著者
山本 映子 野村 幸子 中村 百合子 北川 明 竹下 比登美 北川 早苗 近喰 ふじ子
出版者
県立広島大学
雑誌
人間と科学 : 県立広島大学保健福祉学部誌 (ISSN:13463217)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.45-56, 2006-03

近年,思春期の児童生徒による他者への攻撃性は,いじめや暴力,稀には殺人といった形で表出し,大きな社会問題となっている。本研究は,県内の公立小・中学校3校の協力を得て,小学5・6年生及び中学2年生の計452名を対象として,子どもの持つ攻撃性を早期に発見し,行動化する前に予防するための対応策を探索することを目的とした調査報告である。方法として,彼らの心身の健康状態と心を理解することが重要と考え,健康調査と攻撃性質問紙,心理テスト(エゴグラム)及び自己投影法であるコラージュ法を用いた。攻撃性については表出性,不表出性攻撃性をコラージュ作品との関連でみた。結果は,思春期の特性や集団力動など作品への影響因子が推測され,必ずしも関連しなかったが,攻撃的アイテムを示唆する傾向が得られた。コラージュ制作後の心身健康状態では,症状個数は有意に減少し,精神面では肯定的変化を得た。コラージュの自己治癒力,カタルシス効果が考えられ,攻撃性予防対策に応用の可能性が示唆された。
著者
田中 妙子
出版者
早稲田大学
雑誌
早稲田大学日本語研究教育センター紀要 (ISSN:0915440X)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.47-67, 1997-03-31

繰り返し表現(以下, 本稿の規定によるものを<くりかえし>と呼ぶ.)は, 会話の相手の発話を繰り返すことで, その発話に対する何らかの心的反応を示す会話特有の表現である.本稿は, <くりかえし>を・<くりかえし>の機能(会話の相手にどのような性質の働きかけを行っているか.)・会話の展開における<くりかえし>の効果(会話の流れの中で, 先行発話をどのように受け継ぎ, 次の発話者へどのように引き継いでいくか.)という二つの点から分析するという方法を採り, 会話において<くりかえし>表現が果たす役割を明らかにすることを目的とする.<くりかえし>の機能については, 相手の発話を受信・認識したという合図, 相手の発話のどの部分に注意を向けているかの表示という二つの基本的機能のほかに, 相手の発話への感想を表現する機能, 自分の思考・感情が相手と同じであることを示す機能, 相手が質問や共感要求をしてきた事柄について肯定する機能, からかい・ことば遊びの機能が認められる.<くりかえし>の効果については, 会話の展開上, 相手の発話方向を決める, 自分の発話を進めるという二点が指摘できる.後者の場合, <くりかえし>は相手から発話権を得る, 相手の発話を利用して自分の発話を補う, 相手の発話に自分の発話を合わせる, ということのために行われる.<くりかえし>は, それによって相手に事柄的な情報を提供することはできないが, 受け取った情報に対する様々な心的反応を相手に伝達するという機能を持つ.また, その機能を利用して, 会話を先へ進めようとする意識的な働きかけも見られる.
著者
本谷 智宏 並木 武文 伊藤 公一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SST, スペクトル拡散 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.628, pp.9-14, 2000-02-17

電磁界解析手法であるFDTD法において, 金属の領域は完全導体としてモデル化することが一般的である.しかし, 導体損失が無視できないような問題ではこのような取り扱いはできない.その場合の効率的な計算手法として, 表面インピーダンス境界条件(Surface Impedance Boundary Condition:SIBC)を用いることが提案されている.SIBCでは, 金属の電気的特性をその表面の電磁界のみで表現し, 金属内部の電磁界を計算しない.このため, 計算負荷の大幅な低減が可能になる.ここでは, 周波数依存性を持つSIBCの定式化を説明し, マイクロストリップ線路等の伝送線路を構成する金属に適用して伝送特性を解析した結果について報告する.
著者
大場 光太郎 池内 克史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.12, pp.3147-3154, 1997-12-25
被引用文献数
10

