著者
山本 雄平 田中 成典 姜 文渊 中村 健二 田中 ちひろ 清尾 直輝
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.1334-1350, 2018-05-15

我が国では,2020年の東京オリンピックに向けて,スポーツに関わる政策が積極的に推し進められている.その施策の1つである「スポーツ × ICT」では,スポーツ分野における計測機器の開発やデータ計測と可視化手法の高度化,そして新サービスの提案など,最新ICTの効果的な利活用が進められている.しかし,スポーツ分野にICTを適用する試みは始まったばかりの黎明期であり,教育現場や地域クラブの指導者のみならず,高度な専門知識を保有したスタッフにおいても,自在に操ることは難しい.そこで,本研究では,「スポーツ × ICT」に関わる既存研究を調査し,現状把握と効果的な活用方法を模索するとともに,アメリカンフットボールのプレーデータの可視化システムを開発する.そして,選手にセンシング機器を適用し,統計的手法と組み合わせてプレー分析を行い,カレッジフットボールの監督・コーチなどの指導者に新たな気づきを提供できるかの観点に基づき,実用の可能性を検証する.In our country, policies regarding sports are actively advanced towards the Tokyo 2020 Olympic Games. One of those policies, "Sports × ICT" considers effective methods of utilizing ICT (Information and Communication Technology), such as development of measurement instruments, measurement and visualization of data, and proposals for new services in the field of sports. However, since attempts to apply ICT to sports have just started these days, it is difficult not only for the leaders in schools and local sports clubs but also for the staff who possess advanced expert knowledge about sports to make full use of ICT as desired. In this research, an investigation is made into the trend of studies related to "Sports × ICT" with a focus on field sports, and a visualization system for a positional play analysis is developed to grasp the present state of team and to grope the methods of practical use. Then, its practicality is verified through motion analysis of American football players using the measuring terminal device to be combined the statistical methods, based on whether it is capable allowing the college football leaders such as managers and coaches to perceive something new.
著者
池口 明子
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.23, 2005 (Released:2005-11-30)

