1 0 0 0 OA 海事史料叢書

著者
住田正一 編
出版者
巌松堂書店
巻号頁・発行日
vol.第1卷, 1930
著者
山本 雄大 牧山 武
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.273-282, 2019-12-23 (Released:2020-09-12)
参考文献数
21

カルモジュリンは普遍的に発現しているCa2+センサータンパクであり,3つの異なる遺伝子(CALM1-3)によりコードされている.近年,これらCALM遺伝子の変異によって先天性QT延長症候群(congenital long-QT syndrome:LQTS)やカテコラミン誘発性多形性心室頻拍(catecholaminergic polymorphic ventricular tachycardia:CPVT)などの致死性不整脈疾患が引き起こされることが報告され,注目されている.このようなCalmodulinopathyは,CALM遺伝子のヘテロミスセンス変異によって引き起こされることが報告されているが,その疾患発症機序の詳細は不明である.われわれは,カルモジュリン遺伝子関連LQTS患者より樹立したiPS細胞を用いて疾患モデルを確立し,ヒト心筋における疾患発症機序の解明とゲノム編集技術を用いた新規治療法の開発を目的とした研究を行っており,カルモジュリン遺伝子異常と不整脈疾患に関する最新の知見と併せて紹介する.
著者
田中 博史 川合 武司 中島 宣行 浜野 光之 石出 靖
出版者
千葉県体育学会
雑誌
千葉体育学研究 = Chiba Journal of Physical Education (ISSN:09138137)
巻号頁・発行日
no.24, pp.1-9, 2000-06-30

[目的] 大学トップレベルのチームでは全日本級の選手育成のためにスピード、パワー、高さなどの体力の向上と技術・戦術の向上が課題になっている。しかし、それらの向上と同様精神面の管理または強化が重要な課題となっている。これらは、大学バレーボール界のみならず日本のトップレベルにあるすべてのスポーツチームにもいえることである。近年、精神面の強化と自己の精神面の管理ないしはコントロールするいわゆるメンタルマネージメントを目的としたトレーニングが行われるようになってきている。バレーボール選手にこのトレーニングを実施するに当たり、まずバレーボール選手の競技場面におげる心理特性とを把握しておく必要がある。特に競技行動に直接的な影響をもたらす心理的要因の一つと考えられる競技不安についてとチームパフォーマンスとしての勝敗との関係を把握することは、メンタルトレーニングを選手に課す際に重要であると考えられる。競技不安に関する研究は、近年国内外でかなり行われるようになってきている。Cox1) は、競技不安に関する従来の研究について1) 不安に関する多次元的性質に関するもの2) 競技開始前の不安3) 競技に及ぼす不安の影響4) 不安とパフォーマンスとの関係という4 領域に分類している。これらは、相互に関連し合っていることは言うもでもない。ここでは、スポーツ選手の競技場面における心理的コンディションと直接的に関連すると考えられる競技開始前の不安、パフォーマンスと関連が深いと考えられる競技終了後の不安を取り上げることとした。Spielberger 18) らが不安を状態不安 (StateAnxiety) と特性不安 (Trait Anxiety) とに2 分されるとし、緊張水準の一時的な変動によって生じる不安水準である状態不安を比較的安定した性格特性としての不安水準から分離した。従来、状態不安は、覚醒水準と関連することが明らかになって以来、覚醒水準を測定するために用いられた生理的指標がこの測定に利用されることが多かった。しかしフィールド研究においては、Martens 13) が指摘しているようにこの指標を用いることは困難である。Spielberger 18) 19) らによって質問紙法による検査(State Trait Anxiety Inventory、以降STAI と略記する。)が開発されて以来、競技場面における状態不安の測定が容易に可能になり、これに関する研究がかなり行われるようになってきている。市村 5) は、Kleine10) がスポーツ状況Sに合わせて作成された不安テストの予測妥当性が十分でないことを指摘していると述べ、pielberger ら1B) 19) の質問紙の方が、スポーツ状況に合わせて作成された不安テストよりも、選手の不安水準を正しく測定し、不安のために生起する運動の混乱を予測するのに妥当性が高いことを指摘している。Spielberger ら 18) 19) のSTAI は清水ら 17) によって日本語版が作成されている。このテストは、20項目からなり4件法で回答し得点の範囲は20点から80点である。従来のSTAIを用いた競技開始前の状態不安に関する研究の中には、競技が近づくに連れて不安が高くなってくるといった時間的要因に関する研究やこの要因を含んだものはかなり多く報告されている1)。しかし試合後の状態不安まで取り上げた研究はチームスポーツ選手を対象とした中島ら 15) の研究などがあるが数少ない。長谷川 3) は試合後の選手達が日常の健康な精神生活へのスムーズな復帰への過程が重要であると述べ、試合後の心理的コンディション作りの需要性を述べていることから、状態不安の測定には競技前後の2つの測定点での測定が必要であると思われる。そこで本研究においては、大学女子バレーボール1部リーグ戦に初めて昇格したチームの1部リーグ戦および1部・2部入れ替え戦を対象として競技開始前・後の状態不安を測定し、測定された状態不安とチームパフォーマンスとしての勝敗との関係を明らかにし今後のこの種の研究及びコーチングの際の基礎的資料とすることを目的とした。
著者
山肩 葉子
出版者
生理学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

