著者
北村 喜宣
出版者
Japan Society of Material Cycles and Waste Management
雑誌
廃棄物学会誌 (ISSN:09170855)
巻号頁・発行日
vol.9, no.6, pp.434-443, 1998-09-30
被引用文献数
3 1

1997年に改正された廃棄物処理法は, それまでの産業廃棄物処理に対する不信感を払拭することを, 最大の目的としている。それにあたって, 重要な機能を果たすのが, 情報である。改正法は, 生活環境影響調査書と許可申請書, 処理施設の維持管理記録を利害関係者に公開するように求めた。しかし, これだけでは, 信頼の回復には不十分である。<BR>改正法の対応以外にも, 不信感を緩和する対応は考えられる。列挙すれば, 許可理由の開示, 許可業者に関する情報の提供, 行政指導・行政命令文書の公開, 専門家に関する情報の公開, 立入検査・指導日誌の公開である。これらは, 第一次的には知事が職権ですることが望ましいし, 情報公開条例に基づく開示請求が出された場合でも, 原則として, 全面開示の方向で対応すべきである。
著者
井山 ゆり 吾郷 ゆかり
出版者
島根県立看護短期大学
雑誌
島根県立看護短期大学紀要 (ISSN:13419420)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.53-59, 2003

近年、医療機関と地域との「継続看護」の重要性が高まっている。そこで、病院看護と訪問看護の連携に焦点をあて、訪問看護師は「継続看護」の現状についてどのように捉え、継続の困難さを感じているのかを明らかにするために、インタビューを行った。その結果、訪問看護師は、「継続看護」を困難にする要因を次のように捉えていた。1)病院看護師の「継続看護」に対する認識の不十分さ、2)病院看護師の在宅生活への視点や社会資源の理解不足、3)医療体制整備の不十分さ、4)訪問看護師自身の働きかけの不十分さ、である。
著者
菅原 由美子 飯塚 千晶 土居 一哉 松﨑 研一郎 長岡 正範
出版者
認知神経科学会
雑誌
認知神経科学 (ISSN:13444298)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.88-97, 2021 (Released:2021-04-13)
参考文献数
15

【要旨】 症例は84歳男性で、心原性脳梗塞後に繰り返し他人を自分の家族・友人と誤認した。視力・聴力は正常、視野障害や半側空間無視を認めなかったが、担当のリハビリテーション職員の顔を覚えられず、他患者の面会者やリハビリテーション職員を自分の家族・友人と繰り返し誤認し、その誤りに気付かなかった。長谷川式認知症スケールは25/30点。視覚による物体失認を認めず相貌認知では、家族や有名人の熟知相貌識別に重度の障害、未知相貌の異同弁別・同時照合は中等度障害を認めたが、相貌の独自性の認識を求めない課題である表情の叙述、性別・老若の判断は比較的良好であった。家族・友人の人物意味記憶は保たれており、連合型相貌失認に似ているが、人声失認を合併している点が一般的な連合型相貌失認とは異なっていた。MRI病変は、右後頭・側頭葉でなく、視覚(顔)だけでなく聴覚(声)を含む多モダリティー人物認知障害(multimodal people recognition disorders)が生ずるとされる右前側頭葉を含む前頭・側頭葉に限局した。この相貌認知障害に加えて、右前頭葉が側頭葉に及ぼす探索(モニター)機能が障害されていることも本症例の誤認に関与している可能性がある。
著者
小林 勉
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.37-57, 2020-03-31 (Released:2021-04-15)
参考文献数
26

スポーツは国際開発では新しい領域である。本稿では、21世紀に入り「スポーツ」の領域と「開発」の領域とが急速に接近した経緯を追いながら、SDGs時代にスポーツ界で何が起こっているのかについて概説する。SDGs時代のスポーツを解読していくためには、スポーツ界のみの動向を問うのではなく、まず何よりもSDGsに至る経緯を分析しなければならない。そこで本稿では、開発援助の領域において重要な枠組みになっている「国際レジーム論」の視点を援用して国際開発の枠組みの変遷を跡づける。そして、JICAにおける「スポーツと開発」事業やスポーツ庁が打ち出してきた国際戦略などを焦点化し、日本でどのような政策が立案されてきているのかについて明らかにしながら、日本の「スポーツ×開発」の本質的な問題について解題する。東京2020大会のムードを高める戦略やスポーツ庁またはJICAのアカウンタビリティの問題としてSDPを捉えるのではなく、スポーツ固有のアウトリーチ性を活かした支援によって、SDGsで掲げられた課題解決にいかに接合させられるのかが看過されている実態を浮き彫りにしながら、最終的に「スポーツ× SDGs」の時代を迎えつつある現在のスポーツの地平について批判的検討を試みる。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1512, pp.34-37, 2009-10-19

「世界中の情報を整理する」。グーグルの野望は現実の壁に突き当たりつつある。すべての本をデジタル化する試みでは、著作権者だけでなくIT業界が猛反発。頼みとするユーザーも、個人に密着する取り組みに違和感を覚える。 「なぜ何の連絡もなく、私の本を勝手にスキャンしているのか。
著者
楠木 行雄
出版者
一般財団法人 運輸総合研究所
雑誌
運輸政策研究 (ISSN:13443348)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.002-010, 2015-04-24 (Released:2019-02-12)
参考文献数
49

