著者
渥美 亮 鈴木 亘 吉田 伸子 伯水 英夫
出版者
The Japanese Society for the Study of Xenobiotics
雑誌
薬物動態 (ISSN:09161139)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.209-216, 1990 (Released:2007-03-29)
参考文献数
13

To examine the drug interaction between LC9018 and tegafur, the tegafur was administered to LC9018 treated or control mice and plasma concentrations of tegafur and its active metabolite, 5-fluorouracil (5-FU) were monitored.1. In 300μg LC9018/animal (intravenous, i.v.) treated group, the maximum plasma level(Cmax) of 5-FU and the area under the curve (AUC)decreased to 43% and 64% of control values, respectively. On the other hand, no change was observed in tegafur level, suggesting that LC9018 inhibited the conversion of tegafur to 5-FU at this dose.2. In 300μg LC9018/animal (intrapleural, i. pl.) treated group, 5-FU level decreased to 55% of the control at 30min after administration. But the influence on the metabolism of tegafur was smaller compared to the intravenous treatment of LC9018.3. In 180μg/animal (i.v.), 150μg/animal (i.pl.) and 300μg LC9018/animal (subcutanous, s.c.) treated groups, both tegafur and 5-FU level did not alter compared to the control.4. From above results, influence of LC9018 on the metabolism of tegafur depends on the dose and the administration route (i.v.> i.pl.> s.c.). It is considered that LC9018 slightly affects the metabolism of tegafur at clinical dose (200μg/animal i.pl.).
著者
小野 三嗣 渡辺 雅之 長尾 憲樹 池田 道明 山本 隆宣 小野寺 昇 田中 弘之 原 英喜 湊 久美子 大橋 道雄
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.191-204, 1980-12-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
48

低糖高蛋高脂食をあたえた青年健康男子5名に20km走を行わせ, それが血圧, 心拍数, 体重, 皮脂厚, 血液成分, 尿所見の経過に如何に反映するかを見ると共に, タウリン投与がそれをどのように変動させるかを二重盲検法によって研究し, 概ね次のような所見を得た。1) 20km走による体重減少度はタウリン投与時の方がプラセボ投与時より多かった。2) 20km走による最大血圧上昇度はタウリン投与時の方がプラセボ投与時より少なかった。3) 20km走後に上昇してくるCK-MB/CK比はタウリン投与によって減少させることができた。4) 20km走によるLDHの増加率はプラセボ投与時よりタウリン投与時の方が小さい。5) プラセボ投与時には20km走によってトリグリセライドが上昇したが, タウリン投与時には減少した。6) タウリン投与は20km走による個々の脂肪酸構成比に大きな影響をあたえる。7) 20km走によるアドレナリン値はタウリン投与時の方が大きい。8) その他の血液成分や尿中カリクレインに対しては有意の変動が見られなかった。
著者
梶原 太一
出版者
日本会計教育学会
雑誌
会計教育研究 (ISSN:21885575)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.11_7-11_16, 2023-06-01 (Released:2023-07-12)
参考文献数
8

本稿は,遠隔授業時代の大学会計教育の担当者がどのような課題や変化に直面しているのかを解明するために,質問票調査を実施し,回答結果に見られる傾向を考察する。特に,会計教育の内容・方法・目標の変化,遠隔授業への対応と評価,遠隔授業と学習者中心の教育パラダイムの関係等を検証する。会計教育の内容・方法・目標に関する先行調査との比較では,遠隔以前と同様の傾向が観察され,遠隔授業時代にあっても不変の会計教育の本質の一端が示された。教授法の違いに注目すると,学習者同士の協調的な学習を志向する場合ほど,教員の感じる遠隔授業のつらさが高まり,対面授業を希求する兆候が示された。遠隔の弱点には,学生間や教員との交流の制限,教員による学生の反応や理解度の把握の困難,とする回答が多く寄せられた。遠隔でのフィードバック機能を兼ね備えた新しいテクノロジー等でこの弱みを克服できれば,遠隔授業の可能性は拡大する。
著者
大崎 詩生
出版者
跡見学園女子大学附属心理教育相談所
雑誌
跡見学園女子大学附属心理教育相談所紀要 (ISSN:21867291)
巻号頁・発行日
no.19, pp.3-12, 2023-03

