著者
狂言亭 作
巻号頁・発行日
vol.五, 1800
著者
森田 明夫 村井 保夫 木村 俊運
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.10, pp.812-819, 2014 (Released:2014-10-25)
参考文献数
9
被引用文献数
2

Occipital transtentorial approach (OTA) は, 中脳背側, 松果体, 小脳上面の腫瘍等の病変にアクセスする基本的アプローチの一種である. 本稿では本アプローチの基本についてまとめる. OTAは視野が広く, 特に下方へ伸展する病変への対応に優れている. 一方で術後短期間または永続的な視野障害をきたすことがある. これを回避するためには, まず静脈損傷を避けるアプローチ側を選択する. そのうえで髄液圧を減らし, 後頭葉を広く剝離し, 脳表を十分保護しつつ愛護的に後頭葉を圧排しテント面に至る. 手術中視覚誘発電位モニターなどが有用である. その他中脳背側への障害, 静脈損傷などは重度な障害をきたし得るので要注意である. 術前の画像評価を徹底して行い, 適切な解剖学的知識, 手技によって安全な手術を心がけることが重要である.
著者
松浦 伸郎 加藤 栄司 小松 良治 山本 正士
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.18, no.6, pp.470-476, 1986-11-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
17
被引用文献数
1

細菌性髄膜炎は無菌性髄膜炎と比べ, 髄液の乳酸脱水素酵素 (CSF-LDH) 活性が上昇し, 髄液glutamic oxaloacetate transaminase (CSF-GOT) 活性も上昇する.著者らはCSF-LDH, CSF-GOTがともに細菌性髄膜炎の鑑別診断に役立つこと, また起炎菌を確認した細菌性髄膜炎の髄液中のラテックス凝集法によるC反応性蛋白 (CSF-CRP) が細菌性髄膜炎の診断に有用であることを述べた.
著者
相原 道子 相原 雄幸 池澤 善郎
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.115, no.2, pp.135-143, 2005-02-20 (Released:2014-12-10)

Stevens-Johnson症候群(SJS)の本邦報告例を小児例と成人例に分けて集計し,検討した.1981年から2004年2月までに報告された症例のうち小児123例(11カ月~15歳,男女比1:0.6),成人208例(16歳~79歳,男女比1:1.5)を調査対象とした.SJSの原因と考えられたものは,小児では薬剤が48.8%,感染症が39.8%,成人では薬剤が76.9%,感染症が12.5%であり,小児で感染症の比率が高かった.小児,成人ともに原因薬剤は抗けいれん薬が,感染症はマイコプラズマ感染が最も多く,小児ではマイコプラズマ感染がSJS全体の原因の27.6%を占め,成人の5.7%より多かった.臓器障害は小児,成人とも肝障害,呼吸器障害が多くその頻度に差はみられなかった.遷延化した病変は小児,成人ともに眼病変(小児13.8%,成人12.0%),呼吸器障害(小児5.7%,成人5.3%)の順に多く,小児に特徴的なものとしては歯牙の形成障害がみられた.死亡率は小児0.8%,成人8.2%であり,マイコプラズマ感染によるSJSで中毒性表皮壊死症(TEN)に移行した症例はみられなかった.治療はステロイド剤の全身投与が83.9%に行われ,有効であった.以上より,小児のSJSは成人SJSよりマイコプラズマ感染症が原因となることが多く,臓器障害や遷延化病変の発症率は成人と比較して低くはないが,死亡率は低いことが明らかとなった.
著者
深山 篤 大野 健彦 武川 直樹 澤木 美奈子 萩田 紀博
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.12, pp.3596-3606, 2002-12-15

本論文では,ユーザに伝わる印象を操作するための,擬人化エージェントの視線制御方法を提案する.人の視線と印象に関する従来研究をもとに印象伝達に関連する3種類の視線パラメータを選び,その値に従ってエージェントの視線を出力する視線移動モデルを構築した.これを実際にエージェントに組み込んで主観評価実験を行った結果から,本視線制御方法を用いることによってエージェントの視線のみからユーザが受ける印象を操作できることを示す.
著者
松本 雅行
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.22, no.8, pp.664-671, 2000-11-25
被引用文献数
3

