著者
吉村 紀子
出版者
神田外語大学
雑誌
Scientific approaches to language (ISSN:13473026)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.195-211, 2006-03-31

本論は日本語において共通語だけでは理解できない問題を解く手がかりとして方言研究の知識を適用する試みである。考察では、主格表示の「が」と「の」について、特に「が/の」の交替に焦点を絞り、Harada(1971)の議論に熊本八代方言の事実を交流,させつつ、最近の「主語移動説」に対して「基底生成説」を再考する。この方言は大主語に「が」を、叙述主語に「の」を区別して用いるため、「が/の」の交替に新たな見解をもたらすことになる。分析から、第一に、主文は「NP-の」の「NP-が」を越える移動が許容しないのに対し、関係節は「NP-のNP-が」の語順が可能であること、第二に、関係節の主語の位置に再叙代名詞が生起できること、が明らかになる。その結果、問題の「NP-の」はDPの指定部に基底生成されたNPに属格の「の」が付与されたもので、埋め込み節の主語はゼロ代名詞のproであることを主張する。したがって、「が/の」の交替はpro-drop現象に係わる事実として捉えることができよう。このような成果を踏まえ、統語理論と方言研究との交流の必要性と重要性を強調する。
著者
奥谷 喬司
出版者
日本貝類学会
雑誌
ちりぼたん (ISSN:05779316)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.93-99, 2006-10-10

以前からそういう話を聞いてはいたが,先頃茨城県にある「あ印」というタコの加工会社に招かれて工場を見学させて貰ったところ,タコが大量の貝を「採集」して来ることを実見した。過去にどこかに誰かが,同様の情報を書いているのではないかと探してみたところ,築地の中央魚類(株)にお勤めの会員石川謙二氏から氏がタコが採って来る貝について1986年春相模貝類同好会でご発表になり,同年,雑誌「アニマ」夏休み特大号に写真付きの記事を掲載されたとご教示を戴いた。その上,同氏から1996年2月23日に同好会に配布された「アフリカのタコが携帯してくる貝」という資料(本稿付録に掲載)も戴いた。いっぽう,岡本正豊氏からは「週間文春」1981年4月16日号に掲載された「タコのおみやげ」というカラーグラビアのコピーをご提供戴いた。この記事には明石市の冷凍たこの解凍場に勤務する伊藤明夫氏という人が集めた貝の写真が付いている。このような週刊誌の貝類関係記事を保管しておられる岡本氏のマメさにも感服したが,同好会や学会のマニア以外にも伊藤氏のような隠れた貝類収集家がいるのも驚きであった。石川氏の業績や「週間文春」の記事に比べれば,今回のコレクションは僅か1回きりのしかも短時間の採集努力に留まったが,筆者としては初めての体験でおおいに興味をそそられたので,小文とした。
著者
大西 一嘉 原田 哲也
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文報告集
巻号頁・発行日
no.4, pp.209-213, 1994-08

本研究は災害弱者施設での防災対応のあり方に関する研究の一環として行ったものである。死者119人を出した1993年鹿児島水害における保育所での対応をアンケート調査によって考察し、被災事例を通じて今後の計画的対応の必要性を指摘している。水害は地震や火災と異なり、人的・物的被害にいたるまでの時間的猶予があるため、比較的事前対応が取りやすいといわれている。注意報や警報などの気象警報、あるいは避難勧告や指示、洪水警報や水防警報などの災害警報が、被害発生前に住民に伝達されることにより適切な災害対応行動を導くことも可能である。しかし現実には、水害時の避難行動は周辺が危険状態に移行したり、被害が顕在化した後や、身近な人の指示などがあってようやく開始されることが多いとの指摘があるように、予防的というより脱出的な行為に近くなる。従って、避難のタイミングを失った逃げ後れによる被害が後を絶たない。また土砂災害は洪水害に比べて突発性が高いため、大きな人的被害を招くことが少なくない。本研究では、1993年7月〜9月にかけての数度にわたる水害で多くの死者を出すなどの大きな被害を受けた鹿児島県を対象に、災害弱者である乳幼児を預る保育所における水害対応に着目して、防災対策における水防体制のあり方を検討した。調査方法としては、被災地区の保育所に対して郵送アンケートにより調査すると共に、退避・避難行動がみられた保育所については、電話によるヒアリング調査を併用して、避難の際の問題点や教訓を把握した。その結果、以下の点が明らかになった。鹿児島県地方では風水害のリスク認識が火災や地震と共に高いにもかかわらず、訓練を含めた予防対応が不十分であり、公立保育所に対して私立での対応がやや遅れている。弱者を抱える施設の場合、水害時には適当な避難場所の有無がスムーズな事前避難を左右し、避難場所が遠いと避難途上での被災を恐れて避難が遅れる傾向にある。避難所の選定方法や施設が備えるべき装備品についても各種の災害態様に応じて対応できるように考慮されなくてはならない。
著者
今橋 鐵三
出版者
岡山医学会
雑誌
岡山医学会雑誌 (ISSN:00301558)
巻号頁・発行日
vol.40, no.12, pp.2451-2464, 1928-12-31

