著者
岡 直己
出版者
密教研究会
雑誌
密教研究 (ISSN:18843441)
巻号頁・発行日
vol.1941, no.77, pp.1-33, 1941-06-30 (Released:2010-03-12)
著者
MEILHAC HENRY[作詞]
出版者
コロムビア(戦前)
巻号頁・発行日
1927-01
著者
齋藤 繁
出版者
弘前学院大学社会福祉学部
雑誌
弘前学院大学社会福祉学部研究紀要 (ISSN:13464655)
巻号頁・発行日
no.13, pp.15-36, 2013-03-15

芥川龍之介の最晩年の作品に焦点を当てて、彼の他界に至る経緯を主として作品を通して考察を試みた。「歯車」はこれまで諸家による評論が繰り返しなされ、百家争鳴に近い論争を引き起こした作品である。 筆者は彼の最晩年の創作活動が前衛的芸術活動であると見做し、「歯車」は写実主義やロマン主義の文学とは異なる新しい文学運動の一つの試みであり、彼の文学の代表的作品であると考える立場から、作品中に散見される精神病理学的表現を再評価してみた。 芥川龍之介は永い間歯車の幻視に悩まされ、発狂の予兆と感じて悩み続けていたが、それは眼姓片頭痛、または閃光暗点と云う病気で、精神病理的な症状としての幻視とは異なるものであった。レエンコオトの男と僕の歯車の幻視体験を度々登場させることが、怪奇的な心理的空間を醸成することに役立っていたことは事実である。それにしても最初に芥川自身によってつけられた題名「夜」か「東京の夜」が、正当な命名と見做されるであろう。日常性を超えた異次元的、怪奇的精神世界、現実と非現実、日常性と非日常性、条理と不条理とが混然一体となった生活空間の構成を図ったとすれば、内なる心の闇の表現に或程度成功していると考えられる。 しかし彼は慢性的な神経疾患である神経衰弱を患い、メランコリックな精神状況の中で創作活動を続けていたのである。早世に至った動機は依然として明らかではないが、心身の消耗の極みが推定される。
著者
本田 大士 トーンクヴィスト マルゲリータ 西山 直宏 笠松 俊夫
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
vol.40, 2013

化学物質とヘモグロビン(Hb)との結合体,Hbアダクトは化学物質の暴露マーカーとして広く活用されており,グリシドール(G)はN-(2,3-dihydroxy-propyl)valine (diHOPrVal)として,Hbアダクトを形成する。今回我々は,G暴露評価指標としてのdiHOPrValの有用性を確認するため,用量相関性,生体内安定性,<I>in vivo</I> dose (AUC)予測性について解析を実施した。まず,用量相関性を確認するため,異なる用量のGをSDラットに単回経口投与し(0-75 mg/kg),投与1日後にdiHOPrValをGC-MS/MSを用いて定量した。diHOPrVal形成量とG投与量の間には,高い相関性が認められた(R<sup>2</sup> = 0.943)。次に,生体内安定性を確認するため,一定用量(12.5 mg/kg)のGをラットに単回経口投与し,投与後10-40日におけるdiHOPrVal量を定量することで,Hbアダクトの消失挙動を解析した。一次消失を仮定したとき,消失速度定数(<i>k<sub>el</sub></i>)は0.000623となり,diHOPrValは赤血球寿命に従って,ほぼ直線的に減少することが示唆され,生体内で安定に維持されると考えられた。最後に,GのHbへの反応性を,ラットおよびヒトの血液を用いて,<I>in vitro</I>条件で解析した結果,二次反応速度定数(<i>k<sub>val</sub></i>)はラットで6.7,ヒトで5.6 pmol/g-globin per &mu;M・hと見積もられ,有意差は認められなかった。さらに,得られた<i>k<sub>val</sub></i>を用いて,Gをラットに単回経口投与したトキシコキネティクス試験のAUCを予測したところ,予測値は実測値に近い値を示した。以上の検討から,diHOPrValは用量相関性に優れた安定な指標であり,AUC予測にも活用可能なことから,Gの生体内暴露評価に有用であると考えられた。
著者
岡本 直久 石田 東生 佃 晋太郎 古屋 秀樹
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.871-877, 2003

