1 0 0 0 情報倫理

著者
今道 友信
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.50, no.10, pp.649-657, 2008

情報倫理についてここでは主として以下の4項目について述べる。1) 日本では古来「情報」はどのように考えられていたか。それは主として初めはただの「知らせ」であったが次第に噂の対極にある「告知」とか「命令」「報告」といった公的権威のあるものとして考えられていた。それゆえ,語に重圧があった。2) 知識社会が情報社会化するにつれて,言語が機械化され,情報は情報機器を介して収集される知識と考えられ,当初は世界中で情報は一般市民にとって受信の対象であった。それが情報機器の普及とともに神話の「隠れ蓑」の実現のようになり,無責任な発信が多くなってきた。ここから,情報機器使用の倫理が情報倫理の新しい部門となってきた。3) 学術情報と情報社会の構造的非倫理性や情報学に関わる倫理の問題が挙げられている。4) 情報倫理に関する本質的考察として,その基礎的命題を論じつつ,エコエティカ(生圏倫理学)との関わりに触れ,情報倫理が空間倫理から時間倫理を,さらに音の倫理を意識させることになった由来などを展開しながら,情報倫理が文明文化の社会における他者意識の覚醒をもたらすこと,それも魂の世話としての哲学の一環であることを述べ,情報倫理の一つとしての否定工学の使命にも言及する。<br>
著者
近藤 哲理 田崎 厳 廣川 豊 谷垣 俊守 小野 容明 太田 保世
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.621-625, 1999
被引用文献数
8

1998年末に,わが国にドライパウダー(DPI)ステロイドが導入された.本研究では,DPI未導入時に以下の群のディスクヘラーの吸気気流(PIF)を検討した:器具に習熟した医薬情報担当者(EX群,5名),原理のみを理解している呼吸器科医(RP群,19名)および一般人(NM群,31名),ビデオテープによる簡易指導後の患者(TP群,93名).50l/min以下のPIFではブリスター内に高頻度に薬剤の残留を認めた.EX群のPIFは96.1±12.6l/m(平均±標準偏差)であった.PIFとマウスピース内圧(Paw)にはPIF=√^<16.3><Paw-1.19>,(r=0.97)の関係があったため,他の群では市販の気圧計を改造した携帯型圧力計により,Pawを測定してPIFを計算した.RP群のPIFは77.0±30.1l/mで,不適切と考えられるPIF(100l/m以上および50l/m未満)の者が36.8%存在した.NM群のPIFは53.5±20.4l/mでRP群より有意(t検定)に低く,不適切PIF者が54.8%存在した.TP群のPFは64.9±24.5lmでRP群よりも有意に低く,不適切PIF者は43.2%存在した.適切な吸入気量を効率よく達成するためには,PIFの定量的な表示が必要と思われる.
著者
田中 日佐夫
出版者
成城大学
雑誌
民俗学研究所紀要 (ISSN:03866440)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.39-49, 1985-03
著者
松永 麻里 アサノ デービッド K. 河野 隆二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IT, 情報理論
巻号頁・発行日
vol.95, no.591, pp.37-42, 1996-03-19
被引用文献数
7

本稿では, 複数の誤り訂正能力の異なる畳込み符号を, 情報の重要度に応じて使い分けて符号化することによって, 重要な部分にはより多くの誤り保護をする符号化復号法を提案する. また, 同じ符号化率の1つの符号器で均一に誤り保護をした場合と比較した性能評価を行う.
著者
西村 文夫 岡崎 邦夫 河野 陽一 小森 一大 野本 直
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.449-454, 1986-07-25
被引用文献数
8

人歯エナメル質と象牙質から小型の円柱状試片を切り出して圧縮試験とマイクロビッカース硬さ試験を行い, 試片の高さ/直径比, 試験速度(応力増加率, 歪増加率), 硬さなどと圧縮特性(比例限, 耐力, 破断強さ, 弾性係数, 縮み)との相関性を検討し, 次のような結論を得た.1.試験片の高さ/直径比はエナメル質や象牙質の圧縮特性に全く影響を与えない.2.試験速度(応力増加率, 歪増加率)は部分的に圧縮特性に影響を与える.3.エナメル質の硬さと圧縮特性との間には強い相関がある.4.象牙質の硬さと耐力との間には正の相関がある.
著者
根津 永二
出版者
愛知学院大学
雑誌
愛知学院大学論叢. 商学研究 (ISSN:02858932)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.127-144, 2007-03-31