1.背景 自然と社会の関係を扱う地理学において、近年課題とされてきたのは、「自然」をいかにして分析枠組みに取り戻すか、ということであった。「自然」の社会構築論や、資本主義的農業による自然の搾取を描く政治生態学は、いずれも自然を受身で均一な存在として描いている。これに働きかける主体としての社会も、アプリオリに設定された社会集団の名の下に均一なものとして表象される。このような人間-自然の二元論が繰り返される限り、現実に存在する関係性をとらえることは難しい。では、自然あるいは社会に働きかける力:エージェンシーをどのように概念化すればよいのか。このような模索のなかに歓迎されたのがActor-network theory(アクター・ネットワーク理論:ANT)である。 ANTは、Michel Serresの思想に影響をうけつつ、Bruno Latour、Michel Callon、John Lawら人類学者・社会学者が科学技術研究(STS)を通して提示した一連の概念の集合である。それらの概念は、自然と社会のみならず、主体と客体、ローカルとグローバルなどの二元論をも超える可能性をもつとの期待から、地理学者を含む多くの論者により吟味されているが、食の地理学において具体的事例を扱ったものは未だ少ない。2.概念とその意義 ANTでは自然-社会関係とその変化をとらえるにあたって、人間だけではなく、人間以外の機械や動物、数式といった人間以外のものnonhumanも同様にアクターととらえる。これらのアクターが何であるのかは、アクター間の関係性によってのみ定義され、それは常に変化する可能性がある。アクター間の相互定義の過程を分析するときは、社会が自然を定義する、というように一方を主体とした非対称性を避け、互いが互いに定義するという対称性symmetryを原則とする。この人間と自然が入り混じった異種混合体Hybrid collectifが、社会関係を変えていくエージェントであり、その関係性は脱中心化され、偶発的なものである。人間以外のアクターは、時間・空間を超えて移動するものimmutable mobileでもあり、この循環・流通に着目することで、固定され均一化された空間と社会の相互の表象を揺るがせる。3.「食」の地理におけるアクター・ネットワーク 「食」とは動物あるいは植物であり、商品であり、人の身体の一部であり、これを取り巻く様々なアクターとの関係性の異種混合体である。このような観点からは、すべての食をめぐる関係性がANTによる分析の対象となりうるが、これまで比較的多くみられる分析対象は、科学者や科学の組織がアクターとなるような食の地理である。例えば、Fitzsimmons and Goodman(1998)は小麦の大量栽培種の開発、狂牛病、拒食症をアクター・ネットワークの部分として素描し、Whatmore(2002)も遺伝子組み換え食品が作られる過程を科学者や企業・NPOらを含むアクター・ネットワークとして描いている。 これらの分析はモノと人との関係としての食の地理が変化するプロセスを繊細に追うことを可能にしているが、モノとモノの関係や生態を組み込んだ詳細な分析は少ない。この点は、地理学の課題として考える必要があるだろう。主要文献Callon, M. 1986. Some elements of sociology of translation: Domestication of the scallops and the fishermen. In Power, Action, and Belief, ed. J. Law, 196-229. London: Routledge.Fitzsimmons, M. and Goodman, D. 1998. Incorporating nature: environmental narratives and the reproduction of food. In Remaking reality: Nature at the Millenium, eds. B. Brawn and N. Castree, 194-220. London: Routledge.Law, J. and Hassard, J. eds. 1999. Actor Network theory and after. Oxford: Blackwell. Latour, B. 1993. We have never been modern. Cambridge: Harvard University Press. Murdoch, J. 1997. Inhuman/nonhuman/human: actor-network theory and the prospects for a nondualistic and symmetrical perspective on nature and society. Environment and Planning D 15: 731-756.Whatmore, S. 2002. Hybrid Geographies. London: Sage Publications.
著者
山口 智子 田村 麻美子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】いもジェンヌは、新潟市西区で栽培されているさつまいもで、品種は甘みが強くしっとりした食感が特徴の「べにはるか」である。2012年から新潟の砂丘地域における耕作放棄地解消のために栽培が導入され、ブランド化を目指した取り組みが行われている。ペーストを使った菓子の商品化や給食での利用も進んでいる。本研究では、さらなる普及を図るために、いもジェンヌの特性を明らかにし、家庭でおいしく食するための調理法を検討することを目的とした。<br><br>【方法】試料として、JA新潟みらいで栽培された平成29年産いもジェンヌ、市販品のべにはるか(新潟県産)、紅まさり(茨城県産)、紅あずま(茨城県産)、鳴門金時(徳島県産)、シルクスイート(茨城県産)、安納芋(新潟県産)を使用した。Brix糖度、還元糖量、β-アミラーゼ活性、抗酸化性の評価としてDPPHラジカル捕捉活性と総ポリフェノール量を測定した。加熱調理には、オーブン、電子レンジ、炊飯器を用い、加熱時間の異なるいもジェンヌの官能評価を行った。<br><br>【結果】生芋の糖度、還元糖量、β-アミラーゼ活性を測定した結果、いもジェンヌの糖度は、べにはるかに次いで高く、紅まさり、鳴門金時、シルクスイートよりも有意に高かった。還元糖量は安納芋に次いで高く、その他の品種より有意に高かった。β-アミラーゼ活性では、べにはるか、紅まさり、鳴門金時、シルクスイートよりも有意に高い値を示した。DPPHラジカル捕捉活性と総ポリフェノール量は、べにはるか及び他品種に比べてやや低い傾向にあった。3種類の加熱調理法の中で、いもジェンヌの甘さとしっとり感を最も引き出す調理法はオーブン加熱であり、抗酸化性も高かった。
著者
斗ケ沢 宣久 勝又 悌三 川尻 秀雄 小野寺 紀雅
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.40, no.12, pp.461-465, 1966
被引用文献数
4

オニユリの花粉30gから色素I, IIを結晶状に分離した.収量はそれぞれ17mg (0.056%), 11mg (0.036%)であった.色素Iはm.p. 191~193&deg;の淡黄色針状結晶,色素IIはm.p. 179~182&deg;(分解)の黄色針状結晶で,融点, PPCによるR<sub>F</sub>値,呈色反応,紫外線および赤外線吸収スペクトルなどは,それぞれルチンおよびナルシシンと一致する.さらに両色素を加水分解し,得たアグリコンはいずれもm.p. 300&deg;以上の黄色針状結晶で,紫外線吸収スペクトルは,それぞれクエルセチンおよびイソラムネチンと一致し,構成糖は両色素ともグルコース,ラムノースよりなることを認めた.以上から分離した色素Iをルチン,色素IIをナルシシンと同定した.
著者
川岸 康司 三浦 豊雄
出版者
CROP SCIENCE SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.51-57, 1996-03-05 (Released:2008-02-14)
参考文献数
13
被引用文献数
2 3

