著者
宮崎真奈実 荒川正幹
雑誌
第74回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.1, pp.539-540, 2012-03-06

テトリスを自動でプレイする人工知能プログラム(テトリスコントローラ)の開発を行った。テトリスコントローラでは、まず現在の盤面とピースから考えられるすべての盤面を生成する。次に各盤面について特徴量を計算し、評価関数を用いて盤面の評価を行う。そして最も高い評価値を持つ盤面に基づいて現在のピースの置き方を決定する。本研究では、評価関数としてニューラルネットワークを用い、その重みを遺伝的アルゴリズムによって最適化した。中間層ニューロンの数を変更し、複数回の最適化計算を行った。その結果、平均6,020万ラインの性能を持つコントローラを開発することに成功した。これは従来の結果を大きく上回る性能である。
著者
Hideyuki Imai Hiroto Nishikawa Asami Suzuki Eriko Kodama Tatsuya Iida Kentaro Mikura Mai Hashizume Yasuyoshi Kigawa Rie Tadokoro Chiho Sugisawa Kei Endo Toru Iizaka Fumiko Otsuka Shoichiro Nagasaka
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
Internal Medicine (ISSN:09182918)
巻号頁・発行日
vol.61, no.19, pp.2899-2903, 2022-10-01 (Released:2022-10-01)
参考文献数
23
被引用文献数
1 8

A 54-year-old man had been drinking approximately 1.2 L of soy milk (equivalent to approximately 310 mg of isoflavones) per day for the previous 3 years. He then developed erectile dysfunction and gynecomastia. On an examination in our department in May, blood tests showed low gonadotropin and testosterone levels, indicative of secondary hypogonadism. He stopped drinking soy milk on his own in June of that year. When he was admitted in August, blood tests showed an improved gonadal function. Secondary hypogonadism caused by the excessive intake of isoflavones in soy milk was diagnosed. In men, an excessive intake of isoflavones may cause feminization and secondary hypogonadism.
著者
Takatomo Inoue
出版者
The Society for Near Eastern Studies in Japan
雑誌
Orient (ISSN:04733851)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.72-92, 2017-03-31 (Released:2020-04-01)
参考文献数
28

This paper discusses the relationship between alchemy and making “chemically” processed products, such as drugs and perfumes. We look into al-Kindī’s understanding of alchemy and description of perfume making to discuss this issue. As for the former, Ibn al-Nadīm’s Fihrist mentions his writing on the attack on alchemy, but the original text has been lost. However, his idea is cited in Ḥājjī Khalīfa’s Kashf al-Ẓunūn, so we examine this text to understand al-Kindī’s view on alchemy. As for the latter, we specifically examine distillation technique. Before the examination of al-Kindī’s text, we review the alchemical meaning of distillation from the texts of Jabirian corpus. Then, we investigate the distillation technique in his perfume making text, Kitāb Kīmiyāʾ al-ʿIṭr wa-’l-Taṣʿīdāt to clarify the difference between distillation in perfume making and alchemy.
著者
山内 寛之
出版者
麻布大学
巻号頁・発行日
2014-09-30