首都圏の高密度線区である山手・京浜東北線の保安装置として, 1982年に導入されたATC(自動列車制御装置)の老朽取り替えに際し, 従来のATCと抜本的に異なるデジタル信号を用いた新しい列車制御システムを開発した.本システムは, 現行のATCが持つ課題であった輸送密度の向上, 車両性能向上への追随, 運転操縦性の改善, 地上設備のコストダウンなどを実現したシステムである.さらに, システム境界箇所における切換やシステム使用開始時などにいくつかのアシュアランス技術を用いて, 施工数の軽減, システム改修の極小化、コストダウンなどを図っている.本稿では, 新しい列車制御システムにおけるアシュアランス技術を紹介する.
著者
明兪安期彙纂
巻号頁・発行日
vol.[33], 1618
著者
蔡 梅花
出版者
埼玉大学大学院文化科学研究科
雑誌
日本アジア研究 : 埼玉大学大学院文化科学研究科博士後期課程紀要 = Journal of Japanese & Asian Studies (ISSN:13490028)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.183-199, 2014

本稿では,形容詞的用法にもアスペクト的用法にもなれる動詞を対象に,「変化の結果継続」の意味に注目し,これらの動詞が共通して持っている特徴を探ることを目的とする。対象にした動詞を「非典型的な形容詞的動詞」と名付け,〈主体動作・客体変化動詞〉〈主体変化動詞〉〈主体動作動詞〉に分類した。それから,〈主体動作・客体変化動詞〉の考察を通して立てられた「形容詞的用法になりうる動詞は,主体もしくは客体に結果を残す動詞でなければならない」という仮説が,〈主体変化動詞〉と〈主体動作動詞〉にも当てはまるのかを検証した。結果,次のようなことが明らかになった。1. 〈主体動作・客体変化動詞〉と〈主体変化動詞〉は形容詞的用法になりやすい。これは,主体の変化であれ客体の変化であれ,変化を含意する動詞は,「変化の結果継続」という〈2次的状態〉を表すことができることから,形容詞的用法になりやすいと考えられる。2. 〈主体動作動詞〉は形容詞的用法になりにくいが,「押す」のような結果が主体に認識されやすい形で残る動詞は形容詞的用法になりうる。3. 「非典型的な形容詞的動詞」の形容詞的用法は「タ」形と「テイル」形両形式が使われる。同じ事態を2つの異なる形式で表すことは,主体が客観的事態のどの部分を焦点化して捉えているかという認識が関わってくると考えられる。Several Japanese verbs have both adjectival and aspectual uses. The purpose of the present paper is to identify some properties shared by these verbs, focusing on their remaining results of change. I named these verbs atypical adjectival verbs, and classified them into three types: (I) verbs of subject's action and change in object, (II) verbs of change in subject, and (III) verbs of subject's action. I observed I-verbs, and made a hypothesis on them that each II-verb having an adjectival use must be the one leaving some effect of the action it denotes on its subject or its object. Then I verified my hypothesis by applying it to I- and II-verbs. The result I achieved is the following:1. I- and II-verbs are allowed to be used as adjectives. This is due to the fact that each verb implying “change” is able to express a secondary “state” as the remaining result of change, whether it is effected on its subject or object.2. III-verbs are not readily allowed to be used as adjectives. It should, however, be noticed that verbs such as “osu” (push), the result of whose action remains as recognizable to its subject are allowed as adjectives.3. The adjectival uses of the atypical adjectival verbs are allowed both in ta- and teiru-forms. These two different forms are supposed to depend on which part between subject and object is to be brought in focus.
著者
菅野 正
出版者
奈良大学史学会
雑誌
奈良史学 (ISSN:02894874)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.76-100, 1996-12

