著者
川名 はつ子 菊地 潤 中村 泉
出版者
日本保健福祉学会
雑誌
日本保健福祉学会誌 (ISSN:13408194)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.31-40, 2000

出生前診断について、大学生を含む20歳以上の一般市民1,130人を対象にアンケート調査を行った。596人(52.7%)から出生前診断という言葉の認知・理解度や出生前診断をめぐる生命倫理についての回答を得た。それを性・年齢(20代、30代、40代以上)、既婚・未婚、子の有無別に検討した。結果は以下の通りである。(1)6割以上の人が出生前診断という言葉を知っていたが、理解度は曖昧だった。(2)男性より女性、若者より年長者、未婚者より既婚者、子無しより子有りの人が出生前診断について関心が深かった。(3)多数の女性が、出生前診断を受けるか否かは自分で決めるが、胎児に異常があると告げられた場合は、誰かに相談すると答えている。(4)男性は、出生前診断を受けるか否かや、異常が指摘された場合どうするかは、概ね相手の女性の意向次第と答えている。(5)若い独身女性は、あまり知識がないのに出生前診断に受容的である。(6)しかし全体では出生前診断について、よく知っている人の方が受容的という結果も出ている。(7)情報はテレビ、新聞などのマスコミから得ることが多いが、今後この問題の当事者となる20代の独身女性では、新関から情報を得ている人は少ない。
著者
東本 靖史 岸 邦宏 劉 志鋼 佐藤 馨一
出版者
日本地域学会
雑誌
地域学研究 (ISSN:02876256)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.575-587, 2006
被引用文献数
1

Conventional traffic policies including TDM have attempted to switch commuters' transportation mode from the motorcar to public transportation mainly focusing on their outgoing trips. However, when commuters choose transportation modes for accessing the destinations, they consider not only the traffic service hours for their outgoing trips but also conditions for the return trips. The departure time of the final transport service and the number of bus services for evening hours are supposed to specially influence them to determine the transportation mode for their return trips. Suppose a case that although a person really wants to go to his office by bus, he cannot help commuting by car because the departure time of the last bus service for his return trip is too early for him.<br>To promote TDM policies to minimize motorcar traffic, transport planning considering commuters' convenience in their homeward trips is necessary.<br>The number of public bus users is being decreased year by year due to motorization development, which has seriously aggravated public bus earnings, meanwhile improvement of the level of public transport service is being demanded. Further the regulation of supply-demand adjustment of public bus services in Japan was abolished in 2002, and it realized free entry to bus service business and bus operators' discretional abolishment of bus lines.<br>The residents have been concerned if the bus deregulation might result in deterioration of the service quality level, specifically in discontinuance of unprofitable lines and a decrease in the no. of bus services. However, bus service businesses should be managed considering not only profitability but local needs as well.<br>Factors that are predominantly influential on users' evaluations on bus service quality are the service schedule, no. of services, and operation routes. Efficient bus service operation planning that takes into consideration local needs for these factors is indispensable toward the future.<br>This study focused on commuters' return trips whose details have not been fully identified, and through commuter's attitude surveys investigated co-relations between bus service availability improvement for commuters' return trips and their selection of transportation modes. Further, this study analyzed users' evaluations on bus service quality by the improved window method that applies DEA to identify efficiency values of the bus services by district and bus operation schedule for return trips.<br><br>JFL classification: C0, H0
著者
山本 淳 橋本 清澄 畑中 久勝 金田 吉男 大路 正雄 日笠 譲
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.T5-T9, 1979-02-05
被引用文献数
1

