著者
仙石 学
出版者
比較経済体制学会
雑誌
比較経済研究 (ISSN:18805647)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.2_15-2_24, 2020 (Released:2020-09-04)
参考文献数
30
被引用文献数
1

東欧のヴィシェグラード4カ国では,2019年12月の段階でポピュリスト的な政党が与党の座にあるが,その経済政策にはポーランドの法と正義のばらまき型,ハンガリーのフィデスの擬似ネオリベラル型,およびチェコのアノの折衷型という相違がある.この政策の相違は,主として各国の政党間の経済政策をめぐる対立の形の違い,並びに各政党の支持を求めるターゲットの違いから説明することが可能である.
著者
川崎 賢太郎
出版者
日本農業経済学会
雑誌
農業経済研究 (ISSN:03873234)
巻号頁・発行日
vol.86, no.2, pp.82-91, 2014-09-25 (Released:2016-03-26)
参考文献数
35
被引用文献数
1

本報告では品質の重要な指標の1つである等級に焦点を当てて,論点整理と分析結果の紹介を行う.はじめに品質を表すいくつかの指標を比較して等級の位置付けを整理した上で,等級が必要となる根拠を情報の非対称性という観点から考える.次に温暖化が稲作に与える影響を例に,農家経済における等級の重要性を明らかにする.計量分析の結果,気温の上昇は量ではなく質の悪化を通じて収入を低下させることが示される.最後に等級の改善策として,上位等級ほど補助金の単価が上昇する仕組み,品質支払に着目し,理論分析を行う.現実的な仮定の下,品質支払は数量支払や固定支払よりも費用効果的に品質と単収を向上させることが示される.
著者
池田 裕美 山口 剛史 小平 桃子 Bahry M. A. Chowdhury V. S. 安尾 しのぶ 古瀬 充宏
出版者
Japanese Society of Pet Animal Nutrition
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.47-58, 2017-04-10 (Released:2017-05-02)
参考文献数
35

ジャンガリアンハムスター(以下、ジャンガリアン)とロボロフスキーハムスター(以下、ロボロフスキー)はともにドワーフハムスターと呼ばれ同属でありながら、ロボロフスキーはヒトに慣れにくく多動性を示す。これまでの研究により、ジャンガリアンに比してロボロフスキーでストレス感受性が高いのではないかと仮説を立て、多動性とストレス感受性との関連性を解明することを目的とした。野生のドワーフハムスターは群れで生活するために単離ストレスがかかりやすいのではないかと考え、単離飼育を用いた。ジャンガリアンとロボロフスキーの3週齢雄を群飼で馴化した後、群飼と単飼の2つのグループに分けた。3種類の行動試験を実施し、行動量、不安様行動および社会的行動を測定した。その後得られた海馬および小脳のサンプルを用いて、L型ならびにD型アミノ酸およびモノアミンの分析を行い、さらに、血漿中コルチゾール含量の測定も行った。その結果、単飼開始初期の行動試験においては、ロボロフスキーの多動性が不安様行動を反映している可能性が得られたものの、その後の行動試験ではストレスによる影響はみられなかった。このことから、ハムスターに対し単離は弱いストレスであり、両者の行動量ならびに脳内アミノ酸およびモノアミン代謝にはほとんど影響を及ぼさないことが示唆された。
著者
登尾 啓史 浪花 智英 有本 卓
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.7, no.5, pp.403-413, 1989-10-15 (Released:2010-08-10)
参考文献数
14
被引用文献数
1 4