一九〇五年(清国光緒三十一年、乙巳年、明治三十八年)中国は転換の年を迎えた。八月、革命派は、東京において、中国同盟会を結成し、革命運動は新たな段階を迎え、革命は政治日程にのぼってきた。九月、千有飴年継続されてきた科挙が廃止され、官僚体制は変化した。若い知識層は、新しい学問を求めて日本に留学し、その数もこの年八千人にも増加してきた。留学生が革命運動を始めるに及んで、日本政府は清朝政府の要請を入れ、十一月、所謂「清国留学生取締規則」を公布して、その政治活動を取締らんとし、留学生は猛烈に反揆して、陣天華は東京大森海岸に入水自殺して抗議の意を示し、留学生も続々「綴学帰国」して日本批判を始めていた。一方、米国がその労働市場を守るべく、中国人労働者を排除しようとしたことから、初夏より米貨排斥運動が中国各地で組織された。さらに、満州を中心に展開された日露戦争に、日本が勝利して、八月ポーツマス講和会議が開かれ、条約が締結された。満州を清国に還付し、露国が満州において所持していた利権を継承すべく、日清両国間に交渉がもたれ、同年十二月二十二日、北京において、「満州還付に関する条約及び附属協定」が締結された。ところが、この九月のポーツマス条約締結より十二月の日清協定締結に至るまでの十月、十一月に、日本が、満州還付の代償に、福建割譲要求をしたとの風説が伝えられたことから、これに反対して、日本商品排斥・大阪商船排斥・工場、学校採用の日本人技師、教員の解雇を呼びかける民族運動がおこりかけた。これが即ち、「割閲換遼」反対運動である。この割閏換遼をめぐる民族運動については、以前これをとりあげて検討したことがあるが、今、ここでは、前稿より後、知り得たことより、湖南での運動状況、その中心人物禺之護について、および風説の出所由来等の表題に係る関係資料等を紹介してみようとするのが本稿の目的である。
著者
細井 宏朗
出版者
Japan Pharmaceutical Library Association
雑誌
薬学図書館 (ISSN:03862062)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.277-282, 2007

急速に変化し続けた学術文献の世界において, 特に医療分野を含めたSTM(S: Science, T: Technology, M: Medical)の分野においては, 供給から利用者への浸透も含め電子化がほぼ終了したと思える今日において, プラットフォームがいくつも同時に存在する環境になり, 利用者はおろかサービスを提供する図書館にとっても新たな問題に直面しているというのが現実ではないだろうか。利用者により使いやすい環境を作るという目的からも, プラットフォームの提供から, 複数のプラットフォームを統合して検索するツールや相互にリンクするといったプラットフォーム問を効果的に結びつけるツールの導入は, 図書館のトッププライオリティとなっているのが現実だろう。しかし, 電子化による複数のプラットフォームが存在する状態は何も利用者ばかりでなく, 図書館にとっても大きな課題となっている。そのプラットフォームの導入効果を推し量る利用統計の取得については, 導入したプラットフォームの数が多ければ多いほど図書館の負担が大きくなっているといえるのではないだろうか。今回紹介するScholarlyStats(スカラリー・スタッツ)は, これらプラットフォームのUsage Statistics Portal(利用統計を自動的に集約するオンラインツール)である。つまり, 図書館の負担を軽減することを目的に2006年発表および開始された図書館のためのユニークで画期的なツールである。発表と共にたちまち世界の話題となり, "The International Information Industry Awards"において, 世界の図書館界にその年の最も影響を与えた製品に贈られる2006年度"Best Library Product"賞を受賞した。
著者
渡辺 恒夫
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.35-36, 2012

