著者
宮村 直宏
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.102, no.7, pp.520-526, 2007-07-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
7
被引用文献数
1 2

醤油, 味噌など醸造発酵物, チーズ, 天然だしなどが「コク味」を付け,「おいしさ」を向上させることはよく知られている。著者には,「おいしさ」の中にある「コク味」の概念について, その表現方法および「コク味」を付与する調味料などについて長年の試験・研究を基に, 詳細に解説頂いた。適切な「コク味」付与による「おいしい」食品づくりに大いに参考になるものと思われる。
著者
中村 文哉
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:21894825)
巻号頁・発行日
no.12, pp.51-87, 2019-03-29

本稿の主題は、1907年に公布された「癩豫防ニ關スル法律」(1907年法)と、それを1931年に改正した「癩豫防法」(1931年法)との比較を通して、両者の各條文間の異同を明らかにし、1907年法および1931年法との不連続性と連続性を明らかにする。更に1907年法および1931年法のそれぞれの「施行規則」の條文間の異同を追う。これらの法律・規則には、対応関係がみられるので、1907年法から1931年法に継承された点と、大きく改正された点を明らかにすることができる。更に1931年法「施行規則」の各條項に示された規定が、「癩豫防法施行細則(沖繩縣)」および「癩豫防法施行手続(沖繩縣)」という地方制度の各條項と、如何なる連関のもとに、盛り込まれていったのかを、それらの各條項から類推することを通して、当時の沖繩縣下のハンセン病問題の輪郭を、示したい。但し、本稿は、1931年法改正点の、大きな焦点となる<從業禁止>関連規定と<生活費補給>関連規定をめぐる地方制度の検討は、紙幅の都合上、別稿を用意する。本稿を端緒とする一連の考察の最終的な目的は、「癩豫防法」と沖縄社会との関連を、同法の関連地方制度である「癩豫防法施行細則(沖繩縣)」および「癩豫防法施行手続(沖繩縣)」の條文を踏まえて、捉え返すことにより、何が観えてくるのかを、示すことにある。その際の問題の所在は、ハンセン病療養所を前提とする「癩豫防法」は、その前提となる療養所なしに、如何に機能し、ハンセン病者たちに、どの様な現実を帰結せしめたのかを、明らかにすることである。
著者
佐々木 剛 田澤 大 長谷井 嬢 国定 俊之 吉田 晶 橋本 悠里 矢野 修也 吉田 亮介 宇野 太 香川 俊輔 森本 裕樹 浦田 泰生 藤原 俊義 尾﨑 敏文
出版者
岡山医学会
雑誌
岡山医学会雑誌 (ISSN:00301558)
巻号頁・発行日
vol.124, no.2, pp.105-110, 2012-08-01 (Released:2012-09-03)
参考文献数
15

骨・軟部肉腫は, 一部に治療抵抗性で予後の悪い症例が存在するため, 新たな治療法の確立が重要な課題である. 我々は, 5型アデノウイルスを基本骨格として, テロメラーゼ活性に依存して増殖する腫瘍融解ウイルス(OBP-301)や, coxsackie and adenovirus receptor(CAR)陰性の腫瘍細胞に感染するファイバー改変型ウイルス(OBP-405)を用い, 骨・軟部肉腫細胞に対する抗腫瘍効果を検討した. 14種類の骨・軟部肉腫細胞株に対してOBP-301の細胞障害活性を検討し, 12種類の細胞株でOBP-301に感受性を認めた. また, OBP-301の細胞障害活性はCARの発現と相関していた. さらに, テロメラーゼ活性の低い細胞に対しても, 5型アデノウイルスの複製に必須のE1Aによりテロメラーゼ活性の増強効果がおこり, 強い抗腫瘍活性を示すことを明らかにした. 次に, 骨肉腫脛骨同所性移植動物モデルを作成しOBP-301を投与したところ, OBP-301投与群では対象群と比べて有意に腫瘍増殖を抑制した. 最後に, OBP-301に感受性を認めなかったCAR陰性細胞株に対してOBP-405を用いて検討し, OBP-405が有効に作用することを確認した. OBP-301やOBP-405を用いたウイルス療法は, 骨・軟部肉腫に対する新たな治療法となる可能性がある.
著者
岡田 信彦
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.27-35, 2010 (Released:2010-09-29)
参考文献数
45
被引用文献数
1

