著者
古屋 正貴 エリアス チャールズ M.
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨
巻号頁・発行日
vol.35, 2013

パラサイトに含まれるオリビンを宝石としてカットできるようになってから,市場でもパラサイト起源のペリドットが見られるようになった.これらはすでにいくつかの研究がされているが,この度,アメリカのAdmire隕石からカットされたペリドットを検査する機会を得たので,改めて通常の地球起源のペリドットとの比較,検証を行った.<BR> 検査としては拡大検査,屈折率,比重などの通常の鑑別検査と共に,蛍光X線での成分分析,FT-IRや紫外可視分光光度計などの分析機器を用いた検査を行い,その他にも磁石を用いての磁性の検査などを行った.<BR> パラサイト起源のペリドットに地球起源のものとの違いが見られた点としては,拡大検査のインクルージョンでは1) 周りの鉄質隕石が含まれたもの,2) 独特な針状インクルージョン,3) 地球起源のものではあまり見られない強いクリベージなどが認められた.また,屈折率と比重との関係において,パラサイト起源のものの方に比重が高くなる傾向がみられた.そのほか成分分析からは,パラサイト起源のものにニッケル分が低い特徴が見られた.またカット石では母岩と成る鉄質隕石をインクルージョンと含むものでは強い磁性も違いとして認められた.<BR> 数は少ないもののAdmire隕石以外の隕石との比較ではあまり有効な違いは見られなかった.これはそのペリドットの生成が,火星と木星のアステロイドベルトの小惑星同士の衝突によるもので,それが地球のどこに隕石として落ちたかの違いであり,由来自体には違いがないためと推測される.<BR> 上記のような違いがパラサイト起源のペリドットと地球起源のペリドットには認められ,それらを宝石鑑別上でも区別することが可能であることが分かった.<BR> 【参考文献】<BR>1. Leelawathanasuk, T., et al. "Pallasitic peridot: The gemstone from Outer Space" IGC 2011 Interlaken, Switherland<BR>2. Shen, A., et al. "Identification of extraterrestrial peridot by trace elements" Gem and Gemology, Fall 2011, United States<BR>3. Wikipedia, "Pallasite" Internet homepage
著者
佐々木 博康
出版者
大分大学教育福祉科学部
雑誌
大分大学教育福祉科学部研究紀要 (ISSN:13450875)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.225-234, 2003-10

「死のフーガ」を書いたドイツ系ユダヤ人パウル・ツェランは,当時ルーマニア領であったブコヴィナ地方の中心都市チェルノヴィッツに生まれた。第二次大戦中,彼の両親はトランスニストリアの強制収容所に送られそこで死んだ。ツェラン自身は強制移送を免れたが,強勧労働に従事し続けなければならなかった。強制労働の合間をぬって彼は詩を書いた。「死のフーガ」には,両親を助けられなかったことを自分の罪と感じるツェランの個人的苦悩が色濃く反映している。
著者
中村 悟之 近藤 和彦 三重野 哲
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.71, pp.594, 2016

<p>本実験は、宇宙空間における小惑星衝突を想定したモデル実験である。高速飛翔体の衝突時に発生する高温プルーム内の分子回転温度や黒体温度を測定することにより、実際の小惑星衝突での分子形成の様子を解明することを目的としている。高速飛翔体にはポリカーボネイト弾を使用し、標的には鉄と水とヘキサンを、充填気体には窒素を用いた。衝突後の高温ガス中にはCN分子が多く含まれ、その発光からCN分子回転温度の特性を調べた。また、同時に、黒体輻射温度も測定した。</p>
出版者
日本風景協会
巻号頁・発行日
1934
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1661, pp.26-29, 2012-10-08

今と同じく、石油ショックや公害問題など、様々な社会問題で日本が重い閉塞感に包まれていた1970年代前半、一大ベストセラーとなった書籍があった。『ノストラダムスの大予言』(祥伝社)だ。 著者で作家・ルポライターの五島勉氏は本書で、16世紀のフランスの医師が書き残した詩集が後世の出来事を的確に予言していると紹介。
著者
渡辺 武志 竹内 史央 中野 和之
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大学教育学部附属中高等学校紀要 (ISSN:03874761)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.62-64, 2008-01

科学リテラシーの育成を目標に、17世紀近代科学成立期の科学と哲学を中心的題材とする授業を行った。そこでは、「楕円の性質」や「ノストラダムスの預言」などの具体的な題材を通じて、じっくりと科学的な思考の経験を積むよう計画した。また、今回から取り入れた新規の題材である「偽(似非)科学」は、現代的な話題も含み、生徒が実生活の中で科学リテラシーを生かせるようになることを目指したものである。
著者
小栗 友紀 角田 鉄人 加来 裕人 堀川 美津代 稲井 誠 黒田 英莉 鈴木 真也 田中 正己 伊藤 卓也 高橋 滋
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.56, 2014

