著者
奥村 賢一
出版者
福岡県立大学人間社会学部
雑誌
福岡県立大学人間社会学部紀要 (ISSN:13490230)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.175-189, 2018-02-28

市町村に寄せられる児童虐待の相談件数で最も多いネグレクトにおいて、その被虐待児の年齢構成割合で最も多くを占めているのは小学生である。しかし、ネグレクト環境(疑いを含む)で生活する児童に対し適切な理解ならびに支援が小学校で行われているかは定かではない。そこで本研究では、A市内の公立小学校に勤務する教員を対象にアンケート調査を行い、ネグレクト児童および家族の実態、さらに小学校で行われているネグレクト児童の支援の実施状況等について調査を行った。 その結果、特に学級担任と管理職・その他の教員間において認識や対応に相違がある項目が複数存在することが明らかとなった。そのうえで、①ネグレクト児童のスクリーニングとアウトリーチの併用、②ケース会議を活用したケースマネジメント、③校外協働に向けたネットワーキングにおいてスクールソーシャルワーカーの役割を強化していくことがネグレクト児童の支援において重要であることを示した。
著者
中江 利孝 片岡 啓 宮本 拓
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.347-351, 1974-06-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
16
被引用文献数
1

バター脂肪やマーガリン脂肪の融点測定には,従来毛細管法が用いられているが,著者らは連続的な恒温条件下の温度勾配装置を用いて,その融点測定の可能性に検討を加えた.試料は市販のバターおよびマーガリンを用い,透明融点,上昇融点および温度勾配法による固液臨界点を測定した.固液臨界点は,9°Cから50°Cの温度勾配下で下固相と液相の間にできる安定した境界層の相当温度をもって表わした.その固液臨界点の再現性,従来法の透明融点および上昇融点と固液臨界点との比較,ならびに試料の固化条件について調べた結果,温度勾配法による固液臨界点の相当位置は,試料封入管挿入後約2時間以内に現われるが,安定した固液臨界点は10時間後に得られ,約±1°C以下の誤差範囲で再現性のある測定が可能であった.実際のバターおよびマーガリン試料の分析結果から,温度勾配法による固液臨界点は,従来法の透明融点とほぼ一致する結果が得られた.また,固液臨界点に及ぼす冷却法の前処理の影響はほとんどみられなかった.以上の結果,一定条件下のバターおよびマーガリン脂肪の試料を温度勾配装置に設定することによって,所定時間後の固液臨界点の測定からそれらの融点を求め得ることがわかった.
著者
吉田 翔 金井 秀明
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014-GN-91, no.52, pp.1-8, 2014-03-06

本研究は,食事中のそしゃく癖の改善を目的としたそしゃく状況通知手法に関する研究である.共食の場において周囲に悪影響を及ぼす 「クチャラー」 を対象とし,聴覚遅延フィードバックを用いたそしゃく状態の通知を行った.被験者のそしゃく音を遅延させて再生することで,自分のそしゃく行為が周囲からどのように認識されているかを通知する.構築システムでは通知だけでなく,被験者の顎の動きを検出することで,そしゃく状態を測定することが可能である.このシステムを用いた実験により,遅延時間を大きくした場合,被験者は自らのそしゃく状態を認知でき,そしゃく行為を控えようとする傾向が確認できた. : In this paper, we propose a notification system of a state of mastication in order to improve a habit of mastication during the meals. The system senses user's mastication state, and uses the delayed auditory feedback to notify the user of the state. The system does the feedback of user's mastication sound depending on the mastication state in order to make sense of the state. We carried out user experiments in order to investigate the effects of the system and how to change user's behavior of masticating using the system. From the experiments, we found that the subjects tend to change their masticating action depending on the delayed auditory feedback.
著者
今野 洋子 尾形 良子
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学生涯学習システム学部研究紀要 = Bulletin of Hokusho University School of Lifelong Learning Support Systems (ISSN:18827675)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.151-163, 2010

