著者
藤井 正徳
出版者
京都薬科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究の目的は,脳ニューロステロイドであるアロプレグナノロン(ALLO)とアトピー性皮膚炎における痒みとの関係を明らかにし,新規掻痒治療薬ターゲットを創出することである。特殊飼料給餌によりアトピー性皮膚炎様症状を発症したマウスにALLOを全身投与すると掻痒様行動が顕著に増加した。このALLO誘発掻痒には,脳内GABAA受容体機能亢進作用が関与することを明らかにした。また,ALLO合成酵素阻害薬finarsterideの投与によりエタノール誘発性掻痒が抑制されたことから,内因性に産生されたALLOが痒みを誘発する可能性が示された。
著者
Makoto Tominaga David Julius
出版者
The Japanese Pharmacological Society
雑誌
The Japanese Journal of Pharmacology (ISSN:00215198)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.20-24, 2000 (Released:2001-01-31)
参考文献数
29
被引用文献数
58 68

Capsaicin, the main pungent ingredient in ‘hot’ chili peppers, elicits burning pain by activating specific(vanilloid)receptors on sensory nerve endings.The cloned capsaicin receptor(VR1)is a nonselective cation channel with six transmembrane domains that is structurally related to a member of the TRP(transient receptor potential)channel family.VR1 is activated not only by capsaicin but also by increases in temperature that reach the noxious range(>43°C).Protons potentiate the effects of capsaicin or heat on VR1 activity by markedly decreasing the capsaicin concentration or temperature at which the channel is activated.Furthermore, a significant increase in proton concentration(pH<5.9)can evoke channel activity at room temperature.The analysis of single−channel currents in excised membrane patches suggests that capsaicin, heat or protons gate VR1 directly.VR1 can therefore be viewed as a molecular integrator of chemical and physical stimuli that elicit pain.VRL−1, a VR1 homologue, is not activated by vanilloids or protons, but can be activated by elevation in ambient temperature exceeding 52°C.These findings indicate that related ion channels may account for thermal responsiveness over a range of noxious temperature.
著者
石井 忠雄 田名部 雄一 玉置 禎紀 正田 陽一
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.12, pp.634-640, 1971

1) 希薄溶液中のサイロキシンは,硬質ガラス製,スチロール樹脂製および硬質ポリエチレン製の容器壁に吸着されやすいが,吸着はブロピレングリコールまたは血漿の存在により防止される.<br>2) サイロキシンとヨード131標識トリヨードサイロニンとの競合を利用しているこの測定法で最も重要な役割を演じている血漿蛋白質はサイロキシン結合グロブリン(TBG)であり,TBGを含む血漿は標準血漿として使用できる.<br>3) アセチル化ポリピニルアルコールスポンジとラジオステレオアッセイの原理とを利用して家畜の血漿中サイロキシン測定法を得た.
著者
池崎 喜美恵
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.46, pp.21, 2003

