著者
岡澤 悦子 関 拓真 村田 香織 村田 元
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.117-120, 2012-10-20 (Released:2013-10-10)
参考文献数
8

過去7 年間における当院で実施したパピークラスへの参加頭数は合計411 頭であった。参加犬種はトイ・プードル,チワワ,ミニチュア・ダックスフンドが多かった。その3犬種においてパピークラス参加群とパピークラス不参加群を比較したところ,その後の不妊・去勢手術実施率,ワクチン接種率,フィラリア予防率,年間平均来院回数に差がみられ,すべてにおいてパピークラス参加群の方が高くなった。以上からパピークラスに参加すると,子犬の社会化や正しいしつけの方法を伝えることができるだけでなく,健康管理に対する意識の高まりや,パピークラス終了後も継続して同じ動物病院を受診するというさまざまな効果が得られることが示された。
著者
内原 脩貴
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.312_1, 2021 (Released:2021-04-01)
参考文献数
2

博士課程在学中は長井記念薬学研究奨励支援事業よりご支援いただき,心より感謝している.私が研究者,なかでもアカデミアを志し,博士課程への進学を決意したのは修士課程の頃だった.当時の私はうつ病に関する研究に従事しており,進学後は少し異なる領域に挑戦したいと考えていた.このような背景から,研究時間を十分に確保することは非常に重要であり,生活費等を稼ぐために時間を使うことを避けたいと考えていた時に出会ったのが貴事業である.幸運なことに採択いただき,慶應義塾大学薬学部の多胡めぐみ准教授(現・同大学教授)指導のもと,がんの発症機序や薬理学的研究に存分に取り組むことができた.博士課程における成果を論文としてまとめることができたのは,ひとえに貴事業のご支援の賜物だと思っている.学位取得後は,がん治療時に細胞で生じる現象を詳細に理解するための研究を行いたいと考えた.現在は,群馬大学未来先端研究機構の柴田淳史准教授のもと,細胞レベルでDNA修復機構やDNA損傷に関連する免疫応答制御についての研究に従事している.これまでの経験から私が重要だと考えることは,時間への配慮と環境変化への適応である.その点を意識しつつ,今後も細胞レベルでの疾患や治療の根源的な理解を通じて,究極の生命システムである人間にとって最適な薬の創生に貢献できるよう精進したい.
著者
小林 奈保子 下田 実可子 清水 綾音 川原 正博 田中 健一郎
出版者
公益社団法人 日本アロマ環境協会
雑誌
アロマテラピー学雑誌 (ISSN:13463748)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.1-9, 2021-02-05 (Released:2021-02-09)
参考文献数
17

皮膚は表皮(ケラチノサイト),真皮(ファイブロブラスト),皮下組織から構成されており,生体内部の保護や体温調節などの役割を果たしている。また,表皮最下層の基底層にはメラニンを産生するメラノサイトが局在している。一方,紫外線(UV)などの刺激に曝されると,皮膚障害(ケラチノサイトでの細胞死)・メラノサイトでの過剰なメラニン産生・ファイブロブラストでのコラーゲン産生低下が起こる。このように,皮膚がUVに繰り返し曝露されると,酸化ストレスによる障害が蓄積し,シミ・シワを特徴とする「光老化」が引き起こされる。そこで,本研究では,酸化ストレスによる皮膚障害を抑制する精油を網羅的スクリーニングにより発見することを目的として実施した。その結果,ラベンダー精油がケラチノサイト保護とコラーゲン産生低下の回復,ジャスミンAbs.がメラニン産生抑制とコラーゲン産生低下の回復という複数の保護作用を持つことを見いだした。また,これらの保護作用は抗酸化作用を介する可能性が示唆された。今後さらなる解析を行い,酸化ストレスによる皮膚障害を抑制する最適な精油を提案したい。
著者
相場 英雄
出版者
日経BP
雑誌
日経ビジネス = Nikkei business (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.2057, pp.78-81, 2020-09-14

休業要請した飲食店などへの各種給付金等々で政府の支出が急増するのは致し方ない。新型ウイルスという目に見えぬ敵の出現で弱り切った経済活動を救えるのは政府しかないからだ。池内は次の文言に目を凝らした。〈90兆円という見積もりは甘いかもしれない。
著者
壇 和弘 阿萬 誉 本間 素子 永田 雅靖 山下 市二
出版者
japan association of food preservation scientists
雑誌
日本食品低温保蔵学会誌 (ISSN:09147675)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.133-138, 1996-08-30 (Released:2011-05-20)
参考文献数
15

