著者
稲見 一貴 江本 珠理 藤井 さやか
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.744-751, 2022-10-25 (Released:2022-10-25)
参考文献数
10

1970年代に開発が進められた計画的戸建住宅地では、近年の高齢化やライフスタイルの変化によって、空きスペースの増加やそれに伴う住環境の悪化が見られる。本研究では、計画的戸建住宅地において、住宅地内の空きスペース活用の手段としてのスペースシェアリングの活用可能性を検討することを目的としている。利用者・提供者・周辺住民の立場からみた戸建住宅地のスペースシェアリング導入意向について、インターネットモニターを対象としたウェブアンケート調査を行った。また利用意向の高い駐車場サービスの導入について、事業者へのヒアリング調査を行った。その結果、戸建住宅地のシェアリングサービスでは、提供意向・許容意向ともに、駐車場の利用意向が高かった。全国で駐車場のシェアリングを行っている事業者によると、住民の不安の多くは既存のサービスの中で対応可能なことが分かった。以上から、戸建住宅地では、駐車場を活用したスペースシェアの展開可能性があることが分かった。
著者
杉本 任士
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.58-66, 2021-10-25 (Released:2022-10-25)
参考文献数
11

研究の目的 小学校2年生の給食準備・片付け場面において相互依存型集団随伴性による学級規模での介入を行うことによって、学級全体の給食準備・片付けに要する時間が短縮するか検証することを目的とした。研究計画 場面間マルチプルベースラインデザインと基準変更デザインの組み合わせを用いた。場面 公立小学校の通常学級2年生1クラスの給食準備ならびに給食片付け場面であった。参加者 公立小学校2年生の通常学級に在籍する児童25名(男子16名、女子9名)であった。独立変数の操作 強化基準を段階的にあげながら相互依存型集団随伴性による介入とバックアップ強化子の提示を行った。行動の指標 給食準備ならびに給食片付けに要する時間であった。結果 介入期ではベースライン期と比較して、給食準備ならびに給食片付けに要する時間の合計が、約18分から約13分へ約28%短縮された。結論 学級規模での相互依存型集団随伴性による介入とバックアップ強化子を提示することによって、学級全体の給食準備ならびに給食片付けに要する時間の短縮に効果があることが示唆された。手続きなどの社会的妥当性が示された。
著者
髙野 愛子
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.2-11, 2021-10-25 (Released:2022-10-25)
参考文献数
14

研究の目的 本研究ではじゃんけんの手に対する勝敗判断課題を用いて、勝敗の判断基準に関する言語教示を与えることなく、伸ばされた指の本数がより多い手を勝ちとする勝敗判断を形成することを通じて、通常のじゃんけんに応じた勝敗判断を維持する強力な刺激性制御を減衰させる変数を探索した。研究計画 提示された2つ、または3つの手から勝ちまたは負けとなる手を選択する課題を用いた。訓練中の反応、および訓練前後に実施したテストにおける反応から訓練の効果を検討した。場面 個別実験として実施し、ノートパソコンを用いた。参加者 大学生8名が参加した。独立変数の操作 3つのじゃんけんの手のうち異なる2つが提示される二択条件と、これら3つ全てが提示される三択条件を導入した。行動の指標 1試行で提示された手のうち、伸ばされた指の本数がより(最も)多い手を勝ち、少ない手を負けとする反応を正反応と定義し、正反応率を測定した。結果 二択条件において、三択条件の導入前は正誤のフィードバックを提示しても正反応率の上昇が見られないか、一度上昇してもテストでは維持されず下降した。一方、三択条件の導入後は正反応率が上昇し、テストにおいても高水準で維持された。結論 じゃんけんに応じた勝敗判断を維持する刺激性制御は強固であるが、3つのじゃんけんの手から勝ちまたは負けの手を1つだけ選択する課題を提示することで、その制御が減衰することが示唆された。
著者
芳賀 信彦
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.10-14, 2009-01-01 (Released:2012-02-21)
参考文献数
17
著者
田原 太郎
出版者
NPO法人 日本自閉症スペクトラム支援協会 日本自閉症スペクトラム学会
雑誌
自閉症スペクトラム研究 (ISSN:13475932)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.69-77, 2021-09-30 (Released:2022-09-30)
参考文献数
12

