著者
筒井 昭仁 瀧口 徹 斎藤 慎一 田村 卓也 八木 稔 安藤 雄一 岸 洋志 小林 秀人 矢野 正敏 葭原 明弘 渡辺 雄三 小林 清吾 佐久間 汐子 野上 成樹 小泉 信雄 中村 宗達 渡辺 猛 堀井 欣一 境 脩
出版者
Japanese Society for Oral Health
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.329-341, 1994-07-30 (Released:2010-10-27)
参考文献数
35
被引用文献数
4

著者らは, 日本における飲料水中フッ素濃度とエナメル斑の発現状況の関係を明らかにすることを目的に, 1978年以来, 東北, 関東, 甲信越地方で飲料水中フッ素濃度の測定を継続的に行ってきた。その結果, フッ素濃度の変動が少なかった7つの天然フッ素地域を確認した。水道給水系は26あり, フッ素濃度は0から1.4ppmの範囲に分布していた。フッ素濃度を確認してきた地域に生まれ, 当該の水道水を利用して育った小学5, 6年生1,081名を対象に, 1987年歯牙フッ素症検診を行った。歯牙フッ素症の分類にはDeanの基準を使用した。また, 非フッ素性白斑についてもDean基準の白濁部面積算定基準を準用して分類した。確認された歯牙フッ素症はいずれもmild以下の軽度のものであり, very mild以上のフッ素症歯所有者率と飲料水中フッ素濃度との間に有意な正の相関関係 (r=0.485, p<0.05) が認められた。また, 非フッ素性白斑歯所有者率と飲料水中フッ素濃度との間には有意な負の相関関係 (r=-0.429, p<0.05) が認められた。全エナメル斑発現状況と飲料水中フッ素濃度の間には特別な傾向は認められなかった (r=-0.129, ns)。CFIは0.04から0.30であり公衆衛生上問題のない地域と判定された。この度の研究結果は, わが国の歯牙フッ素症に関する疫学研究において不足しているとされていたデータ部分を補うものであり, わが国の至適フッ素濃度研究に寄与するものであると考察した。
著者
吹譯 友秀 山﨑 翠 髙橋 和長 土井 崇広 川口 正美 榎本 啓吾 吉野 宏毅 内本 勝也 西村 真紀
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.65-72, 2021-04-25 (Released:2021-04-22)
参考文献数
7
被引用文献数
1

健康食品に含まれていたタダラフィルおよびタダラフィル構造類似物質であるノルタダラフィルおよびホモタダラフィルの立体配置を確認した.製品はインターネットで購入し,タダラフィルを検出したはちみつ加工品1製品および錠剤1製品ならびにノルタダラフィルおよびホモタダラフィルを検出した飴1製品を使用し,各製品から各成分を単離精製した後,円二色性(CD)分散計を用いてCDを測定した.その結果,各製品より単離精製した成分のCDスペクトルは6R,12aR体標準品のCDスペクトルと一致したことから,製品に含まれていた成分は6R,12aR体であると確認された.タダラフィルは6R,12aR体が立体異性体の中で最もホスホジエステラーゼ5阻害作用が強いという報告があることから,ノルタダラフィルおよびホモタダラフィルも作用の強さを期待して,6R,12aR体を製品に使用した可能性がある.
著者
Kanae NIIMI Motoko MORIMOTO
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.83, no.4, pp.573-580, 2021 (Released:2021-04-09)
参考文献数
25
被引用文献数
3

To eliminate pathogens, the initiation of an appropriate immune response is critical. When the gastrointestinal nematode, Heligmosomoides polygyrus (Hp), invades the small intestine, a type-2 cytokine response is initiated; however, this response is not sufficient to clear the infection, and chronic infection can ensue. In this study, the host defense against Hp was investigated in mice with a focus on the role of CD4+ T cells. To this end, tissues from the small intestine and mesenteric lymph node (MLN) were collected every day from just after infection until Day 5 because many previous studies have described the later stages of infection from Day 8 to Day 12, during which Hp returns to the lumen and Th2 cytokine expression reaches its peak. In this study, we focused on investigating the initiation of the type-2 immune response. Our results indicated that the larvae encysted by Day 3. Increased type-2 cytokine gene expression started in the small intestine before Day 2 and increased again on Day 5. Interferon (IFN) γ increased significantly on the second day. Flow cytometry and gene expression analysis of MLN cells revealed that CD4+ T cells were not activated until Day 4. These results suggested that innate immune cells in submucosa are activated immediately after infection, but CD4+ T cells accumulate in the cyst zone later. In addition, IFNγ may have an important role in converting type-2 cytokine-producing cells from innate cells to CD4+ T cells.
著者
松本 和明
出版者
京都産業大学マネジメント研究会
雑誌
京都マネジメント・レビュー = Kyoto Management Review (ISSN:13475304)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.85-102, 2021-03-31