高速道路におけるETCサービスの本格運用が開始されているものの, ETC車載器の普及は進んでいない. ETCは利用者数の増加に伴いその効果が増加するという特性を持つため, 現状のような低需要の状況では効果が発揮されない恐れがある.<BR>本研究では, 自動車保有者のETC車載器購入意思決定と, ETC車混入率がもたらす道路ネットワークサービスレベルへの影響とを関連づけた普及シミュレーションを作成した. シミュレーションに基づき車載器価格変動料金割引施策が, 車載器普及にどのような影響を与えるかを分析している. 特に車載器価格の初期低価が普及に大きな影響を与えることが明らかになった.
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンストラクション (ISSN:09153470)
巻号頁・発行日
no.544, 2012-05-28

五洋建設は古野電気(兵庫県西宮市)と共同で、ETC(電子料金収受システム)車載器を利用した工事車両の事故防止システムと運行管理システムを開発した。 事故防止システムは、現場付近に設置したアンテナがETC車載器を搭載した工事車両の接近を検知して、電光掲示板に「工事車両減速注意」や「工事車両接近注意」といった文字を表示する仕組みだ。
著者
宝満 健太郎
巻号頁・発行日
2018-03-22

Hokkaido University(北海道大学). 博士(医学)
著者
湯本 健司 辻 邦和 二藤 彰 野田 政樹
出版者
日本炎症・再生医学会
雑誌
炎症・再生 (ISSN:13468022)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.237-239, 2003 (Released:2006-12-01)
参考文献数
19

We review here regarding the observations that expression of osteopontin (OPN) was enhanced in the joints of rheumatoid arthritis patients. OPN in arthritic joints had not been clear previously. We published in 2002 that joint destruction in the arthritis model induced by a mixture of anti-type II collagen monoclonal antibodies and LPS (mAbs/LPS) injection was suppressed in the OPN-deficient mice. OPN is a phosphorylated glycoprotein interacts with integrins and CD44, promote the cell attachment and migration. OPN is highly expressed in bone, kidney and ovary and also produced by osteoclasts, endotherial cells, activated T cells and macrophages. One of the functions of OPN in the inflammatory condition is to bring inflammatory cells to the sites of injury and OPN is also a survival factor for the endotherial cells and enhances angiogenesis by promoting the vascular tube formation. Infiltration of inflammatory cells and angiogenesis in synovium in the arthritis model was suppressed in OPN-deficient mice. Additionally, apoptosis of chondrocytes in articular cartilage was reduced and destruction of articular cartilage was suppressed in the arthritis model in OPN-deficient mice. These data suggested that OPN might be a new target for the treatment of rheumatoid arthritis.
著者
佐々木 達
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理要旨集
巻号頁・発行日
vol.2013, 2013

