著者
リップ フォルカー 鈴木 博人
出版者
日本比較法研究所
雑誌
比較法雑誌 (ISSN:00104116)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.83-108, 2018-09-30

本稿は,2017年11月13日に法学部・家族法の講義の一環として行われたドイツ家族法の基本的原理を解説した講義の内容を邦訳したものである。 講義は,序論でドイツ家族法改正史とドイツ家族法が基本法(憲法)の準則(とりわけ男女平等条項と家族保護条項)に則って規整されていることが示されている。さらに,ヨーロッパ人権条約の強い影響を受け,いわば家族法の憲法化とも称される状況があることが示される。 序論を受けて,ドイツ家族法の最新の動向が,婚姻・離婚法,親子法,成年者の保護(日本法上の成年後見)法の3領域について示されている。 婚姻・離婚法分野では,法的な形式を与えられた生活共同体として古典的な婚姻とならんで登録された生活パートナー関係,さらには2017年10月1日からの同性婚の制度化後の対応が論じられている。 親子法分野では,血統法から親の配慮(日本法の親権)法,面会交流,子の扶養という広範な領域が概観されている。 成年者保護の分野では,自己決定能力が制限され,自らの事務に関して自分で処理できない成年者の保護が,後見から現代的な成年者保護の流れのなかで示されている。 各分野それぞれについて,喫緊の課題とその課題への取組が示されており,ドイツ家族法の現状理解を助ける,非常に明解な講義となっている。
著者
二村 美也子 古場 伊津子 前澤 聡 藤井 正純 若林 俊彦
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.356-362, 2015-09-30 (Released:2017-01-03)
参考文献数
17
被引用文献数
1

【はじめに】多言語話者で言語共通領域と特異領域の存在が知られているが, その関係について見解は一定ではない。【症例】再発左前頭葉腫瘍を有する48 歳男性。母語はポルトガル語で第二言語は日本語。成人以降日本に移住・日本語獲得し, 以後日本語を主に使用。覚醒下開頭腫瘍摘出術を施行。術中マッピングでは左下前頭回三角部で, 両言語で喚語困難を呈した (共通領域) 。また左中前頭回では, ポルトガル語のみ喚語困難や音の歪みがみられた (母語特異領域) 。【考察, 結論】本症例の特記すべき所見は, 共通領域と特異領域両者を認め, かつ中前頭回に母語特異領域を認め, 第二言語より母語で機能野の広がりが大きい点である。多言語話者の言語領域については, 母語・獲得時期・習熟度の他に, 環境下の使用頻度についてもその構成に影響を与える可能性があり, 多様と考えられる。機能温存目的のマッピングの際は, 各々の言語で評価する必要がある。
著者
花岡 憲司 近藤 光男 廣瀬 義伸
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.253-258, 1999-10-25 (Released:2018-03-01)
参考文献数
10
被引用文献数
1

This study aims to evaluate the shopping environment based on the satisfaction time in shopping. First, the satisfaction time to move for shopping estimated using data gathered by questionnaire survey. On the other hand, data of actual time to move for shopping are obtained by the same survey. The evaluation model is derived with a statistical method and estimated using those data. Finally, the shopping environment in the study area is evaluated and the results are explained from the aspects of shopping items, attributes of consumers.
著者
顔 聖紘 穆 家宏 〓 家龍 吉本 浩
出版者
THE LEPIDOPTEROLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.175-184, 1995-12-10 (Released:2017-08-10)
参考文献数
21

台湾には2種のアゲハモドキ(Epicopeia mencia Moore,オナガアゲハモドキとE.hainesii matsumurai Okano,アゲハモドキ)が分布する.それらは日本や中国で生活史が分かっているものの,台湾では充分に調べられていなかった.私達は1992年から1993年にかけて,これら両種の台湾での生活史を調べることができたので,ここに報告した.Epicopeia mencia Mooreオナガアゲハモドキ食樹はニレ科のアキニレ.これは中国および日本(対馬)で知られる食樹と同じである.卵は食樹の葉の裏面にまとめて産み付けられ,幼虫は終齢(6齢)まで白色の蝋状物質をまとう.蛹化は白い蝋物質で覆われた柔らかい繭内で行なわれる.成虫は4月から10月まで見られ,年2-3化.台湾全土の標高500-2,000mまでの常緑カシ帯に分布するが,食樹の分布に限定されて局所的である.Epicopeia hainesii matsumurai Okanoアゲハモドキ私達の確認した食樹はミズキ科のミズキ,クマノミズキ,ヤマボウシで,日本での記録と同じである.卵は,前種同様,食樹の葉裏にまとめて産み付けられ,前種よりやや小さい.幼虫は終齢(6齢)まで白色の蝋状物質をまとうが,3齢以降の蝋物質の分泌は前種よりも多く,いくつかの体節では細い毛束状,蛹は前種よりもスマートである.成虫は4月から10月まで見られ,年2化.台湾の北部,中部,東部の標高500-2,000mまでのいくつかの産地に限って分布する.
著者
井上 寛
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.69-75, 1978-06-01 (Released:2017-08-10)