銅化カドミウムカラム還元法を用いて,水道水及び原水中の硝酸塩の日常分析を行うには,まず還元操作の迅速化が要求される.エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA,0.08%)及び塩酸(試薬特級の0.125mlを水でうすめて1lとしたもの)を含む溶液50mlで1日1回活性化すれば,繰り返し5回の試行で(96〜110)%の還元効率が得られた.この条件での硝酸態窒素(以後NO_3-Nと略記)の4及び20μgの添加回収率は(88〜105)%と良好であり,又定量精度のよいサリチル酸ナトリウム法に匹敵する精度を示した.この改良で,10本のカラムを用いると,1日50件の検査が可能となった.一方,カドミウム及び銅のみを含む実験排水の処理は,硫酸第一鉄七水和物30g/l1を用いて鉄共沈法でよい結果を得た.EDTA-重金属キレート含有排水処理には,硫化ナトリウム法及び過マンガン酸カリウム酸化-鉄共沈法を工夫して適用してみたところ,後者はより簡便であるうえ,カドミウム,銅,マンガン及び鉄の残存濃度が排水基準をはるかに下回る濃度にまで処理できた.
著者
三田村 純 藤田 素弘 鈴木 弘司 鏡味 志津枝
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.997-1007, 2008
被引用文献数
1

本研究では、名古屋市域へ公共交通機関を利用して通勤する市民が多く、2000年の東海豪雨で被害の大きかった東海市・大府市を対象として、当日の豪雨下の帰宅行動を、徒歩・公共交通機関利用者を中心にアンケート調査を実施し、このデータに基づいて帰宅状況を分析した。本研究の結果から、徒歩・公共交通機関利用者の多くが、鉄道等の運休に伴う宿泊地の変更や徒歩での帰宅を余儀なくされ、困難な帰宅行動を経験したことが明らかになった。また、困難な帰宅行動を経験した人ほど、集中豪雨に対する心掛けや情報提供サービスに対する関心が高いことが分かった。将来豪雨時に自宅へ帰るか、帰らず他に宿泊するかの、徒歩公共交通・帰宅行動選択モデルを構築したところ、本研究においては、移動距離、地下鉄乗車時間、集中豪雨の重要情報入手タイミングなどの変数が無理な帰宅をしない変数として重要であることが分かった。これらの徒歩公共交通利用者の帰宅行動特性を周知した上で、適格な情報を帰宅時間帯よりも早く流すことができれば、減災対策として有効であろうと思われる。
出版者
巻号頁・発行日
vol.[1],
著者
澤田 あずさ 明野 聖子 吉森 友香 工藤 禎子 サワダ アズサ アケノ セイコ ヨシモリ ユウカ クドウ ヨシコ Azusa SAWADA Seiko AKENO Yuuka YOSHIMORI Yoshiko KUDO
雑誌
北海道医療大学看護福祉学部学会誌 = Journal of School of Nursing and Social Services, Health Sciences University of Hokkaido
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.13-21, 2009-03-31

母親の肯定的な感情を支持する支援のための基礎資料を得ることをねらいに,1歳6ヵ月児の父親の労働時間・育児参加時間からみた母親の育児幸福感を明らかにすることを目的とした.対象は1歳6ヵ月児健診を受診した母親である.健診時に,説明と同意のうえ,母親の育児幸福感(清水ら,2006)と父親の労働時間・育児参加時間に関するアンケートを配布し,郵送法で回収した.全122人に配布し,59件の有効回答を得た.分析は単純集計の後,両親・子ども・父親の労働時間などの各変数ごとに母親の育児幸福感尺度の平均点を算出した.その結果,父親の帰宅時間は20~21時が42.4%であった.父親の過の労働時間は平均59.2±15.0時間であり,50時間以下が33.9%であった.父親の育児参加時間は,平日は1~2時間が40.7%と多く,ほとんどなしが全体の4分の1を占め,休日は半日ぐらいが55.9%と多かった.父親に子どもを任せて母親が外出できる時間は,ほとんどなしが54.2%であった.両親・子ども・家族の特性別及び父親の労働時間・帰宅時間・育児参加時間別にみた母親の育児幸福感得点に有意な差はみられなかった.父親に任せて母親が1人で外出できる時間において,「ほとんどなし」または「半日以上」の場合に母親の育児幸福感は高く,「1~2時間」の場合に育児幸福感は低く,有意な差がみられた.The present study was conducted in order to clarify correlations between child care happiness of mothers whose children was 1 year and 6 months old and fathers' working and child care hours. Questionnaires were handed to 122 mothers who came to health check at the health center of A city. Analysis was performed on valid responses obtained from 59 individuals. From the analysis of correlations between child care happiness of mothers and fathers' working and child care hours, the following results were obtained. Forty two percent of fathers return to home at 20 ~ 21 o'clock. Mean of working hours of fathers were 59.2±15.0. Forty percent of fathers spend on 1~2 hours for child care on weekday, and 55.9% spend with children on half of day on weekend. There were no correlations between characteristic of parents, working and child care hours of fathers and child care happiness of mothers. Child care happiness of Mothers who could not go out and who could go out among half of day were higher than who could go out about 1~2 hours.
著者
重川 純子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.56, pp.94, 2004