<p> アブラムシの中には鮮やかな体色をもつものも多く,その体色表現にポリケタイド系色素が深く関わっていることが分かってきた.そして当研究室では,これまでにイタドリに寄生するユキヤナギアブラムシ(Aphis spiraecola,黄色)から黄色色素furanaphin<sup>1)</sup>を,セイタカアワダチソウに寄生するセイタカアワダチソウヒゲナガアブラムシ(Uroleucon nigrotuberculatum,赤色)から赤色色素uroleuconaphin A<sub>1</sub>, B<sub>1</sub>,<sup>2)</sup>黄色色素xanthouroleuconaphin<sup>3)</sup>を,ソラマメヒゲナガアブラムシ(Megoura crassicauda,緑色)から緑色色素viridaphin A<sub>1</sub> glucoside<sup>4,5)</sup>を単離し構造決定した.その他,megouraphin glucoside A, Bやuroleuconaphin A<sub>2a,b</sub>, B<sub>2a,b</sub>の構造決定も行った (Fig. 1).一方,これら色素はポリケタイドであることから,生物活性も期待された.実際,</p><p>Fig. 1</p><p>ヒト前骨髄性白血病細胞 (HL-60)に対する細胞毒性試験を行ったところ,furanaphinのIC<sub>50</sub>は25 mM,uroleuconaphin A<sub>1</sub>では30 mM,uroleuconaphin B<sub>1</sub>が10 mM,viridaphin A<sub>1</sub> glucosideが23 mMと,弱いながらも細胞毒性を示した.このように当研究室ではアブラムシのもつ色素成分に注目して研究してきたが,今回は無色透明のアブラムシCryptomyzus sp.について調べた.当然のこととして,色素は存在しないと考えられるが,それに代わる何らかの化合物の存在を期待した.</p><p>1. 構造決定</p><p>1-a. 抽出と単離</p><p> Cryptomyzus sp.はヤブサンザシ(Ribes fasciculatum)の葉裏にひっそりと目立たず寄生している無色で透明感のあるアブラムシである.体長わずか0.5-1 mmの極小な昆虫であることから,テントウムシなどの捕食昆虫にとっては極めて発見しにくいものと思われる.このアブラムシを刷毛で掃き集め,エーテル中で潰して成分を抽出した.このエーテル抽出物を順相及び逆相クロマトグラフィーを繰り返し,4種の無色結晶cryptolactone A<sub>1 </sub>(1), A<sub>2 </sub>(2)(A<sub>1 </sub>: A<sub>2</sub> = 6.2:1)およびcryptolactone B<sub>1 </sub>(3), B<sub>2 </sub>(4) (B<sub>1 </sub>: B<sub>2</sub> = 4.7:1)を得た (Fig. 2).当然ながら着色成分は一切得られなかった.</p><p>Fig. 2</p><p>1-b. Cryptolactone A<sub>1</sub> (1)およびA<sub>2 </sub>(2)の構造</p><p> Cryptolactone A<sub>1 </sub>(1)の分子式はCI-HRMSよりC<sub>18</sub>H<sub>30</sub>O<sub>4</sub>と決定した.またIRスペクトルから水酸基 (3407 cm<sup>-1</sup>),カルボニル基 (1712 cm<sup>-1</sup>)の吸収が観測された.<sup>13</sup>C-NMRより18個の炭素シグナルが観測され,DEPTより1個のメチル基 [d<sub>C</sub>/d<sub>H</sub> 14.1/0.88],11個のメチレン基 [d<sub>C</sub>/d<sub>H</sub> 29.9/2.34 and 2.41, 41.5/1.75 and 1.82, 48.8/2.53 and 2.66, 43.6/2.43, 23.6/1.57, および 22.6, 29.1, 29.2, 29.3, 29.4, 31.8/1.26-1.32],4個のメチン基 [d<sub>C</sub>/d<sub>H</sub> 121.4/6.03, 145.2/6.89, 74.8/4.74, 63.7/4.39],2個のカルボニル炭素 [d<sub>C</sub> 164.2 and 212.2] の存在を確認した.またこれらデータから2個のオキシメチン基 [d<sub>C</sub>/d<sub>H</sub> 74.8/4.74, 63.7/4.39],2個のオレフィン炭素 [d<sub>C</sub>/d<sub>H</sub> 121.4/6.03, 145.2/6.89]の存在も確認できた.最終的にHMBC実験の詳細な検討により,化合物1はb-ヒドロキシケトン構造を側鎖にも</p><p>(View PDFfor the rest of the abstract.)</p>
著者
内田 良
出版者
愛知教育大学実践総合センター
雑誌
愛知教育大学教育実践総合センター紀要 (ISSN:13442597)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.203-210, 2010-02

本稿の目的は,学校管理下の体育的部活動時に発生した重大事故(死亡や重度の負傷)の件数に関して,既存の統計資料を二次分析にかけることで,どの種の部活動が重大事故につながりやすいのかを明らかにすることである。今日,学校安全が不審者対策と同一視されることがある。本稿は,学校安全を不審者対策に特化しない。学校管理下の多種多様な災害の集計データを幅広く見渡し,「エビデンス・ベイスト」の視点から体育的部活動に焦点を合わせ,どの部活動で事故が高い確率で起きているのかを明らかにする。これまで学校事故のデータの「集計」はなされてきたが,そこに一歩踏み込んで「分析」をくわえようという試みはおこなわれてこなかったのである。分析の結果,中高の部活動のなかでもっとも重大事故に遭う確率が高いのは柔道部とラグビー部であることがわかった。確率が高い部活動においては,早急な安全対策が求められる。