著者
山本 順寛 加柴 美里 吉村 眞一
出版者
東京工科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

代表者らはサポシンBがCoQ10結合蛋白質であることを報告してきた.サポシンB前駆体タンパク質プロサポシンのノックアウトマウスでは,CoQ投与食添加後の血漿中や臓器中の外因性CoQ量が低下し,外因性のCoQがミトコンドリアに到達しないことを見出した.ヒト肝がん由来HepG2細胞のプロサポシン発現量改変株解析の結果,高発現株ではCoQ10量が増加し,ノックダウン株では減少することを見出した.以上の知見から,サポシン類は,CoQ10量の維持に必須のタンパク質であると考えられた.
著者
加藤 直樹 村瀬 康一郎 益子 典文 松原 正也 伊藤 宗親 興戸 律子
出版者
岐阜大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

情報通信手段を活用した学校改善のための課題解決方略を,高等教育の取組を事例として検討し,より一般的な教育改善に対する教育経営工学の枠組みを検討した。このために,高等教育の取組として,岐阜大学の教育経営戦略について新たに調査分析を行い,学校教育でのこれまでの調査結果と比較検討して,教育改善を効果的に推進するための方略を検討した。具体的には,以下のように実施した。(1)高等教育における情報通信手段を活用した戦略的な取り組みについての調査分析とくに,教育改善の視点から導入された情報通信手段を中核にして検討し,学生や教員等の意識の変容等についての調査を試み,とくに学生からの取組期待が高く,指導者側の意識改革が肝要となることを指摘した。(2)教育課題に対して,情報通信手段に対する利用実態と期待の分析高等教育での取組は,組織的な教育改善と情報通信手段の位置づけ,及び具体的な方略を分析し,総合的な教育改善を支援するシステムとしての重要性が増していることがしてきされた。さらに,学校教育への適用の可能性について検討し,過去の取組経緯と照らしてCMIの取組を近年の情報通信技術の進展に対応させて検討する枠組みの構成が重要となることを示した。(3)情報通信手段の活用による教育改善の方略のための経営的モデルの検討情報通信手段は,情報共有,組織構成員及び関係者のコミュニケーションなどを支援する手法として活用されるが,学校教育における従来からの取組は基本的な枠組に大きな変化はないことから,過去の事例を「課題解決型の学校経営に関する教育工学的アプローチの開発」として研究資料に整理した。
著者
佐藤 雄一
出版者
延喜式研究会
雑誌
延喜式研究 (ISSN:09161392)
巻号頁・発行日
no.26, pp.63-88, 2010-03
著者
Fujita Hajime
出版者
公益社団法人日本工学教育協会
雑誌
JSEE annual conference international session proceedings
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.66-71, 2006-07-29

The economic depression during the last decade of the 20th century caused various drastic changes in the social structure, including employment and educational systems. Japanese universities have devoted much effort to research activity and the development of teaching methodology for engineering education was not a major effort for professors. Decrease of 18 years old population, however, forced universities to change this attitude. University education is no more for only elite but is becoming very popular among young people. Another impact came from the 'globalization' of industrial societies such as establishment of WTO and APEC. Japan Accreditation Board for Engineering Education (JABEE) was established to cope with both domestic and international problems in 1999, and JABEE was admitted as a full signatory member of the Washington Accord in 2005. The Professional Engineer Law was amended linked with JABEE. The importance of engineering ethics has been recognized with these social structure changes. This paper describes the problems now Japanese engineering education is facing and the role of Japanese Society for Engineering Education (JSEE) in order to reorganize the engineering education in Japan.
著者
中沢 哲
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
教育哲学研究 (ISSN:03873153)
巻号頁・発行日
vol.83, pp.60-75, 2000

