著者
上ノ山 賢一
出版者
同志社大學經濟學會
雑誌
経済学論叢 (ISSN:03873021)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.575-593, 2012-03

本稿は内生成長を伴う世代重複モデルを用いて、習慣形成が貨幣供給率の変化による経済成長率の変化に対してどのような影響をもたらすのかを分析した。その結果、均衡が一意に決定する場合には、貨幣成長率の上昇は、内生成長率を低下させることが示された。その一方、均衡が複数となる場合には、高成長率となる均衡はサンスポット均衡となり、貨幣成長率の上昇が内生成長率を上昇させるが、低成長均衡では低下させる可能性があることが明らかとなった。研究ノート(Note)
著者
横溝 珠実 二宮 忠矢 片岡 久美恵 中塚 幹也
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.425-432, 2021-06-15 (Released:2021-06-25)
参考文献数
18

目的 子どもへの虐待防止のためには,妊娠中から社会的ハイリスク妊産婦への支援を開始する必要がある。岡山県が独自に開始した「妊娠中からの気になる母子支援」連絡システムの現状と成果を検討する。方法 2011年運用開始からの8年間の取り組みを振り返り,運用前の状況や開始のための準備,運用の実際,連絡事例の内容等について検討した。「妊娠中からの気になる母子支援」連絡票4,598件のうち,連絡票送付時期および17項目のリスクの種類について単純集計を行った。また厚生労働省の平成30年度福祉行政報告例より岡山県の児童虐待相談対応件数の推移を明らかにした。結果 岡山県内の分娩取扱医療機関および分娩取扱いはないが妊婦健診を実施している医療機関52施設のうち,すべての医療機関(100%)が岡山モデルに参加していた。医療機関で気になる妊産婦を把握し,連絡票を送付した時期は,2011年~2018年の8年間全体でみると,妊娠中が56.1%,産後が43.6%,無記入0.3%となっていた。連絡事例の内容をみると社会的リスク因子として「未婚」1,318件(28.7%),「精神科的支援が必要」1,090件(23.7%),「10代の妊娠」769件(16.7%),「夫・家族の支援不足」801件(17.4%)などが高率であった。岡山県内における児童虐待相談対応件数は「妊娠中からの気になる母子支援」連絡票を活用したシステム開始の翌年である2012年以降は減少に転じており,2012年度の相談件数1,641件に比べ,2018年度は850件と半減していた。各保健所と産科医療機関等との連絡会議などを通じて,連絡事例の検討や連携システムのあり方などについて継続的に協議を重ねていくなかで,岡山県内において本システムが浸透し,定着しつつあった。結論 職域のハードルを越えて,「気になる」という感覚を共有することで,支援を必要とする妊産婦を見落とさない環境が整いつつある。また,その後も地域に応じたネウボラの取り組みや産婦健診,産後ケア事業,養育支援訪問等の普及や医療機関と行政の連絡会議が各保健所単位で定期的に行われていること等により,虐待リスクの可能性がある妊産婦への支援を早い段階で開始することで,虐待が深刻になってからの相談や通告件数が減少してきている可能性がある。
著者
古城 隆雄 尾島 俊之 中俣 和幸 家保 英隆 田中 剛 牧野 伸子 鈴木 孝太 平山 朋 山本 光昭 鶴田 憲一
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.385-392, 2021-06-15 (Released:2021-06-25)

目的 公衆衛生の進歩発展および向上のためには,科学的な根拠に基づく政策の展開が求められ,学術と行政の連携が重要である。そこで,日本公衆衛生学会を活用しながら,学術と行政のさらなる連携の推進方策を検討することを目的に,日本公衆衛生学会学術行政連携検討委員会(委員長:鶴田憲一)の活動を行った。方法 学術行政連携検討委員会を2018年度~2019年度の2年間に3回開催し,さらにメールによる意見交換を行った。また,2019年10月24日に第78回日本公衆衛生学会総会において「根拠に基づく公衆衛生政策(EBPM)の具体的事例とノウハウ(学術行政連携検討委員会)」と題したシンポジウムを開催し,学術と行政の両者から,これまでの連携の具体的事例とノウハウについて発表し,参加者との質疑を通じて今後の課題についても議論した。活動報告 学術行政連携検討委員会の検討では,日本公衆衛生学会の運営における連携,行政業務データの精度に関する共通認識,行政におけるデータ活用の推進,人材確保と育成による連携の重要性があげられた。シンポジウムでは,委員長から学術行政連携検討委員会の設立経緯と趣旨を説明した後,データの活用に関する行政と学術のギャップについて,目的,研究の位置づけ,データ形式,人材,データ提供への課題の5点について整理した。続いて,行政の観点から,都道府県行政と公衆衛生学会の連携,地方行政職員の演題発表の変化,災害対応における学術への期待について,学術から,大学による行政の調査研究の支援,行政と連携したエビデンスづくりについての報告と質疑が行われた。結論 学術と行政の連携により,行政にとっては,根拠に基づく政策形成の深化とそのための人材育成が推進できる。また,日本公衆衛生学会総会開催は,公衆衛生従事者の資質の向上と経済効果につながる。学術にとっては,求められる研究内容の把握やデータ活用が推進できる。
著者
王 美 楠 須永 修通
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.82, no.734, pp.347-355, 2017
被引用文献数
3

