著者
石川 奈保子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
2021

<p> 本研究では,大学オンライン課程における学生からの援助要請に対応する際の学習支援者の態度と配慮事項を調査した.その結果,以下の2点が明らかになった.(1)態度に関して,自律的学習者の育成を目指す態度と手厚い情報提供による学びの促進を目指す態度とが見出された.(2)配慮事項に関して,自律的学習者の育成を重視しているかどうかによって違いがみられた.重視している学習支援者は,問題解決のための助言をわかりやすい言葉で伝えるよう心がけていた.一方,重視していない学習支援者は,学生の背景や理解レベル,要請内容の正確な把握や,学習意欲を削がない声がけに配慮していた. </p>
著者
吉田 昌平 守田 武志 舌 正史 沼倉 たまき 小出 裕美子 中尾 聡志 足立 哲司 原 邦夫
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.474, 2003

【目的】今回我々は体重の1%(1%BW)、2.5%(2.5%BW)、5%(5%BW)、7.5%(7.5%BW)、10%(10%BW)の5種類の負荷を用いて全力ペダリングを実施し、それぞれの負荷によって得られるパワー発揮特性をピークパワー(PP)、体重あたりのPP(PP/BW)、ピーク回転数(P-rpm)と最大無酸素パワー(MAnP)から評価し、実際の30mスプリントパフォーマンスとの関係について検討した。【方法】某大学サッカー部、男子14名(年齢19歳、身長172cm、体重68kg)を対象とし、自転車エルゴメーター(パワーマックスVII)を用いて、1、2.5、5、7.5、10%BWの5種類の負荷で各1回10秒間の全力ペダリングを実施した。それぞれの負荷で得られたPP、PP/BW、 P-rpmを二次回帰し、負荷-PP 、PP/BW、 P-rpm曲線を算出した。30mスプリントテストは3回の試技を手動により計測しその平均時間を求めた。【結果】1)PPは負荷との間にY=-3.689+ 230.247*X-13.146*X^2(r=.99)の関係が認められた。PP/BWは負荷との間にY=-.267 +3.612*X-229*X^2(r=.99)の関係が認められた。rpmは負荷との間にY=227.96- 10.405*X-.311*X^2(r=.95)の関係が認められた。負荷-PP 曲線から算出したMAnPは988wattで、体重あたりのMAnP(MAnP/BW)は14.4 watt/BWであった。MAnPが得られた時のrpm(MAnP-rpm)は120 rpmで、負荷は12.4%BWであった。2)3回試技における30mスプリントテストの平均時間は4.15±0.13秒であった。30mスプリントパフォーマンスと各負荷のPP、PP/BW、P-rpmの相関係数は1%BWでそれぞれr=-.21、r=-.41、r=-.59(ns、ns、p=.026)、2.5%BWでそれぞれr=-.21、r=-.48、r=-.61(ns、ns、 p=.020)、5%BWでそれぞれr=-.28、r=-.68、r=-.70(ns、p =.010、p=.006)、7.5%BWでそれぞれr=-.29、r=-.55、r=-.57(ns、p =.041、p=.034)、10%BWでそれぞれr=-.31、r=-.42、r=-.42(ns)、MAnP 、MAnP/BW、MAnP-rpmでそれぞれr=_-_.21、r=-.22、r=-.42(ns)であった。多変量解析で30mスプリントパフォーマンスと有意に相関したのは5%BW でのP-rpmのみであった(p<.01)。【考察】PPおよびPP/BWは、負荷-PP、PP/BW曲線からMAnPが得られた負荷12.4%BWを上限として負荷が大きくなればなる程高い値を示した。P-rpmは、負荷-P-rpm曲線から負荷が小さくなればなる程高い値を示した。このようなパワー発揮特性とスプリントパフォーマンスとの関係について検討すると、パワーは負荷が大きい程高い値が得られるが、スプリントパフォーマンスとの関係はむしろ弱くなった。逆に負荷を小さくして高回転を得た方がスプリントパフォーマンスとの関係は強くなった。すなわち、スプリントパフォーマンスは踏力よりもむしろ回転速度に依存したパワー発揮特性と関係が強く、ペダル回転数が実際の走動作であるピッチ数と関係していると推察した。
著者
出口 剛司 赤堀 三郎 飯島 祐介 伊藤 賢一 渡會 知子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究課題は、社会学の公共性を実現する条件を理論及び学説史の研究によって明らかにすることにある。上記課題を実現するために五つの論点の考察した。1.ヴェーバー「価値自由」テーゼの批判的継承、2.批判的社会理論とN.ルーマンの社会システム論の再検討、3.ドイツにおける国法学、公共性研究とフランスの中間集団論との比較、4.ドイツにおける社会理論と法学の関係についての考察、5.ネット時代の個人化と社会的連帯の変容の解明である。その結果、理論が自己の正当化実践を行うことを通して、また社会的現実を別様に記述することにより、政策課題を設定=再設定することで通して、社会学の公共性が実現しうるという結論を得た。
著者
横井 遥 福田 里砂
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.49-59, 2013

