著者
樽野 博幸 河村 善也 石田 克 奧村 潔
雑誌
大阪市立自然史博物館研究報告 (ISSN:00786675)
巻号頁・発行日
vol.71, pp.17-142, 2017-03-31

中部日本に位置する熊石洞は,数多くの後期更新世の哺乳類化石を産出している.その中には,ヤベオオツノジカ(Sinomegaceros yabei)とヘラジカ(Alces alces)の2種の大型シカ化石が多量に含まれている.本稿では,体骨の詳細な記載と計測を行い,ヤベオオツノジカとヘラジカの体骨の識別点を初めて明確に示した.またヤベオオツノジカの肢骨を中国産のSinomegaceros 属の種,ならびにアイルランド産のMegaloceros giganteusの骨と比較した.その結果,ヤベオオツノジカは中国産のSinomegacerosよりもはるかに大きく,M. giganteus と同程度の大きさであることを明らかにした.
著者
江頭 文江
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.693-698, 2016 (Released:2016-04-26)
参考文献数
10

摂食嚥下機能が低下した人への食形態は、スクリーニングテストや5期モデルでの評価とともに、覚醒状態やバイタルサインの安定度や栄養状態、姿勢保持、咳嗽反射、むせ、痰がらみの除去に関連した呼吸機能、さらにそこに食事環境のひとつとして、食事介助スキルの視点も加わり、本人の機能だけではなく、総合的に評価され、決定されている。訪問栄養指導では食事時間に訪問することが多く、実際の料理をみて、使用している食材の特徴の違いを判断し、管理栄養士の視点での機能評価も求められる。中でも4期モデルとともに、プロセスモデルを理解することはとても重要である。リスクのある二相性の食べ物にはどんなものがあるかを理解し、誤嚥性肺炎を予防し安全な食形態での支援とともに、二相性の食べ物を一相性に変えて、咀嚼を引き出す工夫もいれた支援が必要である。
著者
山崎 宏史 蛯江 美孝 稲村 成昭 柿島 隼徒
出版者
東洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は、浄化槽を構成する各単位装置のGHGs排出特性を検証し、排出削減可能な技術を提案することを目的に検討を行った。その結果、CH4は嫌気処理部と汚泥貯留部を兼用する単位装置からの排出が多く、さらに夏季の水温高温期に排出が増大することがわかった。CH4排出は、後段の好気槽からの循環水量を多くし、循環するDO量を増大させることにより、削減できることを明らかとした。一方、N2Oは好気処理部からの排出が多く、さらに春季から夏季に至る水温上昇期における貯留汚泥の可溶化により排出が増大することがわかった。N2O排出は、流量調整機能を付加し、処理機能を安定させることにより削減できることを明らかとした。
著者
稲村 成昭 蛯江 美孝 山崎 宏史
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.74, no.7, pp.III_399-III_405, 2018 (Released:2019-03-29)
参考文献数
12

小型浄化槽からの温室効果ガスであるN2Oの1人当たりの排出量は,下水道に比べて,おおよそ5倍と著しく高い.そこで,浄化槽の特徴である流量変動に着目し,浄化槽における流入汚水量の時間変動を緩和する流量調整機能の有無によるN2O排出量の比較を行った.その結果,流量調整機能がある場合は,機能がない場合に比べて,N2O排出量は1/6以下に低減され,下水道とほぼ同じレベルになることが分かった.その要因として,流量調整機能がある場合,二次処理への汚水の一次的な流入汚濁負荷の集中が緩和されることにより,機能がない場合に比べて二次処理におけるORPの低下を最小限に抑えられるためと考えられた.なお,本研究を通じて,浄化槽においては,N2O排出量を制御する指標として,DOよりORPの方が適していると考えられた.
著者
赤松 隆 佐藤 慎太郎 Nguyen Xuan Long
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D (ISSN:18806058)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.605-620, 2006 (Released:2006-12-20)
参考文献数
23
被引用文献数
26 27