日本を含み、これまでに多くの国が地震による多大な被害を受けてきた。また、近い将来、東南海地震・南海地震の発生が危惧されており、マグニチュード(M)8から9の巨大地震が緊迫していると考えられている(地震調査研究推進本部, 2013)。地震がいつ、どこで、またどのような規模で発生するかを予測し、その情報を適切に発信することができれば、多くの被害を低減できる。そのため、地震の数ヶ月前から直前にかけて現れる前兆現象の利用を含めた「短期地震予知」に関する研究が進められているが、現時点におけるこれらの実現は困難であると認識されている。 これまでに、地震の発生前には様々な物理的・化学的現象の異常や変化に加え、多くの動物種における行動変化も報告されてきた。このような動物の地震前兆的行動は、地震発生前に生じる何らかの物理的・化学的現象の異常や変化に対する、いわゆる「ストレス反応」の結果であると考えられている。動物が何に反応しているのかが具体的に明らかになれば、機械的にその現象を観測できるが、今のところ実現していない。前兆的行動は地震発生の1週間前から現れ始めるケースが多い(Buskirk et al., 1981)ことから、地震前兆に現れる動物の変化を客観的指標により捉えることができれば、地震予知に対する一つのパラメーターとなる可能性がある。本研究は、地震の前に現れる動物の変化が地震予知に利用可能であるかを検証するため、これらの変化を様々な手法を用いて調査した。第一章 「東北地方太平洋沖地震」に関連した地震前兆的行動の横断調査 一般家庭で多く飼育されている犬や猫に焦点を当て、2011年3月11日に発生したモーメントマグニチュード(Mw)9.0の「東北地方太平洋沖地震」の前に地震前兆的行動が現れていたかどうか、またどのような行動が多かったのかをwebアンケートによって調査した。その結果、犬において18.7%(236/1259)、猫では16.4%(115/703)が地震の前に行動変化していたことが明らかとなり、行動変化を示した動物の半数以上は地震の24時間前までに変化を示していた。また1日以上前に行動変化を示した動物は、行動変化を示した全体のうち、犬で23.3%、猫で25.0%であった。また変化した行動に関して、「落ち着きをなくす」行動がどちらの動物種でも最も多く報告された(犬; 22.5%, 猫; 23.7%)。地震前兆的行動の信頼性を検証し、地震予知に応用させるためには、長期間において定量化できる行動を観測する必要がある。本調査で得られた結果は、このような縦断的観測を行うための足掛かりになると考えられた。第二章:動物の行動頻度と地震との関連性に関する縦断調査 第一章における調査で、地震前兆的行動として最も多く報告された「落ち着きをなくす」行動に着目し、縦断的に観測して複数の地震との関連性を検証した。また、第一章で対象とした動物種は犬と猫のみであったが、その他にも多くの動物種における前兆的行動が報告されており、本章では、猫、馬、および亀を用いて毎日の「行動頻度」を赤外線センサーによって1年間観測した。その結果、猫、馬、および亀において、一定範囲内で発生したM6を超える地震の1週間前までに行動頻度が顕著に増加することが複数回あり、特に猫では4回中3回、顕著な増加が確認された。時系列解析の結果、Maekawaら(2006)が考案した日々の地震活動量の指標となる実効マグニチュード(Meff; Effective Magnitude)が5.5以上の日の1週間前以内に、猫と亀における行動頻度が有意に増加していた。本実験での観測期間や供試数は限られていたが、これらの動物は地震の数日前に行動変化を示すことが示された。第三章:産業動物における生産性と地震との関連性に関する縦断的調査第一節:地震前兆としての搾乳牛における乳量変化に関する調査 第二章において、地震の数日前に行動変化が現れることが確認されたため、第三章 第一節では、長期間における多くの個体を用いた検証が可能である、搾乳牛における日々の乳量に焦点を当てた。搾乳牛における乳量はストレス刺激に暴露されることによって減少することから、地震前兆に現れる刺激に反応する場合、減少している可能性がある。本節では、地震に先立って搾乳牛における乳量が減少するかどうかを検証するため、3箇所の異なる地域に位置する牧場で測定された個体別乳量と複数の地震との関連性を、約2年間のデータを用いて調査した。搾乳牛の乳量は分娩後経過日数や環境温度、相対湿度により変動するため、これらの要因による影響を除去した後に地震との関連性を検証した。まず、東北地方太平洋沖地震に先行した乳量の変動があったかを検証した結果、地震の3日前から6日前にかけて、震源地から最も近い距離(340 km)に位置する牧場で有意な乳量の減少がみられた(P < 0.01)。また、複数の地震との関連性を検証した結果、全ての施設における毎日の乳量平均値は、Meff5.0以上(M = 6.0 ± 0.1)の日の15日前までに有意な負の相関を示した。また、Mが大きくなるにつれ乳量がより減少していることも明らかとなり、毎日多くの地域で測定されている乳量は、地震予知へ応用できると考えられた。第二節:地震前兆としての採卵鶏における産卵率に関する調査 第二節では、乳量と同様、毎日記録されており、ストレス刺激によって低下することが知られている採卵鶏の産卵率に焦点を当てた。4箇所の異なる地域に位置する養鶏場で記録された3年間の鶏群別産卵率データを用いて、複数の地震との関連性を検証した。産卵率は日齢や環境温度、相対湿度によって変化するため、これらの要因による影響を除去してから地震との関連性を検証した。まず、東北地方太平洋沖地震に先行した産卵率の変動の有無を検証した結果、震源地から390km離れた施設において有意な低下が地震発生の7日前と9日前にみられていたことが明らかとなった。複数の地震との関連性を検証した結果では、Meff5.0以上(M = 6.2±0.1)の日の27日前までにおける全施設の産卵率平均値は有意に減少していた。また、震源地からの距離が近いほど産卵率は低下し、約M5以上の地震では、Mが大きいほど産卵率が低下することも明らかとなった。 本研究により、複数の動物種において地震の前に行動が変化することが明らかとなった。地震は発生する場所や日時が不明なため、観測する前兆現象は長期間にわたり多くの場所で観測できなければならない。搾乳牛と採卵鶏における生産データは多くの地域でほとんど毎日、測定と記録がされていることから、これらの情報を収集できれば地震予知に利用できる。また、第一章では、地震の前に犬と猫が「落ち着きをなくす」ことが多く、この行動の多くは24時間以内に現れており、さらに第二章では猫の行動頻度は地震の数日前にも変化することが明らかとなった。このことから、これらの伴侶動物における行動を自動的に観測できる手法の考案が望まれた。 そこで本研究では、動物の行動を用いた地震予測に必要なモニタリングシステムの原型をいくつか考案した。まず、産業動物における生産データを毎日一元化できるよう、クラウドコンピューティングを利用した生産データの収集システムを考案した。また伴侶動物の行動頻度に関して、より簡便にデータの自動収集ができる活動量計に着目し、現在、一般家庭の猫への応用を試みている。 地震前兆現象には動物の他に電磁気学的異常や、ラドン濃度の異常などが知られている。その中には現在、既に地震予知に向けた観測を継続しているものもある。本研究で対象とした前兆的行動は地震との関連性を統計的にある程度明らかにできたが、地震に関連しない変動もみられ、動物の行動だけに頼る予測は誤報を生み出すかもしれない。したがって、地震予知は、複数の現象を統合して行うことでより精度の高めることができると考えられる。 これまでに得られた全ての結果と先行研究の結果を踏まえ、考案した地震予測の方法は以下のようである。1乳量や産卵率、その他の物理的・化学的現象を観測してその情報を統合し、まずある程度の地震発生危険度を予測する。2これらの変化が現れた時、伴侶動物の行動変化にもより注意を払うことによって、より詳細な地震発生確率や地震発生日時を予測する。 このようなシステムが、動物の行動を中心に用いた最も可能な地震の直前予測の方法であると考えられる。また、多くの観測点における異常の有無から、「どこで」発生するか、その異常の大きさから「どの程度の」規模の地震かも予測できると考えられる。今後これを実現させるためには、様々な機関との学際的交流が必要となる。また、より多くの地域における情報を収集して、異常(前兆)の有無を解析し、地震の発生危険度に関する情報発信を持続的に行えるシステムを構築するには、専門機関の設立や、社会からの支援が重要な課題になると考えられる。
著者
島森 哲男
出版者
宮城教育大学
雑誌
宮城教育大学紀要 = Bulletin of Miyagi University of Education (ISSN:13461621)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.242-270, 2017-01-31