ビジュアルラーニング手法の一つである固有空間手法は, 隠れを含まない単一物体の認識には非常に有効な手法である. しかしながら従来の方法では, 物体認識前に画像内で物体位置を検出し, 単一物体を一杯に含むように画像のトリミングを行う必要がある.本論文では, 工場内のビンピッキング作業に代表される重なり合っている複数の金属物体を各々認識することを目標とし, 物体の部分的な見え方を用いた"局所固有空間手法"を提案する. また効率的な局所ウィンドウを選択するために, 特徴点評価, 類似度評価, 信頼度評価という三つの評価指標を設け, 複数の隠れを各々含んだ金属物体の安定な認識を実現した.
著者
田中 ミチコ 森 宏枝 石澤 敬子
出版者
東京家政学院大学
雑誌
東京家政学院大学紀要 (ISSN:02866277)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.49-53, 1982-12-20
被引用文献数
2

海藻は一般に消化吸収が悪いとされているが,溶媒の種類によるアミノ酸,糖質,カルシウムの溶出状態,また,タンパク質分解酵素を作用させた時のアミノ酸,及び二次的に遊離される糖質,カルシウムがどの程度利用されるか実験を行った。1 カルシウムの溶出率が高く,7〜100%を示し,酸性溶媒によく溶出し,食酢ではアサクサノリ100%,マコンブ,トサカノリ,ワカメ,ヒジキは約30%であった。アミノ酸は3〜10%の溶出率で,溶媒の違いによる差はほとんどなかった糖質はマコンブの食酢による溶出のみ3.7%で,他は1%以下とわずかな溶出率であった。2 pepsin消化では,アサクサノリが7.6%の消化率であったが,他の試料は1%以下であった。pancreatin消化では,ワカメ44%,トサカノリ,アサクサノリ26%,マコンブ,ヒジキが2〜3%の消化率であった。3 タンパク質分解酵素作用にともない二次的に遊離した糖質,カルシウムは,pepsinよりもpancreatin作用により多く遊離したが,いずれも低い遊離率であった。4 pepsin pancreatin作用によるアミノ酸,糖質,カルシウムの利用率は,それぞれ14〜55%,約1%(トサカノリのみ9%),23〜68%であった。全試料中,アサクサノリは高い利用率を示し,これに対し,ヒジキは低い利用率を示した。
著者
芝野 治郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.53, pp.1-4, 2004-05-21

キャプランが1992年に始めて提唱したバランス・スコアカード(Balanced Score Card:BSC)のコンセプトは,その後多数の企業,組織で導入され,成果を挙げ,産業界の注目を集めるようになった.実際にBSCを導入することにより生まれるメリットと,導入にあたっての考慮点を探るために,企業4社に呼びかけて導入研究会を行った.各社の属する業界と各社の事情により,問題点は異なるが,環境の変化を見直し,社員の意識改革を進めるよいきっかけとなるなど,共通のメリットがあることが分かった.またBSC導入を効果的に進めるには,社員全員の参加体制が必要であること,また社員のBSCに関する業績評価を導入し,その成果が社員の士気にも反映されるようにすることが望ましいということが認識された.The concept of the balanced scorecard (BSC) first proposed by Kaplan in 1992 has been implemented by many companies and organizations, generated the remarkable results, and attracted the attention of the industry. In order to investigate the merits obtained by implementing BSC and also study the problems to be considered in implementing BSC, a study team was organized by inviting 4 companies. Each company belongs to the different industry and faces its own problems, but it was observed that there are common merits such as it provides a good chance to review the change of the environment and renew the state of the minds of employees. It can also be said that the participation of all the employees is mandatory to the success of the BSC implementation, and that it is desirable to have the results of the BSC performance reflected to the employee's personal evaluation system so that it adds to the individual morale.
著者
井山 慶信
出版者
広島大学
雑誌
Memoirs of the Faculty of Integrated Arts and Sciences, Hiroshima University. IV, Science reports : studies of fundamental and environmental sciences (ISSN:13408364)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.153-156, 2001