近年,急速にインターネットの利用が普及し,患者・家族が病気や治療に関する情報を入手する機会が増えているが,その情報の信頼性は不明である.そこで,体験した事例をもとに,術後疼痛に関する情報を掲載しているサイトの信頼性を検討した.<br/> 調査は,開腹手術後の術後疼痛についての情報を掲載している75サイトを対象に,eヘルス倫理コード2.0の4つの大項目(基本情報の開示,コンテンツ,コミュニケーション,プライバシー)について,3段階で評価し,サイト種(一般サイト,個人サイト,ブログ,掲示板)ごとに単純集計を行った.<br/> 基本情報に関しては,掲示板ではほとんどのサイトで開示されていたが,その他の種類のサイトでは開示が不十分であった.また,コンテンツ,コミュニケーションの提供者に関する基本的な情報の開示は,すべての種類のサイトで5割に満たなかった.情報の客観性・正確性,医学情報の水準の妥当性が確保されているサイトは,一般サイトで45.0%であったが,その他の種類のサイトではほとんどなかった.個人情報の取得者,管理者は,一般サイト,ブログでは5割以上のサイトで記載されていたが,掲示板では1割に満たなかった.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ネットビジネス (ISSN:13450328)
巻号頁・発行日
no.53, pp.83-89, 1999-12

「アフィリエイトプログラムに参加している個人サイトが、電子商取引(EC)の売り上げ全体の15%を支える」(アスキーイーシーの玉舎直人常務)——。 コンピューター関連出版のアスキーの子会社アスキーイーシーが運営するECサイト、ASCII Rapid Commerce Service(arcs)のアフィリエイトプログラム「WeBranch!」(画面1)の参加者は3000人を超えている。
著者
豊田 順子 村上 明子 Junko Toyoda Akiko Murakami
出版者
関西外国語大学・関西外国語大学短期大学部
雑誌
関西外国語大学研究論集 (ISSN:03881067)
巻号頁・発行日
no.107, pp.95-104, 2018-03

本研究では、大学生を調査対象とし、「日本学」の授業において、オンラインデジタル予習教材を基に ICT(Information and Communication Technology) 型反転授業を行い、学習効果(知識習熟度)を検証した。結果から、3種の授業形態:ICT 活用型反転授業、認知プロセスタスクを取り入れた ICT 活用型反転授業、教員主体の通常講義授業のうち、通常講義授業より反転授業の方が、学習効果が有意に高いことが明らかとなった。
著者
荒川 貴博 飯谷 健太 當麻 浩司 三林 浩二
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌E(センサ・マイクロマシン部門誌) (ISSN:13418939)
巻号頁・発行日
vol.140, no.11, pp.321-327, 2020-11-01 (Released:2020-11-01)
参考文献数
21

