著者
小田桐 伶
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.135-139, 2023 (Released:2023-04-15)
参考文献数
18

〔目的〕脳卒中者において発症時と発症後2週時の体組成を比較し,差をもたらした原因を考察することである.〔対象と方法〕急性期脳卒中患者33名を対象とした.Body Mass Index(BMI),体脂肪率,Skeletal Muscle Mass Index(SMI),体幹筋肉量,麻痺側上肢筋肉量,麻痺側下肢筋肉量,非麻痺側上肢筋肉量,非麻痺側下肢筋肉量を,発症3日以内の時点と発症後2週±2日の時点において測定して比較し,それぞれの効果量を算出した.〔結果〕発症から2週間経過すると,BMIは有意に減少するが,SMI,下肢筋肉量,体脂肪率には有意差は認めなかった.体幹と両上肢には有意な筋肉量低下が生じ,その効果量は大きく中等度~強度であった.〔結語〕脳卒中患者は発症から2週間経過すると,両上肢・体幹の筋肉量が低下しやすい.
著者
梶谷鐶著
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
1992
著者
林 邦好 冨田 誠 田中 豊
出版者
日本計算機統計学会
雑誌
計算機統計学 (ISSN:09148930)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.89-101, 2008-01-31 (Released:2017-05-01)
参考文献数
11

主成分分析(PCA)は,変量の次元を縮約する多変量統計解析の代表的な手法である.主成分の意味付けをするために,固有ベクトルを解釈することになるが,特に主成分数を多くとる場合など,しばしば主成分の解釈が困難な状況に遭遇する.解釈を容易にするために,因子分析の場合のように軸を回転させることができれば便利である.先行研究では,主成分係数を回転対象とする方法と主成分負荷量を目転対象とする2つの立場がある.本論文ではPCAを次元縮約の方法と捉え,縮約された低次元空間の中で解釈し易いように座標軸を導入するという立場で,Jolliffe(1995)の提唱した3つの基準化の方法及び回転対象として主成分係数・主成分負荷量のどちらを選ぶかという問題を整理し,2組の実データ及び因子分析モデルに従って生成した人工データに適用して数値的検討を行った.その結果,基準化3(分散が1に等しくなるように基準化した場合)では,主成分負荷量を直交回転する方が対比が形成されにくく,く1つの軸に1つの意味が付与できることが明らかになった.
著者
田中 知音 渡部 圭一 Chion TANAKA Keiichi WATANABE
雑誌
人間文化研究 = Journal of Human Cultural Studies
巻号頁・発行日
vol.50, pp.73-108, 2023-03-31

和文要約 白鬚神社(滋賀県高島市鵜川)の沖合に立つ鳥居(湖中大鳥居)は,もともと伝説的な存在であったものが昭和12年(1937)に建造され,現在では琵琶湖を代表する観光スポットとして注目を集めている。しかしながら,これまでの琵琶湖観光の歴史的研究では,この湖中大鳥居が何のために建造されたかについて論じられてこなかった。 本論文では,観光客の土産物として大量に制作された絵はがきに基づき,湖中大鳥居の建設の意義を明らかにすることを目的とする。まず白鬚神社を含む絵はがきセットの内容構成の類型とその歴史的背景を検討し,つぎに白鬚神社において被写体として選ばれる光景の特徴,およびそこでの湖中大鳥居の位置付けを分析した。 その結果,白鬚神社をめぐる⽛まなざし⽜に幾度かの変転があったことが明らかになった。白鬚神社は近世から広域の信仰圏を有する著名な神社であったが,近代になると,大正年間に琵琶湖を汽船で周遊する湖上遊覧が活発化したことで,神社の沖を通過する観光船から眺める神社というまったく新しい属性が生み出されたことが,湖中大鳥居を出現させた動機であった。 湖中大鳥居は,当初から⽛沖からの眺め⽜の一部であり,沖の観光船に対して見せるものとして造られたものであったと考えられる。言い換えると,湖中大鳥居が⽛沖からの眺め⽜というまなざしを生み出したというより,船上からのまなざしのなかに湖中大鳥居の美しい朱の彩りが埋め込まれたのである。
著者
安岡 義人 中島 恭子 村田 考啓 紫野 正人 近松 一朗
出版者
日本小児耳鼻咽喉科学会
雑誌
小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.374-380, 2015 (Released:2016-03-31)
参考文献数
10