混雑料金制は,理論的には,交通渋滞問題に対する優れた方策である.しかし,その制度の有効な実施に不可欠な(1)利用者情報(需要関数)の正確な推定や(2)渋滞メカニズム(ボトルネック混雑)を考慮した動的料金の設定は,実際には非常に難しい.そこで本稿では,混雑料金制度に代わるTDM施策として,“ボトルネック通行権取引制度”を提案する.そして,この制度の導入により,確実に渋滞が解消するのみならず,通行権取引市場で適切な通行権価格体系が実現し,社会的に最適な状態となることを示す.さらに,その証明を通じて,提案した通行権の設定・取引問題と住宅立地均衡問題の数理的同型性を明らかにする.
著者
林 紀昭 Noriaki Hayashi
雑誌
法と政治 (ISSN:02880709)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.247(981)-330(1064), 2013-01-20

1 0 0 0 OA 曽我物語 12巻

出版者
安田十兵衛尉
巻号頁・発行日
vol.[4], 1627
著者
林 千寿 Hayashi Chizu
出版者
熊本大学
巻号頁・発行日
2009-09-25

本論は、一般的に関ヶ原合戦と呼称される慶長五年(一六〇〇)の戦いをとりあげ、この戦いが戦後領国体制の創出にいかに関ったのかについて考察しようというものである。
著者
デュトゲ グンナー 海老澤 侑 鈴木 彰雄 谷井 悟司 鄭 翔 根津 洸希
出版者
日本比較法研究所
雑誌
比較法雑誌 (ISSN:00104116)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.47-73, 2018-12-30

本稿はProfessor Dr. Gunnar Duttge, Die „geschäftsmäßige Suizidassistenz“ (§217 StGB): Paradebeispiel für illegitimen Paternalismus!, in: ZStW 2017; 129(2), S. 448-466を筆者の許諾を得て翻訳したものである。 ドイツでは,近年,刑法217条「業としての自殺援助」の規定について,学問の枠を超えた議論が活発に行われている。本規定は,ドイツにおける自殺援助団体の活動が顕在化した際に成立したものであり,その点で,自殺の手助けが一種の「通常の健全なサービスの提供」になってしまうことや,「一定の(場合によってはたとえ無料でも)業務モデル」として定着してしまうことを防ごうとしたものといえる。しかし,近時下されたOLG Hamburg決定は,現実が真逆であることを物語っている。 本規定に自殺防止の目に見える効果が認められずまた,自殺を希望する者は,ドイツ以外の自殺援助サービスを用いるようになる。そのため,本規定は,自殺の予防につながるものではなく,結局のところ,自殺傾向というものは,個々人を具体的に分析してはじめて,治療的介入による緩和が可能となるのである。 刑法217条は,価値合理性の観点からは自由侵害性が高く,目的合理性の観点からは適切でないどころか,大きな害にすらなるとまとめざるを得ない。本来,刑罰を正当化するためには,問題となる行為に現実的な侵害リスクが内在していなければならない。また,自殺の意思決定を何らかの方法で容易にすることがただちに当罰的不法とされてはならない。加えて,「業務性」の著しい曖昧さを排除することも,今後同条を適用するにあたって重要となるであろう。
著者
梅本 実 堀内 一也 田村 今男
出版者
The Iron and Steel Institute of Japan
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.461-470, 1982-03-01 (Released:2009-06-19)
参考文献数
23
被引用文献数
22 25

To obtain a general cooling transformation kinetics of steels from its isothermal transformation kinetic data, a bainite transformation has been investigated in present study. The main results obtained are as follows:(1) The isothermal transformation behaviour of bainite for the steel used in present investigation (JIS, SUJ2) can be expressed by the Johnson-Mehl type equation.(2) The bainite trasformation is retarded with an increase in the austenite grain size. The nucleation site of bainite is mainly on austenite grain surface but some homogeneous nucleations in the matrix are also found.(3) The equation expressing the transformation bahaviour of bainite during continuous cooling has been derived from the experimentally obtained isothermal transformation kinetics. It is examined that this equation well expresses the actual continuous cooling transformation behaviour.(4) The above result showing that additivity rule for transformed fraction is hold for bainite transformation during continuous cooling and cooling transformation behaviour can weell be predicted using the isothermal transformation kinetics.
著者
鈴木信太郎 著
出版者
白水社
巻号頁・発行日
vol.上巻, 1954
著者
鈴木信太郎 著
出版者
白水社
巻号頁・発行日
vol.下巻, 1954