本研究の目的は、即時性エコラリアを示す自閉スペクトラム症の幼児へのイントラバーバル訓練におけるモデル提示の効果を検討することである。訓練は、音声プロンプトによる訓練期間、モデル提示を追加した期間、9カ月後のフォローアップ(維持テストと追加訓練)の期間から構成されていた。場面は家庭および通所施設の療育場面で行われた。対象児は即時性エコラリアを示す自閉スペクトラム症の女児だった。訓練開始時は2歳3カ月だった。独立変数の操作として、音声プロンプトを用いた訓練を続け、それにモデル提示を加えた指導を2セッション実施した。ターゲット行動は、名前、年齢、住所の3 つの質問に対するエコラリアのない適切な応答行動とした。結果、当初は音声プロンプトによる介入で訓練の効果がみられなかった。しかしモデル提示を導入後、正反応率が上昇した。その後モデル提示や音声プロンプトを除去した後も正反応がみられた。また質問の文章や人物を変えても答えられるなど一定の般化がみられた。一方で、9カ月後のフォローアップでは名前以外の反応は維持されていなかった。結論としてはまず介入方法の変更の効果がみられた。しかしモデリング時の道具などの剰余変数があり、独立変数をモデリングに限定することはできなかった。また介入効果の維持やターゲット行動の選定などの課題も残された。最後に臨床的意義として本事例の介入法は類似の事例に応用する際、コストが低く、実施が容易である利点が考えられた。
著者
山田 拓也 山田 正
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集 第18回(2005年度)水文・水資源学会総会・研究発表会
巻号頁・発行日
pp.138, 2005 (Released:2005-07-25)

津波の河川遡上や洪水波の流下等,河川を伝播する波動現象は河川管理上非常に重要な問題である. 特に河川蛇行部では曲率に伴う遠心力の影響により,波の振幅が増大する事が考えられる.従って川を遡上・流下する波動の解析には河川形状の影響を正確に反映する必要がある.従来,波動論では水深変化に伴う波形変化や砕波・分散の影響に関する1次元解析が幾多の研究者により研究され,優れた成果が示されている.一方,河川で生じる波動現象に着目し,河川形状を正確に考慮した二次元理論解析を行った研究は著者が調べる限り存在しない.本研究では, 任意河川形状に適合する一般化座標系を用いて河川形状を解析に正確に反映した河川に於ける波動解析を行う.
著者
有本 梓 横山 由美 西垣 佳織 臺 有桂 馬場 千恵 新井 志穂 村嶋 幸代
出版者
一般社団法人 日本地域看護学会
雑誌
日本地域看護学会誌 (ISSN:13469657)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.43-52, 2012-03-31 (Released:2017-04-20)
被引用文献数
5

目的:訪問看護師が在宅重症心身障害児の母親を支援する際に重要と考えている点を明らかにする.方法:重症児のみを対象とするA訪問看護ステーションの訪問看護師6人を対象に,2007年9月にグループ面接を行った.質的記述的分析を参考に,訪問看護師が在宅重症心身障害児の母親を支援する際に重要と考えている点についてコード化し,類似したコードをまとめてサブカテゴリーを,類似したサブカテゴリーをまとめてカテゴリーを作成した.結果:訪問看護師が在宅重症心身障害児の母親を支援する際に重要と考えている点は,支援するうえで重要ととらえている情報と支援姿勢に二分された.重要ととらえている情報は,【母親のケア能力】【母親による子の受け止め方】【母親の性格】【母親の心理状態】【母親の身体状態】【子の身体的状況】【子の能力】【在宅療養への家族のサポート体制】【家族の訪問看護に対する気持ち】【母親と訪問看護師との関係】からなっていた.訪問看護の支援姿勢として,【母親のペースに合わせて段階的にかかわる】【子と家族の生活のなかで子育てを共有する】【長期的なケアを見込み母親と社会をつなぐ】が明らかになった.結論:在宅重症児への訪問看護では,(1)母親の心理状態や生活状態の理解,(2)子や家族の状況に応じた母親のケア能力と家族のサポート体制の強化,(3)母親のペースでの関係構築,(4)長期的視点での関係機関と母親との関係構築が重要と考えられた.

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著者
陸軍省 編
出版者
小林又七
巻号頁・発行日
1894
著者
佐用 寛文 鈴木 淳 柳 久子
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.389-398, 2019 (Released:2019-12-20)
参考文献数
27

【目的】姿位の違いによる全身振動刺激が,腰椎や大腿骨頸部骨密度に与える効果の違いを明らかにすることである。【方法】①60 歳以上の閉経後女性,②腰椎および大腿骨頸部骨密度がYAM(young adult mean)値70%以上,③骨粗鬆症に対する薬剤を使用していない者を対象とした。対象をコントロール群,立位群,座位群,側臥位群の4 群に分け,全身振動刺激介入前と介入後の腰椎および大腿骨頸部骨密度の変化を比較した。【結果】郡内変化においてコントロール群の大腿骨頸部骨密度のみ減少した(P =0.02)。χ2 検定の結果,姿位の違いによる大腿骨頸部骨密度に対する効果として,座位群が他の群と比較して維持,上昇する人数が多かった(P =0.03 V =0.44)。【結論】座位による全身振動刺激が大腿骨頸部骨密度に対してもっとも効果的である可能性があり,姿位の違いによる刺激が特定部位に与える効果が異なる可能性が示唆された。
著者
Sota Nishimoto Katsuyuki Hamasaki Shigeki Dan
出版者
Carcinological Society of Japan
雑誌
Crustacean Research (ISSN:02873478)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.103-110, 2022-09-17 (Released:2022-09-17)
参考文献数
32
被引用文献数
3