女子大学生における就職活動は,先行研究から,精神的健康やストレス反応において男子学生との間に差が認められることが示唆されている。本研究は,女子大学生の就職活動において,彼女らの持つ性役割態度がどのように就職活動ストレスに機能しているのかについて検討することを目的として質問紙調査を行った。 調査対象者は関東圏内の4年制女子大学に通う大学3・4年生209名であった。質問紙の構成は,(1)属性と就職に関する質問,(2)就職活動ストレス尺度(就職活動を経験した者のみ回答),(3)平等主義的性役割態度スケール短縮版(A short-form of the Scale of Egalitarian Sex Role Attitudes : SESRA-S)(点数が高いほど性役割の平等志向性が高い),(4)自尊感情尺度よりなる。209名のうち,就活群(就職活動を経験した群)117名,非就活群(就職活動を経験していない群)92名に分類した。 2群の比較では,就活群は非就活群よりも自尊感情が有意に高かった。就活群においての検討では,就職活動ストレスに対する性役割態度の調整変数としての機能を検討するために階層的重回帰分析を行った。就職活動ストレスに対し性役割態度と自尊感情は負の影響が認められた。重決定係数の変化量が有意であり,SESRA-Sと自尊感情の交互作用項における標準偏回帰係数も有意傾向を示したため,SESRA-Sと自尊感情の交互作用における単純傾斜検定を行った。 この結果から,性役割態度と自尊感情の高さは,就職活動ストレスを低くすることが示された。さらに,性役割態度が低い場合であっても,自尊感情が高ければ,就職活動ストレスをより軽減する可能性が示唆された。就職活動を行う女子大学生の心理的健康のためには,平等志向的な性役割意識をもつこと,自尊感情を高めることにより意識を向けるべきであろう。
著者
山矢 和輝
出版者
日本会計教育学会
雑誌
会計教育研究 (ISSN:21885575)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.11_73-11_81, 2023-06-01 (Released:2023-07-12)
参考文献数
23

本研究は,BIシステムを大規模データの管理・分析・報告を行うための情報システムと位置づけ,米国におけるCPA進化モデルカリキュラムとBI教育事例を参照の上,Microsoft社のPower BIを用いた会計データ分析教育を設計・試行した。講義後に実施したアンケートを通じて,学生がBIシステムの各機能に肯定的な印象を形成しており,BIを用いることで大規模な会計データの分析効果が高まる可能性が示された。また事前学習・インストール環境・アプリケーション選定に関する課題を認識した。
著者
副島 健治
出版者
富山大学留学生センター
雑誌
富山大学留学生センター紀要 (ISSN:13472739)
巻号頁・発行日
no.12, pp.9-16, 2013-09

独立行政法人北方領土問題対策協会は,1998 年より「北方領土」に日本語講師を派遣し日本語コースを開いてきた。これまでのべ3000 人以上の現地のロシア人住民が日本語を学んだ。2011 年からこの事業のための教科書開発の検討会が設けられ教科書の開発に取り組んでいる。「北方領土」という特殊な地で実施される日本語教育のための日本語教材であり,教材開発は諸所において色々な配慮のもとに具現化されていった。その特徴は,「ビザなし交流」の場面を意識したダイアローグを「小会話」として積み重ねる,キリル文字による日本語表記,日本語には適宜ロシア語訳を付ける,必要な説明や解説はすべてロシア語で行う,などである。この日本語コースは「ビザなし交流」の一環として,北方領土問題の解決に寄与するために行われている事業であり、何よりも教師と学習者がお互いの立場を理解し敬愛し合い,人と人とのしっかりした信頼関係が構築されていることが重要である。
著者
庵 功雄
出版者
日本のローマ字社
雑誌
Romazi no Nippon
巻号頁・発行日
no.663, pp.1-7, 2013-01-01
著者
斎藤 洋
出版者
人間福祉学会
雑誌
人間福祉学会誌 (ISSN:13465821)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.103-106, 2023 (Released:2023-07-14)