春植え食用ユリ(品種: 白銀)の生育特性を明らかにするとともに, 萌芽後と着蕾後における窒素とカリの追肥が鱗茎の肥大に及ぼす影響をポット試験と圃場試験で検討した. 春植え栽培における食用ユリの生育期は以下の4期に区分できた. 第1期は植え付けから6月の萌芽直後までであり, この時期には鱗茎の貯蔵養分により茎葉が萌芽し始めた. 第2期は茎葉展開から着蕾までであり, 茎葉が旺盛に発育するとともに, 茎葉から鱗茎への光合成産物の移動も始まった. 第3期は着蕾後から本来開花期となる8月中旬頃までで, 葉面積や茎葉乾物重が増加し続け, 主に旧鱗茎の乾物重が増加した. 第4期は8月中旬頃から収穫期までで, 茎葉部の生育はほぼ停止し, 主に新鱗茎の乾物重が増加した. 一方, 着蕾後の窒素とカリの追肥は, 根の生長を促進し, 生育後期まで養分吸収と乾物生産を持続させるため, 第4期の鱗茎肥大が旺盛になり, 増収に結び付くと推察された.
著者
髙清水 康博 永井 潤 岡村 聡 西村 裕一
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.119, no.1, pp.1-16, 2013-01-15 (Released:2013-05-08)
参考文献数
61
被引用文献数
5

北海道太平洋沿岸の胆振海岸東部に分布する古津波の復元を,堆積学的解析によって試みた.この津波堆積物は,現海岸線からの距離に対して,層厚と代表粒径が減少し,淘汰は良くなる強い相関関係を持つことが認められた.この津波堆積物の不攪乱定方位試料の粒度組成と粒子配列の解析からは,少なくとも3回の強い津波の浸入が認められる.特に,今回解析した地点1の津波堆積物の粒子配列のデータは,地点1では東北東への流れを示す遡上流のみからなる可能性を示した.これらの証拠から,砂丘の背後に広がる湿原に浸入した津波堆積物の堆積モデルを呈示した.最初に砂丘を乗り越えた津波は,地表面を侵食し,泥炭偽礫を取り込む.津波によって流入した海水のほとんどは,海側にある標高の高い砂丘のために海へ戻らずに,沿岸低地に静水域を形成する.引き続く津波は,この静水域の水底の堆積物を侵食する強い力は持たない.最終的に,海水は地下浸透と蒸発によって消滅する.
著者
番場 宏治
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.433-437, 1967 (Released:2007-07-05)
参考文献数
15
被引用文献数
3 4

1. 19種類の花ユリについてその花被におけるアントシアニンをペーパークロマトグラフィー法および吸収スペクトル法で定性的に調査した。2. 19種類中15種類にアントシアニンが存在したが, その構成はすべてケラシアニンを主色素とするものであつた。各花ユリは主色素とは別にごく微量のアントシアニンが存在したが, これについては同定できなかつた。3. アントシアニンの存在が認められない花ユリは4種あつた。そのなかで白色花をもつ2種についてロイコアントシアニンを調べたが存在しないものと判断される。
著者
番場 宏治
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.368-378, 1968 (Released:2007-07-05)
参考文献数
38
被引用文献数
3 7