戦国武将、直江兼続は漢詩を二十三首残している。本稿はその校訂、注釈、現代語訳である。これらの注釈作業を通じて、我々は直江兼続の中国文学に関する深い造詣と、日本の王朝文学の流れを汲む伝統的な花鳥風月の美意識、そして漢詩を通じての交友関係の跡を知ることができる。
著者
川手 翔生
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
pp.1-205, 2017

早大学位記番号:新7680
著者
初瀬雄一 真野明子 永瀬秀彦
雑誌
デジタルプラクティス
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.121-128, 2010-07-15

鉄道輸送は毎日休むことなく継続したサービスを提供する必要がある.日本の鉄道の特徴は朝夕の猛烈なラッシュであり,自動出改札システムの重要な課題の一つとして,高密度輸送におけるピーク時の乗降客に対応して旅客流動を確保するための「自動改札機の処理速度向上」がある.本稿では,「センタサーバ」「駅サーバ」「端末」の3階層からなる自律分散システムとして構築されたIC乗車券システムにおいて,高性能,高信頼を実現するための技術を紹介する.これらの技術は東日本旅客鉄道のSuicaシステムに導入され,その有効性が実証されている.
著者
深澤 遊
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.311-325, 2013-11-30 (Released:2017-04-28)
参考文献数
114
被引用文献数
6