Der Zweck dieses Aufsatzes ist Kants Methodenlehre der moralischen Erziehung zurekonstruieren, indem der Vf. Kants Denkart einer Methode der moralischen Erziehung im Zusammenhang mit der Denkart der Beziehung zwischen "dem naturlichen gesunden Verstande" und dem Begriff des guten Willens in der Grundlegung zur Metaphysik der Sitten betrachtet, urn dadurch Kants Absicht in der Methodenlehre zu klären.<BR>Die moralische Erkenntniskraft des Schülers ist die "gemeine Menschenvernunft". Kant schlagt ein "Bruchstiick eines moralischen Katechismus" als Methode der moralischen Erziehung vor (Metaphysik der Sitten). Dieser sokratische Katechismus wird aus der gemeinen Menschenvernunft im Kind entwickelt. Der Schiüler antwortet mit seinem guten Verstand. Dadurch wird der Schiüler sich "eines solchen guten und tätigen Willens" bewußt.<BR>Die gemeine Menschenvernunft ist der Ausgangspunkt der Entwicklung der Moralphilosophie in der GMS. Kant behauptet, daß der Begriff des guten Willens dem natürlichen gesunden Verstand (der gemeinen Menschenvernuft) beiwohne. Dieser Begriff ist aber bei ihm nicht klar. Kant hat ihn in der GMS geklärt. Das Urteil der gemeinen Menschenvernuft hat seinen Ursprung im Wollen des guten Willens.<BR>Das moralische Prinzip für den Lehrer, der in der moralischen Erziehung "sokratisch zu katechisieren versucht", ist die "dunkel gedachte Metaphysik", d. h. der Begriff des guten Willens. Der Schüer wird durch die moralische Erkenntnistatätigkeit sich des eigenen Wollens des guten Willens klar bewußt. Die Denkart der Beziehung zwischen "dem natürlichen gesunden Verstande" und dem Begriff des guten Willens in der <I>GMS</I> entspricht Kants Denkart in der Methodenlehre der moralischen Erziehung. Das moralische Urteil des Kindes hat seinen Ursprung im eigenen moralischen Wollen. Es ist der erste Schritt zu einer "Revolution in der Gesinnung", sich dieses Wollens bewußt zu sein.
著者
大関 達也
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
教育哲学研究 (ISSN:03873153)
巻号頁・発行日
vol.86, pp.1-16,69, 2002

Die Erfahrung der Differenz und der Heterogenität, die im philosophischen Postmodernismus zur epistemologischen Grundaussage vom "Ende der großen Erzählungen" komprimiert worden ist, zwingt zur kritischen Revision der humanistischen Bildung. Im 34. Salzburger Symposion (1999) ist die Frage aufgeworfen worden, wie unter der Voraussetzung von Pluralität und Relativität der Welten der Bildungsbegriff neu bestimmt werden kann. S. Hellekamps reformulierte anhand von H.-G. Gadamers >Wahrheit und Methode< den Bildungsbegriff als das Gespräch in pluralen Sinnwelten. Aber in dieser Bestimmung sollte die Frage nach der praktischen Vernunft und der Urteilskraft, die m.E. auch unter den Bedingungen der Postmoderne unvermeidbar ist, gestellt werden. In diesem Aufsatz werde ich versuchen, die von Hellekamps neu formulierte These über Bildung zu überprüfen. Dazu werde ich H.-G. Gadamers Kritik an der Aufklärung und seine Erorterungen über die humanistische Tradition rekonstruieren.<BR>Gadamers Kritik an der Aufklärung bedeutet, daß ihr unkritisches Vertrauen auf die Technik die menschliche Urteilskraft und die praktische Vernunft in unserer Zeit lähmt. Aber es kam ihm jedoch auf die Idee der Aufklärung an, auf das Selberdenken und die Bildung der Urteilskraft. Diese Idee ist als die Rhetorik, mit der Gadamer die Redekunst im sozial politischen Bereich meint, konkretisiert worden. Für Gadamer war es wichtig, etwas Abstand vom technischen Denken zu gewinnen, dem ein Vergessen der menschlichen Endlichkeit zugrunde lag, urn die rhetorische Tugend des Aufeinander-Horen-Konnens wieder zu Ehren zu bringen. Daraus kann geschlossen werden, daß das allgemein bereits bekannte Verständnis von Gadamer als dem Vertreter der Gegenaufklärung revidiert werden sollte und daß es sich bei der als Gespräch verstandenen Bildung urn die Idee der Aufklärung handelt.
著者
森野 聡子
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

同じケルト諸語地域であっても,民衆の口承文化に民族的ルーツを求めるスコットランドやアイルランドとは対照的に,宮廷詩と写本文化を文学的規規範としたウェールズで散文説話マビノーギオンが国文学として正典化される過程を調査し,ウェールズ国文学観の変遷とその背景にある我々意識について考察した.その結果,アーサー王ロマンスに代表されるヨーロッパ文芸の祖,原ヨーロッパの神話としてマビノーギオンを定義するウェールズ知識層のアイデンティティ・ポリティクスが検証された.ローマの書記文化の洗礼を受け,イングランドとも接触の多いウェールズのナショナリズムが,他のケルト地域とは異なる表出を見たことが確認された.
著者
小林 恒夫
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