国際的動向に比べ,日本において動物介在教育は普及していない現状にある。本研究では,2003年度より,立教女学院小学校で学校犬バディによって推進されている「動物介在教育(AAE)」について概観し,「動物介在教育(AAE)」の日本の学校教育における推進の可能性について検討することを目的とした。学校犬バディの誕生の契機,学校犬の条件,バディ・ウォーカーの活動,バディとの学校生活,保護者の反応,いのちのつながり等の視点から,バディによる「動物介在教育(AAE)」をみた。その結果,効果の大きい教育プログラムであること,責任の所在を明確にすることが必要であること,実際に活動をみることで賛同者を得られることが明らかとなった。つまり,今後,日本において,学校犬の誕生は十分可能であり,改めて「動物介在教育(AAE)」が学校本来の機能を回復させる大きな力となることが考察された。
著者
中馬 啓介 山下 導人 牛ノ濱 政喜 中道 将治 大迫 信哉 尾辻 栄太 小城 琢朗
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.C0973, 2007

【目的】<BR> 腰部脊柱管狭窄症(以下LCS)で馬尾性間欠性跛行、下肢痛、腰痛、痺れ等の症状を呈し、筋力低下による下垂足を認めることもある。今回、LCSにおける下垂足の予後について検討したので報告する。<BR><BR>【対象】<BR> 下垂足を呈し当院でLCSと診断され手術を行った16例(男性6例、女性10例)を対象とした。手術時年齢66~78歳で平均70.8歳、下垂足発症から手術までの罹患期間1~36ヶ月、平均11.5ヶ月、術後観察期間は5~56ヶ月であった。狭窄部位が2椎間であった例は11例、3椎間であった例は5例であった。<BR><BR>【方法】<BR> 対象を下垂足改善例(以下、良好群)8例、下垂足不変例(以下、不良群)8例に分類した。X-P側面の造影像における狭窄部硬膜管と椎体高位硬膜管に対する比(profile of dural tube:以下D-T比)、MRI水平断像におけるlateral recessの前後径(以下A-P径)、罹患期間について両群を有意水準5%にて統計学的に比較検討した。なお良好群は抗重力位で足関節背屈10°以上可能な症例とした。<BR><BR>【結果】<BR> ・D-T比:(良好群・不良群)<BR> L3/4(0.45±0.1・0.34±0.1) L4/5(0.29±0.03・0.26±0.03)<BR> L5/S1(0.28±0.1・0.26±0.1) すべてにおいて有意差なし<BR> <BR> ・A-P径:[mm](良好群・不良群)<BR> L3/4(2.4±0.3・2.2±0.1) L4/5(2.2±0.1・2.0±0.02) <BR> L5/S1(2.0±0.2・1.8±0.1) すべてにおいて有意差なし<BR> <BR> ・罹患期間 [月]:良好群2.9±1.2 不良群18.9±9.6 有意差あり<BR><BR><BR>【考察】<BR> D-T比・A-P径では両群間に有意差は見られなかったが、不良群は良好郡に比べ狭小化している傾向が見られた。狭窄部位がL3/4~L5/S1の3椎間のものは全て不良群であった。腰椎疾患における下垂足発生に関して中村らはL4、L5神経根障害を、谷らはL5神経根障害と馬尾障害、あるいは複数根の障害の合併をあげている。腰神経叢の運動支配に関してMuCullochはL5神経根は前脛骨筋、長母趾伸筋、長趾伸筋を支配するが、足関節の背屈はL4、母趾の背屈はS1神経根の支配も受けると報告している。以上より下垂足はL5神経根を中心にL4、またはS1神経根、馬尾障害が合併して発症すると考えられる。A-P径また、不良群4例、良好郡2例に膀胱直腸障害を呈しており、強度の馬尾の圧迫が予後に関与していると考えられる。罹患期間は、良好群平均2.9±1.2であり、下垂足を呈した場合は早期に手術療法を検討するべきである。<BR><BR>【まとめ】<BR> 1.下垂足を呈したLCS術後の予後について検討した。<BR> 2.下垂足の予後に関する因子として神経根、馬尾の圧迫の強度、罹患期<BR> 間、膀胱直腸障害の有無が考えられる。<BR> 3.下垂足を呈した場合は早期に手術療法を行うべきである。<BR>
著者
山田 浩之 新井 益洋 安田 秀穂
出版者
Japan Association for Cultural Economics
雑誌
文化経済学 (ISSN:13441442)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.49-55, 1998-10-31 (Released:2009-12-08)
参考文献数
29