移動ロボットの実際的な障害物回避経路を高速に生成するアルゴリズムを提案する. このアルゴリズムは, 作業空間を上から撮影した実画像から効率的に作成されるクワッドツリーというモデル上で機能するので, 作業空間の障害物の配置の変化に柔軟に対応できる. また, クワッドツリーは作業空間のすべての領域を位置に関して階層的に管理しているので, 移動ロボットより小さな領域を探索しないようにすることによりロボットと障害物の干渉を調べなくても障害物回避経路が生成できる.膨大な個数のノードを保持するクワッドツリーを直接的に探索して障害物回避経路を選択すると計算時間がかかる. そこで本研究では, クワッドッリー上にノード数を小さくおさえたパスグラフを展開し, それを探索することで間接的に障害物回避経路を選択し, アルゴリズムを高速化する. 最後に, この高速性を従来の経路生成アルゴリズムとの比較で実験的に確認する.
著者
本間 太郎 佐藤 謙太 篠原 菜穂子 伊藤 隼哉 荒井 達也 木島 遼 菅原 草子 治部 祐里 川上 祐生 野坂 直久 青山 敏明 都築 毅 池田 郁男
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.63-68, 2012-02-15 (Released:2012-03-28)
参考文献数
31
被引用文献数
4 5

CLAは抗肥満作用,抗がん作用など,多彩な生理機能を持つことが知られており,サプリメントとして市販されているが,日本人において摂取量や吸収代謝に関する報告はほとんどない.本研究では,日本人のCLA摂取における知見を得るため,日本人のCLAの日常的な摂取量,日常的な血中CLA濃度,CLAサプリメント摂取時の血中CLA濃度の変化について検討した.その結果,日本人は日常的に食事から37.5 mg/日のCLAを摂取していることが明らかとなった.また,日本人の日常的な血中CLA濃度は血漿中で6.4μmol/L,血球中で1.7μmol/Lであった.さらに,1日2.3gのCLAサプリメントを3週間摂取することで,血中CLA濃度は血漿中で7.7倍,血球中で8.7倍に増加した.外国人の報告と比べると,日本人は日常的なCLA摂取量や血中CLA濃度は少ないが,CLAサプリメントを摂取することでその濃度は飛躍的に上昇することが明らかとなった.以上より,日本人は1日2.3gのCLAサプリメントを長期摂取することで有益な生理作用を得ることができると考えられた.

1 0 0 0 OA 国難に叫ぶ

著者
佐藤鉄太郎 著
出版者
民友社
巻号頁・発行日
1932
著者
尾鷲 瑞穂
雑誌
第79回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.1, pp.549-550, 2017-03-16

国立環境研究所では、2012年より剽窃チェックソフトのiThenticateを導入し、研究員向けにサービスの提供を行っている。昨今の論文の盗用や剽窃に対しての問題意識の高まりで、ID取得の申請は増えているが、実際に利用する段階で戸惑い、問い合わせがくることが多かった。そこで、ID取得の申請から利用までがスムースに行えるよう、2014年6月から利用講習会を毎月開催し、アンケート調査を実施した。その結果、ソフトの操作は容易で、操作マニュアルで概ねの操作が出来るようになる一方で、出力された結果の評価の解釈で戸惑うケースが多いこと、また、利用する場面(投稿、査読、編集)の違いによって、その理由が異なってくることがわかった。
著者
松岡 治子 花沢 成一
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学 (ISSN:13452894)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.22-28, 1999

本研究の目的は,褥婦とその夫の母性度・父性度の測定を行い,マタニティ・ブルーズとの関連をみることを通して,日本における産褥期のマタニティ・ブルーズの意味を再考することである.褥婦とその夫28組(56名)を対象として「マタニティ・ブルーズ質問紙」と「母性度・父性度尺度」による調査を行った.その結果,父性度の高い褥婦のマタニティ・ブルーズ得点は,父性度の低い褥婦の得点よりも「神経過敏」の項目が有意に低かった.また,夫の年齢が高い新婦のマタニティ・ブルーズ得点は,夫の年齢が低い新婦の得点よりも有意に低かった.以上のことから,褥婦は夫の年齢などに影響を受けるが,新婦自身が「やさしさ」や「あたたかさ」といった母性的な側面だけでなく,ある程度の「きびしさ」や「たくましさ」などの父性的な側面を合わせ持つことにより,産褥期をより安定した状態で過ごすことができるのではないかと考えられた.