<b>目的 </b>本研究では、日本人学校の家庭科教育の現状を明らかにするために、家庭科を指導する教師の属性や教師がどのような教育意識をもって児童・生徒を指導しているかを明らかにした。そして1996年の調査結果と比較し、日本人学校の家庭科教育がどのように変容してきたかを検討することを意図した。 <br> <b>方法 </b>2002年11月に世界の国々に点在する88校の日本人学校の学校長と家庭科担当教師宛に「日本人学校における家庭科の教育環境に関する調査」を依頼した。そして、2003年2月までに67校から回答が得られた。回収率は76.1%であった。 調査の概要は、家庭科の指導者、家庭科の指導法、家庭科教育に対する問題点や要望の観点から調査項目を設定した。<br><b>結果および考察</b>? 家庭科指導者は専任1名のみが59.5%、非常勤1名が17.5%であった。小学部と中学部で同一教師が指導する場合もあった。年齢構成は30歳代、40歳代とも各49名(38.9%)であった。大学時代の専門は、国語や音楽、美術を専攻した教師が家庭科を指導しているケースが多く、家庭科やその関連科目を専攻した教師は僅少で、免許外の教師による指導が現状であった。派遣教師と現地採用教師の比率は半々であった。 日本人学校での家庭科指導経験が2年以下が約5割を占めており、10年以上の家庭科指導経験をもつ教師が約2割いた。前回調査と比較して、教師の属性には大きな変化はなかった。<br>? 家庭科の指導方法では、4~5の手段を取り入れて指導していた。実習や講義の他、家庭での実践、現地にあった内容の導入、英語によるイマージョンの授業、幼稚部での保育実習なと多様な指導法を駆使していた。調理実習教材では現地の特産品を使用した実習や現地料理を扱っていた。教師の年齢や経験年数、採用方法により指導に特色がみられた。前回調査と比較すると、概ね現状の方が多様な指導法を活用していた。また81.0%の教師が教科書を使用しており、前回調査より教科書を使用して指導している教師が多くなった。<br>?教師全体の83.9%が、「とても・少し関心がある」と児童・生徒の家庭科に対する関心を高く評価していた。授業態度については、全体の83.3%が「とても・少し積極的である」と回答していた。前回調査ではそれぞれ83.3% 75.0%であり、児童・生徒に対する評価が若干上がっていた。<br>? 家庭科指導上の問題や悩みとして、「指導者の専門性(49.2%)」「教科書にそってすすめるとギャップがでる(46.6%)」「被服製作のための施設・設備の不足(46.4%)「調理のための施設・設備の不足(36.4%)」「教材が揃わない(33.9%)」が上位にあげられた。男性教師の半数以上が「指導者の専門性」を、女性教師の半数が「被服の施設・設備の不足」、47.6%が「指導者の専門性」をあげていた。その他、小規模校におけるカリキュラムの構成や教師の交替など、切実な問題が指摘された。年齢や経験年数・採用方法などにより問題点に特色がみられた。 <br>? 家庭科の授業の中で現地理解教育の観点から、学校の現地スタッフの協力や現地の人々との交流により、海外生活への理解を深める活動を推進していた。例えば、ローカルフードを利用した料理、調理用具の使い方、生活習慣や住まいの違いなどにふれ、エスノセントリズムの払拭に心掛けていた。<br>? 日本人学校の設置国によって違いはあるが、家庭科指導上の問題点として、多くの学校では教材入手の困難性授業時間の不足、視聴覚教材の不備、家庭科の専門教師の配置をあげていた。概ね、家庭科の教科書に準じた指導が行われているが、特に製作教材の準備の難しさや疑問が出された。<br>? 授業時数の確保や海外生活の利点を活かした授業実践を構想していく必要がある。また、日本人学校の家庭科教育の実態や指導方法などの情報交換を密にすることが要請される。
著者
竹内 裕美 樋上 茂 田中 弓子 山本 祐子 生駒 尚秋
出版者
JIBI TO RINSHO KAI
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.S134-S137, 2000

鼻腔通気度検査は、鼻腔の開存度の客観的評価法として臨床で広く使用されている。通常、測定結果は、正常者から得られた正常値と比較して評価される。一方、左右鼻腔の鼻腔抵抗が経時的に変化する生理的現象は、nasal cycleとしてよく知られているが、鼻腔通気度検査で得られた鼻腔抵抗値をnasal cycleを考慮して検討した報告は少ない。本研究では、47人の20歳代の健康成人を対象として、1時間ごとに7時間にわたり、anterior法 (ノズル法) で鼻腔抵抗を測定した。総鼻腔抵抗の変動幅 (最大値と最小値の差) は、片側鼻腔抵抗の約1/4であったが、平均0.1Pa/cm<SUP>3</SUP>/sの変動があった。また、1時間前の鼻腔抵抗を100とした場合の変化率は、総鼻腔抵抗では平均22.8%であり片側鼻腔抵抗の変化率の約1/2であった。本研究の結果から、総鼻腔抵抗値へのnasal cycleの影響は片側鼻腔抵抗に比べると少ないが、鼻腔通気度検査の評価に影響を与えるには十分なものであることが明らかになった。
著者
久住 知裕 岡田 誠之 前田 信治
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成25年度大会(長野)学術講演論文集 第1巻 給排水・衛生 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.177-180, 2013 (Released:2017-11-18)

浄水場での塩素の多量添加を受け、水道水中に発がん性生成物が発生している現状を防止するためには、建物内の配管において遊離残留塩素濃度の減少が把握しなければならない。そこで本研究は、建物内の配管における遊離残留塩素濃度の減少を実験的に解明した。
著者
伊藤 加奈子 佐立 治人 氏岡 真士
出版者
信州大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

『杜騙新書』は中国の明朝末期に出版された、様々な詐欺事件を題材とする短編小説集であり、中国近世の庶民生活、商人の経済活動、当時に生きた人々の善悪判断といった物の考え方を具体的に生き生きと伝える書物である。日本に現存する『杜騙新書』の明刊本や江戸時代の和刻本の所蔵先を調査・資料収集を行い、書誌学的事項を調査し、訳注を作成した。平成27年3月21日『『杜騙新書』訳注稿初編』を出版、全国の主だった図書館並びに東洋学関係出版社等に寄贈した。現代日本語訳注の作成によって、我々はこの書物がより広く人々の目に触れ、中国文化について更なる新しい理解を広めることを期待するものである。
著者
髙山 みさき 大西 英雄 城本 修
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.253-259, 2017 (Released:2017-09-25)
参考文献数
18