渋沢栄一の絶大なる信頼を受けてビジネスパートナーの一人として活躍し,「渋沢の股肱」(実業之世界社編輯・発行『財界物故傑物伝』1936 年)と評された,長岡出身の梅浦精一の足跡と活動について考察していきたい.梅浦は長岡藩医の脩介の長男として生まれた.脩介は長岡藩の藩医を務め,東洋,西洋医学ともに長ずる,先進的でかつ優れた漢蘭折衷医であった.梅浦は漢学にも造詣が深かった脩介の影響を強く受けて幼少期から学問への興味を抱き,刈羽郡南条村で藍沢南城が主宰していた三余堂で漢学を学び始めた.続いて,長岡藩の代表的な儒学者である山田愛之助に師事してオランダ語を学んだ.周知のとおり,山田は崇徳館の教授・都講として,小林雄七郎さらには外山脩造も指導した.雄七郎と外山は梅浦の生涯に大きな影響を与えたが,彼らとの関係構築は山田の門人となったことが大きなきっかけであった.その後,江戸に出て西洋医学を学ぶものの,学費が続かなくなり,洋学に転じた.1872 年に大蔵省に入り,A・シャンドの指導のもとで,小林雄七郎などとともに,近代複式簿記の翻訳を『銀行簿記精法』として完成させた.これの普及に尽力した1 人が外山である.1873 年には新潟県令の楠本正隆から招かれて一等訳官に着任した.あわせて楠本の主導により創設された洋学校である新潟学校の責任者を担い,学生に加えて教員にも英語を講じた.同校は新潟県の中等教育機関の嚆矢である.さらに,長岡洋学校の後継である新潟学校第一分校でも教????をとっている.
著者
八鍬 利助
出版者
The Society of Agricultural Meteorology of Japan
雑誌
農業気象 (ISSN:00218588)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3-4, pp.153-155, 1955-03-30 (Released:2010-02-25)
参考文献数
8
被引用文献数
1
著者
恩田 正臣 森村 隆作 大江 正直 忍垂 紀雄 榎本 貞二 佐二木 茂明 伊能 林平 小宮山 恒
出版者
日本家禽学会
雑誌
日本家禽学会誌 (ISSN:00290254)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.60-64, 1976

ブロイラーの育成用飼料について, TDN 4水準 (70, 75, 80, 85%), CP 2水準 (16, 20%) を組合せた8種類の飼料を作り, 群馬, 茨城, 千葉の3県で, ブロイラー専用種ひなに21日齢から70日齢まで給与して, TDN水準の差に対する反応を性別に検討した。その結果, 飼料中のTDN水準を変化させた場合に, 増体量については反応が少ししか見られず, 性のちがいによる反応の差も交互作用として認められなかった。飼料要求率については, 雄も雌も直線的に反応し, 21日から56日齢時の期間では, 回帰直線の勾配は, 雄では-0.0359雌では-0.0345でほぼ平行な直線を示し, TDN水準に対する反応のしかたに, 雌雄差は認められなかった。56日齢以降についても, 飼料要求率の反応は同様であった。TDN1%の差について1円の差をつけた飼料費単価で収益性を比較すると, 実験に用いたTDN水準の範囲では, TDN水準が高いほど飼料要求率が低くなるために, 収益性も増加し, 21日から56日齢時の期間で, 雄では<i>Y</i>=69.6+1.365<i>X</i>という回帰直線が成立し, 雌では, TDN78.2%で最高収益が得られる2次式が成立した。<br>CP水準については, 21日から56日齢時の期間で, 飼料要求率の反応に性による差が認められ, 第1報の結果と一致した。収益性の反応についても, 雌ではCP 16%のほうが20%にくらべて明らかにすぐれたのに対し, 雄では差が認められず, 交互作用が有意となった。
著者
金澤 一郎
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.4_66-4_70, 2009-04-01 (Released:2011-10-28)
著者
小林 亮 中垣 俊之 三浦 岳
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

真正粘菌が鉄道網のような輸送ネットワークと等価なネットワークを形成する能力があることを実験的に示し、その数理モデルを構築することによって、ネットワークの新しい設計手法を提案した。また、卵割初期における空間的配位の決定や、肺や血管網の分岐構造の形成において、情報がどのような機序で働いているかを記述するモデルを提案した。これらの研究を通して、生物の構造形成と情報を結ぶしくみを記述する数理的手法を開発した。