3カ年の研究をまとめると以下のようになる。モチ米の生産面では、これまでのモチ米の主産地は大きく変化し、今日でも変動過程にあるが、大きく整理するならば、1960年代までは、北関東が最大のモチ米産地であり、そこでは主として陸稲モチ米が栽培されていた。もう1つの産地は古くから稲作産地であった新潟県であった。しかし、米過剰・稲作生産調整が開始される1970年代以降、陸稲モチ米産地であった北関東の産地は大きく後退した。それに対し、新たな産地として北海道と佐賀県が台頭してきた。そして今日、北海道、佐賀県及び新潟県が三大産地となっている。しかし近年、岩手県が生産量では新潟県を上回るに至り、また熊本県の生産量が新潟県に接近してきているという新しい状況も生まれてきており、モチ米主産地は常に変動のさなかにおかれている。加工面で見ると、モチ米の二大加工用途は米菓と包装餅であり、その業界は共に新潟県に集中している。うち、米菓は、亀田製菓によるガリバー型寡占構造を、包装餅は佐藤食品による同様の構造が形成されている。ただ、包装餅は農家グループや米屋による加工・販売も広範に見られ、直売所の増加等と結びついているという特徴が見られる。こうして、包装餅の市場構造は、いわば二重構造を呈している。流通面では、上記の北海道産モチ米は主として東日本へ、佐賀県産モチ米は主として西日本中心に流通している。一方、加工品の米菓は全国流通を基本としているが、包装餅には一定の棲み分けが存在している。消費面では、食の多様化の中で、米菓はスナック食品に押され、包装餅の消費も減少傾向にある。また、見過ごせない状況として、1993年米凶作を契機とするモチ粉調整品や米菓の輸入量増加、95年からのミニマムアクセス米の受け入れに伴うモチ米の輸入量の増加によって、モチ米も輸入物との競争が激化し、我が国のモチ米市場はますます激変する時代へと突入している。
著者
門脇 基二 藤村 忍
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

A.オートファジーに対するアミノ酸のシグナリング機構の解析1)アミノ酸シグナルのターゲットとしてのLC3の解析:肝細胞でオートファジー開始段階のマーカータンパク質であるLC3の不活性型(I型、遊離型)から活性型(II型、膜結合型)への変換がアミノ酸の刺激に応じて抑制的に制御することが示され、アミノ酸作用のターゲットがオートファゴソーム上のこの分子であることが証明された。細胞内分画をしたところ、細胞質画分にもII型の存在が認められた。この予想外の結果を追求したところ、Phase Partition法および特異的な酵素Atg4B法によるLC3のlipidationを検討したところ、いずれも否定的な結果となり、この細胞質に存在するLC3-II(LC3-Ils)は通常のもの(LC3-IIm)とは違う新しい型であると結論した。B.食品成分によるオートファジーの調節1)ビタミンCのオートファジー活性化機構アスコルビン酸(AsA)のオートファジー促進作用はアミノ酸の共存下でのみ証明された。その作用機構として、デヒドロアスコルビン酸(酸化型)も同様に効果を示したことから、その還元性は直接関与しない可能性が示された。また、AsA合成不能のODSラット肝細胞を用いて、細胞内AsAをゼロにした状態でも細胞外AsAはオートファジー促進能を維持し、またAsAの細胞内への特異的輸送を阻害してもその促進能は影響しなかったことから、AsAは細胞外から作用している可能性が示された。2)抗酸化剤とオートファジーの関係AsAとともにビタミンEも促進能を示したが、アミノ酸の共存は影響せず、両者の作用は異なることが示された。上記のAsAの結果から、単純に抗酸化性が有効であるとは考えられなくなった。さらに茶成分であるEpigallocatechin gallateにもこの促進能が認められ、広汎な食品成分にオートファジーの制御物質が存在することが強く示唆された。
著者
田中 雄次 加藤 幹郎
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