われわれはfunctional Magnetic Resonance Imaging(fMRI)を用いて,平仮名および片仮名の読字処理ルートと,表記妥当性が音読に及ぼす影響について検討した.健常成人29名に対して,平仮名もしくは片仮名で表記した表記妥当性が高い単語および表記妥当性の低い単語の音読課題を実施した.片仮名高妥当性課題は左右眼窩野,左紡錘状回,左中後頭回,左鳥距溝に,低妥当性課題は左中前頭回,左紡錘状回,左角回,右上前頭回,右上内側前頭回に活動を認めた.平仮名高妥当性課題では,左中眼窩野,左右中側頭回,左角回,左右中後頭回,右前方帯状回に,低妥当性課題は左中眼窩野,左紡錘状回に賦活を認めた.平仮名,片仮名はともに背側経路で処理され,読字処理に関与する脳部位は共通することが示された.さらに,表記妥当性は視覚的な認知や情報の統合に影響を与え,妥当性が低いほど処理負荷が強いことが示唆された.
出版者
日経BP社
雑誌
日経コミュニケーション (ISSN:09107215)
巻号頁・発行日
no.474, pp.90-95, 2006-11-15

2007年1月から運用が始まるユニバーサル・サービス基金制度。各通信事業者がNTT東西地域会社に赤字の一部を補てんする。当初は約152億円だが,年々この金額は上昇していく。電話料金の一部として徴収することになれば,ユーザーの反発は避けられそうにない。通信事業者からも不満が続出しており,制度のあり方を巡る議論に発展しそうだ。 「ユニバーサル・サービス料 7円」。
著者
木本 雄吾 宮崎 英治 土屋 佑太 後藤 亜希 行松 和輝
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.205-211, 2021-06-05 (Released:2021-06-05)
参考文献数
15

超低高度域(高度300 km以下)で運用される宇宙機の課題の一つとして原子状酸素(Atomic Oxygen : AO)の存在がある.AOは高層大気中の酸素分子が太陽からの紫外線により分解され,酸素原子となったものであり,高度が低いほど高濃度である.AOは衛星構体最表面に用いられる高分子材料を浸食する.そのため超低高度域の開拓には,AO量及びその影響の把握がミッションの成立性の観点で重要である.超低高度衛星技術試験機「つばめ」(SLATS : Super Low Altitude Test Satellite)のミッション機器として,AOモニタ(Atomic oxygen Monitor : AMO)が搭載された.AMOの目的は,SLATSが運用される軌道のAO環境の計測及びAOによる材料劣化の確認である.AMOはSLATSの打上げに合わせ電源投入,運用され,計画したミッションを達成した.

1 0 0 0 OA 杜騙新書訳解

著者
張応兪 著
出版者
大倉孫兵衛[ほか]
巻号頁・発行日
vol.巻上, 1879
著者
野村 典康
出版者
国際組織細胞学会
雑誌
Archivum histologicum japonicum (ISSN:00040681)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.355-370, 1955

実験的に白血球増加を起させられた動物 (死化膿菌を静注された二十日鼠, ドクダミ草を経口投与されたハムスター, 超音波をかけられた二十日鼠), 白血病にかかっている人, 寄生虫を有する牛と犬の血液で, 輪状核を持つ白血球の数が観察された. 大孔輪状核を有する特殊球は未熟な核を持つ特殊球が多い血液中に多く見られる. 同じ規則が好酸球に就いても云える. 白血球増加の全期を通じ未熟な特殊球中の大孔輪状核や成熟した特殊球中の分節輪状核の率は殆ど一定であった. 人の血液で大孔輪状核を持つ好塩基球が見付けられたので, 大孔輪状核は特殊球, 好酸球, 好塩基球のいずれにも出現し得ることが分った.<br>超音波がかけられた二十日鼠の皮下結合組織中に曝振12時間-1日後に線組球と組織球が増えるが, 大孔輪状核を有する細胞は殆ど増えない. 曝振中身体部分が水中にあると, 皮下の細胞の変化が著しい.
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンピュ-タ (ISSN:02854619)
巻号頁・発行日
no.462, pp.183-185, 1999-02-01

「高い勉強料だった」。東京放送(TBS)の子会社であるTBSビジョン(東京都港区)のコール・センター部門「テレデータ21センター」の加納隆夫センター長副理事は,ここ数年のシステム開発の取り組みを振り返って嘆息する。 TBSビジョンは,TBS向けに番組制作やイベント運営などを行う制作子会社。