日銀の福井総裁は「家計の生活経営が切り拓く日本の新時代」という講演の中で, 生活におけるリスク・テイクは家計には新しい道を開き,マクロ経済的には新しいビジネスを創造する可能性を高めるだろうと述べ,積極的なリスク・テイク(リスク投資)を推奨している。しかし,積極的にリスクを取るには,リスク管理は欠かせないが,現在の金融取引環境や家計・個人の金融面の知識やリスク管理能力は,家計・個人にリスクを積極的に取るように勧めるような金融環境は整っていないように思われる。また,所得や資産の少ない階層ほど安全資産の保有比率が大きいが,低金利,株主重視・配当重視のなかで,リスク投資を行っている階層との資産格差は増大する。階層間の格差が固定しないような政策が必要になるであろう。日本では土地・住宅取得や教育費が高い。これは金融資産の選択にも影響するだろう。このような状況では,危険回避的な日本人の金融資産選択では,低利ターン・低リスク・高流動性の金融資産選択が最適な選択と判断される。これは現状の選択を最適と見なす顕現選好の理論(Theory of Revealed Preference)の考え方とも整合的である。
著者
朝比奈 貞一
出版者
一般社団法人日本時計学会
雑誌
日本時計学会誌 (ISSN:00290416)
巻号頁・発行日
no.68, pp.32-46, 1973-12-25

His Imperial Highness the Prince Takamatsu is a brother to the Present Emperor of Japan. The Prince has a collection of timepieces which is not very large, but each is very excellent as an antique. The Prince is not a positive collector and he seems to have inherited it as his ancestors' fortune. In his collection the writer found a stackfreed watch, the first discovery in Japan. Though the movement together with the dial and hand underwent reconstruction, the original watch seems to have been made in the 16th century or so. One more timepiece can be added to the existence of the oldest timepiece-the clock now kept at Kunozan Toshogu in Shizuoka City made in 1581 in Madrid and once owned by Iyeyasu Tokugawa.
著者
河野 良寛
出版者
医学書院
雑誌
臨床外科 (ISSN:03869857)
巻号頁・発行日
vol.37, no.10, pp.p1601-1604, 1982-10
被引用文献数
49
著者
山口 静馬 佐伯 徹郎 老松 建成
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.82, no.9, pp.1421-1427, 1999-09-25
被引用文献数
7

音声聴取時の外来雑音に対する心理的応答を,音声信号と外来雑音の各音圧レベルやパワースペクトル特性の相対的関連性の下に把握することは快適な音場の設計に重要である.本論文は音声聴取時の外来雑音に対する心理的応答を推定・予測するための手法をファジィ集合を用いて提案したものである.具体的には,音声を聴取している人間が外来雑音にさらされた場合に着目し,音声信号と雑音の音圧レベルやパワースペクトル特性に関するファジィ関係を,SN比とオクターブ数を台とする近似的な2次元メンバシップ関数を用いて求めている.次いで,心理的応答の評価手法をファジィ確率の概念を導入して提案している.最後に,本手法の妥当性と適用可能性を心理実験による実測データに適用して実験的に確認している.理論と実験との間にほぼ良い一致が認められる.
著者
新山王 政和 今泉 美貴子 磯部 妙子
出版者
愛知教育大学教育実践総合センター
雑誌
愛知教育大学教育実践総合センタ-紀要 (ISSN:13442597)
巻号頁・発行日
no.8, pp.253-260, 2005-02

今日のユビキタス化された社会では,様々なことを気軽にバーチャル体験できる反面,自分自身の力で考え結果をイメージングしようとする機会が失われてしまっている。生きる力の問題としても,脳科学や発達教育科学の分野からこれに対して警鐘が鳴らされている。よって小・中学校音楽科の授業という視点から,次の2点を視野に入れてこのユビキタス社会における音楽の基礎・基本の力について改めて考察してみたい。1.過度に視聴覚機器に頼ることをやめ,イメージングを通じて活きた活動体験を模索する 2.活動の主体を子どもヘシフトし,教師が言語・非言語指示を駆使して一方的にリードした為に子どもが思考停止の状態や指示待ちの状態のようになってしまうことを,イメージングを活用した活動体験によって防ぐ 今回の一巡の授業研究では,この二つのポイントを視野に入れながら,実体験と体感を伴った子ども自身によるイメージングの活動を基盤に据えた授業のあり方について模索してみたい。そして本論文においては,次の二つの授業実践を取り上げて分析を行った。1.小学校4年生を対象にした授業:楽曲の構造からショートストーリーをイメージングし,それを伝える為の演奏表現とリコーダー演奏技法を工夫する 2.中学校3年生を対象にした授業:歌詞のイメージングに基づいて,自分達が歌いたいと感じる表現を考え,それを演奏表現できるような歌い方を工夫する
著者
荒木 重治
出版者
金沢大学
雑誌
高校教育研究 (ISSN:02875233)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.87-115, 1998-10

歴史教科書をめぐる論争は,子供からの視点が抜け落ちている。子供に何を教えるかよりも,どんな子供になってほしいかの方が重要なのに,そのことが話題にされていない。歴史というのは,過去に学んで将来に活かすものであるはずなのに,歴史教科書をめぐる論争は,将来を見据えていない。最初に結論ありきの,当時の日本を正しく知ってこそ,新しい日本を作っていくことができるはずだ。しかし,最初に結論ありきの姿勢は,今にいたるも変わっていないのではないか。現在の教育改革が抱える問題点も,最初に結論ありきではないのか。歴史教科書問題や教育改革を,あえて現在の流れに逆行し,子供の視点から再点検してみた。