著者
清河 幸子 伊澤 太郎 植田 一博
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.255-265, 2007-06-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
20
被引用文献数
10 3

本研究では, 他者との協同の中で頻繁に生じると考えられる, 自分自身での課題への取り組み (試行) と他者の取り組みの観察 (他者観察) の交替が, 洞察問題解決に及ぼす影響を実験的に検討した。具体的には, Tパズルを使用し,(1) 1人で課題に取り組む条件 (個人条件),(2) 20秒ごとに試行と他者観察の交替を行いながら2人で課題に取り組む条件 (試行・他者観察ペア条件),(3) 1人で課題に取り組むが, 20秒ごとに試行と自らの直前の試行の観察を交互に行う条件 (試行・自己観察条件) の3条件を設定し, 遂行成績を比較した。また, 制約の動的緩和理論 (開・鈴木1998) に基づいて, 解決プロセスへの影響も検討した。その結果, 試行と他者の取り組みの観察を交互に行うことによって, 言語的なやりとりがなくても, 解決を阻害する不適切な制約の緩和が促進され, 結果として, 洞察問題解決が促進されることが示された。その一方で, 試行と観察の交替という手続きは同一であっても, 観察対象が自分の直前の試行である場合には, 制約の緩和を促進せず, ひいては洞察問題解決を促進することにはならないことが明らかとなった。
著者
湯本 正樹 斎藤 徳人 和田 智之
出版者
一般社団法人 レーザー学会
雑誌
レーザー研究 (ISSN:03870200)
巻号頁・発行日
vol.48, no.8, pp.409, 2020 (Released:2022-10-25)
参考文献数
41

Cr 2+ doped II-VI chalcogenides (Cr:ZnSe, Cr:ZnS, Cr:CdSe, etc.) are attractive laser media for direct access to the mid-infrared (MIR) region, because they possess a broad fluorescence spectrum and a large stimulated-emission cross section. Using them as laser media allows us to obtain superb tunable laser and femtosecond laser capabilities in the mid-IR region. In this paper, we review the optical properties of Cr 2+ doped II-VI chalcogenides, pump sources, the recent progress of Cr 2+ doped II-VI chalcogenide lasers, and our mid-IR lasers based on Cr:ZnSe and Cr:CdSe.
著者
木島 正夫
出版者
京都大学東南アジア研究センター
雑誌
東南アジア研究 (ISSN:05638682)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.391-411, 1969-12

この論文は国立情報学研究所の学術雑誌公開支援事業により電子化されました。

1 0 0 0 人物篇

著者
筒井清忠編
出版者
筑摩書房
巻号頁・発行日
2018
著者
古谷 裕一郎 寺田 卓郎 宗本 義則 飯田 善郎 三井 毅
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.77, no.3, pp.573-577, 2016 (Released:2016-09-30)
参考文献数
10

精神発達遅滞患者や認知症患者における異食の報告例は散見される.今回,ビニール手袋の異食により小腸閉塞および穿孔をきたし,手術を要した1例を経験したので報告する.患者は出生時より精神発達遅滞がある17歳,男性.突然の嘔吐を主訴に近医を受診し,腸炎と診断された.しかし,症状の改善はなく腹痛も出現したため,翌日に当院受診となった.腹部単純CTにて回腸内に直径約50mmの低吸収の塊を認め,異物が疑われた.過去に布団の綿の異食歴があり,異物は布団の綿が疑われた.自然排泄を期待し経過観察の方針としたが症状の改善はなく,7日間の経過観察ののち手術を施行した.腹腔鏡にて観察すると回腸に閉塞部を認めた.同部に異物が嵌頓し,腸管は菲薄化し穿孔が疑われたため,小切開を追加し小腸部分切除術を施行した.異物は2枚のビニール手袋が一塊となったものであった.術後は腸管麻痺や創部感染を併発したが,術後28日目に退院した.

1 0 0 0 OA 責而者草

著者
渋井徳章 著
出版者
国史研究会
巻号頁・発行日
vol.2編, 1917
著者
岡邊 健 平井 秀幸 西本 佳代 竹中 祐二 相良 翔 藤間 公太 都島 梨紗 山口 毅 相澤 育郎 宇田川 淑恵
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、非行からの離脱の具体的態様(離脱を促したり困難にしたりする諸要因)を明らかにすることを主目的とする。第一に、批判的犯罪学と呼ばれる研究群の知見に基づいて、離脱をめぐる諸課題について、理論的・規範的な検討を行う。第二に、非行からの離脱プロセスの態様を探るために、少年院出院者、元非行少年に対する就労支援に関わる当事者へのインタビュー調査を行う。第三に、非行からの離脱における規範(望ましい離脱のあり方)の形成・発展過程を明らかにするために、新聞・雑誌記事の内容分析を行う。

1 0 0 0

著者
工人社 [編]
出版者
工人社
巻号頁・発行日
vol.7, no.12, 1940-11

1 0 0 0 久留米市誌

出版者
名著出版
巻号頁・発行日
vol.上編, 1973
著者
鷲谷 公人 柴 裕一 西 哲哉
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.559-567, 2005 (Released:2006-08-25)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

