著者
吉岡 一男 Kazuo Yoshioka
雑誌
放送大学研究年報 = Journal of the University of the Air (ISSN:09114505)
巻号頁・発行日
no.15, pp.71-90, 1998-03-31

おうし座RV型星は光度曲線をもとに,RVa型とRVb型に分類されている.また,可視域のスペクトルをもとに,酸素過剰のAグループと炭素過剰のB,Cグループに分類され,さらに,AグループはTio帯の有無をもとに,A1,グループとA2グループに細分されている.さらにまた,赤外放射のエネルギー分布をもとに,この星は酸素過剰グループと炭素過剃グループに分類されている. ところが,可視域での分類と赤外放射での分類が必ずしも対応しておらず,可視域で炭素過剰なスペクトルを示しながら,酸素過剰な赤外放射を示すものがある. そこで,両分類の関係を調べるために,おうし座RV型星の多色偏光観測を行っている.観測は,国立天文台堂平観測所の91cm反射望遠鏡に多色偏光測光装置を取り付けて行っている.現在までに17個のおうし座RV型星が観測され,次の結果が得られている。1)多くの星で偏光の時間変動が観測され,固有の偏光成分をもつことが確認された.2)時間変動の検出率は,RVa型よりもRVb型が高く,また,A2グループよりもA1グループの方が高い.3)Aグループでは,偏光度pが中聞の波長域で極大値をもつ傾向があるのに対して,B,Cグループでは,pが中間の波長域で極小値をもつ傾向がある.4)U MonやRV Tauでは,長期的な時間変動が見られる.この変動は周期的で,周期がそれぞれの星の光度変化の振幅の長期的変化の周期に近いようである. 以上の結果の解釈も述べられている.
著者
吉岡 一男 Kazuo Yoshioka
雑誌
放送大学研究年報 = Journal of the University of the Air (ISSN:09114505)
巻号頁・発行日
no.19, pp.95-112, 2002-03-31

おうし座RV型星は、主極小と副極小を交互にくり返す光度変化に特徴がある半規則的な変光星である。この変光星は、光度変化をもとにRVa型とRVb型に細分類されており、RVb型が脈動周期の光度変化に重なって長周期の光度変化を示すのに対して、RVa型にはそのような長周期変化は見られない。また、この変光星は可視域のスペクトルをもとに、酸素過剰なAグループと炭素過剰なB,Cグループに細分類されている。 われわれは、国立天文台堂平観測所の91cm反射望遠鏡を用いて、おうし座RV型変光星の多色偏光観測を行った。観測された17個の星の内、4個の星に対してはすでに星間偏光成分を取り除いて固有偏光成分を求めている。 本論文では、さらに2個の星、おうし座RV星とヘルクレス座AC星の固有偏光成分の特徴を報告する。星間偏光成分はnear-neighbor法を一部変えた方法で求めた。ヘルクレス座AC星に対して求めた星間偏光成分の方が信頼度は高い。 おうし座RV星に対する星間偏光成分は小さいので、その特徴は観測された偏光に対するものと大きくは違わない。この星の固有偏光成分は、脈動周期に伴う時間変動とともに長周期光度変化に伴う変動も行う。この星の固有偏光成分の偏光度は中間の波長域で極大値をとり、Aグループの星の傾向に従う。ヘルクレス座AC星の固有偏光成分は、脈動周期に伴う時間変動とともに公転周期に伴う変動も行う。この星の固有偏光成分の偏光度は、短波長側で波長の滅少とともに増加するが、これはこの星の星周圏ダストが2種類の異なるサイズをもっことを示唆している。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.976, pp.28-30, 1999-02-01

イトーヨーカ堂が先陣を切り、他のスーパー、専門店、コンビニエンスストアまで巻き込んだ「還元セール」と、製造から販売までに至る仕組みを根本的に見直すことで実現した日本マクドナルドの半額キャンペーン——。価格を武器にした最近の競争には、1つの共通点がある。どちらも業界きっての"強者"が仕掛けたということだ。
著者
中村 多見 前田 健一
出版者
広島大学大学院教育学研究科心理学講座
雑誌
広島大学心理学研究 (ISSN:13471619)
巻号頁・発行日
no.3, pp.147-155, 2003