野菜の品種変遷による品質の変化を明らかにするために, トマトおよびピーマンについて果実の品質と品種の関係を調査した。トマト果実の糖含量は新しい品種ほど高い傾向が認めら礼甘い品種へ変遷してきたことが推察された。ピーマン果実の糖含量は新しい品種で低い傾向が認めら礼また, 糖組成にも違いが認められた。トマト果実のアスコルビン酸含量は品種により大きく異なったが新しい品種でやや低くなる傾向が認められた。ピーマン果実のアスコルビン酸含量は新しい品種で低くなる傾向が顕著であった。凍結乾燥果実から水溶性抽出液を調製し, Salnzonella typhimurium TA 98およびTA100を用いたAmes試験でTrp-P-2の変異原性におよぼす抑制効果を調べた。その結果試験したトマトおよびピーマン全ての品種でTrp-P-2の変異原性に対する抑制効果が認められた。しかし, 抑制効果の程度と品種の変遷との関係は明らかではなかった。本研究の一部は第40回日本食品低温保蔵学会秋季大会および日本食品科学工学会第42回大会において発表した。
著者
衛藤 由佳
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
巻号頁・発行日
pp.125-129, 2021-04-15

本別冊の中心読者である後期研修医は,ある程度の経験を積み,自分の手技に少し自信がついてきた頃だろう。過去の『シェヘラザードたち』を読めばわかるとおり,一人でなんでもできるような気になって患者を危険にさらしてしまった,と反省している先輩は多い。筆者は,どちらかというと臆病者で,さらに慎重派の先輩に囲まれていたため,少しでも不安があれば「一人でやらない」「人を呼ぶ」を徹底していた。気道確保に関していえば,後期研修医であっても手術室外での挿管はさせてもらえないこともあった。しかし,そのおかげもあってか,輪状甲状膜切開などの緊急外科的気道確保に至ったことはなく,困難症例から先輩たちのテクニックを学んだり,さまざまな考え方を知ることもできた。 麻酔科の専門性といえば,気道管理にある。当直中に「麻酔科の先生! 挿管助けてください!」と呼ばれたことのある読者もいるだろう。今夜お話しするように,手術室外での気道確保は手術室内と異なる点が多く,一人で対応しようとすると危ない落とし穴がいくつもある。そこで,きたる麻酔科コールに備えて,気をつけるべき点を挙げていく。
著者
荒井 雄大 永田 俊介 稲葉 善典 赤松 茂
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会研究会講演予稿
巻号頁・発行日
vol.14, pp.52-55, 2015

人と円滑なコミュニケーションをとるために顔表情は欠かせないものである.従来研究では,多様な表情を表出している多数の顔の3次元顔形状データの主成分分析によってモーフィングモデルを作成することによって,新規人物の真顔から表情を生成した.この手法をもとに先行研究では,得られた主成分に相当する各パラメータを印象変換ベクトル法によって調整し,表出強度を操作する実験を試みた.従来の印象変換ベクトル法は多様な顔形であっても同一の印象変換ベクトルが割り当てられてしまうことが以前より問題点として挙げられていて,本研究では3次元顔に応じた最適な印象変換ベクトルが割り当てられるように,サポートベクタマシン(SVM)を用いた印象変換ベクトル法を考案した.
著者
吉田 直之 加瀬 篤志 田地川 勉 板東 潔
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
流体工学部門講演会講演論文集 2013 (ISSN:24242896)
巻号頁・発行日
pp._1202-01_-_1202-03_, 2013-11-09 (Released:2017-06-19)

The purpose of this study is elucidating the mechanism of mosquito's flight. The motion of mosquito's wings consists of three representative motion; flapping, lead-lug and feathering motion. The feathering motion is a rotational movement which is centering on a wing leading edge. The mosquitoes are performing this motion passively produced by fluid forces and so on. In order to build the enlarged model which simulates this motion, we need to measure the stiffness of the mosquito's wings. The bending stiffness of the mosquito's wings were measured by the experiment using a cantilever. The enlarged wing model was designed based on its results. We observed the flapping motion of the enlarged wing model in the very low velocity wind tunnel and verified whether the feathering motion can be simulated.
著者
高澤 千智 馬塲 めぐみ 藤田 真敬 丸山 聡 鳥畑 厚志 大類 伸浩 桑田 成雄 菊川 あずさ 小林 朝夫
出版者
航空医学実験隊
雑誌
航空医学実験隊報告 (ISSN:00232858)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.31-41, 2016 (Released:2020-04-11)
参考文献数
43
被引用文献数
1

Preventing incapacitation of aviator during flight is one of major missions in aerospace medicine. To prevent incapacitation and maintain health status of pilots, airline companies and Air Forces develop manuals and guidelines for aeromedical examination or use of medications. Though guidelines for aeromedical examinations and major diseases are defined in detail, there are no detailed guidelines about medications in chronic disease or common disease. Since early 1990s, as life-style related diseases increase, Aeromedical Laboratory has received numerous inquiries and cases to be reviewed in aeromedical council. To standardize aeromedical decision making and share information, Pharmacochemistry Section, Second Division of Aeromedical Laboratory published “Working Papers for aeromedical decision on medicated aviators” in 1999. This paper include following contents about common disease and medications. (1) Notice in initial medication (2) Aeromedical decision Cases to be avoided if possible, to be evaluated for returning flying duty during medications, to be allowed flying with medications (3) Effects for psychomotor activities (4) Cases of aviation accidents (5) Cases of aeromedical council (6) Reports of side effect In 2014 issue, we classify the risk of medications for aeromedical missions. We also have a planning to distribute digital issues in the same time. Points of considerations are academic reason and application for practical operations.
著者
本井 康博
出版者
日本英学史学会
雑誌
英学史研究 (ISSN:03869490)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.20, pp.123-135, 1987 (Released:2009-09-16)
参考文献数
24