近年, オフ輪印刷において特殊なゴースト現象の発生が増えている。この特殊なゴースト現象は通称デラミゴーストと呼ばれ, ブランケットシリンダーへ用紙が付着する形の走行不良がインキの転写不良を起こし, ゴーストとなって現れるものと推測されている。印刷機が高速化, 用紙が高品位化するほど発生しやすくなるため, 印刷作業性や印刷品質を損なわない防止法の開発が期待されている。しかし, 用紙が本現象に与える影響については系統だって調べられていなかった。本報では用紙要因の確認を目的として, 種々の物性を持たせた印刷用紙を用いてデラミゴーストとの相関関係を詳細に解析した。その結果, 平滑性, 特に圧力下での平滑性 (プリント・サーフ表面粗さ) がデラミゴースト発生度との相関が強く, 平滑な用紙はブランケットロールへの付着を促進するためと考えられる。またプリント・サーフ表面粗さが同程度の場合はインキセット性が相関が強く, これはインキセットが速いものはインキの転写不良を起こしにくいためと考えられる。これらの結果は, 従来言われていたデラミゴーストの発生機構の正しさを裏付けている。
著者
工藤 愛弓
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.157, 2022 (Released:2022-10-22)
参考文献数
67

昆虫の中には、性淘汰によって進化した誇張化形質を有する種がいる。体のどの部分が誇張化するかは種によって様々である。性淘汰によって誇張化する部位やその程度は、生息環境や餌、配偶相手および縄張りなどの資源を巡る闘争の形式とその強度、繁殖行動への利用の有無と密接に関連している。そのため、性淘汰に伴い誇張化した形質がどのように進化・維持されてきたのかを明らかにするには、それぞれの種が有する生活史についても理解を深める必要がある。著者がこれまで扱ってきたテナガショウジョウバエは、オスのみが誇張化した前脚を有し、オス間闘争やメスへの求愛に利用することが分かっている。一方で、野外における生態の理解は進んでいない。ハエ目において、テナガショウジョウバエのように脚を同性間闘争の武器として利用していることが分かっている例は極めて少ない。テナガショウジョウバエのオスにおける前脚の誇張化に影響を与えた要因を探ることで、他のハエ目昆虫で脚が武器として利用されない理由を明らかにできるかもしれない。本稿では、昆虫綱に属する種のうち、脚に性的二型性を有する種について、生息環境や食性・産卵基質などの生態との関連から、性淘汰に伴う脚の誇張化の理由を考察した。また、テナガショウジョウバエの形態と行動の種間差や系統間変異について紹介するとともに、現在進めている闘争と生活史形質との関連性についても概説する。これまでに組み立てられてきた精密な行動評価システムに加えて、今後は生活史形質や野外での生態を明らかすることで、テナガショウジョウバエが有するユニークな形質の進化メカニズムが明らかになることを期待している。
著者
松永 篤知 Matsunaga Atsushi
出版者
金沢大学資料館
雑誌
金沢大学資料館紀要 = Bulletin of the Kanazawa University Museum (ISSN:24238864)
巻号頁・発行日
no.14, pp.51-60, 2019-03

近年、金沢大学資料館では、年間5回以上の企画展(学生企画展、特別展、アウトリーチ展を含む)を実施している。それらが功を奏し、年々来館者数は増加しており、昨年度は史上最多の年間8,990人の来館を記録した。平成元年の開館から10年間は、年間来館者数200~300人程度だった状況から考えると、これは驚異的な数字である。しかし、ここ数年の伸びについては、平成28年度に当館が博物館相当施設に指定されたこと、平成29年度に当館所蔵の加賀藩校扁額が金沢市の有形文化財に指定されたことなど、来館者が増えるような出来事が続いたことが少なからず影響しているものと思われる。そのような流れの中で今年度(平成30年度)は、資料館として特別大きな動きはなく、来館者数を維持ないし増加させるにはさらなる活動展開が必要となった。そこで今年度、金沢大学資料館初の試みとして、筆者が小学生向けの考古学ワークショップを企画した。当初、他の歴史系博物館や埋蔵文化財センターの事例を参考に、石器作り体験やガラス玉作り体験、機織り体験、縄文施文体験、拓本体験など、様々なワークショップ案を検討したが、資料館所蔵考古資料との関連付けや筆者の学術的専門性、ワークショップの実施費用などを勘案して、今回は縄文時代の編物を題材とすることにした。以下、本論では、その内容と成果、今後の課題などについて具体的に記す。
著者
田籠 泰明 生田 拓也 阿南 敦子 西野 剛史 束野 寛人 笠 智就
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.32-36, 2016-03-25 (Released:2016-05-16)
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

足関節脱臼骨折は多くの場合容易に徒手整復可能である.Bosworthは1947年に腓骨が脛骨後面に転位固定される整復困難な足関節脱臼骨折を報告した.我々は2004年にBosworth型足関節脱臼骨折の1症例を報告し,その後さらに2症例を経験した.3症例とも無麻酔下に徒手整復を試みたが整復困難であり,観血的整復術を行った.足関節脱臼骨折において整復困難な症例では本脱臼骨折を念頭に置き,CT撮影で病態を把握し,準緊急的に整復術を行うことが必要であると考える.