著者
宮田 悟志
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.122, 2013 (Released:2013-06-20)

創発は,自明で局所的な法則から非自明な構造や特徴が生成される現象であり,近年様々な関心を集めている.たとえば, 建築デザインにおいては, 従来の構造形態に替わる新たな形態の創成に利用する例が見られる. これらは,形態要素をアルゴリズムにもとづいて空間的に複合的に展開することにより,既存の方法論から得られるデザイン解を超えて,斬新で有機的なデザイン解を得ようとするものである. そして,このためアルゴリズムとして, セルラ・オートマタやL-System, 遺伝的アルゴリズムなどが使用される. ところで, これらの創発デザイン法においてデザイン対象の様態を実現する方法,つまり人工物の動きや変形などを実現する方法, は通常の解析的方法である.つまり, 対象を微分方程式の初期値-境界値問題に還元して扱う方法であり,典型的な非創発的方法である.本論では,この現象実現の部分もまた創発により行いうることを示し, 創発的アプローチの可能性を, 仮想現実実現の点から論じる.
著者
青田 直大 河野 健二
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2018-OS-142, no.3, pp.1-7, 2018-02-20

ファイルシステムにおけるテール ・ レイテンシ (tail latency) は,サービス品質を保証する上での障壁となることが知られている.現在のファイルシステムにおける最適化は,アクセス性能を平均的に向上させることを主目的としているため,アクセス状況によってはすべての最適化が無効となり,テール ・ レイテンシが増大する傾向にある.テール ・ レイテンシが増大する状況は,メタデータの管理手法,最適化の手法,アクセスパターンによって異なってくる.本研究では,btrfs,ext4,XFS,F2FS という 4 つのファイルシステムを対象に,テール ・ レイテンシが増大する要因を定量的に分析した結果を示す.
著者
山中 正樹
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.62, no.8, pp.84-97, 2013-08-10 (Released:2018-08-06)

日文協第67回大会(第一日目)において加藤典洋氏は、テクスト論の立場から生ずる「ナンデモアリ」の読みに対する違和感を唱え、「〈第三項〉の理論とは、同じ出発点に立って」いるとしながらも、「読者と作品の関係性の一回性に基礎を置く文学理論」、「読者と作品のなかに浮上する」「作者の像」が、読者一人ひとりの「コレシカナイ性を作り上げる」という氏の「読書行為論」を提唱した。それは、第66回大会に登壇した竹田青嗣氏の唱える「一般言語表象」に触発されたものであるという。また加藤氏は、田中実氏の提唱する「第三項」を超越的なものであるとし、カントの「物自体」との類縁性を訴え、前年の竹田氏の講演内容にも示されたヘーゲルの説いた「事自体」との違いに関する議論に興味を示している(本誌二〇一三年三月号)。本稿ではまず、加藤氏の理論の背景となった竹田氏の「一般言語表象」について検討したい。その上で、〈第三項〉理論との違いを考えながら我々の読書行為を再検討し、〈第三項〉理論が拓く新たな「読み」の可能性を探っていきたいと思う。
著者
佐々城 真 飯久保 正弘 下里 舞 佐藤 しづ子 笹野 高嗣
出版者
Japanese Society for Oral and Maxillofacial Radiology
雑誌
歯科放射線 (ISSN:03899705)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.1-6, 2014 (Released:2014-06-17)
参考文献数
17

Objective: To clarify the relationship between edematous changes and pain in the masseter muscle, we investigated whether plasma extravasation might be induced in the mouse masseter muscle when muscle fatigue with gnawing behavior occurred.Study design: When a mouse is restrained in a narrow cylinder with blocking at the front end with a thin plastic strip, it gnaws away at the strip to escape. The mice in the experimental group were restrained in such a cylinder for two hours. In a control group, the mice, whose tails were fixed to the cylinder using tape, could not reach the strip and thus could not bite it. Using these models, we examined plasma extravasation by the Evans blue (EB) dye method. Furthermore, to investigate the relationship between masseter muscle pain and plasma extravasation, local anesthesic was injected into the right masseter muscle, with the control side injected with saline alone. Results: The level of EB dye in the masseter muscle of the experimental group was higher than that of the control group. There was a high correlative relationship between the weight reduction of the plastic strip and the EB dye. The level of EB dye at the anesthetized side was significantly decreased compared with that at the saline-injected side.Conclusion: This result suggests that the masseter muscle pain induced by muscle fatigue evokes plasma extravasation, resulting in edematous changes in the masseter muscle.
著者
藤井 紘司
出版者
観光学術学会
雑誌
観光学評論 (ISSN:21876649)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.3-17, 2018 (Released:2020-03-25)