Though Yasujiro Shimizu paid indispensable roles in the history of English studies in modern Japan, he still remains unknown to us.This report intends to introduce him as clearly as possible, casting a light on his young days, especially when he was employed as a teacher at Doshisha and Naniwa-Joggako (now Osaka-Jogakuin).Firstly, he was an early member of Osaka Church, having an intimate acquaintance with Rev. Paul Sawayama.Secondly, he was an earnest teacher of English at so many Christian schools including Meiji-Gakuin, Shoan-Joggako (now Heian-Jogakuin), Doshisha and Naniwa-Joggako.And lastly, he was famous for his abundant scholarship in English literature, being the president of Japan Academy of English Literature in 1880s.
著者
久野 純治 坂田 清美 丹野 高三 坪田(宇津木) 恵 田鎖 愛理 下田 陽樹 高梨 信之 佐々木 亮平 小林 誠一郎
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.255-266, 2021-04-15 (Released:2021-04-23)
参考文献数
50

目的 大規模自然災害後の被災地では生活不活発病が問題とされ,それに伴う転倒予防の必要性が高まっている。本研究では東日本大震災後の被災高齢者の新規転倒要因を明らかにすることを目的とした。方法 2011年度に岩手県沿岸部で実施された大規模コホート研究(RIAS Study)に参加した65歳以上の高齢者のうち,転倒や要介護認定,脳卒中・心疾患・悪性新生物の既往がなく,2012~2016年度までの調査に毎年参加した1,380人を対象とした。本研究では毎年の質問紙調査で一度でも転倒したと回答した者を新規転倒ありとした。新規転倒要因には,2011年度実施した自己記入式質問票,身体計測,および,握力検査から,自宅被害状況,転倒不安,関節痛,認知機能,心理的苦痛,不眠,外出頻度,既往歴(高血圧,脂質異常症,糖尿病)の有無,飲酒状況,喫煙状況,肥満度,握力を評価した。新規転倒の調整オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を,年齢と居住地域を調整した多変数ロジスティック回帰分析を用いて算出した。その後,前期高齢者と後期高齢者に層化し,同様の解析を行った。結果 5年間の追跡期間中,参加者の35.5%(男性31.9%,女性37.9%)が新規転倒を経験した。新規転倒と有意に関連した要因は,男性では認知機能低下疑い(OR[95% CI]:1.50[1.01-2.22]),女性では認知機能低下疑い(1.82[1.34-2.47]),不眠(1.41[1.02-1.94]),脂質異常症の既往(1.58[1.11-2.25]),過去喫煙(4.30[1.08-17.14])であった。年齢層では,後期高齢女性で自宅半壊(7.93[1.85-33.91]),心理的苦痛(2.83[1.09-7.37])が有意に関連した。結論 男女ともに認知機能低下,女性では不眠,脂質異常症の既往,過去喫煙が新規転倒要因であった。後期高齢女性では自宅半壊と心理的苦痛が新規転倒要因となった。大規模自然災害後の転倒予防対策では従来指摘されている転倒要因に加えて,環境やメンタル面の変化にも注意する必要があることが示唆された。
著者
榎本 秀平 葛野 弘樹
雑誌
研究報告セキュリティ心理学とトラスト(SPT) (ISSN:21888671)
巻号頁・発行日
vol.2020-SPT-40, no.1, pp.1-8, 2020-11-18

サイドチャネル攻撃はハードウェアのアーキテクチャ特性に基づいた攻撃手法であり,攻撃対象はクラウドにおけるサーバからモバイル端末まで多岐に渡る.近年,Meltdown / Spectreと呼ばれるサイドチャネル攻撃が深刻な問題とされており,従来,CPU ならびにオペレーティングシステムにより保護されていた機密情報の盗取が可能となる.防御のためにハードウェアに変更を加えることは非常に困難であり,ソフトウェアによる既存の防御手法は適用による性能の劣化を招く点が課題である.本研究では,Meltdown / Spectre の利用する FLUSH+RELOAD 攻撃に関する CPU 命令に着目し,攻撃緩和と検出を低オーバーヘッドで達成する新たな手法を提案する.提案手法では,FLUSH+RELOAD がリークデータの復元のために CPU キャッシュをフラッシュする点に着目し,プロセスのキャッシュフラッシュ命令実行をカーネルにて透過的に禁止することでサイドチャネル攻撃の緩和を実現する.提案手法を Linux にて実装し,評価実験の結果,攻撃プロセスによるサイドチャネル攻撃を緩和可能であること,ならびに既存の防御機構より 2.04% から 19.05% 低いオーバヘッドであることを確認した.
著者
中間 敬弌
出版者
關西大學商學會
雑誌
關西大學商學論集 (ISSN:04513401)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4-5, pp.537-560, 1995-12-25

廣田司朗教授古稀記念特集