第1章緒言 地球環境問題の解決策の一つとして注目されているものに,環境マネジメントシステムがある。環境マネジメントシステムとは,組織がその活動及び提供する製品やサービスが環境に与える負荷を常に低減するように配慮し,継続的にその改善を続けられるようにするための組織的な仕組みのことである。それを国際規格として発効したものがISO14001であり,特徴としては,(1)法律ではなく民間の任意規格であり,(2)一般の環境法規のような数値による規定ではなく,システムについての規格であり,(3)厳密に準拠が要求される事項で構成された規格(仕様書)である。また,(4)業種や規模に左右されず,あらゆる組織に対して適用可能であり,(5)汚染物質の排出といった末端部分の管理だけでなく,方針の設定から計画・実行・結果の評価・フィードバックなど全てのプロセスを対象とした幅広い規格である。現在,一部の大企業や大組織で認証取得を行っている場合が多く,数多くの中小企業や小規模オフィスでは,人材の配置や費用負担などが原因で導入が困難な状態であり,情報開示の点においても課題が多く残されている。本研究では,一般のオフィスにおいて,環境マネジメントシステムを構築・運営し,実測調査から環境負荷のパフォーマンス評価を行うことを目的とする。第2章環境マネジメントシステムの立ち上げ 一般のオフィスにおいて環境マネジメントシステムを立ち上げるため,1995年6月,広島県内の企業200社(出先機関)に対し依頼を行った。その結果,58社から回答をもらい,承諾した企業は19社であった。環境マネジメントシステムの立ち上げにあたっては,管理のサイクル(PDCA)に沿って,計画(Plan),実施及び運用(Do),点検及び是正処置(Check),経営層による見直し(Action)を行っていく必要がある。本研究では,オフィスの環境側面(環境と相互に影響し得る,組織の活動,製品又はサービスの要素)として紙類に着目し,使用・廃棄される紙に関して環境マネジメントシステムを立ち上げた。承諾企業19社で計画(Plan)について話し合った結果,内部監査人の負担の大きさや,社員全員にシステムの把握をさせる手間など様々な問題点が生じ,最終的に組織トップのゴーサインが出ず,実施及び運用(Do)にまで至らなかった企業が11社あった。残りの8社においても負担などに関して意見が出たが,組織トップと監査人の協力により環境マネジメントシステムを立ち上げることができた。組織トップの意志はシステムの立ち上げにおいて重要な要素であった。立ち上げた環境マネジメントシステムに基づき,8社において一週間実施及び運用(Do)を行った。環境側面として,導入される紙類や使用されるコピー用紙,うら紙の発生量や使用量,送出される紙類や可燃ごみ・資源ごみについて重量を測定し,監査人が調査票に記入した。そして紙の出入りをまとめた環境収支簿記を作成した。次に,環境マネジメントシステムの点検及び是正処置(Check)を行った。それにより,1社で担当者不在による運用の不備が一部見つかり,経営層による見直し(Action)として,改めて社員全員へのシステムの徹底を求めた。他の7社では実施期間において順調にシステムは運用され,紙類の収支や今後の環境への取り組みなどの報告を行うことができた。第3章環境マネジメントシステムの再構築 環境マネジメントシステムにおいて重要な点は,PDCAのサイクルにおけるActionによって継続的に改善が行われることである。このシステムに基づき,1995年に環境マネジメントシステムを構築した8社に対し,1997年1月にシステムの再構築を依頼した。その結果,5社がYes,3社がNoの返事であった。環境マネジメントシステムにとって「継続」は重要なポイントである。環境マネジメントシステムを維持するには労力が必要であるが,現状として3社が維持できなかった。逆に再構築が可能であった5社からは,前回の環境マネジメントシステムに対して「ごみの多さを実感した」など,積極的な意見が出ていた。5社の中には組織のトップが代わった所もあったが,簡単な話し合いを行うだけで,Plan・Do・Checkのサイクルをスムーズに行うことができた。Checkの段階において,5社中2社でオフィス内にシステムの大きな変化が見られた。環境収支簿記を用いた環境パフォーマンス評価により,2社では新たにシュレッダーを導入したことから,焼却されるごみが大幅に増加していた。Actionとして,シュレッダー処理量を低減するよう報告を行った。システムの維持・継続という点で5社で環境マネジメントシステムの再構築を行うことができた。これにより,本研究での環境マネジメントシステムが,単に一度だけではなく継続して運用できることが示された。
著者
阿部 耕也
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.151-165, 1986-10-15

