著者
原 清治 山崎 瞳
出版者
佛教大学
雑誌
佛教大学教育学部学会紀要 (ISSN:13474782)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.7-18, 2006-03-14

近年の「学力低下論争」において、その中心にあった議論のひとつが子どもたちの学力の二極化であった。ゆとり教育によって、自主的に学習に取り組む姿勢が身につき始めた子どもたちがいる一方で、学力が低下し、「学びから逃走する子どもたち」が生み出されているというのである。本稿では、この学力の二極化現象において、学力が低下していない子どもたちの層に注目した。今日では塾に通うこと(通塾)が、学力を保障するうえで大きな影響力をもつことは先行研究より明らかであるが、塾に通う子どもたちの意識に注目した場合、時代の変化につれてその実態も大きく変化していたのである。インタビュー調査の結果、塾に通う子どもたちのなかには「塾がつらい」と感じている傾向もみられたが、それでも驚くほど長期に渡って通塾を続けるのが一般的であることが指摘された。その背景には、塾に通わない、いわゆる「勉強のできない子」たちとは明確に区別されたいという考えがはたらいているからであった。また、これまで塾がもち合わせていた「補習」型の機能が、学力低位の子どもたちから、学力上位群のなかにいる下位層(文中では「偽装エリート」群と表記)へと対象を変えており、塾の機能そのものにも変化がみられ始めていることも考察された。通塾する子どもたちの層の変化は、親がわが子を強制的に通塾させることが少なくなったことと無関係ではなく、親のなかにも子どもたちと同様に、教育に対する価値の二極化傾向が進行していると考えられる。
著者
吉兼 亨 西村 隆司
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンストラクション (ISSN:09153470)
巻号頁・発行日
no.282, pp.54-57, 2001-06-22

構造物の耐久性を低下させると指摘されながら,生コンクリートに余分な水を加える「加水」がなくならない。その実態を初めて調査したところ,「土木でも加水の要求が多いのは意外だった」。しかも,都市部では100%の生コン工場が加水を求められた経験があり,要求を断るのはわずか数パーセント。
著者
今城 尚久
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.63, no.8, pp.824-829, 1994-08-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
10

電気は,明かり,熱,動力そして情報,通信など私たちの暮らしになくてはならないエネルギーとなっており,今後もその使用量は着実に増えていくものと考えられている.このために,電力の発生,輸送および使用の各分野で効率の向上が求められている.これまで需要の増大に対応することを目的に種々の損失低減技術が開発されてきた.まず始めに,先人の開発した三相交流送電方式が,帰路導体を省略したことで資源とその抵抗損の節約という基本的な損失低減であることに気づく.そして送電損失の低減は抵抗損の低減という目的のために超高圧および超々高圧送電が開発されてきたこと,また都市部で必要な高電圧ケーブルでは誘電体損の低減も重要なことを示す.
著者
矢野 創 川口 淳一郎 安部 正真
出版者
宇宙科学研究所
雑誌
宇宙科学シンポジウム
巻号頁・発行日
vol.1, pp.153-160, 2001-01-11
被引用文献数
1
著者
國中 均 西山 和孝 清水 幸夫 都木 恭一郎 川口 淳一郎 上杉 邦憲
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会論文集 = Journal of the Japan Society for Aeronautical and Space Sciences (ISSN:13446460)
巻号頁・発行日
vol.52, no.602, pp.129-134, 2004-03-05
被引用文献数
4 6

The microwave discharge ion engine generates plasmas of the main ion source as well as the neutralizer using 4GHz microwave without discharge electrodes and hollow cathodes, so that long life and durability against oxygen and air are expected. MUSES-C "HAYABUSA" spacecraft installing four microwave discharge ion engines was launched into deep space by M-V rocket on May 9, 2003. After vacuum exposure and several runs of baking for reduction of residual gas the ion engine system established the continuous acceleration of the spacecraft toward an asteroid. The Doppler shift measurement of the communication microwave revealed the performance of ion engines, which is 8mN thrust force for a single unit with 3,200sec specific impulse at 23mN/kW thrust power ratio. At the beginning of December 2003 the accumulated operational time exceeded 7,000 hours and units.
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンピュ-タ (ISSN:02854619)
巻号頁・発行日
no.774, pp.90-92, 2011-01-20

宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小惑星探査機「はやぶさ」が地球に帰還を果たしてから7カ月。小惑星イトカワの岩石サンプルを採取するために使う予定だった弾丸を発射できないトラブルの原因が判明した。制御プログラムが参照するパラメータ設定を誤った。
著者
川口 淳一郎
出版者
日経サイエンス
雑誌
日経サイエンス (ISSN:0917009X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.9, pp.28-39, 2010-09
被引用文献数
1

探査機「はやぶさ」が2010年6月13日,60億kmの旅の末,流星となって帰還した。2003年5月に地球を出発,2年4カ月の惑星間航行の末に小惑星「イトカワ」に到達し,サンプル採集を行ったが,直後に姿勢制御用エンジンが全損して通信途絶。
著者
森拓真 宇田隆哉 菊池眞之
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2011論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.1518-1525, 2011-06-30

近年,ボットプログラムよるWEBサービスのアカウントが自動で大量取得され悪用されることが大きな問題となっている.これを防ぐ手法としてCAPTCHAを導入するのが一般的となっている.CAPTCHAとは,人間と機械を判別するための認証テストである.現在で最も多く利用されている方式は,文字列CAPTCHAであるが,OCR技術の進歩により高い確率で解析されてしまうことがわかっている.また,文字に歪みを加えて読みにくくしたCAPTCHAも提案されているが,ユーザより機械の正解率のほうが高いというジレンマを生み出している.これに対し,本稿では,人間の視覚補完能力であるアモーダル補完を動画に応用することで,人間のみ正解できる実用的なCAPTCHAを提案する.

1 0 0 0 OA 寺社書上

出版者
巻号頁・発行日
vol.[38] 市谷寺社書上 三止,
著者
森本 泰夫
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.268, 2001-12-20 (Released:2009-01-08)
著者
横田 正幸 小滝 益三 小枝 武美 佐藤 喜一 秋吉 正豊
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.29, no.9, pp.841-849, 1976

複合トローチ明治は, 硫酸ララジオマイシン (以下FRM) および塩酸グラミシジンS (以下GRMN) を主剤としたトローチ剤で, 両者の相加作用によつてグラム陰性菌, 陽性菌を含む広範囲の病原菌に対し抗菌作用を示し, 口腔・咽喉頭および上気道粘膜感染症に対する有効性が報告されている1~11)。<BR>FRMは, Fig.1に示した構造式をちつアミノ配糖体系抗生物質であるが, 従来からアミノ配糖体系抗生物質はいずれも程度の差はあるものの聴覚器障害をもつことが報告されている12~49)。これらの点から, 今回, 著者等は, 雄性モルモットを用い, FRMとGRMN混合末を経口 (p.o.) 投与し, 聴覚器への影響について耳介反射域値の変動および蝸牛の病理組織学的検索によつて検討した。さらに, 投与経路による差についても検討するため, FRMを皮下 (s.c.) 投与した。その結果, いくつかの知見を得たので, 以下報告する。
著者
徳田 安章
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, 1960

著者等はさきに「表在性膿皮症の抗生物質軟膏療法の基礎的研究」として,現在市販に供されている凡てを含む13種類の抗生物質の各種軟膏について種々の観点から検討を施した.抗生物質軟膏療法を論ずるにあたり,著者等は次のごとき諸問題を解決しなければならないと思惟するものである.即ち1)当該抗生物質のin vitroの抗菌力 2)原因菌の感受性 3)軟膏貼用局所皮膚の抗生物質濃度 4)軟膏中抗生物質の力價の持続性 5)軟膏からの抗生物質の遊離度 6)軟膏中の抗生物質の協力作用 7)抗生物質軟膏の肉芽形成に対する影響 8)刺戟又は感作による接触性皮膚炎等アレルギーの発生頻度等である.かくてその大部分の抗生物質軟膏については以上の諸條件を詳細に檢討し,その結果はすでに報告したが,國産のGramicidin-J(GRMN-Jと略称する)のみは水に極めて難溶性であり,且つcyclic hexapeptideの高分子構造をなすため定量が困難となり,経皮滲透量を測定し得る定量法を当時は見出し得なかつたので併せ論ずることが出来なかつた.今囘,著者はその補遺としてGRMN-Jの定量法並びに種々の軟膏基剤に配合した時のGRMN-Jの経皮滲透量を測定し若干の知見を得たので報告する.