although wavelet transform is a technique for multi scale analysis, it has not been used for NPR. In this paper, therefore we propose a method of NPR with wavelet transform instead of DoG functions. Proposed method is expected interactive application and applying to video image.
著者
川野 健治 余語 琢磨
出版者
国立精神・神経センター
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2001

本研究では、高齢者介護において社会資源を導入する際の、利用者と家族による情報編集の過程の検討を通して、生活者の側から介護保険制度を吟味する。栃木県の伝統的城下町をフィールドした聞き取り調査を行なってきた。最終年度にあたる本年は、補足情報の収集、および理論的欠損事例を加え、ナラティブ・アナリシスを用いて全体的な考察を行なった。後者については、主に介護サービス提供者からより多くの支援を必要としていると思われる介護家庭の情報収集を含む。結果として、利用者と介護者による情報編集は、以下の3つのフェイズによって理解することが適切と解釈された。すなわち、(1)社会資源との相互作用、(2)個人資源との相互作用、(3)介護への意味づけ、が相互に連関しながら情報編集が進行する。例えば介護初期には、高齢者の体調の変化に応じて、まず家庭における状態の見立てと家庭の諸事情(e.g.田植え、連休など)など個人資源が考慮される。次に、社会資源としての役場、ホームドクターとの接触が起こり、そこから介護保険情報が収集され、医療措置が施される。家族は医療施設と家庭との「対比」によって要介護者の新たな側面に気づき、リハビリの様子を「観察」することで適切な介護への考え方を得る。また、病院の利用制限情報が提供され、「家庭介護信念」、また受療と帰宅の『交換性概念』(治らないと家に帰れない)を生成する。これらの介護への意味づけがさらに、社会資源、個人資源との接触に影響する。この3つのフェイズを支える資源分布は同一行政区域内においても偏りがあり、利用可能なサービス内容を限定するだけでなく、生活者の利用を動機づけるものであると考察された。したがって、生活者の介護サービス利用状況を理解し、また必要に応じて促進するためには、地域特性を考慮しつつ3つのフェイズの連鎖から情報編集過程を検討することが有効であると示唆された。
著者
岩坂 泰信 TROCHKINE Dmitri
出版者
金沢大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2003

東アジア起源の鉱物粒子、いわゆる黄砂の性状を調べる目的で2004年の3月と10月に直接観測を行った。いずれの観測においても、気球搭載の自動インパクター集塵装置(AIS)を使用したことにより黄砂発生源地域(敦煌市、中国)上空、特に自由対流圏高度に存在する大気中粒子状物質(大気エアロゾル)の採集に成功してる。このAISは大気エアロゾルをサイズ別に採集できる2段式インパクターを3個装備可能で、高度別に試料を得られるのが特徴である。これと並行し、同様の技術で地上における大気エアロゾルの採集も行った。また、AIS放球後短時間のうちに同じく気球搭載の光散乱式粒子個数濃度測定器(OPC)を打ち上げ、どの高度にどの大きさの粒子が卓越しているのか、という粒子の分布状態も調べられた。黄砂が大陸内部で発生した後、長距離輸送される過程でどのような変質をうけるのか、この問題解明には、発生源と風下地域の両地点での比較が必要である。汚染物質と黄砂の関連を調べる目的で、東アジア有数の都市域である北京市内においても係留気球を用いた観測を行っている。各地点で採集された大気エアロゾル試料は後にエネルギー分散型X線分析器(堀場、EMAX-500)搭載の走査型電子顕微鏡(日立、S-3000N)により粒子個々に観察、分析された。その結果、発生源地域上空、自由対流圏で採集された(より長距離輸送に寄与すると思われる)黄砂の粒子表面は季節を問わず「きれい」な状態にあったことがわかった。一方、風下地域で採集された黄砂の粒子表面には硫酸塩等の存在が確認されている。黄砂に含まれる硫黄の含有量が母体となる黄砂の組成、採集時の相対湿度などに依存していたことから、風下における硫酸塩の存在は粒子表面で起きる不均一反応によりSO_2が酸化され、生成した結果であると指摘した。以上の結果は学術雑誌に投稿準備中である。
著者
釘貫 亨
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

形容詞は名詞修飾に主たる機能を持つ。形容詞に限らず、名詞を状態的に修飾する揚合は形容詞的用法である。動詞の形容詞的用法には「流れる水」のような現在分詞的なものと「忘れられた事実」のような過去分詞的なものとがある。このうち前者の用法は、奈良時代から自動詞を資源として発達したが、後者は日本語独自のヴォイスの仕組みと受け身文の特徴が干渉して、成立が大幅に遅れた。本研究では、「失われた時間」「破られた記録」のような、他動詞を資源とし、これに受け身助辞が接続して自動詞に転換する過去分詞的用法の歴史的成立を通史的に解明した。かかる観点での研究は従来になかったものである。「他動詞・受け身・過去(タル)・名詞」の連接は、助辞ユ・ラユが未発達だった奈良時代に存在せず、ル・ラル成立後の平安時代に成立したが、文脈から自立した「忘れられた事実」のような形容詞的用法は成立しなかった。本研究ではその成立が近世期に下ることを明らかにしたが、それでも伝統的受け身文が干渉して「離縁された嫁」のような迷惑文の枠組みの中での成立であった。迷惑と無関係な「開かれた社会」のような広い用法を確立するのが明治期の欧文翻訳における過去分詞による名詞修飾の翻訳を通じてであったことを最終的に証明した。かかる観点からの研究は、従来に存在しない。