近代科学では「科学性=客観性」であるが、客観性の要件である公共性・再現可能性ある観測とは、「誰でもよい誰かによる」観測に他ならない。誰でもよい誰かによる観測データで造られた科学的世界の中の人間とは、「誰でもよい誰か」であって、この私でもなければ、あなたでもない。故に「自己」と「他者」は、科学的宇宙像の中での変則事象として、しばしば驚愕を以って体験されざるを得ない。本講演では、著名な科学者らに見るそのような驚愕体験を分析し、意識の超難問として定義し、その解決のために、独我論的な自己-他者構造を世界の基本単位として世界像を構成し直すという、反コペルニクス的転回の道を唱える。
著者
(清) 陳淏子 撰
巻号頁・発行日
vol.[1], 1688
著者
大野 英昭 新浪 博士
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.384-389, 2017-04-15 (Released:2018-04-17)
参考文献数
24

症例は55歳の男性で,間歇性跛行を主訴に入院.既往症に糖尿病,脳梗塞.糖尿病性腎症で透析導入となった.ヘパリンによる皮疹の既往があり,アルガトロバンによる抗凝固療法下に,下肢動脈の経皮的血管形成術および経皮的冠動脈インターべンション(PCI)を施行した.PCIの再評価でステント内再狭窄を含む冠動脈3枝病変を認め,当科に紹介された.術中の抗凝固療法は,圧モニターラインにメシル酸ナファモスタットを使用し,グラフト血栓予防目的でアルガトロバンを持続投与し,活性化凝固時間を250秒以上で管理した.心拍動下に左内胸動脈を前下行枝に,静脈グラフトを後側壁枝および鈍縁枝にバイパスした.静脈グラフトの中枢側吻合に血管縫合補助具(ハートストリング®)を用いた.静脈グラフトの中枢側吻合後,フローメーターで順行性の血流に乏しくグラフト内の血栓形成が疑われた.静脈グラフトを切開し,ひも状の赤色血栓を除去した.手術直後から抗凝固療法を行い,CTでグラフトの開存を確認した.
著者
竹村 誠洋
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本トキシコロジー学会学術年会
巻号頁・発行日
vol.35, pp.24, 2008

ナノテクノロジーは社会に多大な恩恵をもたらすことが期待される反面、健康・環境へのリスクなど、社会的影響に対する懸念も少なくない。現時点でリスクが顕在化したという勧告はないが、その潜在的リスクが研究開発関係者、リスク専門家のみならず、一部の市民にも意識されている。ナノテクノロジーの社会的影響に関する課題は環境・健康・安全関連の課題と倫理・法・社会関連の課題の二つに大別される。前者に関しては、ナノマテリアルの健康・環境リスク評価管理が至近の最重要課題である。一方後者に関しては、人文社会科学者らによるテクノロジー・アセスメントなどを通して、課題が抽出・整理される段階にとどまっている。ナノマテリアルは代表寸法(粒径、断面径、膜厚など)が100nm以下の工業材料と一般認識されている。そのリスクを被る対象として、労働者、消費者、環境の3つが挙げられる。中でも被ばくする可能性が最も高いのは労働者であり、現在実施されているプロジェクトのほとんどが彼らの安全衛生を目的としている。ナノマテリアルの管理においては、従来の化学物質管理と同様、ハザード(有害性)ではなくリスクを管理する、ということが世界的に大前提となっている。ハザードが大きい場合でも曝露を低減するように管理すればリスクを小さくできる、という考え方である。現状ではリスク評価を行うための十分なデータが蓄積されておらず、規制などが確立されるまでの間は、現実的な安全衛生対策の中で最善のものを行う、ベストプラクティスの実行が求められる。ナノテクノロジーの社会受容に関する取り組みは米国で始まり、欧州、日本がそれに続いている。例えば米国ではNIOSH、EPAなどの公的機関に加え、ICONなどの産学官およびNGOを含む組織の活動も活発である。またリスク評価に関する国際協力の重要性も認識され、OECD、ISOが国際合意形成の場として活動している。

1 0 0 0 OA 塵袋 : 11巻

出版者
巻号頁・発行日
vol.[7],