本稿の目的は、マスツーリズムの弊害に対処しつつ、ながらく外発的な開発を拒否し、歴史的環境を軸とした観光まちづくりに取り組んできたむらが、なにゆえに大規模リゾートの誘致を許容したのかをあきらかにすることにある。本稿でとりあげる沖縄県竹富島は、伝統文化の保全と観光とを両立させた自治的なまちづくり先進地であるものの、大規模リゾートの誘致により、一見、地域社会の「内発性」が揺らいでいるようにもみえる。 本稿では、半世紀以上にわたる観光まちづくりの経緯をふまえ、その都度その都度の限られた選択肢のなかで、暮らしの問題を解決するために、地域内の各組織や個人がさまざまな外部アクターと離合集散しつつも、連帯する外部アクターを取捨選択していることをあきらかにした。本稿は、大規模リゾートの誘致もまた外部アクターとの連帯の一種ととらえつつ、パートナーシップ的発展論の視点から地域社会の内発性と外部アクターとのかかわりについて考察するものであり、地域社会による取捨選択の基準といったものをより積極的に論じる必要があることを指摘した。
著者
Satoshi Nishimura Takuya Ohzono Kohei Shoji Shin Yagihara Masafumi Hayashi Hisao Tanaka
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
Journal of Oleo Science (ISSN:13458957)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.235-249, 2017 (Released:2017-03-01)
参考文献数
39
被引用文献数
2 2

Interfacial tension between edible oil and saline was measured under applied electric fields to understand the electrocapillary phenomena at the edible oil/saline interfaces. The electric responses of saline droplets in edible oil were also observed microscopically to examine the relationship between the electrocapillary phenomena and interfacial polarization. When sodium oleate (SO) was added to edible oil (SO-oil), the interfacial tension between SO-oil and saline decreased. However, no decrease was observed for additive-free oil or oleic acid (OA)-added oil (OA-oil). Microscopic observations suggested that the magnitude of interfacial polarization increased in the order of additive-free oil < OA-oil < SO-oil. The difference in electrocapillary phenomena between OA- and SO-oils was closely related to the polarization magnitude. In the case of SO-oil, the decrease in interfacial tension was remarkably larger for saline (pH 5.4~5.6) than that for phosphate-buffered saline (PBS, pH 7.2~7.4). However, no difference was observed between the electric responses of PBS and saline droplets in SO-oil. The difference in electrocapillary phenomena for PBS and saline could not be simply explained in terms of polarization magnitude. The ratio of ionized and non-ionized OA at the interfaces changed with the saline pH, possibly leading to the above difference.
著者
閔 庚〓 河合 正行 田本 敦子 茂在 敏司 内田 英一
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.25, no.7, pp.722-730, 1987-07-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
18

肺の構成単位としての肺小葉の肺内における配置の様式を肺小葉の多面体としての性質から検討した. 76歳女性の剖検右肺と38歳男性の剖検左肺とを伸展固定し, 肺表面および肺割面における小葉の境界を点と線と面の集合と見なしてそれらの幾何学的性質を検討した. 肺小葉多面体は,頂点に3本の稜線があつまり, それぞれが3~9辺形を呈する面によって囲まれた多面体を呈していた. 辺の長さは平均5.7mm, 5.0mmで, 形状パラメータ m=3.07, 2.38, 尺度パラメータη=6.1mm, 5.3mmの Weibull 分布をなしていた. これを参考に5mmを単位として胸膜上の任意の点より半径5mm (つまり1単位) から20mm (つまり8単位) の同心円を描き, その円と交じわる小葉多面体数を検討したところ, 10mm (2単位) ごとにほぼ10個ずつ増え均等配列と考えられた. これらの性質は Bernal が多数の剛体球のランダム最密充填モデルで検討した液体分子の周りに作った Voronoi 多面体の性質と同じであった. 以上より小葉多面体を Voronoi 多面体とみなすと肺は液体分子の配置と同じ非結晶型格子に小葉構造を配置したものと考えられ, 気管支, 血管枝は非結晶格子の逆格子である小葉多面体 (Voronoi 多面体) の稜線網に配置された二分岐樹構造であると見ることができる. これを新たな肺の構造モデルとして, 小葉モデルと呼ぶことを提唱した. このモデルから肺動脈樹の流体力学的性質の理論的導出を試みた.
著者
保利 武志 中村 和幸 嵯峨山 茂樹
雑誌
第79回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.1, pp.129-130, 2017-03-16