Okano[岡野磨瑳郎]は,台湾産のタイワンアゲハモドキの学名を論じ(1958,1964),学名はEpicopeia formosana Nagano, 1912(=E. hirayamai Matsumura, 1935)とすべきであるという結論に達し,さらに第3の論文(1973)では,E. formosanaのなかで,前後翅に白帯のあるのがf. formosana,白帯のないのがf. hirayamaiとした.また第3の論文では,E. hainesii Hollandアゲハモドキの台湾亜種matsumurai okanoを記載し,そのなかで,ジャコウアゲハの♀のように翅の白っぼい型をf. albaと名付けた.私は以前から,日本,朝鮮,台湾などに産するこの属の種や亜種に関心をもち,標本や文献を集めてきたし,British Museum (Natural History) (以下BMNHと略す)では,タイプ標本を含め,多数のシナ産の標本を検することができたので,Okanoがまったく言及していない文献や大陸の標本を含めて,2種の学名や地理的変異についての私見を述べることにした.
著者
古川 雅通
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
やどりが (ISSN:0513417X)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.222, pp.6-11, 2009-11-10 (Released:2017-08-19)
参考文献数
8

1 0 0 0 OA 日本史

著者
猪波鉱一郎 著
出版者
東京修士館
巻号頁・発行日
1899

1 0 0 0 OA 国史教科書

著者
峯岸米造 編
出版者
六盟館
巻号頁・発行日
vol.下巻, 1901
著者
品田 悦一
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.1-13, 2002

『万葉集』のことばは、それを使用した古代人にとっては決して国語ではなかった。それは畿内の貴族たちのことばであり、また倭歌という特殊な文化を背負う言語であって、古代国家の版図の津々浦々に通用するような性格は持ち合わせてはいなかった。明治中期に過去の諸テキストから国民の古典が選出されたとき、それら諸テキストの使用言語は過去の国語として追認された。とりわけ『万葉集』のことばは、国語の「伝統」の栄えある源泉として仰がれ、この観念のもと、万葉調の短歌がさかんに創作される。興味深いのは、近代短歌の使用言語が、古代語そのものでも、それと現代語との混融物でもなかったという点だろう。伝統の復興であるべきものが、その実、いまだかつて存在しなかった言語を新たに作り出してしまったのだ。その言語は、しかも、歌壇の外側にはほとんど通用しないという点で、事態を導いた「国語」の理念を裏切ってもいた。素朴で自然で、原始的生命力に満ちていて、そのうえ意味不明な言語。こいつはいったい、なんという鵞鳥だい。
著者
髙橋 広行
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.777-784, 2010-10-20 (Released:2016-10-01)
参考文献数
23

本研究は,グレード化されたカテゴリーを形成する典型性要因,および具体性要因に基づく構造を前提にしながら,ブランド・ポジショニングを検討していくものである.先行研究におけるグレード化されたカテゴリーは「典型性」の研究に傾斜しており,競争環境やコンテクスト(文脈)などの具体性についてはほとんど議論されてこなかった.また,典型性と具体性の要因に基づくブランドの類型までは検討してきたものの,実際のデータで確認までは行っていなかった.そこで本研究では,このブランドの類型を検証していくものである.分析には2009年3月にIpsos日本統計調査株式会社の消費者パネルモニター,20代から60代前半の女性に対して収集した洗濯用洗剤ブランドのデータを用いた.分析の結果,認知者ベースから購入者ベースになるほど典型性要因が強く影響することが確認されたこと,ブランドの類型に基づいたブランド・ポジショニングによる競争構造が理解できたことから,このアプローチが有効であることを示唆した.
著者
高野 岳
出版者
社団法人 におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.2-8, 2014-01-25 (Released:2018-02-13)
参考文献数
17
被引用文献数
1