 Economic growth and improvements in living standards have resulted in an urgent demand for comfortable and healthy building environments, and this has led to a sharp increase in energy consumption in China. Therefore, in order to achieve a good balance between environmental quality of indoor thermal environment and energy consumption, it is crucial to identify the actual residential energy demand and its influencing factors. In this study, the annual energy demand for a typical multi-residential building in China was dynamically simulated, and the influence of building thermal performance and air-conditioning setting temperature was studied for each climate zone in China. The results show that energy saving strategies in China should be implemented accordingly in response to different climate and geographical conditions. In the severe cold and cold climate zones that require greater levels of heating in winter, air tightness of building should be considered a priority, as better air tightness can deliver a significant heating energy reduction, whereas the quality of the wall insulation is the main contributor to the indoor thermal environment in winter for all climate zones. On the other hand, in the south of China, where comfort in summer is the main concern, the improvement of external window performance and the addition of external shading are the key issues that need to be addressed. Compared with the poor effects of lowering heating temperature in the north of China, raising cooling temperature in the south is relatively effective method to save energy without causing a sharp deterioration of the indoor thermal environment. It may be realistic to reduce energy consumption and ensure the quality of indoor thermal environment in multi- residential buildings by using the appropriate climate-responsive energy-efficient measures.
著者
本條 晴一郎 伊藤 友博
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.31-44, 2021-01-07 (Released:2021-01-07)
参考文献数
45

クラウドソーシングを利用した製品開発によって,高い市場性をもつ製品が生み出されることが実証されている一方,収集した多量のユーザー創出アイデアを評価し,有望なものを選ぶことは大きな負担になっている。本研究では,自然言語処理を用いることによって,ユーザー創出アイデアの評価の機械化を行った。創造性研究に立脚して,クラウドから集めたアイデア全体から概念空間を構成し,そこでの出現頻度の少なさから意見の希少性を算出することで,独創性を機械的に測定する手法を構築した。レシピ投稿のデータに対して手法を適用したところ,機械的に測定された独創性は,レシピの有望性の説明に有効性を持つことが示された。本研究で構築した手法によって,アイデア評価が機械化されたのみならず,従来顧みられなかった大多数の不採用アイデアに,概念空間を構成する材料という新たな役割と,研究対象としての位置づけが与えられた。

1 0 0 0 OA 理化日記

著者
ヘルマン・リッテル 述
出版者
開成学校
巻号頁・発行日
vol.2編巻之4, 1870

1 0 0 0 OA 一字不説

著者
宗演 述
出版者
光融館
巻号頁・発行日
1909
著者
田中 成省
出版者
日経BP社
雑誌
日経レストラン (ISSN:09147845)
巻号頁・発行日
no.307, pp.56-60, 2001-11

上の写真は、今年4月に開業した「横濱家」大和店(神奈川県大和市)の店内だ。この空間のポイントとなっているのが、ホテルのラウンジも顔負けの、豪華なソファ仕様の椅子。座面の横幅は46とゆったりしており、席の間隔も24ある。 そして、クイズの答えは、3のラーメン店だ。「お洒落な空間で幅広い客層を集客するのが狙い。中でも、椅子は重要なツール。
著者
松井 亮平 保木 邦仁
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.2063-2073, 2018-11-15

不確定性を持ち,ストーン配置やショットが浮動小数点数で表されるデジタルカーリングを題材に,一般化方策反復に基づく強化学習の一手法を検討した.強化学習はおおよそカーリングの予備知識を用いない行動集合とランダム方策から開始した.行動価値は重みの総数1,000万ほどの畳込みニューラルネットワークを用いて,挙動方策が生成した総数6億ほどの行動から推定した.行動集合が巨大であるため,グリーディ方策はモンテカルロ法により近似的に求めた.この実験によりグリーディ方策がサンプルプログラムに比する程度の強さを持ち,初歩的なショット知識に基づいた行動をとるようになる過程を明らかにした.
著者
馬場 博康 宗近 宏次 古賀 靖 岩崎 統 高橋 久男
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.339-340, 1978

The typical radiological picture of ascariasis in the small intestine was demonstrated incidentally in a patient who came with abdominal tenderness.<BR>The small bowel follow through study after upper GI series is emphasized to be worth while on occassion.
著者
小田根 真仁 矢田 博彦
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会研究会講演予稿
巻号頁・発行日
vol.4, pp.67, 2005

この作品は漫画的実写合成映像作品を目指した。漫画特有の表現(見開きページ・ふきだし・コマ割り・効果音)を実写と合成作品化した。さらに、一画面分割多色照明というものも取り入れている。