従来ヒューリスティックや感性情報を必要とした手法によって実現されていたジャズセッションシステムに対し、我々はこれまで統計的に学習可能な枠組みによるシステムの実現に向けた数理モデルや演奏の解析を行ってきた。また、その数理モデルの妥当性を実証するために、ピアノの演奏データを入力として、事例データからピアノ演奏にうまく調和するようなベースとドラムスの演奏を、NMFによるクラスタリングやtrigramによる時系列特性、ピアノとの共起関係を考慮して探索し合成して出力する手法を提案した。本研究ではこれをさらに発展させたHMMをベースとしたモデルに基づき、DNNによる楽器間の演奏特徴量の相関関係や時系列特性を考慮した編集合成を行う。
著者
LESTER I. CONRAD HENRY F. MASO SHIRLEY A. DeRAGON 池田物産株式会社
出版者
THE SOCIETY OF COSMETIC CHEMISTS OF JAPAN
雑誌
日本化粧品技術者連合会会報 (ISSN:1884412X)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.1-9, 1966-06-25 (Released:2010-08-06)

本論文は, 表面現象に参与するラノリン誘導体に関して, われわれの研究所で行われた種々の方面の研究を示したものである。潜在的表面活性の根源を示すためにラノリンと, その誘導体の化学を簡単に総覧した。ラノリン誘導体の比較的な評価をするために, 簡単な技法を用いることで, 顔料の湿潤性に関するデーターを示した。エマルジョン系のレオロジー的様相に及ぼすラノリン誘導体の影響を, これらの系の粘性及び安定性挙動により示した。ラノリン誘導体の可溶化効果, 乳化効果を論じ, その意味する原理の例を処方で示した。ラノリン誘導体の拡散性に関するデーターを, その応用と共に示した。いくつかの可塑性効果及び表面効果を, その処方への使用により評論した。
著者
和気 洋介 藤原 豊 青木 省三 黒田 重利
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.437-440, 1998-04-15

身体の特定の部位に限局して,奇妙な異常感覚を持続的に訴える一群の症例はセネストパチーと呼ばれている。これら体感の障害は精神分裂病,うつ病,器質性疾患などの1症状として現れる広義のセネストパチーと,異常感覚のみが単一症状性に持続する疾患概念としての狭義のセネストパチーとが区別されている5)。セネストパチーは頭部,口腔内,胸腹部,四肢,皮膚などに限局し,持続的にまた執拗に訴えられることが多いが,特に口腔内の異常感覚を訴えるものは頻度も多く,歯科で対応に苦慮しているのが現状である。 今回,我々は口腔内の奇妙な異常感覚を主症状として狭義のセネストパチーに位置づけられると思われた18症例について,その臨床的特徴を検討し,診断的位置づけ,薬物反応性,歯科との協力関係のあり方などを考察した。
著者
蜷川 繁 米田 政明 広瀬 貞樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.164-166, 2001 (Released:2002-02-28)
参考文献数
5
被引用文献数
2

The “Game of Life” acquires the property of significant behavior, such as universal computation, selforganized criticality and 1/f fluctuation, which depends on initial configurations. Our research investigates the relationship between the transient behavior starting from random initial configurations and array size in the Game of Life. The simulations show that the average transient time ‹T› increases logarithmically with square array size N×N, ‹T›∼logN in null and periodic boundary conditions. This result suggests that the duration of 1/f fluctuation in the “Game of Life” lengthens infinitely in infinite array size.