著者
荒川 貴博 飯谷 健太 當麻 浩司 三林 浩二
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌E(センサ・マイクロマシン部門誌) (ISSN:13418939)
巻号頁・発行日
vol.140, no.11, pp.321-327, 2020-11-01 (Released:2020-11-01)
参考文献数
21

The human body emits various volatile molecules, depending on a person's genetics, stress, disease and so on. The volatile organic compounds (VOCs) can be found in human transpiration, breath and transdermal gas emanated from skin. In this review, a biochemical gas sensor “bio-sniffer” and a gas imaging system “sniff-cam” for monitoring of VOCs such as acetone, ethanol and acetaldehyde were presented. Firstly, a high-sensitive acetone biochemical gas sensor was demonstrated and measure exhaled breath acetone concentration, and assess lipid metabolism based on breath acetone analysis. Secondly, a fluorometric imaging system for ethanol vapor released from human breath and palm skin was presented. This imaging system measures ethanol vapor concentrations as intensities of fluorescence through an enzymatic reaction. These biochemical gas sensors and imaging system of VOCs showed a rapidly and accurately responses and measurement, which could lead an analysis to metabolism function and non-invasive screening at real time in the near future.
著者
野口 渉 飯塚 博幸 山本 雅人
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.2D2OS21a03, 2018 (Released:2018-07-30)

生物は高次元で複雑な生のデータを認識する.近年発展した深層学習はそのような複雑なデータの認識を可能とする.本論文では,深層学習を用いて,従来のミニマルモデルでは扱われ難かった高次元のデータの認識が生み出す生命性を考える.我々は視覚と運動の統合学習を通して空間認識能力を発達する階層型リカレントニューラルネットワーク(階層型RNN)モデルについて研究を行ってきた.階層型RNNはシミュレーション実験において,視覚と運動の主観的な経験のみから空間の客観的な地図である認知地図とみなせる内部モデルを獲得した.さらに,現実のヒトによって取得する視覚と運動の系列を用いた場合にも空間認識能力を獲得することが示された.これらの結果は,深層学習モデルを用いて現実の生命における認識を理解できる可能性を示唆している.
著者
呉 征涛
出版者
関西大学大学院東アジア文化研究科
雑誌
東アジア文化交渉研究 = Journal of East Asian cultural interaction studies (ISSN:18827748)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.535-556, 2018-03-31

Even with the changes of usage of energy resources in early modern times, such as relatively new fuels like coal, oil and gas, charcoal continued to remain the main fuel used by ordinary people in Japan from the late 19th century to the early 20th century. In Korean Peninsula, which was a colony of Japan from that time, Koreans did not use charcoal as fuel for everyday life much. But as Japanese moved to the Korean Peninsula and the Government-General encouraged the charcoal industry and production, charcoal was produced in large quantities and exported abroad, especially to Japan proper. Korean Peninsula became a production site that provided a large quantity of charcoal to Japan and played an important role in ensuring Japan’s fuel supply until the end of the World War II. This article aims to clarify the history of development and historical significance of the charcoal industry in Korean Peninsula by focusing on the Japanese materials.
著者
久保 ゆかり
出版者
東洋大学人間科学総合研究所
雑誌
東洋大学人間科学総合研究所紀要 = The Bulletin of the Institute of Human Sciences,Toyo University (ISSN:13492276)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.133-151, 2019-03

This paper first presents an overview of the typical development of social understanding in early childhood, followed by a review of ASD (autism spectrum disorders) research on social understanding that demonstrates children with ASD have difficulty not with propositional (explicit) mentalizing but with intuitive (implicit) mentalizing. It implies intuitive mentalizing itself is essential for interpersonal understanding in daily life. Based on the implications of ASD research, developmental processes of social understanding in early childhood are reconsidered, and directions for future research on children’s social understanding is discussed.
著者
林 良雄
出版者
東京薬科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)が有するプロテアーゼの阻害剤創製を通じ、電子吸引性のアリールケトン構造を基本的な阻害機構としたシステインプロテアーゼ阻害剤の創製手法の確立をめざした。過去の研究より得られた低活性な阻害剤を基に、初年度はトリペプチド型、最終年度はジペプチド型の強力な阻害剤創製に成功し、本阻害剤創製戦略が有効に機能することを確認できた。一方、阻害剤の効率的スクリーニング手法の確立に必要な、混ぜるだけで精製無しに基質をビオチニル化できる試薬の開発にも成功した。
著者
宮村 直宏
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.102, no.7, pp.520-526, 2007-07-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
7
被引用文献数
1 2

醤油, 味噌など醸造発酵物, チーズ, 天然だしなどが「コク味」を付け,「おいしさ」を向上させることはよく知られている。著者には,「おいしさ」の中にある「コク味」の概念について, その表現方法および「コク味」を付与する調味料などについて長年の試験・研究を基に, 詳細に解説頂いた。適切な「コク味」付与による「おいしい」食品づくりに大いに参考になるものと思われる。
著者
中村 文哉
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:21894825)
巻号頁・発行日
no.12, pp.51-87, 2019-03-29