東京都内の芸術文化活動による経済波及効果を産業連関表を用いて分析したところ、東京都地域内では、建設工事や土木工事に投資するよりも芸術文化に投資した方が大きな効果をもつことが判明した。また、芸術文化活動による経済波及効果を東京都地域とニューヨーク・ニュージャージ大都市圏とで比較すると、東京都地域の方が経済波及効果が低くなっており、東京都地域において芸術文化が経済を活性化する力は今後一層、強まる可能性がある。
著者
熊木 哲
出版者
至文堂
雑誌
国文学解釈と鑑賞 (ISSN:03869911)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.p101-106, 1987-12

1 0 0 0 OA 新作唱歌

著者
吉丸一昌 著
出版者
敬文館
巻号頁・発行日
vol.6, 1913

1 0 0 0 OA 新作唱歌

著者
吉丸一昌 著
出版者
敬文館
巻号頁・発行日
vol.5, 1913

1 0 0 0 OA 日本醫籍録

出版者
醫事時論社
巻号頁・発行日
vol.昭和13年版 近畿版, 1938

1 0 0 0 OA 添付地図

出版者
日本地図学会
雑誌
地図 (ISSN:00094897)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.AP1-AP2, 1964-06-30 (Released:2011-07-19)
著者
Shumpei KITAMURA Takakazu YUMOTO Pilai POONSWAD Phitaya CHUAILUA Kamol PLONGMAI Naohiko NOMA Tamaki MARUHASHI Prawat WOHANDEE
出版者
JAPAN SOCIETY OF TROPICAL ECOLOGY
雑誌
Tropics (ISSN:0917415X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.345-355, 2005 (Released:2008-09-30)
参考文献数
65
被引用文献数
7 9

Seed dispersal by animals plays a crucial role in the tropics. Fruit-bearing plants serve not only as nutritional sources for frugivores, but also as seed sources for forest regeneration and as important foci for the re-establishment of other plant species by attracting seed-dispersing frugivores to their vicinity. However, opportunities for investigating the interactions between a diverse fruit flora and disperser fauna are rapidly disappearing in Southeast Asia. We observed the behaviors of 28 species of frugivorous visitors to 15 fruit-bearing plant species in a moist evergreen forest in Khao Yai National Park, Thailand, to determine their potential quality as seed dispersers. Behavioral observations included the frequency and duration of visits by each forager and their fruit-handling techniques. The highest numbers of frugivores were recorded at strangler figs, confirming their role as an important resource for frugivores at Khao Yai. Mammals and non-passerine birds spent significantly more time at food plants than did passerine birds. Our study provides a preliminary inventory of plant-frugivore interactions that is comparable to other study sites in Southeast Asia. Since fruit-frugivore interactions may differ among the forests, these kinds of studies need to be replicated at faunally intact forests, as well as depleted forests, in Southeast Asia.
著者
平野 美幸
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.13-21, 2005-12-20 (Released:2012-10-29)
参考文献数
11
被引用文献数
4 1

本研究の目的は, 脳障害のため意識や反応がなく, 人工呼吸器に生命を委ねている子どもに対して, 看護師がどのように子どもを理解し関わっているのかを明らかにすることである. Leininger の民族看護学の研究方法に基づき, 7名の主要情報提供者と14名の一般情報提供者に対する参加観察と面接を行った. 分析の結果, 5つのテーマと1つの大テーマ「看護師は, アラームやわずかな変化を'子どもの声'として意味づけをしていくことで, 生かされているのではなく生きている子どもとして, その子らしさを見出していく」が抽出された. アラームやわずかな変化から読み取ることと, それらに感情や意思を結びつけていくことにより, 子どもの個性を創り上げていることが明らかになった. このことから, 子どものわずかな変化と感情や意思とを結びつけて捉えた内容を共有し深めていく方法の工夫や, プロセスを言語化していく必要性が示唆された.

1 0 0 0 OA 史料大成

著者
笹川種郎 編
出版者
内外書籍
巻号頁・発行日
vol.続編 第40 (親長卿記 第2), 1941