1.本研究の目的:1919年-1933年におけるワイマール期のドイツ国民映画の変容と展開を、主要な作品の分析とともにハリウッドとの関係において検討することであった。2.実施した研究計画の概要(1)2006年および2007年の7月に研究代表者と研究分担者が、熊本大学においてそれぞれの年度の研究に関して事前調査の打ち合わせを行った。(2)研究代表者は、2006年度及び2007年度の8月下旬から9月上旬にかけてドイツのフランクフルト映画博物館及びベルリンの映画博物館において学芸員の協力を得て、主要な研究対象であるワイマール中期(1924-1927)の映画作品に関する資料収集を行った。研究分担者は、おもに東京国立近代美術館フィルムセンターとアテネフランセにおいて、フィルムセンター研究員の板倉史明氏の協力を得てワイマール後期(1928-1933)の映画研究を行った。(3)研究代表者は、2007年12月1日(土)に開催された第3回日本映画学会(於:京都大学)において、「ドイツ国民映画の典型としての『ニーベルンゲン』(1922-1924)」の講演を行った。3.研究の意義とその重要性:研究代表者は2008年3月に『ワイマール映画研究-ドイツ国民映画の展開と変容』(熊本出版文化会館)を出版した。本書は、日本におけるワイマール映画に関する本格的な研究であり、今後の研究の基本図書になりうると確信している。
著者
森 和憲 南 貴之 東田 洋次 村上 純一 小野 安季良 長岡 史郎 高吉 清文
出版者
詫間電波工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

平成17年度、18年度の開発と実践により完成されたビデオ教材、練習問題を一つのパッケージとして、教材化し、DVDおよびインターネットを通じて配布した。作成された教材は以下の通りである。(1):情報通信工学、電子工学、電子制御工学、情報工学、数学、物理学に関するビデオ教材それぞれ5タイトル、計30タイトル(2):各ビデオに登場する新出・重要英単語の学習教材、内容に関する質問、および重要文法項目・英語表現を理解する教材(3):(1)および(2)を通常の授業で指導できるようにしたパワーポイントのスライドセット(4):(1)および(2)をインターネット上で学習できるようにしたウェブサイトの公開当研究の研究成果は全国高等専門学校英語教育学会等の学会で発表され、査読つき論文は『高専教育』第31号に採用された。さらに、勤務校と提携しているDONYANG TECHNICAL COLLEGEの取り計らいにより、韓国最大の電子機器の国際見本市の一つであるKorean Electronic Show 2007で研究成果の一部を展示・発表することが出来、おおむね好評を得た。
著者
醍醐 市朗 五十嵐 佑馬 松野 泰也 足立 芳寛
出版者
社団法人日本鉄鋼協会
雑誌
鐵と鋼 : 日本鐡鋼協會々誌 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.93, no.1, pp.66-70, 2007-01-01
被引用文献数
2 17

During the last two decades, the total material input in Japan has been about 2 billion tons, and approximately 50%, i.e., about 1 billion tons has accumulated as the net addition to stock in the form of buildings, social infrastructure, and various kinds of products. The amount of the net addition to stock is calculated annually from the differential between the input and the output. Therefore, the contents of the accumulated stock are unknown. It is said that these unknown contents include material that has already been discarded as invisible waste. In this study, dynamic material flow analysis was conducted to quantify the amount of stock that is not associated with social activities and cannot possibly be collected as scrap in the future. First, we defined some terms: in-use stock, hibernating stock, and overall stock. Hibernating stock comprises the steel used for the constructional material of land fill site, the steel dissipated by corrosion and erosion, etc. Furthermore, we defined the system boundary to account for the steel stock and constructed equations to calculate the three types of stock. To calculate the amount of in-use stock, a dynamic model-the population balance model-was adopted. The amounts of in-use stock and hibernating stock in Japan from 1980 to 2000 were calculated. The result shows that 0.96 billion tons of the in-use stock is included in the 1.22 billion tons of overall stock in the year 2000.
著者
菊地 夏野
出版者
名古屋市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