本稿の主題は、1907年に公布された「癩豫防ニ關スル法律」(1907年法)と、それを1931年に改正した「癩豫防法」(1931年法)との比較を通して、両者の各條文間の異同を明らかにし、1907年法および1931年法との不連続性と連続性を明らかにする。更に1907年法および1931年法のそれぞれの「施行規則」の條文間の異同を追う。これらの法律・規則には、対応関係がみられるので、1907年法から1931年法に継承された点と、大きく改正された点を明らかにすることができる。更に1931年法「施行規則」の各條項に示された規定が、「癩豫防法施行細則(沖繩縣)」および「癩豫防法施行手続(沖繩縣)」という地方制度の各條項と、如何なる連関のもとに、盛り込まれていったのかを、それらの各條項から類推することを通して、当時の沖繩縣下のハンセン病問題の輪郭を、示したい。但し、本稿は、1931年法改正点の、大きな焦点となる<從業禁止>関連規定と<生活費補給>関連規定をめぐる地方制度の検討は、紙幅の都合上、別稿を用意する。本稿を端緒とする一連の考察の最終的な目的は、「癩豫防法」と沖縄社会との関連を、同法の関連地方制度である「癩豫防法施行細則(沖繩縣)」および「癩豫防法施行手続(沖繩縣)」の條文を踏まえて、捉え返すことにより、何が観えてくるのかを、示すことにある。その際の問題の所在は、ハンセン病療養所を前提とする「癩豫防法」は、その前提となる療養所なしに、如何に機能し、ハンセン病者たちに、どの様な現実を帰結せしめたのかを、明らかにすることである。
著者
佐々木 剛 田澤 大 長谷井 嬢 国定 俊之 吉田 晶 橋本 悠里 矢野 修也 吉田 亮介 宇野 太 香川 俊輔 森本 裕樹 浦田 泰生 藤原 俊義 尾﨑 敏文
出版者
岡山医学会
雑誌
岡山医学会雑誌 (ISSN:00301558)
巻号頁・発行日
vol.124, no.2, pp.105-110, 2012-08-01 (Released:2012-09-03)
参考文献数
15

骨・軟部肉腫は, 一部に治療抵抗性で予後の悪い症例が存在するため, 新たな治療法の確立が重要な課題である. 我々は, 5型アデノウイルスを基本骨格として, テロメラーゼ活性に依存して増殖する腫瘍融解ウイルス(OBP-301)や, coxsackie and adenovirus receptor(CAR)陰性の腫瘍細胞に感染するファイバー改変型ウイルス(OBP-405)を用い, 骨・軟部肉腫細胞に対する抗腫瘍効果を検討した. 14種類の骨・軟部肉腫細胞株に対してOBP-301の細胞障害活性を検討し, 12種類の細胞株でOBP-301に感受性を認めた. また, OBP-301の細胞障害活性はCARの発現と相関していた. さらに, テロメラーゼ活性の低い細胞に対しても, 5型アデノウイルスの複製に必須のE1Aによりテロメラーゼ活性の増強効果がおこり, 強い抗腫瘍活性を示すことを明らかにした. 次に, 骨肉腫脛骨同所性移植動物モデルを作成しOBP-301を投与したところ, OBP-301投与群では対象群と比べて有意に腫瘍増殖を抑制した. 最後に, OBP-301に感受性を認めなかったCAR陰性細胞株に対してOBP-405を用いて検討し, OBP-405が有効に作用することを確認した. OBP-301やOBP-405を用いたウイルス療法は, 骨・軟部肉腫に対する新たな治療法となる可能性がある.
著者
岡田 信彦
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.27-35, 2010 (Released:2010-09-29)
参考文献数
45
被引用文献数
1

細菌は、増殖の定常期状態やアミノ酸・糖などの栄養が枯渇した環境あるいは酸化的ストレスなどのストレス環境下では、緊縮応答 (stringent response) によってこれらの環境変化に適応し、生存を可能にする。緊縮応答時には、細胞内にguanosine-3,5-tetraphosphate(ppGpp)が蓄積し、これが種々の遺伝子の転写活性を調節する遺伝子発現 mediatorとして機能する。大腸菌において、ppGpp は RNA合成の抑制および定常期シグマ因子(RpoS)の細胞内蓄積を促進し、結果として細胞内の代謝やDNA合成を抑制する。大腸菌や Salmonellaでは、ppGpp は2つの遺伝子、relA および spoT にコードされる ppGpp 合成酵素により合成される。Salmonella のように宿主細胞内で増殖できる細胞内寄生細菌にとって、宿主細胞内環境は栄養分が制限されるだけでなく、生体防御反応による種々のストレスも加わり、生存に不利な環境条件であることから、緊縮応答は、細胞内環境に適応するために重要な応答機構として機能するものと予想される。本稿では、ネズミチフス菌(Salmonella enterica serovar Typhimurium)において、ppGpp により遺伝子発現調節される緊縮応答タンパク質をプロテオーム解析により網羅的に同定し、さらに、ppGppに発現制御される新規病原因子を同定したので紹介する。

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著者
古屋登代子 著
出版者
三友社
巻号頁・発行日
1940