菌類は枯死木の分解において中心的な役割を果たしている。枯死木の細胞壁を構成する有機物であるリグニンとホロセルロースに対する菌類の分解力に基づき、大きく分けて3つの「腐朽型(decay type)」が知られている。白色腐朽では、リグニンが分解されるため材は白色化し、繊維状に崩壊する。褐色腐朽では、リグニンが変性するだけで分解されずに残るため材は褐色化し、ブロック状に崩壊する。軟腐朽は含水率の高い条件で起こり、主に材の表面が泥状になる。異なる腐朽型の材では、物理化学性が異なるため、枯死木を住み場所や餌資源として利用する様々な生物群集に影響を与えることが予想される。本稿では、細菌、菌類、植物、無脊椎動物、および脊椎動物の群集に対する材の腐朽型の影響について実証的な研究をレビューする。細菌については、褐色腐朽材に比べ白色腐朽材で窒素固定細菌の活性が高いことが知られている。腐朽型が菌類に与える影響に関しては研究例が非常に少ないが、腐朽菌や菌根菌が材の腐朽型の影響を受けることが示唆されている。植物についても研究例が非常に少ないが、種により実生定着に適した腐朽型が異なるようだ。無脊椎動物については、特に鞘翅目およびゴキブリ目の昆虫に関する研究例が多く、種により好む腐朽型が異なることが知られている。脊椎動物についてはほとんど研究例がなかったが、腐朽菌の種類によってキツツキの営巣に影響があることが示唆されている。腐朽型が生物群集に影響する理由としては、材の有機物組成や生長阻害物質、pHが腐朽型によって異なることが挙げられている。このように菌類には、ハビタットとしての枯死木の物理化学性を変化させることで他の広範な分類群の生物群集に強い影響を与える生態系エンジニアとしての働きがあると考えられる。ただし、その一般性については今後さらに多くの分類群の生物に対する菌類およびその腐朽型の影響を検証していく必要がある。
著者
Yuta Goto Masaki Satoh
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
SOLA (ISSN:13496476)
巻号頁・発行日
pp.18A-003, (Released:2022-03-24)
被引用文献数
3

We statistically investigate characteristics of “senjo-kousuitai”, quasi-stationary linear precipitation systems, in East Asia using high-resolution satellite precipitation and reanalysis data to understand whether these events are common there. We define an elongated precipitation system in the satellite precipitation data as a senjo-kousuitai event.Our results show that the contribution of senjo-kousuitai to heavy rainfall is high in western Japan, especially in Kyushu, the Nansei Islands, and the East China Sea. Among the environmental factors favorable for the occurrence of senjo-kousuitai, low-level water vapor flux and vertical wind shear are essential to the development of senjo-kousuitai. As a typical case, we examine large-scale circulations associated with senjo-kousuitai events in Kyushu in the Baiu season (June to July), and found that they are generally characterized by the intensified Pacific High over the south of Kyushu and pressure trough to the north of Kyushu. This circulation pattern results in a stronger pressure gradient and higher low-level wind speeds over Kyushu. With respect to the previously noted importance of water vapor and wind speed for better prediction of senjo-kousuitai, we show that not water vapor but higher wind speeds are the main factor for the enhancement of low-level water vapor flux.
著者
太田 博樹
出版者
一般社団法人 日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.115, no.2, pp.73-83, 2007 (Released:2007-12-22)
参考文献数
68

現在100種を上回る生物種で全ゲノム塩基配列決定が進行中もしくは完了し,『ゲノム博物学』といった様相を呈している。ヒト近縁種については,ヒト,チンパンジー,マカクの全ゲノム・ドラフト配列が発表され,これらゲノム情報の種間比較により分子レベルから人類進化へアプローチする研究は10年前に比べ格段に容易となった。ゲノムワイドの種内比較研究もヒトで最も進んでおり,国際HapMapプロジェクトが組織され,3大陸(アフリカ,ヨーロッパ,アジア)人類集団から百万個以上のDNA多型マーカーが同定された。各生物種の全ゲノム配列やヒト多型データは,データベースが整備されインターネットを介して容易に入手できる。こうしたゲノム科学の進展は「ヒト」および「人」に関わるあらゆる学問,産業,思想に革命的なインパクトを与えることが予想され,既にそうなりつつある。産業との関連においては,シークエンスやタイピングの効率の向上に重きが置かれがちだが,データ解釈の正確さを忘れない姿勢が科学者のあるべき姿であろう。この点において人類学的視点をゲノム科学へフィードバックする重要性が今後さらに増すに違いない。本稿では,ゲノム科学をめぐる世界的動向を概説し,ゲノム科学と人類学の関わりについて議論する。
著者
松平 功
出版者
桃山学院大学
雑誌
桃山学院大学キリスト教論集 = St. Andrew's University journal of Christian studies (ISSN:0286973X)
巻号頁・発行日
no.51, pp.3-43, 2016-02-18