This paper attempts to investigate caller-counsellor (child-adult) interaction focusing on typification. By means of discourse analysis, councellor's typification of children is dealt with as social interaction. We believe that this typification process can be considered to be an important function of socialization. The form of typification in conversational data was analysed by following procedures. (1) The counsellor tipifies the caller by selecting a certain categorization device out of many possible devices applicable to the caller. We can formulate "adequacy" of this typification in caller-counsellor interaction from the viewpoint of Sacks's "categorization problem". In terms of this standard of "adequacy", counsellor's typification acts were examined in reference to all possible categorization devices. (2) It was analyzed in counselling process how the counsellor used those typification devices for redefinition of caller's situations and for producing prescriptions. As a result, we find (1) typification has a tendency to convergence into certain devices, especially the "school year" device which is seemed to have a "previlege" in counsellor's selection, and (2) typification of caller is managed by counsellor all the way through counselling process. These findings suggest that "telephone counselling" as a socialization process has a function as "circuit to school (education)".
著者
本多 さやか
出版者
東京女子大学
雑誌
日本文學 (ISSN:03863336)
巻号頁・発行日
vol.103, pp.119-146, 2007-03-15
著者
千坂 武志 布施 守
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.180-188, 1969-07
被引用文献数
1

栃木県葛生町付近に石炭系(?)〜二畳系の地層が発達しているが,これらは下部は栃木層群,上部は安蘇(あそ)層群に分けられている。安蘇層群の下部には石灰岩の発達した地層があって,鍋山層とよはれている。鍋山層はさらに下部から上部に向って,山菅石灰岩部層,羽鶴苦灰岩部層,唐沢石灰岩部層に分けられる。山菅石灰岩部層は日本のParafusulina帯の化石産地の標式地域として有名なところである。筆者らは葛生町付近の山菅,和田両部落付近の山菅石灰岩部層の地質および古生物について研究した。本部層の略々中央部には不純石灰岩の薄い層があり,そのすぐ下にMinojapanellaの多産する地層がある(この地層を中部層とした)。中部層より下部にあるものを下部層とし,上部にあたるものを上部層とした。Parafusulina kuzuensis n. sp.は殻が特に大きく,円筒形でaxial fillingは軸に沿うて細長く発達し,septaの発達は内部でよく,外方にいくにつれて少なくなっている。Parafusulina wordensis Dunbar and Skinner (Word formation, Glass Mountains, Texas, U. S. A.)に比較するとchomataが小さくapeatureがよく発達していない。Parafusulina nakamigawai Morikawa and Horiguchi(葛生町,アド山層産)に比較するとseptaの褶曲が弱いParafusulina iisakai Igo(岐阜県舟伏山産)に比較するとaxial Fillingが発達している。それで新種として記載した。この大型鐘紡虫は上部層に多く下部層には少ない。上部産のものは一般に大型化したものが多い。Parafusulina進化した型として非常に興味がある。進化の系統樹については将来さらに研究する。
著者
納富 一宏 谷口 望美 斎藤 恵一
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.99-105, 2006-10-20
被引用文献数
1

Webの視認性を高めるための自動色補正方式について検討を進めている.Webの視認性とは,一般的なインターネットブラウザで表示される文字色と背景色の組合せ(カラーセット;Color Set)のうち,「文字の見易さ」や「目の疲れにくさ」を基準に,各ユーザがカラーセットを個別に比較し判断した結果から順位付けられるものであると捉える.視認性を高め,利用者にとって快適な閲覧環境を提供するために,自動的な色補正をシステムが行う場合,色の組み合わせに対する個人の好みや特性を基準データとして与えなければならない.これまでの研究で有彩色背景における無彩色文字の視認性について検討した.また,Webカラーセットの一部からまだ存在しない基準データを予測する手法として「カラーセット予測方式」を我々はすでに提案した.そこで,本稿では,白色背景における文字色をWeb Safe Colorから7系統21色を選択し,これらの組合せを一対比較法により順位付けを行なった上で,自己組織化マップ(SOM:Self-Organizing Maps)による分析を行なった結果について述べた.特に,白色背景における有彩色文字の場合についてのカラーセット予測が予測バリエーション9種類において,0.77(±0.07)〜0.88(±0.07)の予測正解率を得た.このことから,提案手法の有効性が確認された.
著者
橋本 卓弥 平松 幸男 辻 俊明 小林 宏
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.73, no.735, pp.3046-3054, 2007-11-25
被引用文献数
1

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