本研究では,「怒り経験(誰にどのようなことをされて,どのくらいの怒りを感じたか)」と「怒り対処方法(その怒りを誰に対して,どのように対処したか)」について,怒りを感じた対象(怒り対象)とその怒りを表出した対象(表出対象)が同じ場合の「一致群」と異なる場合の「不一致群」との比較検討を行った.調査対象は,大学生および大学院生180名であり,エピソード法を用いた質問紙調査を行った.その結果,一致群と不一致群のいずれの場合も,友人や恋人・配偶者などの身近な人物が怒り対象になりやすく,怒り対象への好意度は一致群の方が不一致群より高かった.また,不一致群が表出対象として多く挙げていたのは,怒り対象とは別の友人や恋人・配偶者であり,怒り対象よりも好意度が高いという特徴を有していた.このことから,大学生の怒り対象と表出対象の一致と不一致の規定因に,怒り対象もしくは表出対象への好意度があることが明らかになった.さらに,不一致群の方が一致群よりも言語的表出という怒り対処方法を多用していた.
著者
今井 小の実
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.1-11, 2002

1934年母性保護法制定促進婦人連盟として誕生した母性保護連盟は,母性保護運動を展開し,1937年の母子保護法制定に貢献した。その連盟誕生の産婆役をつとめたのは,婦選獲得同盟であった。婦人の参政権獲得を目的として結成された女性団体が,母性保護連盟を生み出し,母性保護運動に積極的にかかわっていくのは,戦時体制へと突入し,婦選運動が閉ざされていく状況にあったからだといわれている。しかし同盟が母性保護運動に取り組んでいく方向性は,1928年にはすでに示されていた。同盟には従来の研究では説明されてこなかった母性保護運動を開始する別のモチベーションも存在したのではないだろうか。本稿の目的は,同盟の母性保護運動に対する従来の評価に,新たに大正時代の母性保護論争から続く"継承性"という視点を加えることによって,その揺籃期のモチベーションを明らかにしようとするものである。
著者
丸山 豊
出版者
名古屋大学教育学部附属中学校 : 名古屋大学教育学部附属高等学校
雑誌
名古屋大学教育学部附属中高等学校紀要 (ISSN:03874761)
巻号頁・発行日
no.46, pp.175-180, 2001-11-15

本文は中高生の歴史副教材としてまとめたものであり、研究論文ではない。21世紀は女性の時代といわれるがジェンダー教育からも近代女性の先駆的な役割を紹介する必要がある。男女を問わず、中高生が東海地域の女性の生き方に関心を持ち、総合学習も含めたテーマとして参考になればとまとめたものである。国立情報学研究所で電子化したコンテンツを使用している。
著者
関沢 まゆみ
出版者
日本民俗学会
雑誌
日本民俗学 (ISSN:04288653)
巻号頁・発行日
no.168, pp.p30-46, 1986-11
著者
松岡 勝 宮本 重徳 小田 稔 小川原 嘉明 高岸 邦夫 中川 道夫
出版者
東京大学宇宙航空研究所
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.631-640, 1974-09

さそり座X線源,SCO X-1からの軟X線を観測することはSCO X-1までの星間空間とSCO X-1のまわりの中性ガスの存在(これら両者合わせてSCO X-1までの中性ガスの線密度と言う)を知る上に重要である。われわれはこれまでの3回のロケット実験により軟X線を観測し同種の観測装置,統一的なデータ解析法によりSCO X-1までの中性ガスの線密度を得ることが出来た。この3回の観測結果はガスの線密度が時間的に変動していることを明かにした。もしSCO X-1に対して一様高温プラズマのモデルをとるとするとその最低値は5×10^<20> H/cm^2 以下であり,その最高値は5×10^<21> H/cm^2 であった。資料番号: SA0124432000
著者
浅野 誠 太田 宏
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.292-297, 1996-12-15

ジャストインタイム生産環境では, 納期は顧客からの要求に従って設定され, 納期遅れは許されず, また, 納期に合わせて製品が出荷されるため, 生産終了時刻から納期までは製品を在庫として保持しておかなければならない.在庫費用の最小化を図るため, 納期厳守下で重み付き納期余裕最小化の単一機械スケジューリングを考えるときに, 計画期間の基準時刻を0とし, すべてのジョブの着手可能時刻を0とすると, 納期厳守の制約と生産開始時刻の非負制約から, 与えられた問題の解が不能となる場合がある.その場合, 実生産では何らかの対処を行い, 実行可能スケジュールを作成しなければならない, 本報では, そのような納期厳守スケジュールが存在しないときの対処法として, 生産時間短縮の可能な場合を扱い, 生産時間の短縮コストと納期余裕にかかる在庫コストとの総和最小化の納期厳守スケジュールを作成するための近似アルゴリズムについて述べる.また, 提案アルゴリズムの諸特性を数値実験により示す.
著者
浅野 誠 日野 昌樹 太田 宏
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.226-234, 1999