目的:有配偶女性の就労形態としてパート就労の割合が高いが、高度な技術や知識を必要とする職種に就労し高い収入を得る者も増加しつつある。自分自身の貨幣を持つことはパワーを獲得することになる。夫妻間の相対的な稼得力の変化は夫妻の関係を変化させるかもしれない。本研究では、まだ日本においては少数派である夫と同等あるいは夫以上に収入を得ている妻の属性、及びそのことが夫妻関係に及ぼす影響について検討を行う。<br> 方法:首都圏の核家族世帯対象に調査を実施した(財)家計経済研究所「核家族調査」(1999年)の妻回答と夫回答を用いた。調査前年1年間の収入により妻と夫の収入の関係を類型化(夫妻対等世帯、夫の方が収入階層が高い世帯、専業主婦世帯)し、家計の実態と意識、夫妻関係等について比較を行った。<br> 結果 :夫妻対等世帯の特徴は以下の通り:就業形態は、妻は公務員割合、管理・専門職割合、夫は相対的に公務員割合が高い。稼得役割、家事・育児役割について性別役割規範が相対的に弱い。家計管理の実態、収入帰属の意識面それぞれで個別化傾向がみられる。<br> 夫妻対等世帯の夫は比較的帰宅時間が早く、家事育児の実施頻度も相対的に多い。情緒面でも、夫妻対等世帯の妻は夫からサポートがあると感じ、夫も妻をサポートしていると思っている。妻の就業に対し、夫妻ともに肯定的な評価が多い。妻が夫とほぼ同等に稼得することは夫妻関係に緊張よりも、実態面、情緒面で協力関係をもたらしている。<br> 対等な夫妻共稼ぎが増加する中、個々人のレベルでは固定的な性別役割意識からの脱却、社会的には夫妻が協力的な関係を築ける働き方を保障する必要性が高まると考えられる。
著者
藤野 敦子
出版者
日本人口学会
雑誌
人口学研究 (ISSN:03868311)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.19-35, 2002