外国籍(フィリピン)女性の当事者コミュニテイ活動について継続的にフィールドワーク調査を行った。必要に応じてインタビュー調査を行い、当事者の経歴、ライフコースや意識を探った。とくに、当事者たちの法廷闘争に着目し、画期的な判決を出した国籍法改正裁判について調査した。当事者(原告の母)たちのインタビュー調査と、支援団体(NGO)のインタビュー調査を行い、裁判の経緯を調べた。その上で、この闘争が持った社会的意義を考察した。
著者
安松 みゆき
出版者
別府大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、ドイツ第三帝国時において日本美術がどのように受容されたのか、その展開を考察するものである。近代のドイツにおいて最も日本と緊密な関係を保持したのは、日本と同盟を結んだドイツ第三帝国の時期であった。この時期にドイツは美術や文化を政治戦略に組み入れており、第一次大戦時には帝国であった日本のイメージを変えるためにも日本美術もその戦略と無関係ではなかったはずだが、そうした問題意識が従来認められず、研究にはいたっていなかった。本考察では、特に政治戦略の問題に焦点をあてて検討をすすめた。その結果は、学術雑誌にまとめているように、つぎのような内容となった。第一に、1939年に日本美術受容の最大のイベントとなったベルリンでの日本古美術展覧会が開催されたのち、ドイツでは、民衆をキーワードとして、美術をとおした交流でなく、映画などの文化という、より幅の広い分野において日本との密接な関係を保持していったことが、ドイツの美術史家ルムプフと日独文化協会の活動によって明らかになった。第二に、文化協定の下で開催された展覧会の再考をとおして、美術品が政治性を担うことでその意味と質を変えていくことを確認し得た。その際に、展覧会が政治性を強く帯びるのは、ドイツ政府が後援となったときよりも、ドイツの宣伝省がかかわった例であったことが把握できた。第三に、第三帝国時の主要都市であるベルリンとミュンヒェンの文化的歴史をふまえて考察することから、日本美術がベルリンでは美術史家の中心的活動によって、西洋美術と同等の価値を与えられて理解されたのに対して、ミュンヒェンでは、美術をも包括する民族学の文脈で把握されていたことを確認し得た。第四に、日本美術を、西洋美術と同等のレヴェルで評価した研究は、ユダヤ人の日本美術研究者の成果に多くを追うことを理解した。第四に、新たに入手した映像資料をとおして、メディアを活用して日本美術が政治的に利用されたことを確認した。
著者
小林 誠 日笠 健一 萩原 薫 湯川 哲之 清水 韶光 菅原 寛孝 大川 正典
出版者
高エネルギー物理学研究所
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986

トリスタン加速器による電子・陽電子衝突実験は昭和62年度より本格化した. 昭和62年中に, ビームエネルギー25.0, 26.0, 27.5GeVでの実験を終え, 28.0GeVでの実験が進行中である.こうした状況のもとで, 本課題ではトリスタン・エネルギー領域での現象論を種々の観点から行ったが, 特に輻射補正と超対称性理論に基づく現象論に力点を置いた.輻射補正では, 電子・陽電子衝突における軽粒子対生成, 光子対生成, トップ・クォーク対生成, ジェット生成などの過程に対する補正の計算を行ったほか, ニュートリノの種類数を調べるのに有効なニュートリノ対+光子の過程に対する補正の計算を行った. これによって, トリスタンにおける基本的な過程の輻射補正の計算は一応完成した.またこの研究の一環としてファイマン図の計算機による自動生成, 自動計算の開発を行った.超対称理論の関連では, トリスタンにおいて超対称性を検証する可能性について種々の検討を行った. 超重力理論ではスカラー・トップが特別に軽く, トリスタン領域に存在する可能性が指摘されている. 従ってその性質を調べることは重要であるが, 本課題では軽いスカラー・トップ・クォークの崩壊幅の計算を行い, その結果, 従来のスカラー・トップの崩壊幅の計算にはいくつかの重要な見落としがあることが判明した. そのほか, 超強理論から予想される新しいタイプの相互作用の検証の可能性について検討を行った. また陽子・反陽子衝突器による実験との関連を調べた.
著者
宮本 貴宣 浜本 義彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学
巻号頁・発行日
vol.98, no.204, pp.71-78, 1998-07-24

統計的パターン認識の特徴抽出系の一つに, 正規直交判別ベクトル法がある.次元数に対する訓練サンプル数の比が小さいという現実的状況下では, クラス内共分散行列の推定誤差が大きくなり, 場合によっては逆行列が存在しないこともありえる.そこで, 本論文では, テプリッツ法, 正則化法という二種類のクラス内共分散行列の推定法を用いることで, 正規直交判別ベクトル法の改善を試みる.