細菌は、増殖の定常期状態やアミノ酸・糖などの栄養が枯渇した環境あるいは酸化的ストレスなどのストレス環境下では、緊縮応答 (stringent response) によってこれらの環境変化に適応し、生存を可能にする。緊縮応答時には、細胞内にguanosine-3,5-tetraphosphate(ppGpp)が蓄積し、これが種々の遺伝子の転写活性を調節する遺伝子発現 mediatorとして機能する。大腸菌において、ppGpp は RNA合成の抑制および定常期シグマ因子(RpoS)の細胞内蓄積を促進し、結果として細胞内の代謝やDNA合成を抑制する。大腸菌や Salmonellaでは、ppGpp は2つの遺伝子、relA および spoT にコードされる ppGpp 合成酵素により合成される。Salmonella のように宿主細胞内で増殖できる細胞内寄生細菌にとって、宿主細胞内環境は栄養分が制限されるだけでなく、生体防御反応による種々のストレスも加わり、生存に不利な環境条件であることから、緊縮応答は、細胞内環境に適応するために重要な応答機構として機能するものと予想される。本稿では、ネズミチフス菌(Salmonella enterica serovar Typhimurium)において、ppGpp により遺伝子発現調節される緊縮応答タンパク質をプロテオーム解析により網羅的に同定し、さらに、ppGppに発現制御される新規病原因子を同定したので紹介する。

1 0 0 0 女の肖像

著者
古屋登代子 著
出版者
三友社
巻号頁・発行日
1940
出版者
北海道大学埋蔵文化財調査室
巻号頁・発行日
vol.1, pp.1-271, 1986-03-20

遺跡名:サクシュコトニ川遺跡, 所在地:北海道札幌市北区北17条西13丁目3番地(北海道大学札幌団地内)北緯43°04' 東経141° 20',調査主体:北海道大学, 調査機関:北海道大学埋蔵文化財調査室, 発掘期間:1981年(昭和56年) 8月14日~ 1982年(昭和57年) 9月24日, 調査面積:5,904㎡, 調査結果:上層より層位を異にして3文化層が確認された.『第1文化層』は擦文時代後期前半(西暦9世紀後半?).焼土が1個所検出されたほかは遺物集中地点のみ.土師器(土師質土器)甕12個体,須恵器1個体が検出された.坏は検出されていない『第2文化層』は擦文時代中期前半(西暦9世紀中葉).竪穴住居跡5軒・土壙6基・集石遺構7個所・炭化物マウンド1を含む焼土と炭化物集積139個所(73ブロック)が検出された.ここから,土師器坏113個体,土師器甕183個体,その他1個体および須恵器16個体・土製支脚7個体・土製羽口2個体・土製紡錘車14個・土製玉17個・黒曜石製剥片および石器77点・金属製品3点・骨製銛先1点,大型浅鉢1点が出土した.また,サケ科魚類を中心とする魚骨片, 栽培植物の種子(オオムギ・コムギ・キピ・アワ・シソ・アサ・アヅキ・ウリ・コメ)など,炭化材(ヤナギ属・トネリコ属・クルミ属・カエデ属・ニレ属)が検出された.集落跡の南部に接する埋没していた幅12mの旧河川から『魚類を捕獲するための柵列遺構』が木製銛,金属製魚鈎銛(マレク)などの漁具や用途不明の木製品をともなって発見されている.ただし,これが第1文化層・第2文化層のいずれに属するものなのかについては,確定できなかった.『第3文化層』は2次的な堆積層で,続縄文時代中期後半(西暦4世紀)とおもわれる土器片が検出されただけであった.資料の所在:発掘された資料は北海道大学内の埋蔵文化財調査室に展示・保管されている.
著者
一森 湧 加納 寛子
出版者
日本情報教育学会
雑誌
情報教育 (ISSN:24343463)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.59-61, 2019 (Released:2019-05-20)
参考文献数
3

本調査では,大学生・高専生480名に対して,フェイクニュースに対する認識を調査し,専門家の意見と比較した.結果,メディアリテラシー教育を通して,情報を受けとる自分自身が情報の事実確認をする姿勢が必要であるという点で専門家と大学生の意見が一致した.また,半数程度の学生は,SNSの運営者がフェイクニュースを管理するべきという考えを持っているのに対し,専門家はフェイクニュースの削除基準などを明確しなければ情報統制につながると述べている.そのため,中学校の公民の授業でフェイクニュースについて取り扱い,フェイクニュースを発信・拡散しない姿勢を形成するべきだと結論付けた.