The red swamp crayfish Procambarus clarkii is an invasive alien species worldwide but it was commercially exploited. Laboratory studies have been conducted to examine the reproductive aspects of this species, pairing males and females for 1–5 days, as a basis for developing the control measures for invasive populations and improving aquaculture technologies. However, the effect of pairing periods on the mating and spawning success is largely unknown, and the present study therefore aimed to elucidate the effect of different periods (one, five and 10 days) in this species. The pairs were videorecorded for each entire pairing period, and the length of pairing did not significantly affect copulation or spawning. Copulation was prolific on the first day and its intensity was similar among the test groups, indicating that a one-day pairing period is sufficient for successful mating in P. clarkii under laboratory conditions.
著者
樋口 収 新井田 恵美 田戸岡 好香
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.148-150, 2022-02-02 (Released:2022-02-02)
参考文献数
7
被引用文献数
2

With the spread of coronavirus disease (COVID-19), citizens have had to comply with the guidelines to prevent infection and the spread of COVID-19. However, not all citizens have been compliant with the guidelines. Based on Zitek and Schlund (2021), we hypothesized that people higher in psychological entitlement would report less compliance with the guidelines, and this relationship would be mediated by less concern for others. We conducted surveys in April 2021 whose results (n=250) supported these hypotheses.
著者
越山 和広
出版者
關西大學法學會
雑誌
關西大學法學論集 (ISSN:0437648X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4-5, pp.2094-2060, 2013-01-30
著者
自見 英治郎
出版者
九州歯科学会
雑誌
九州歯科学会雑誌 (ISSN:03686833)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5.6, pp.199-209, 2005-12-25 (Released:2017-12-20)
参考文献数
39
被引用文献数
1

破骨細胞は骨吸収を司る多核巨細胞であり,骨吸収因子によって骨芽細胞/骨髄ストローマ細胞の細胞膜表面に誘導されるRANKLと破骨細胞前駆細胞が発現するRANKとの細胞間接触を介して誘導される.さらに遺伝子ターゲティングの結果から,RANKL, RANKが破骨細胞分化に必須の因子であることが証明された.以前から,局所に浸潤するT細胞やリンパ球やこれらの細胞から産生されるサイトカインなどが,骨破壊に関与することが知られていたが,近年,免疫系細胞による骨代謝調節機構を解明する研究として「骨免疫学」が提唱され,発展している.例えば,RANKLは,カルシウム依存性のカルシニューリンを介して特異的にかつ持続的にT細胞の活性化に重要な役割を担う転写因子,NFATc1を活性化する.NFATc1を欠損したES細胞から破骨細胞は誘導されず,またNFATc1遺伝子を破骨細胞前駆細胞に強制発現させるとRANKL刺激なしに破骨細胞を誘導できることから,NFATc1は破骨細胞のマスター分子と考えられる.骨代謝と免疫応答を結び付けるもうひとつの因子はNF-κBである.NF-κBのp50,p52二重欠損マウスは大理石骨病を呈し,IKKα,やNIK欠損マウスでも破骨細胞形成の抑制が認められる.さらにNF-κBの活性化経路を選択的に阻害するNBDペプチドは破骨細胞形成を抑制する.NF-κBが破骨細胞分化に必須の因子であることは広く受け入れられているが,NF-κBの標的遺伝子を同定し,NF-κBによる破骨細胞分化の分子メカニズムを解明することが重要である.
著者
渡辺 万紀子 天野 光一 西山 孝樹
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D1(景観・デザイン) (ISSN:21856524)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.17-32, 2021 (Released:2021-03-20)
参考文献数
17

街路空間を沿道建築物からの観点で見ると,内部空間と外部空間が存在する.この境界である建築壁面線は,曖昧な境界を構成し中間領域を形成している.この中間領域は,内部空間が外部空間に貫入した「浸み出し」と,外部空間が内部空間に貫入した「入り込み」から構成される.本研究では,「浸み出し」の中間領域を構成する要因を検討し,中間領域の類型化を行った.その結果得られた7類型は直観情報の活動支援装置,活動,商品と,内部情報によりその性格を説明することができた.また,その類型は商品展開型,活動展開型,商品活動展開型,内部情報型,情報不特定型,活動支援装置商品展開型,活動支援装置展開型となることがわかった.