本論文では, 着手可能時刻と納期の制約の下での総在庫コスト最小化の単一機械スケジューリングを扱い, 分枝限定法に基づく最適アルゴリズムを提案する.ここで, 着手可能時刻は, ジョブのすべての先行作業が終了する時刻や原材料の供給可能な時期を意味し, 着手可能時刻以前に生産の開始ができない.一方, 納期は顧客によって設定されるため, 納期遅れが許されず, また, 生産終了時刻から納期まではジョブを在庫として保持しておくための費用が必要となる.本問題は, 実行可能スケジュールの作成すら容易ではなく, また, 最適スケジュールには遊休時間が挿入されうるため, ジョブの順序付けにあたり, 各ジョブの終了時刻を考慮しなければならない.提案法では, Backward-WSPTルールによるスケジュールを利用した子ノード生成方法が用いられ, さらに, 割り付けられるジョブ数の異なる子ノードが生成される.また, 提案法において, 探索の途中打切りによって得られる解が良い近似解を与えることを数値検証により示す.
著者
宮山 仁史 糸山 享
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
no.61, pp.180-182, 2010-12

ホウレンソウケナガコナダニに対するMEP乳剤の殺虫活性を詳細に検定したところ、防除の主力として利用されているDDVP乳剤50と比較して僅かに高かった。さらに、MEP乳剤あるいはDDVP乳剤50を散布したホウレンソウ葉を用いた方法で両剤の残効性を比較したところ、DDVP乳剤50の殺虫活性は散布3時間後までに著しく低下したが、MEP乳剤の殺虫活性は散布3日後も高い値を持続し、より高い残効性が認められた。以上の結果から、MEP乳剤は生産終了となったDDVP乳剤50の代替薬剤として有望であると考えられた。
著者
中山 彰一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.151-155, 2001 (Released:2001-12-27)
参考文献数
17

近年、関節の機能と障害が関節神経生理学的側面より重視され始めた。関節を操作する専門家であるPTは運動学、生体力学的観点からの知識、技術は長けているが、神経生理学的視点より論ずることは少なかった。関節構成体には沢山の神経受容器が存在するが、種々の理学療法が与える神経生理学的影響については殆ど未解明といっても過言ではない。例えば、関節への徒手的操作が関節包、靭帯等にどの様な神経生理学的変化を与えているのか? また関節損傷や構成体の退化変性は神経受容器の機能と神経 · 筋協調にどの様な影響を与えているのか? 文献的考察を加えながら関節神経生理について言及したい。

1 0 0 0 OA 海陸軍刑律

巻号頁・発行日
vol.全, 1871
著者
島 洋一郎 大貫 朗子 佐藤 晴哉 田名部 逸也 前田 和哉 杉山 雄一
出版者
日本薬物動態学会
雑誌
日本薬物動態学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.18, pp.75, 2003

(目的)human OATP2(hOATP2/SLC21A6)は、肝臓特異的に発現するトランスポーターであり基質特異性の広範さから医薬品を含む有機アニオンの肝取り込みに重要な役割を果たしていると思われる。サルは、遺伝的にはヒトに比較的近い実験動物であり、薬物動態・毒性学的解析において繁用されている。サルでのhOATP2ホモログ(mkOATP2)を単離、機能解析することは、ヒトにおけるトランスポーターを介した肝取り込みの予測に、サルを用いることの妥当性の評価につながると考え、本研究を行った。(方法)カニクイザルの肝臓よりcDNAを調製し、hOATP2, rat Oatp4遺伝子のアミノ酸レベルで相同性の高い領域からプライマーを設計し、RT-PCR法によりクローニングを行った。単離したmkOATP2を哺乳類発現ベクターに導入して、HEK293細胞で安定発現系を構築し、hOATP2発現系とともに、標識体の取り込みを観察することで輸送能を評価した。(結果・考察)単離されたmkOATP2は、全長2073bpの翻訳領域をもち、hOATP2と遺伝子レベルで96%, アミノ酸レベルで92%と高い相同性を示した。また、発現細胞系への取り込み実験からestradiol-17b-glucuronide(E217bG)並びにestrone-3-sulfate(E-sul)の輸送が明確に見られ、それぞれの親和定数(Km)は、約3mM, 0.2mMと算出されたことから、本遺伝子はhOATP2のホモログであると推定された。また、rifampicin, pravastatin, glycyrrhezin, enalaprilなどの薬剤はhOATP2, mkOATP2を介したE217bGの取り込みをいずれも阻害し、そのIC50 値は、ヒト、サル間で比較的良好な相関が見られたことから、両トランスポーター性質の類似性が示唆される結果を得た。現在さらなる基質認識性に関する検討を行い、両トランスポーターの特徴の類似・相違性を調べる予定である。