わが国の少子化の主たる要因として,女性の仕事と育児の両立の困難さが挙げられるが,その背景にわが国の社会システムが依然,性別役割分業を基盤として成り立っていることが指摘できる。また,このようにジェンダー構造が固定されている中で女性達の価値観が大きく変化してきたために出産回避の傾向を生じていると考えられる。そこで,本稿の問題意識は二つある。まず,第一に家計内において夫が家事に協力的である場合や家事育児が可能な働き方をしている場合に,出生行動や妻の就業行動にプラスの効果があるのか,あるいは妻の育児と仕事の両立を可能にするのかということである。次に女性の価値観の変化,すなれち,伝統的な家族観の弱体化,個人主義的な傾向,性別平等意識の浸透が家計の出生行動と既婚女性の就業行動にどのような影響を与えているのかということである。本稿では,民間調査機関が実施した「夫婦の生活意識に関する調査(1994)」による個票データを用いて,(1)出生数関数,(2)妻の就業選択関数,(3)出産育児選択と妻の就業選択の同時推定といった3つの推計モデルにより実証分析を行った。本稿の分析から得られた最も重要な知見は,まず,既婚女性が出産育児と正規就業のトレードオフの中に置かれていること,しかし,夫の帰宅時間が早い場合にはその両立を支援する可能性があるということである。また,性別平等意識を持った女性は正規就業を選択すると同時に出産育児を回避する傾向が見られることである。本稿の分析は,今後,少子化対策が社会全体の性別役割分業の見直しを基本に据え,進められなければならないことを示唆している。
著者
坪井 洋人 飯塚 麻菜 浅島 弘充 住田 孝之
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 = Japanese journal of clinical immunology (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.77-85, 2013-04-28
参考文献数
23
被引用文献数
4

&nbsp;&nbsp;シェーグレン症候群(SS)は唾液腺炎・涙腺炎を主体とし,様々な自己抗体の出現がみられる自己免疫疾患である.SSでは,種々の自己抗体が検出されるが,SSに特異的な病因抗体はいまだ同定されていない.外分泌腺に発現し,腺分泌に重要な役割を果たすM3ムスカリン作働性アセチルコリン受容体(M3R)に対する自己抗体(抗M3R抗体)は,SSにおいて病因となる自己抗体の有力な候補であると考えられ,近年注目されている.我々のグループの研究で,M3Rのすべての細胞外領域(N末端領域,第1,第2,第3細胞外ループ)に対して,抗M3R抗体の抗体価および陽性率は健常人と比較してSS患者で有意に高値であった.またSS患者において,抗M3R抗体はM3Rの細胞外領域に複数のエピトープを有することが明らかとなった.さらにヒト唾液腺(HSG)上皮細胞株を用いて,塩酸セビメリン刺激後の細胞内Ca濃度上昇に対する抗M3R抗体の影響を解析した.抗M3R抗体の細胞内Ca濃度上昇に対する影響は,抗M3R抗体のエピトープにより異なる可能性が示唆された.興味深いことに,M3R第2細胞外ループに対する抗M3R抗体陽性SS患者のIgGと,我々が作成したM3R第2細胞外ループに対するモノクローナル抗体は,ともにHSG細胞内Ca濃度上昇を抑制した.M3R第2細胞外ループに対する抗M3R抗体は,唾液分泌低下に関与する可能性が示唆された.<br> &nbsp;&nbsp;以上の結果より,抗M3R抗体は複数のエピトープを有し,唾液分泌への影響はエピトープにより異なる可能性が示された.抗M3R抗体はSSにおける病因抗体としての可能性のほか,診断マーカーや治療ターゲットとなる可能性も期待される.<br>
著者
小伊藤 亜希子 岩崎 くみ子 塚田 由佳里
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.783-790, 2005

The purpose of this study is to clarify how children's daily life is affected by parent's late return home. A questionnaire survey was made on children going to six nursery schools in the central area of Osaka City that offer an overtime day care program. The parent's tendency of delay in arriving home significantly influences their children's home life. 1) This tendency delays both dinnertime and bedtime. 2) This also shortens home life. In other words, the time of communication between parents and children as well as the frequency of their physical contact are bound to decrease. 3) Children would eat snacks before their late dinnertime, the fact of which would deprive them of enough appetite at dinnertime. 4) The late bedtime would lead to lack of sleep, or to difficulty to get up in the morning and to eat breakfast.