本研究の目的は、リアリティショック(以下「RS」と表記)に関する過去の文献を概観し、介護職員を対象とした RS の構造と軽減・回避策を文献調査より明らかにし、今後の研究の必要性とその意義を検討することである。組織行動論研究や看護学領域と比較して介護分野の RS に関する先行研究は少なく、そのほとんどが、介護を学ぶ学生が実習時に経験した RS に焦点をあてたものだった。そこで、介護分野の先行研究に加えて組織行動論研究および看護学の RS に関する文献研究を行った。その結果、まだ明らかにされていない介護職の RS の構造を分析し、職場でのソーシャルサポートがRSの回避・軽減にどのように影響しているのかを検討することが必要だと結論付けた。
著者
丹治 史弥 鍋倉 賢治
出版者
日本コーチング学会
雑誌
コーチング学研究 (ISSN:21851646)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.79-88, 2018-10-20 (Released:2019-09-02)
参考文献数
27

We aim to clarify relationships between longitudinal changes in aerobic and anaerobic energy metabolism capacities and training in well-trained 800-m runners, and to identify strategies for effective 800-m training. Eight male middle-distance runners (800-m seasonal best time, 1′53″7±1″6) participated. Their 800-m running performances were set the best competition time in April-June and July-November, and calculated average running velocity. Three running tests on a treadmill were conducted to determine aerobic (maximal oxygen uptake [VO2max], lactate threshold [LT] and running economy [RE]) and anaerobic (maximal accumulated oxygen deficit [MAOD] and maximal blood lactate accumulation [LAmax]) energy metabolism capacities in July and November. Δ (%) represents changes in 800-m running performance and aerobic and anaerobic energy metabolism capacities. Training during this period was used to evaluate length of training time, and training ratio by three intensities; below the LT (zone 1), at or above the LT and below the VO2 max (zone 2) and at or above the VO2max (zone 3). Δ800-m running performance showed a positive tendency relationship with ΔRE and ΔLAmax ( r=0.67 and 0.70, respectively), and a negative tendency relationship with zone 1 training ratio (r=-0.70). Further, ΔRE and ΔLAmax were negatively associated with zone 1 training ratio (r=-0.90 and -0.79, respectively), and positive associated with zone 3 training ratio (r=0.79 and 0.75, respectively). Thus, improved RE and/or LAmax may improve 800-m running performance, and increasing high-intensity (>VO2max) training during a competitive period can improve these energy metabolism capacities.
著者
李 長莉
出版者
愛知大学東亜同文書院大学記念センター
雑誌
同文書院記念報 (ISSN:21887950)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.7-16, 2016-03-31

佃隆一郎訳特集「近代日中関係史の中のアジア主義—東亜同文書院と東亜同文会—」
著者
小嶋 玲子
出版者
桜花学園大学保育学部
雑誌
桜花学園大学保育学部研究紀要 = BULLETIN OF SCHOOL OF EARLY CHILDHOOD EDUCATION AND CARE OHKAGAKUEN UNIVERSITY (ISSN:13483641)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.65-77, 2017-10-31