Es wurde der Einfluss verschiedener Mittel auf die zum Tode führende Tetrodotoxinvergiftung bei der Maus untersucht, indem man dem Tiere diese Mittel mit der letalen Dosis von Tetrodotoxin gleichzeitig subkutan einführte. Die Versuche erstreckten sich einerseits auf die vorwiegend zentral erregenden, andrerseits auf die die peripheren motorischen Apparate erregenden Gifte und ferner auf die Substanzen mit keiner spezifischen Wirkung, wie Traubenzucker und Alkalien, welch letztere in vitro das betreffende Gift entgiften sollen. Die Ergebnisse sind, wie folgt, kurz zusammenzufassen. 1. Pikrotoxin, Physostigmin, Guanidin und Adrenalin beeinflussen nicht nur den Tetrodotoxintod antagonistisch, sondern verstärken auch die Toxizität. 2. Kaffein, Hexeton und Coramin wirken der Vergiftung entgegen, indem sie die Lebensdauer der Tiere mässig zu verlängern vermögen. Cardiazol und Traubenzucker sind auch wirksam, scheinen aber diesen genannten etwas nachzustehen. 3. Lobelin und Natriumkarbonat zeigen einen viel günstigeren Erfolg, denn sie verlängern nicht nur die Lebensdauer, sondern vermindern auch die Mortalität der vergifteten Tiere. Besonders ist Natriumkarbonat am stärksten wirksam. Daraus geht hervor, dass bei der tödlichen Vergiftung durch Fugugift die atmungserregenden Mitiel mit mehr Erfolg lebensrettend sind, als die Mittel, welche auf die peripheren motorischen Apparate erregend wirken, und dass Alkalien, die das Gift chemisch zerstören können, den besten Erfolg haben.
著者
藤井 叙人 佐藤 祐一 若間 弘典 風井 浩志 片寄 晴弘
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.1655-1664, 2014-07-15

ビデオゲームエージェント(ノンプレイヤキャラクタ:NPC)の振舞いの自動獲得において,「人間の熟達者に勝利する」という長年の目標を達成する日もそう遠くない.一方で,ユーザエクスペリエンスの向上策として,『人間らしい』NPCをどう構成するかが,ゲームAI領域の課題になりつつある.本研究では,人間らしい振舞いを表出するNPCを,開発者の経験に基づいて実現するのではなく,『人間の生物学的制約』を課した機械学習により,自動的に獲得することを目指す.人間の生物学的制約としては「身体的な制約:"ゆらぎ","遅れ","疲れ"」,「生き延びるために必要な欲求:"訓練と挑戦のバランス"」を定義する.人間の生物学的制約の導入対象として,アクションゲームの"Infinite Mario Bros."を採用し,本研究で獲得されたNPCが人間らしい振舞いを表出できているか検討する.最後に,獲得されたNPCの振舞いが人間らしいかどうかを主観評価実験により検証する.Designing the behavioral patterns of video game agents (Non Player Character: NPC) is a crucial aspect in developing video games. While various systems that have aimed at automatically acquiring behavioral patterns have been proposed and some have successfully obtained stronger patterns than human players, those patterns have looked mechanical. We propose the autonomous acquisition of video game agent behaviors, which emulate the behaviors of human players. Instead of implementing straightforward heuristics, the behaviors are acquired using techniques of reinforcement learning with Q-Learning, where biological constraints are imposed. Human-like behaviors that imply human cognitive processes were obtained by imposing sensory error, perceptual and motion delay, physical fatigue, and balancing between repetition and novelty as the biological constraints in computational simulations using "Infinite Mario Bros.". We evaluated human-like behavioral patterns through subjective assessments, and discuss the possibility of implementing the proposed system.
著者
林 衛
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.119-131, 2013