過去 6 年間に当科外来を受診した15歳以下の小児鼻出血77例の血管病態を電子内視鏡の通常光と狭帯域光観察(narrow band imaging: NBI)を用いて診断し,好発部位と血管形態別 6 型分類の特徴を明らかにした。好発部位は95%以上が鼻中隔前下方皮膚粘膜移行部付近とキーゼルバッハ部であった。血管形態分類では線状型(linear type)39例(50.6%),網状型(reticular type)34例(44.2%),肉芽型(granular type)2 例(2.6%),点状型(punctate type)1 例(1.3%),瘤型(aneurysmal type)1 例(1.3%)で陥凹型(recessed type)は該当例がなく,静脈性出血であった。小児の鼻出血の好発部位と血管病態に基づき,小児の鼻出血の初期対処法は患側の母指で鼻翼を正中の鼻中隔に圧迫し,手掌は開き他 4 指を対側下顎角部に当て挟む,母指圧迫止血法:thumb press maneuver (TPM)が合理的で効果的な止血法である。
著者
野嶋 素子 中山 裕子 小川 幸恵 保地 真紀子 和泉 智博
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0293, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】腰椎疾患においてL4/5とL5/S椎間は障害が多い部位である。L5神経根は前脛骨筋,中殿筋を優位に支配し,これまでに下垂足に伴い股関節外転筋力は低下し,歩行に影響することが報告されている。一方でS1神経根は下腿三頭筋,大殿筋を優位に支配しているが,S1神経根障害における臨床像と歩行能力の報告は少ない。本研究の目的はL5,S1神経根障害における筋力低下・感覚障害および歩行について調査することである。【方法】対象は2011.4~16.9に,L4/5またはL5/Sの単椎間ヘルニアで,内視鏡を含むヘルニア摘出術を施行したL4/5椎間板ヘルニア59名(以下L4/5群),男性43名,女性16名,平均46.9±14.4歳と,L5/S椎間板ヘルニア49名(L5/S群),男性31名,女性18名,平均40.0±11.7歳である。検討項目は,術前の前脛骨筋(以下TA),中殿筋(GME),ハムストリングス(HA),腓骨筋(PE),下腿三頭筋(TS),大殿筋(GMA)のMMT,感覚障害の有無とその部位,歩行速度,Timed Up and Go Test(以下TUG)であり,カルテより後ろ向きに調査した。またMMT3以下を筋力低下とし,L4/5群の筋力低下がある26名(以下L4/5-P群),男性19名,女性7名と,低下がない33名(L4/5-N群),男性24名,女性9名,L5/S群の筋力低下がある29名(L5/S-P群),男性18名,女性11名と低下がない20名(L5/S-N群),男性13名,女性7名に分類し,歩行に関する項目について比較した。統計解析はt検定を用い,有意水準は5%とした。【結果】L4/5群の筋力低下の割合は重複を含め,TA12名(20%),GME10名(17%),HA2名(3%),PE5名(8%),TS15名(25%),GMA5名(8%)であった。TAに筋力低下を認めた12名中5名(42%)にGMEの低下が見られ,4名は同時にTSが低下し,更に2名はGMAも低下していた。感覚障害はL5領域29名(49%),S1領域14名(24%)に,両領域12名(20%)に認めた。L5/S群の筋力低下は,TA6名(12%),GME9名(18%),HA7名(14%),PE3名(6%),TS22名(45%),GMA12名(24%)であり,TSに低下を認めた22名中12名(55%)にGMAの低下が見られ,そのうち3名はGMEに,更に2名はTAも低下していた。感覚障害はL5領域23名(47%),S1領域27名(55%),両領域17名(35%)に認めた。歩行速度はL4/5-P群1.4±0.4 m/s,L4/5-N群1.5±0.4m/s,TUGは10.6±2.9秒,9.7±2.6秒であり両群に差を認めず,L5/S-P群とL5/S-N群は,歩行速度が1.3±0.4m/s,1.5±0.4m/s,TUGは12.4±4.9秒,9.7±2.0秒であり,両群間に有意差を認めた。【結論】L4/5群ではTAの筋力低下に伴いGMEが低下,L5/S群もTSと同時にGMAが低下している症例が見られ,L4/5群では更にTS,L5/S群ではGMEの低下も一部認めた。感覚障害についても混在例が存在していた。これらは神経支配のオーバーラップによる障害の影響等が考えられるが明らかではない。L5/S-P群は,L5/S-N群に比べ歩行能力の低下を認めた。S1神経根障害による筋力低下は歩行障害を生じやすいため詳細な理学療法評価が重要である。
著者
加藤 博文
出版者
北海道大学アイヌ・先住民研究センター
雑誌
アイヌ・先住民研究 (ISSN:24361763)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.31-56, 2022-03-01