日本語の自称詞は「人間関係の上下の分極に基づいた具体的な役割の確認とつながっている」(鈴木1973)と言われ、日本語でどの自称詞を使用するかは、使用する人間の対人関係を示す指標となる可能性がある。よって、女子大学生の対人関係の取り方や自己意識を考える一つの指標として、女子大学生の自称詞の使用の2001年と2011年のデータを比較し、10年間での使用の変化について論じた。2011年は2001年に比べて、複数の自称詞を使用している女子大学生の数が増加している。個人内での使用頻度の高い自称詞の10年間の変化としては、「わたし」の使用の減少、「うち」の使用の増加が認められた。「先生」「友人」「親」「きょうだい」の4場面での自称詞の使い分けの調査から、2001年より2011年の方がより頻繁に、女子大学生が場面によって複数の自称詞を使い分けている姿が明らかになった。自称詞使用の選択においては、上下関係よりも親疎関係を基準にしている可能性、及び、使用する自称詞により自身のアイデンティティの表明の可能性が示唆された。
著者
眞鍋 督 谷口 義明 井口 信和
雑誌
情報処理学会論文誌デジタルプラクティス(DP) (ISSN:24356484)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.22-32, 2023-07-15

本研究では,クラウド環境を標的とするDDoS攻撃の対策演習を実施できる環境の提供を目的としてDDoS攻撃の対策訓練システムを開発した.本システムは,Infrastructure as a Serviceにおいて最も採用されているAmazon Web Serviceを用いた演習が可能である.また,高度化するDDoS攻撃にも対応できる力を身につけるために,対策手法に加えて攻撃手法に関する演習も実施できる.本システムによる演習を通して,クラウド環境を狙ったDDoS攻撃の対策手法に関する理解と知識の定着が期待できる.実験協力者20名を対象に実施した評価実験の結果,本システムを利用する学習が座学と比較して有効であることを確認した.
著者
鈴木 栄之心
出版者
会計検査院
雑誌
会計検査研究 (ISSN:0915521X)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.33-50, 2022-03-22 (Released:2022-03-22)
参考文献数
18

本稿の目的は,公的介護保険制度が施行された2000 年から2014 年までの15 年間を対象として,介護保険料の設定における市町村行動と調整交付金の財政調整効果を検証することにある。 調整交付金は標準給付費の5%を総額として交付されるが,次期保険料の設定では,その他の各要素と同様に市町村の裁量によって決定されるため,調整交付金の目的どおりに市町村間の保険料格差が是正されるとは限らない。また,調整交付金の総額を標準給付費の5%とした特段の根拠は無く,これによって保険料格差が是正されるとは限らない。 そこで本稿では,まず,2 県47 市町村に対するヒアリング調査を実施して,保険料設定に係る市町村の裁量とそれに対する国や県のコントロールの成否を把握した。次に,調整交付金自体の財政調整効果を検証し,最後に,調整交付金による財政調整に市町村行動を加味した保険料格差を検証した。 ヒアリング調査の結果,市町村の裁量のうち保険料水準への影響が最も大きいのは準備基金取崩し額の調整であった。国や県は最低ラインを示しながら,可能な限り全額取崩すよう指導・助言を行っていたが,市町村のコントロールに必ずしも成功しておらず,当初の取崩し額を維持する市町村も散見された。 検証に当たっては,保険料概念を6 種類に整理した。そのうえで,厚生労働省およびすべての都道府県に対して情報公開請求を行い,過去15 年間のすべての市町村別保険財政データを収集して,「介護保険財政データベース」を独自に構築した。 検証の結果,調整交付金は市町村間の介護給付水準に係る格差是正に寄与しており,財政調整効果が制度施行当初から徐々に強化されていた。また,市町村の準備基金取崩しは,市町村間の保険料格差を拡大させていたほか,国の調整交付金による格差是正を阻害していた。 このような事態が起こる原因は,現状の制度設計が,保険料収入の剰余金を次期保険料の抑制に活用できるようになっていることにある。仮にすべての剰余金を当期計画期間において被保険者に還元する制度設計となっていれば,少なくとも市町村の準備基金取崩し額の調整について,国や県のコントロールに係る問題は生じない。 そもそも準備基金への積立金は保険料収入の剰余金であり,結果的に被保険者から過大に徴収したものである。したがって,国としては,市町村が被保険者に対して当期中に還元するよう,制度変更を行うことも検討するべきであろう。