More than fifty years, Rene Girard has developed a hypothesis which is alled the mimetic theory. According to this theory, human beings imitate each other, and this tendency spreads mutually among people and leads to rivalries. This mimetic also causes mutual conflicts in a community. Since the mimetic rivalry that develops from the struggle for the possession of objects is contagious, it leads to the threat of violence. According to Girard, such conflicts are partially solved by a scapegoat mechanism, but ultimately, Christianity is the best appeasement to violene. Girard believes that the gospel texts have instead acted as a catalyst that brings about the break-down of the sacrificial order. The evangelical "good news" clearly affirms the innocence of the victim, thus becoming, by attacking ignorance, the germ of the destruction of the sacrificial order on which rests the equilibrium of societies. The Old Testament already shows several turning points, and also exposes the mythic accounts with regard to the innocence of the victims. The Hebrew people were conscious about the uniqueness of their religious tradition. The gospels fully clarify this hidden system, and unveil the Satanic order which has continued since ancient time. The gospels also describe the foundation of this order as the murder in the account of the Passion. Medieval Europe showed the face of a sacrificial society that still knew very well how to despise and ignore its victims, nonetheless the efficacy of sacrificial violence has not decreased, in the measure that ignorance has receded. Girard sees the uniqueness and of the transformations of the Western society whose destiny today is one with that of human society as a whole. The purpose of this paper is to research about the mimetic theory and the scapegoat mechanism, and to provide a deeper understanding about a relationship between those hypotheses. Through criticizing Girard's concepts, this paper will provide an accurate recognition concerning the redemption.
著者
水谷 令子 富田 寿代
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.108, 2005 (Released:2005-12-08)

[目的]コーカサスは旧ソ連のヨーロッパ部分の最南端に位置し、西は黒海、東はカスピ海に挟まれた地域であり、紀元前に遡る歴史をもち、古くから文化が栄えた。本研究では、グルジアの水道水および地下水の水質を調べ、この地域の生活用水の現状と将来について検討する。[試料採取および実験]トビリシからバツーミまでの各都市の水道水および住民が飲用している湧水や地下水を採取し、上水道試験方法に従って水質を調べた。[結果及び考察]首都トビリシはグルジア東部、内陸部の山に囲まれた平野にあり、大陸性気候である。ここで使われている水道水は、pH8付近、電気伝導度(EC)30~40ms/m、硬度120~160mg/Lの中硬水であった。黒海沿岸地方は湿潤温暖気候で、この地方の代表的な都市バツーミの水道水は、ECが低く、硬度35~45mg/Lの軟水であった。黒海の水は溶存酸素がやや低く、アニオン、カチオンの量を反映してECの値が著しく高くなっている。今回調査したほとんどの試料は硬度と総アルカリ度の値がよく関連しており、ミネラル分は炭酸塩由来であることを示している。グルジアの主な都市には上水道が布設されており、街角には水飲み場があり、人々は頻繁に飲用していた。水道水源は湧水や地下水で、水質は良好で、水量は豊富といえる。また、ミネラルウォーターの採水地も多い。これは、国土は山がちで、比較的降水量が多く、たくさんの河川に恵まれていることに加え、産業や観光目的の開発があまり進められていないことも水質保全に役立っていると思われる。
著者
小林 紀子
出版者
小田原短期大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:03860892)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.15-25, 2006-03-25
著者
宋 丹丹 Dandan SONG
出版者
総合研究大学院大学文化科学研究科 / 葉山町(神奈川県)
雑誌
総研大文化科学研究 = SOKENDAI Review of Cultural and Social Studies (ISSN:1883096X)
巻号頁・発行日
no.19, pp.214(47)-198(63), 2023-03-31