大手民鉄の大都市の路線に対する外資ファンドの廃止要求が株式の公開買付けに際して明らかになり,外為法の規制の適用,個別法への外資規制の導入,事業廃止規制の復活が要望されている.対象の5線のうち4線は輸送密度が8千人を超えているが,5線すべてが赤字と推定される.この問題は鉄道業の収支構造からみて他の大手民鉄にも可能性があり,大部分の大手民鉄には買収防衛策があるが機能しないこともありうる.しかし外為法の適用は容易でなく,外資規制の導入は前提条件に欠ける.鉄道特性のある路線の廃止の申請は,鉄道事業法が想定していなかったことであるので,事業廃止の部分認可制の創設又は事業改善命令の活用が必要である.
著者
三重野 博司
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.147-153, 1974

これは連続的な画像情報の視覚による認識モデルの1考察である.<br>連続的な画面から人間は視覚により連続的な画像情報を得たとき図形のイメージを把握できる. そして画像情報から特徴抽出して始めてその図形が何であるかを認識する.<br>この論文は主として画像情報空間と抽象空間について位相数学を用いて定義し, それらの分割, エントロピーなどについて論ずる. さらにそれらの空間が主観的なためファジー集合として扱かってみた.<br>なお特徴抽出の実験を試み理論の裏づけとした.
著者
関根 嘉香 ティースマイヤ リン
出版者
一般社団法人 室内環境学会
雑誌
室内環境 (ISSN:18820395)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.105-110, 2013

ミャンマー連邦共和国は2011年の新政権発足以降,民主化と経済改革に向けて変化を始めた。本稿では,環境化学者の視点から激変するミャンマーの環境事情の一端を紹介し,近い将来課題となるいくつかの環境問題について言及した。
著者
布施谷 節子 松本 智絵美
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.242, 2006

〈目的〉 スカート丈は流行によって変化するものの,定番のタイトスカートで、下体部が美しく見え、かつ、着用者に適合するような丈や色の設定はいかなるものであろうか。本研究では、若い女性が気にするような、脚が細く長く見える条件を体型別に明かにしようと試みた。〈資料・方法〉 被験者は体型が異なる女子大生4名で,着用実験に用いたタイトスカートは,各人の身体寸法に合わせて製作したものである。スカート丈は膝の中央を基準として、膝上10cm、膝の中央、膝下10cm、ふくらはぎの位置、踝の5条件で白と黒の2種類、計10条件をカメラで撮影し、これを評価の資料とした。写真資料を51名の女子大生が、バランスの良い・悪いもの、下体部の太く・細く見えるもの、脚の長く・短く見えるもの、総合評価の7項目の印象評価を行った。〈結果〉 _丸1_因子分析の結果、固有値1以上の6つの因子が抽出され、体型別に評価が分かれることがわかった。_丸2_黒スカートの場合、脚が細く長く見える丈は、背が高く太った被験者では踝丈、背が高く細い被験者では膝上10cm丈、背が低く太い被験者ではふくらはぎ丈であった。背が低く細い被験者では膝丈又は膝上10cm丈であった。スカートと脚のバランスの良い評価はいずれの被験者も膝丈であった。_丸3_白スカートの場合は、細い被験者は黒の場合と同じ評価であったが、太い被験者の場合では膝下丈は脚が細く見えるが、脚が長く見えるのは膝上丈であった。_丸4_黒と白のスカートを比較すると、太った被験者は黒の評価が高く、細い被験者では評価は分かれた。
著者
山口 静子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.40-46, 1993-02-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
13
著者
佐々木 英次 中原 東郎 神田 幸雄 大里 一夫 栂野 秀夫
出版者
社団法人 腐食防食協会
雑誌
防食技術 (ISSN:00109355)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.125-132, 1977
被引用文献数
2

The corrosion behavior of mild steel was investigated in a culture where hydrogen gas was bubbled. A dual cell system was employed. That is, in the first cell the bacteria produced hydrogen sulfide, which was introduced into the second cell by hydrogen gas. The bacteria were cultured in autotrophic or heterotrophic conditions. The electrode potential and polarization resistance of the specimens in both of the cells were measured. The variations of electrode potential and corrosion rate of the steel in both of the cell could be explained, corresponding to the variation of the concentration of hydrogen sulfide. The weight loss of the steel in the first cell was smaller than that in the second cell. There was no evidence that hydrogen depolarization by the bacteria occured. It seems to be more resonable that the anodic and catholic reactions were stimulated catalytically by hydrogen sulfide, not by the bacteria. On the other hand, in autotrophic condition, the bacteria could not grow so much, and the amount of biogenic hydrogen sulfide was much smaller than that in heterotrophic condition. Organic substances is necessary for the biosynthesis of the bacteria and for the great evolution of hydrogen sulfide. Therefore, in order to prevent the corrosion by the bacteria, in practice, a desalting plant ought to be designed to eliminate organic substances as much as possible.
著者
相模 誓雄
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.77, no.676, pp.1471-1478, 2012-06-30 (Released:2012-07-27)
参考文献数
30
被引用文献数
13

This study indicated that Okura-syo owned by Kaga domain located in Etty&ucric; Province are to be classified into three types. By analyzing the factors that affect the spatial structures of each type, it was affirmed that domain's agricultural policies such as Nakadashi and Sakujiki giving consideration to farmers resulted to create these types.