Ca^<2+>/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII(CaMKII)は、中枢神経系に豊富に存在し、様々な蛋白質をリン酸化することにより、その蛋白質の機能を修飾するプロテインキナーゼとして、神経活動の制御やシナプス可塑性に深く関わり、学習・記憶を始めとする高次脳機能にも重要な働きをすると考えられている。本申請者は、CaMKIIα(前脳におけるCaMKIIの主要なサブユニット)の持つ3つの機能、(1)他の蛋白質をリン酸化するプロテインキナーゼとしての機能、(2)Ca2+結合蛋白であるカルモジュリンを結合する機能、(3)CaMKIIサブユニット同士が結合して、あるいは他の蛋白質と結合して構造蛋白として働く機能、のうち(1)のプロテインキナーゼ活性のみを欠損させた特異性の高い「機能的ノックアウトマウス」をノックインの手法を用いて作成した。このマウス脳では、CaMKIIαのプロテインキナーゼ活性のみが選択的に消失するが、蛋白としての発現は維持されており、シナプス可塑性との関連が示唆されるmRNAの樹状突起への局在も保たれていた。電気生理学的、形態学的解析によって、海馬におけるシナプス可塑性の異常が観察され、また、それに対応するように、海馬依存性の学習行動にも異常が生じていた。これらのことから、CaMKIIαのプロテインキナーゼとしての活性自体が、正常な海馬機能の維持に不可欠であることが明らかとなった。今後このマウスは、これらの機能維持に関わるリン酸化蛋白基質の検索・特定に大変有用であると考えられる。
著者
中村 正彦 鈴木 豊 小林 真 友田 春夫 高橋 隆
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.104-111, 1988-01-15 (Released:2013-05-24)
参考文献数
13

いくつかの成分曲線が線形に重畳した曲線群から,成分曲線の形を仮定せずにもとの成分曲線を復元する新しい方法,すなわち最大エントロピー原理を基礎とした方法を心RIアンジオグラフィから得られる時間放射能曲線に適用した結果について報告している.まず最初に最大エントロピー原理について概説し,ついで核医学動態画像解析の理論的基礎として本論文で取り扱う問題の定式化を行っている.3番目に,未知混合曲線からもとの成分曲線を復元する方法すなわち最大エントロピー原理を基礎とした新しい方法について概説している.最後に,心RIアンジオグラフィへの適用結果について示している.関心領域としては,心臓全体をカバーするようにしたもの,右心室領域をカバーするようにしたもの,左心室領域をカバーするようにしたものの3種を設定し,これら3種の関心領域から得られる時間放射能曲線群に方法を適用して,成分数を変えた場合の復元結果の違い等について検討している.これらの検討結果より,ここに示した方法は注意深く関心領域を設定することなしに対象臓器の時間放射能曲線を復元することが可能であり,従来核医学動態機能検査の基本的問題点の1つであった対象臓器の時間放射能曲線に重畳する他臓器由来の時間放射能曲線の除去に対する1つの解決法になることが示唆されている.
著者
河野 悦子 ム-ン クリス
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.941, pp.106-109, 1998-05-18