東日本大震災・原発震災は,市民社会における科学や科学者のあり方を見直す機会となった。日本の市民社会には原発震災の未然防止はできなかったが,震災後に発揮された「超専門力」「市民科学リテラシー」によって,政府や御用学者からの偏った情報提供を批判的に受け止めるのに成功した面もあった。理科離れは「文系人間」の科学リテラシー不足の問題としてしばしば語られるが,より重要なのは「理系人間」が異分野への知的好奇心を磨きつつ自らのリテラシーの再点検・向上に努め,自由に科学を論じられる社会的な雰囲気づくりに貢献することだろう。
著者
髙橋 紳吾
出版者
金原出版
雑誌
小児科 (ISSN:00374121)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.1017-1023, 2001-05
著者
高橋 顕也
出版者
SHAKAIGAKU KENKYUKAI
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.19-34,189, 2012

Dieser Aufsatz zielt darauf ab, die Position und die Entwicklungsmöglichkeit des Begriffes „ Medium" in der Gesellschaftstheorie Luhmanns darzustellen, die durch das Konzept eines geschlossenes Systems charakterisiert werden kann. Dazu verweisen wir auf das Problem, das System zu identifizieren, das wesentlich und entscheidend für seine heorie ist. Das hat zur Konsequenz, die Bedeutung von Luhmanns Theorie zu negieren, wenn das Ergebnis negativ ist. Wir argumentieren wie folgt. Die Aufsätze von SATO Toshiki nehmen wir erstens als eine typische Kritik daran auf, was das Problem der Systemidentifizierung aufwirft, und die darauf negativ antwortet. Wir formulieren ihre Argumentationen um, um ihre Annahmen deutlicher zu machen. Der Grund, warum der Begriff „ System" in Luhmanns Theorie postuliert wird, wird zweitens dort bestätigt, wo Luhmann den Aufbau seiner Theorie mit „ Kommunikation als Operation" beginnt. Die ablehnende Haltung zu dem Problem, die SATO einnimmt, wird drittens aus der Sicht der Theorie Luhmanns selbst überprüft, um einen Mangel seiner Theorie aufzuzeigen. Schließlich wollen wir beweisen, wie der Begriff „ Medium", den Luhmann in seine eigene Theorie eingeführt hat, zum Problem der Systemidentifizierung beiträgt, um einen Ansatz zu finden, der die Genese eben dieses Systems erklären kann. Die Folgerung ist, dass der von Luhmann aufgebaute konstruktivistische Ansatz der Theorie sozialer Systeme, der von vornherein Systemidentität annimmt, sich mit dem in diesem Aufsatz vorgeschlagenen generativen Ansatz ergänzen soll, der nicht von Systemidentität ausgeht, sondern von Medien, die immer im Sozialen gegeben sind.
著者
香川 貴志 井上 明日香
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.136-144, 2016

国際地理オリンピック(iGeo)は,主に高校生が選手として出場する競技会で,最近では国際地理学会議(IGC)の地域大会の開催地で毎年催されている.日本は長らく苦戦を続けていたが,直近の2015年8月にロシアのトヴェリで開催されたiGeoでは,代表選手の全員がメダルを獲得するという史上初の快挙を成し遂げた.その背後には,日本代表選手の選考にあたっての選抜試験の工夫,代表選手に対する強化研修の取り組みなど,成績の改善に向けた不断の取り組みがある.本稿では,前者に焦点を当てて,2015年における3次試験の内容を紹介し,地理教育を改善していくための一助としたい.
著者
長野 伸一 上野 晃嗣 長 健太
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.96, no.10, pp.2262-2273, 2013-10-01
被引用文献数
1

近年,エネルギーの効率的利用という観点から注目を浴びているスマートコミュニティを構成するモジュールの一つに,センサから取得した情報を利用してリアルタイムに交通情報を把握する次世代交通システムがある.本論文では,ソーシャルセンサとしてのTwitterから交通情報,特に鉄道の運転見合わせや遅延などの運行情報をどの程度正確,且つ,迅速に検出できるのか検証した.ツイートがもつ情報の不確実性についてはヒューリスティックスなルールによるテキスト処理,路線による情報量の違いについては統計処理におけるパラメータ値最適化により,検出結果のF値が0.85,検出までに掛かる時間が3分台となることを確認した.また,鉄道事業者が発表する公式情報よりも早く,また,鉄道事業者が発表しない小規模な事象も検出できる場合があることを確認した.
著者
戸川 芳郎
出版者
二松學舎大学
雑誌
二松 : 大学院紀要 (ISSN:09143602)
巻号頁・発行日
no.11, pp.I1-375, 1997-03-31
著者
佐々木 閑
出版者
花園大学文学部
雑誌
花園大学文学部研究紀要 (ISSN:1342467X)
巻号頁・発行日
no.28, pp.111-148, 1996-03