本論は、日本人初の解剖学教授である小金井良精が関わった国際的な先住民族の遺骨交換についてオーストラリアの研究者との関係から取り上げたものである。具体的には、オーストラリア国内の博物館に残された資料と小金井良精に自身による日記の記述を対比することで、交換されたアイヌ民族の遺骨の由来と履歴を検証した。また日豪双方で関与した研究者について検討を加え、先住民族の遺骨が国際的に交換された背景の解明を試みた。
著者
奥田 靖浩
出版者
公益社団法人 有機合成化学協会
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3, pp.246-247, 2022-03-01 (Released:2022-03-09)
参考文献数
8

As the mesityl group-substituted acridinium photocatalyst has an orthogonal structure, the π-systems are not conjugated, leading to the formation of a long-lived electron-transfer state depicted as Acr•-Mes•+ under photoirradiation conditions. Since this excited acridinium salt displayed a strong oxidizing ability (E*1/2=+2.06 V vs. SCE), single-electron oxidation of alkenes and arenes was accomplished. Applying this arene oxidation as key radical initiation protocol, direct C-H amination, cyanation, fluorination of electron-rich arenes and desulfurative [4+2] benzannulation were developed. Moreover, a single-electron reduced TICT state served as photoreductant in reductive dehalogenation of aryl halides and detosylation of N-tosylamines.
著者
小野 政輝 安田 伸
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

樹脂配糖体は、糖部が部分的にアシル化されたオキシ脂肪酸のオリゴ配糖体で、ヒルガオ科植物に特徴的に含有される。本科植物の、サツマイモ、ハマヒルガオ、ハリアサガオ、ブラジルヤラッパ、ルコウアサガオ、マメアサガオおよびコヒルガオの7種を材料に、樹脂配糖体の研究を行った。その結果、36種の樹脂配糖体を得た。これらのうち、15種の新規樹脂配糖体を含む22種の構造を各種機器分析データならびに化学反応を用いて決定した。また、構造決定した化合物のうち、1種に抗単純ヘルペス1型活性、3種に白血病細胞株(HL-60)に対する細胞傷害活性を見出した。
著者
三浦 直 小田 由香里 志澤 泰彦 塚越 絵里
出版者
東京歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

歯科の研究領域では、現在のところサツマイモを材料とした研究はない。ヒトに対するう蝕予防効果や歯周病の発生を予防でき、低コストで、人体に対して無害で使用回数にも制限がないような天然物由来の物質が、口腔ケア組成物として望まれている。そこで本研究課題では、普段の食生活で利用している国産サツマイモに着目し、口腔ケアとりわけ歯周病予防の応用につながる物質を探索し、その成分を特定することを目的としている。現段階では歯周病原菌に対する増殖抑制の効果を示す、活性成分を探索し、これを特定することを目標としている。
著者
山下 陽子 芦田 均
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.10, pp.747-752, 2016-09-20 (Released:2017-09-20)
参考文献数
23
被引用文献数
4 4