The human body emits various volatile molecules, depending on a person's genetics, stress, disease and so on. The volatile organic compounds (VOCs) can be found in human transpiration, breath and transdermal gas emanated from skin. In this review, a biochemical gas sensor “bio-sniffer” and a gas imaging system “sniff-cam” for monitoring of VOCs such as acetone, ethanol and acetaldehyde were presented. Firstly, a high-sensitive acetone biochemical gas sensor was demonstrated and measure exhaled breath acetone concentration, and assess lipid metabolism based on breath acetone analysis. Secondly, a fluorometric imaging system for ethanol vapor released from human breath and palm skin was presented. This imaging system measures ethanol vapor concentrations as intensities of fluorescence through an enzymatic reaction. These biochemical gas sensors and imaging system of VOCs showed a rapidly and accurately responses and measurement, which could lead an analysis to metabolism function and non-invasive screening at real time in the near future.
著者
野口 渉 飯塚 博幸 山本 雅人
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.2D2OS21a03, 2018 (Released:2018-07-30)

生物は高次元で複雑な生のデータを認識する.近年発展した深層学習はそのような複雑なデータの認識を可能とする.本論文では,深層学習を用いて,従来のミニマルモデルでは扱われ難かった高次元のデータの認識が生み出す生命性を考える.我々は視覚と運動の統合学習を通して空間認識能力を発達する階層型リカレントニューラルネットワーク(階層型RNN)モデルについて研究を行ってきた.階層型RNNはシミュレーション実験において,視覚と運動の主観的な経験のみから空間の客観的な地図である認知地図とみなせる内部モデルを獲得した.さらに,現実のヒトによって取得する視覚と運動の系列を用いた場合にも空間認識能力を獲得することが示された.これらの結果は,深層学習モデルを用いて現実の生命における認識を理解できる可能性を示唆している.
著者
呉 征涛
出版者
関西大学大学院東アジア文化研究科
雑誌
東アジア文化交渉研究 = Journal of East Asian cultural interaction studies (ISSN:18827748)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.535-556, 2018-03-31

Even with the changes of usage of energy resources in early modern times, such as relatively new fuels like coal, oil and gas, charcoal continued to remain the main fuel used by ordinary people in Japan from the late 19th century to the early 20th century. In Korean Peninsula, which was a colony of Japan from that time, Koreans did not use charcoal as fuel for everyday life much. But as Japanese moved to the Korean Peninsula and the Government-General encouraged the charcoal industry and production, charcoal was produced in large quantities and exported abroad, especially to Japan proper. Korean Peninsula became a production site that provided a large quantity of charcoal to Japan and played an important role in ensuring Japan’s fuel supply until the end of the World War II. This article aims to clarify the history of development and historical significance of the charcoal industry in Korean Peninsula by focusing on the Japanese materials.
著者
久保 ゆかり
出版者
東洋大学人間科学総合研究所
雑誌
東洋大学人間科学総合研究所紀要 = The Bulletin of the Institute of Human Sciences,Toyo University (ISSN:13492276)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.133-151, 2019-03

This paper first presents an overview of the typical development of social understanding in early childhood, followed by a review of ASD (autism spectrum disorders) research on social understanding that demonstrates children with ASD have difficulty not with propositional (explicit) mentalizing but with intuitive (implicit) mentalizing. It implies intuitive mentalizing itself is essential for interpersonal understanding in daily life. Based on the implications of ASD research, developmental processes of social understanding in early childhood are reconsidered, and directions for future research on children’s social understanding is discussed.
著者
林 良雄
出版者
東京薬科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)が有するプロテアーゼの阻害剤創製を通じ、電子吸引性のアリールケトン構造を基本的な阻害機構としたシステインプロテアーゼ阻害剤の創製手法の確立をめざした。過去の研究より得られた低活性な阻害剤を基に、初年度はトリペプチド型、最終年度はジペプチド型の強力な阻害剤創製に成功し、本阻害剤創製戦略が有効に機能することを確認できた。一方、阻害剤の効率的スクリーニング手法の確立に必要な、混ぜるだけで精製無しに基質をビオチニル化できる試薬の開発にも成功した。