1 0 0 0 OA 滋野井家記録

出版者
巻号頁・発行日
vol.[36],
著者
青野 太潮 アオノ タシオ Tashio AONO
出版者
西南学院大学学術研究所
雑誌
神学論集 (ISSN:03874109)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.1-35, 2008-03

昨年度(二〇〇六年度)後期には、私は講義・ゼミ、そしてさまざまの大学内の職務から解放される国内研究を与えられましたので、私のいない教授会で決まりましたこの二〇〇七年度の開講講演の担当は、当然の義務として受けさせていただきました。そして、二〇〇七年三月にもたれました昨年度の「卒業生のための神学シンポジウム」では、私の「十字架の神学」に対する天野有教授および片山寛教授の批判が展開され、それに対して私が応答することを求められましたので、そのようにいたしましたが、議論が十分になされたとは言い難いように思われますので、そこでテーマとなりました「贖いの思想」、それは多くの場合「贖罪論」と同一のものとして扱われるのですが、それとの関連における「十字架の神学」について、この開講講演でさらに展開してみたいと思った次第です。
著者
土屋 千恵 郷道 順子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.262, 2007

〈緒言〉核家族化、少子化が進む現代社会において、父親の育児参加の必要性が論じられている。国単位での調査、報告が進む中、高度経済成長時代の親役割分業制から、父親も育児参加はしているもののまだまだ母親の負担が大きい。当院でも妊娠中、分娩、産後と父親への関わりを持っているが、母親と比べ、児の誕生と共に親としての役割を果たしていくのは難しいと感じた。そこで、妊娠後期に父親、母親となる為に、何を考え、どう行動しているのか現状を知り、私たち産科スタッフがどう関われば親を育む一助となれるのか検討したのでここに報告する。<BR>〈対象及び方法〉当院産婦人科に通う妊娠30週以降の妊婦とその夫41組(帰省分娩を除く)にアンケートを配布、回収した。分析では先行研究と研究者が育児参加に影響を及ぼすと考えた「子どもの数」、「夫自身の父親の育児協力」を因子として、質問したそれぞれの項目とχ2検定、一元配置分散分析を行った。<BR>〈結果〉本研究において育児参加に影響を及ぼすと考えた因子、子どもの数、夫自身の父親の育児協力についてのそれぞれの項目とχ<SUP>2</SUP>検定(p<0.05)を行ったが、帰宅時間以外での関係性はみられなかった。また、子どもがうまれたらどのような育児協力をしようと思っているかの項目と家族構成、夫自身の父親の育児協力、赤ちゃんの面倒をみた事があるかどうかの因子で一元配置分散分析を行ったが、こちらも関係性はみられなかった。<BR> 対象者は核家族が7割を占め、すでに子どもを有している夫婦が半数であった。子どもがおらず、赤ちゃんの面倒をみた事がある夫は約20%だった。夫自身の父親が育児に協力的だと思っていた夫は48%いた。妻の妊娠を肯定的に受け止め、胎児の成長を喜び、妊娠に関して肯定的な感情が多かったが、母親学級や助産師外来の夫の参加は2割に満たなかった。育児参加について、赤ちゃんが生まれたら「おむつ交換」「沐浴」「抱っこ、あやす」など高い割合で手伝おう、手伝いたいと思っていることがわかった。妻に夫に希望する育児行動を質問したところ、ほぼ同じ項目であった。育児行動に優先順位をつけてもらうと夫は「おむつ交換」などの直接的な育児行動が順位として高く、妻は直接的な育児行動のほかに「精神的なねぎらい」の順位が高かった。<BR>〈考察〉赤ちゃんの接触体験や自分自身の父親の育児協力、夫婦が有している子どもの数が育児参加に影響を及ぼすという結果は得られなかった。アンケートの結果から多くの夫は妊娠、胎児に関心を持ち、肯定的な感情を抱いており、育児に参加しようという気持ちも持っている。その気持ちが実際の育児行動につながるように、妊娠中から多くの夫が母親学級や助産師外来に参加できるような取り組みが必要と感じた。また、妻は夫が考えている以上に精神的なねぎらいを求めており、直接的な育児行動だけではない、共に親として子を育て、共に助け、支えあう存在としての夫を求めていると考えられる。