我が国の悪臭防止法では,ガスクロマトグラフを使用した特定悪臭物質の測定の方法と人の嗅覚を使用した臭気指数測定が採用されており,悪臭規制に利用されている.また,室内空間のにおいの測定ではにおい嗅ぎガスクログラフ質量分析計やにおいセンサが使用される.本報では悪臭防止法に基づく悪臭の測定方法の概要とにおい分野への測定技術の応用について述べる.
著者
Kakui Keiichi Fujita Yoshihisa
出版者
Taylor & Francis
雑誌
Marine Biology Research (ISSN:17451000)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.195-207, 2020-03-20
被引用文献数
3

We describe Paradoxapseudes shimojiensis sp. nov. from a submarine limestone cave at Shimoji-jima Island, Ryukyu Islands, southwestern Japan. This species resembles five species (P. basibidens, P. bassoprofundo, P. bermudeus, P. edgari, and P. heroae, among 17 congeners) that bear a long pleotelson, but differs from them in having (i) a naked antennal article 1, (ii) the maxillipedal basis with one inner distal plumose seta, (iii) the chelipedal basis with one dorsodistal and one ventro-subproximal simple setae, (iv) the pereopod-1 basis with four dorsal simple setae longer than the width of the pereopod-1 basis, but without ventrodistal spiniform setae, (v) the pereopod-1 merus with three mid-inner ventral simple setae, and (vi) the pleopodal protopod with two inner plumose setae. We determined partial nucleotide sequences for the cytochrome c oxidase subunit I (COI) and 18S rRNA (18S) genes in P. shimojiensis for future use in DNA barcoding and phylogeny. Paradoxapseudes shimojiensis has serial ridges on the inner surfaces of the left and right chelipedal bases that quite resemble the stridulatory organs in harvestmen (Opiliones); by analogy, we speculate that these ridges may be stridulatory sound-producing organs. Two specimens had both a fully-developed marsupium and genital cone, suggesting that P. shimojiensis is simultaneously hermaphroditic.
著者
Masashi Uehara Yukio Nakamura Jun Takahashi Mikio Kamimura Shota Ikegami Takako Suzuki Shigeharu Uchiyama Tomomi Yamaguchi Tomoki Kosho Hiroyuki Kato
出版者
Tohoku University Medical Press
雑誌
The Tohoku Journal of Experimental Medicine (ISSN:00408727)
巻号頁・発行日
vol.242, no.2, pp.115-120, 2017 (Released:2017-06-16)
参考文献数
25
被引用文献数
10 18

Osteogenesis imperfecta (OI) is an inherited bone disorder that causes fractures due to impaired production of collagen type I. In recent years, denosumab, a human monoclonal antibody against receptor activator of nuclear factor κB ligand (RANKL), has become widely used as an anti-osteoclastic agent for osteoporosis. This study investigated osteoporotic cases of OI to examine effects of denosumab on bone fragility. This was a retrospective, consecutive case series that included 3 female patients aged 42, 40, and 14 years, respectively. One patient carries a point mutation (c.G769A) in the COL1A1 gene, encoding collagen type I alpha 1 chain, which causes an amino-acid substitution (p.G257R). By contrast, no mutation was found in the analyzed regions of the OI responsive genes in another two patients (mother and daughter). These three patients underwent subcutaneous injection of denosumab every 6 months. All patients underwent dual-energy X-ray absorptiometry for bone mineral density (BMD) measurement of the lumbar 1-4 spine (L-BMD) and bilateral hips (H-BMD) before and during treatment. BMD and laboratory data were evaluated before, between 2 and 4 months, and at 6, 12, 18, and 24 months of therapy. No fractures or severe side effects, such as hypocalcemia, were observed during denosumab treatment. Both L-BMD and H-BMD were increased by denosumab. At 24 months, the mean percentage changes in L-BMD and H-BMD were 14.7% and 15.1%, respectively. In conclusion, no bone fragility fractures occurred during 2 years of denosumab administration in OI patients. Denosumab therefore is a good therapeutic option in the OI patients.