1998年2月7日、長野冬季オリンピック開会式はクライマックスを迎えようとしていた。聖火リレー最終ランナーがゲートをくぐりオリンピックスタジアムに姿を現すと、ひときわ大きな歓声が上がる。 左手の聖火を大きくかかげてゆっくりと進むそのランナーの名はクリス・ムーン。
著者
的場 康徳 村田 久行 浅川 達人 森田 達也
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.321-329, 2020

<p>【目的】がん患者の終末期医療に携わる医師のスピリチュアルペイン(SPP)を明らかにする.【方法】医師の臨床体験レポートを記述現象学と3次元存在論で分析した.【結果】すべてのレポートで医師のSPPが抽出され,時間性,関係性,自律性に分類された.とくに医師の意識の志向性が,がん治療や症状緩和の限界や患者の訴えるSPPに対応できないことに向けられ,それが医師としての無力・無能として現れる自律性のSPPが大多数を占めた.自律性のSPPの体験の意味と本質は,[治療(キュア)の限界に直面している自己が無力として現れる][患者のSPPに対応できない自己が無力として現れる][自分を取り巻く外的な環境の問題(過重労働や教育の不備など)が原因で自己の無力が生じる]という三つの構造で示された.またキュアの限界で医師が患者に会いづらくなる,避けるという体験は医師の自律性のSPPへの対処(コーピング)の可能性が示唆された.</p>
著者
小林 和也 栗田 玲
出版者
日本混相流学会
雑誌
混相流 (ISSN:09142843)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.118-124, 2021-03-15 (Released:2021-04-15)
参考文献数
16

Gravitational instability, which is a typical example of hydrodynamic instabilities, occurs due to density difference. When a heavy fluid lies over a light fluid in a constant gravitational field, fluctuations at the interface gradually increase and then macroscopic flows occur. The gravitational instability can be found not only in liquid-liquid interface but also in the gravitational settling of granular materials. However, the gravitational instability of liquid systems and granular systems have been discussed individually in most cases. We quantitatively find a close relationship of the gravitational instability between the physical gel and granular systems. We also find that those behaviors are determined by the thickness of the fluidization region.
著者
桃井 治郎 Jiro MOMOI
雑誌
清泉女子大学人文科学研究所紀要 = BULLETIN OF SEISEN UNIVERSITY RESEARCH INSTITUTE FOR CULTURAL SCIENCE (ISSN:09109234)
巻号頁・発行日
pp.96-114, 2021-03-31

北アフリカのオスマン帝国アルジェ領・チュニス領・トリポリ領を拠点とする海賊は、15 世紀末以降3 世紀にわたって地中海に出没した。北アフリカ海賊の歴史は、15 世紀末から16 世紀の誕生期、17 世紀から18 世紀の存続期、19 世紀初頭の終焉期に分けることができる。誕生期は、オスマン帝国とスペイン帝国が地中海の覇権を争い、それに伴って海賊も活発化した時期である。存続期は、北アフリカ諸領がヨーロッパ諸国と和平条約を結び、海賊の活動が沈静化した時期である。終焉期は、ヨーロッパにおけるウィーン体制下の協調外交によって北アフリカ海賊の廃絶が決議され、北アフリカ諸領に軍事的圧力が加えられた結果、海賊が廃絶していく時期である。 一方、同時期のヨーロッパでは、イマニュエル・ウォーラーステインのいう近代世界システムが生成していた。世界システム論における「長期の16 世紀」および「長期の17 世紀」には、北アフリカ諸領は近代世界システムの外延部にあったが、近代世界システムが再拡張期を迎える「長期の18 世紀」の後半になると、北アフリカ地域は政治的にも経済的にも近代世界システムに組み込まれ、周辺化していく。 世界システム論の観点から見れば、15 世紀末から19 世紀初頭における北アフリカ海賊とは、北アフリカ諸領が近代世界システムの外延部に位置していた時期に、近代世界システムとその外部にある世界システム間の争いの一形態として現れた存在であった。また、北アフリカ海賊の存在は、15 世紀末から16 世紀にかけてスペインによる北アフリカ征服を妨げ、結果的に北アフリカ地域が近代世界システムに組み込まれるのを遅らせる役割を果たした。ただし、19 世紀初頭には、北アフリカ海賊は資本主義的世界経済の活動を阻害する存在として廃絶の対象となる。そして、近代世界システム拡張の障壁となっていた海賊の廃絶後、北アフリカ地域は近代世界システムに組み込まれ、周辺化していくのである。