本稿は、安産以外の堕胎、間引き、避妊などの産育習俗において、用いられる石の特徴、石の働き、石の呪術性などについて考察し、石に託された民俗の心意を明らかにすることを目的とする。 これまでの民俗学の研究では、子授けや安産などを願う石の習俗について早くから報告がなされ、研究が蓄積されてきた。一方、避妊、堕胎などの「出生コントロール」や間引きに関する石の習俗については、研究がほとんどなされてこなかった。そこで本稿では、民俗学に限らず、近世史における堕胎、間引きなどの研究を参照し、筆者がこれまで研究を進めてきた石や岩石信仰との関わりから、石を用いた避妊、堕胎、間引きなどの習俗について検討していく。 分析の対象とするのは、『日本産育習俗資料集成』、『岡山縣下妊娠出産育兒に關する民俗資料』、『愛知縣下妊娠出産育兒に關する民俗資料』などの資料である。堕胎、間引きと避妊の実施方法や特徴、また石を用いたかどうかなどを分析の指標とした。結果は、以下に示す通りである。 まず石を用いた堕胎と間引きの習俗は、石の呪術性よりも、モノとしての石の重量、堅固という石の物理的な性質を利用していたことがわかった。堕胎の具体的な方法として、石を用いたものはわずかであるが、たとえば石を抱いて高いところから飛び降りる、漬け物石を持って動き廻る、などが挙げられる。間引きの習俗の場合も、石の物理的な性質を利用し、とくに神聖視される場合もある石臼を用いて嬰児を殺す方法などが見られた。 また、妊娠を避ける習俗では、石の持つ霊性または神性を基に、投げるまたは腰掛けるという行為を加えて祈願していたことが明らかとなった。その際、人に見られないように、また、後ろ向きになる、といった日常的な祈願の行為とは意識的に逆の行為を行って避妊の達成を願っていたことがわかった。 堕胎や避妊などの「産まない」こと、「妊娠しない」こと、また間引きという嬰児殺しのなかで、石を用いて子殺しをしたり、石ではないがホオズキの茎を性器に入れるなど、危険な方法で堕胎せざるを得なかった当時の女性たちの性や生が『日本産育習俗資料集成』という断片的な資料の中からも浮かび上がってくる。つまり、石を用いた/石を用いない「出生コントロール」を行う女性たちの切実な願いと現実、そして産まない、産めない女性を石を用いて「石女(うまずめ)」と表現した当時の人々の眼差しも、石に注目することで、明らかにすることができたと言える。The purpose of this paper is to examine the characteristics of the stones used in childbearing practices for purposes other than safe childbirth, such as abortion, infanticide, and contraception and the functions and magical properties of stones and to clarify folk beliefs entrusted to stones.There are earlier reports of folklore studies on the custom of using stones to pray for fertility and easy childbirth, and studies on the subject have been accumulated. On the other hand, research has not been conducted extensively on stone-based customs related to birth control, such as contraception, abortion, and infanticide.The author conducted studies on abortion and infanticide not only in folklore but also in early modern history and examined stone-based birth control, abortion, and infanticide customs in relation to stone and rock beliefs, which the author has been researching.Based on the materials such as Nihon saniku shūzoku shiryō shūsei, Okayama kenka ninsin shusan ikuji siryo, and Aichi kenka ninsin shusan ikuji siryo, the methods and characteristics of abortion, infanticide, and contraception, as well as whether or not stones were used, were used as indices in the analysis. The conclusions are as follows.First, it is clear that abortion and infanticide practices using stones were based more on the physical properties of stones as a tool, i.e., the weight and solidity, than on the magical properties of stones. Only a few specific methods of abortion involve use of stones. For example, jumping down from a high place holding a stone, or moving around while holding a stone. In the case of the custom of infanticide, the physical properties of stones were used to kill infants, especially by using a stone mortar, which is sometimes considered sacred.In the custom of avoiding pregnancy, it was found that people prayed by throwing or sitting on stones based on their spiritual or divine properties. In doing so, it was found that they consciously performed the opposite act of daily prayer, such as turning backward or hiding not to be seen, in order to achieve the goal of contraception.Abortion, contraception, and other forms of infanticide to prevent birth, such as using stones to kill the child or inserting a hozuki stalk (a branch) into the genitals, as described in Nihon saniku shūzoku shiryō shūsei, reveal the sexual practices and lives of women who were forced to use dangerous methods to perform abortions.The author clarifies the compelling desires and realities of the women who performed birth control using or without stones, as well as the viewpoints of the people of the time who referred to stones to describe women who did not or could not give birth, calling them stone women (umazume).