花ユリで見られる色素構成を解明するために, 21種類の花ユリについて花被に含まれるカロチノイドを呈色反応, T.L.C., カラムクロマトグラフィー, 吸収スペクトルおよび分配の諸方法を用いて定性的に調査し, 以下の結果を得た。1. 21種類の花ユリのうち, 18種類にカロチノイドが存在し, それらはβ-カロチン, クリプトクサンチン, エキニノン様カロチノイド, ゼアクサンチン, カプサンチンおよびカプソルビンの6種であつた。2. 黄花ユリはβ-カロチン, クリプトクサンチンおよびゼアクサンチンにより黄色に色彩発現していた。原種の橙花ユリは, その色素構成により二つのグループにわけられた。一つはエキニノン様カロチノイドにより橙色に色彩発現しているグループで, これに属する花ユリは2種類あつた。他はカプサンチン•カプソルビンにより橙色に色彩発現している種で, この色素をもつ花ユリは5種あつた。3. 二つの交配種ではエキニノン様カロチノイドもカプサンチンカプソルビンも共存して, 赤色系に色彩発現していたが, これは種の成立過程で両グループの原種が交雑されていることを示唆している。4. オニユリを除く赤色系花ユリの原種では橙色カロチノイドとアントシアニンは共存せず, いずれか一方の色素により色彩発現をしているが, 交配種ではこの規則性は失われ両色素が共存していた。5. 花ユリの交雑親和性-特にアントシアニン系グループとカロチノイド系グループとの親和性-と花色を構成する色素の種類との間には絶対的な関連性があるとは思われなかつた。
著者
前田 裕弘 松田 光弘 森田 恵 正木 秀幸 白川 親 堀内 房成 小山 敦子 濱崎 浩之 藤本 卓也 入交 清博 堀内 篤
出版者
The Japan Society for Clinical Immunology
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.118-125, 1993-04-30 (Released:2009-01-22)
参考文献数
17

成人T細胞白血病(ATL)患者の血清を健常人の末梢血単核細胞(PBMC)に添加し,そのPBMCのCD 3抗原の発現を観察した. CD 3抗原の発現が低下している急性型ATL患者の血清を添加したときのみ健常人PBMCのCD 3抗原の発現が低下した.しかし, CD 3抗原の発現が正常の慢性型ATL血清では,この現象はみられなかった.同様の結果が細胞培養上清添加時にもみられた.細胞培養上清をSephacryl S-200を用いて分画し,健常人PBMCのCD 3抗原を低下させる活性を分子量40-60 kDの分画に認めた.各種抗サイトカイン抗体を用いた中和実験および各種サイトカイン添加実験より,この可溶性因子が既知のサイトカインとは異なる因子と考えられた.この因子が臨床的に急性型ATLに認められ,くすぶり型および慢性型ATLに認められないことより, crisisに関与している可能性も考えられた.
出版者
虎の門病院
巻号頁・発行日
2008
著者
池田忍 小林緑編著
出版者
明石書店
巻号頁・発行日
2010
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1692, pp.50-53, 2013-05-27

中国大使館内の"仮設オフィス"で細々と始まったZTEのアンゴラ事業は、今では第4世代の携帯電話やスマートメーター(次世代電力計)などの最先端の製品が主力。中国政府のアフリカ投資拡大と歩調を合わせるZTEの進出先は、今ではナイジェリアから最貧国モー…
著者
奥田 豊子 梶原 苗美 伊達 ちぐさ 杉本 恭子 力丸 徹 藤田 美明 小石 秀夫
出版者
Center for Academic Publications Japan
雑誌
Journal of Nutritional Science and Vitaminology (ISSN:03014800)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.319-331, 1981 (Released:2009-04-28)
参考文献数
25
被引用文献数
5 7

A nutritional survey was held in August, 1978, at Kalugaluvi (altitude: 1, 500m) near Lufa, which is 60km from Goroka, in the Eastern Highland Province of Papua New Guinea. Anthropometric measurements were carried out on 55 males and 37 females aged from 7 to 64 years. Whereas the physiques of the children looked as good as those of Japanese of a comparable age, the adult men were shorter than Japanese males, but body weight and chest girth were similar. The skinfold thickness was less than that of the Japanese. From the data collected, it was shown that the physique of the Highlanders was more muscular than that of the Japanese. The food intakes and energy balances of 18 healthy men (20-40 years old) were measured over 2 or 3 consecutive days. The average consumption of sweet potatoes, the staple food, was 956±305g per day. The average consumption of taro and yam was 93±124g/day and 36±99g/day, respectively. Various green leaves, sugar canes, corn, bananas and other foods (i.e., rice and tinned fish) purchased from trade stores were sometimes eaten. The mean daily energy intake was 2, 390±540 kcal, which was about the same as the daily energy expenditure. The daily protein intake was 35.2±10.7g. These results are probably exceptionally high, because the survey was unfortunately held during the yearly festival season of the village when the people often ate fatty pork. Nevertheless, it is noteworthy that the growth of children and the physique of adults are normal in spite of the extremely low intake of protein.