<b>1.課題の設定</b> <br>&nbsp; 東日本大震災から時間がたつにつれて地域経済の再構築は被災地にとって喫緊の課題となっている。とくに、地域経済の一翼を担う農業の復興を図るうえで障害となっているのは、農産物に対する風評被害である。除染やサンプル検査などが行われる中で沿岸部では津波被害からの営農再開が進みつつある一方で、安全とされる農産物が敬遠され、消費者も農産物を安心して消費できない状況が継続している。 しかし、風評被害問題も農産物が売れないという単純な話でとらえるべきではない。原発事故を契機とした問題の長期性と根深さが加わっているが、農産物流通のあり方や地域農業の再建、そして今後の地域の在り方をどうするのかという問題の立て方が必要である。それらの課題に先立ち、本報告では、福島県いわき市を対象にして、消費者の農産物の購買行動を把握することにより風評被害の実態を明らかにすることを目的とした。今回は、アンケート結果の中から野菜の購買行動を中心に検討を行う。&nbsp; <br><br>&nbsp;<b>2.アンケート結果の分析</b> <br>&nbsp; 分析の結果、明らかになったのは以下の点である。①野菜の購入先は食品スーパーが主流である。震災前後で購入先に大きな変化は見られない。②野菜を購入する際に重視されているのは産地、鮮度、価格の3要素である。風評と関連する放射性物質の検査はこれに続く結果となっており、原発事故以降に新たな判断材料として加わったと見ることができる。③購入産地は県外産にシフトしているのが現状である。ただし、産地表示や検査結果を気にしている反面、その判断する情報リソースは二次情報、三次情報である可能性も否定できない。④購買行動において国の基準値や検査結果に対して認知されているが,信頼度という点においては低い結果となっている。野菜の購買基準は,「放射性物質の検査」と答える人も多いが,風評とは関連性のない「価格」を挙げる人が多い。しかし、「価格」要因は消費者サイドに起因するのではなく現在の小売主導の流通構システムから発生している可能性がある。一般的に風評被害は、消費者が買わないことにばかり目を向けがちであるが、市場・流通関係者の取引拒否や産地切替などの流通システムからも風評は生まれることを看過してはならない。 &nbsp; <br><br><b>3.復興支援のあり方―調査から発信・共有へ―</b> <br>&nbsp; 風評被害は、消費者だけでなく小売店、農業生産者など様々な主体の思惑が錯綜する中で実体化している。今後、風評被害を払拭するための支援のあり方には、地元の消費者と情報を共有・発信しながら課題認識の場を作り出していくことが重要であると考える。なぜなら風評被害に対する正確な現状把握や調査もほとんど手が付けられておらず、「目に見えないもの」に生産者や消費者がただただ翻弄される状況がいまだに続いているからである。正確な現状認識のための研究調査の重要性を認めつつ、その成果を地域の住民とともに共有し、課題を乗り越えるための復興支援調査との両輪で被災地の復興に参加することが重要であろう。
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンピュ-タ (ISSN:02854619)
巻号頁・発行日
no.486, pp.139-141, 2000-01-03

1999年11月11日。平成で言えば11年11月11日となる。この日の11時11分に,JR各社の「みどりの窓口」の販売端末から発券された入場券には,「11.11.1111:11」と印字された。JRの入場券は自動券売機で購入するほかに,みどりの窓口でも購入できる。「1」が並んでいてもなんの意味もないが,鉄道ファンなら記念にこの入場券を持っていたくなるかもしれない。
著者
古屋 温美 横山 真吾 中泉 真吾
出版者
環太平洋産業連関分析学会
雑誌
産業連関 (ISSN:13419803)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.5-17, 2011
被引用文献数
1

古屋ら(2008)は,北海道厚岸町において発生したカキマヒ性貝毒事件(2005年4月),全国的な広がりを見せたノロウイルスによる感染性胃腸炎の流行(2006 年 12 月)による,危害や風評による被害・損失額を算定し,産業連関表の活用により,被害額の地域内外への波及影響の程度を明らかにした.この研究で,産地や消費地への影響を最小化するには,厳格な品質衛生管理,正しい知識や情報の提供,危害発生時のリスク管理が重要であると述べた.本論文では東日本大震災による農林水産物の風評被害による経済的影響について分析を試みたが,カキの分析時と異なるのは,その原因が放射能という特殊なものであることと,農林水産物だけでなく様々な輸出品に対し,外国から風評被害を受けたことである.外国からの風評被害は,シンガポールの日本食レストランの経営等にも深刻な影響をもたらすなど,波及影響は計り知れない規模であり,厳格な品質衛生管理や正しい知識や情報の提供だけでは防ぐことの出来ない被害であった.本研究は,風評被害の要因となっている原発事故が未だ収束しない状況において,統計データなど公表資料が不十分であり,また,地域,品目や期間等が限られた範囲のデータを用いた分析となったが,今後,公表される統計データが充実すれば詳細な分析が可能になることから,引き続き想定される農林水産物の風評被害の経済評価の基礎研究としたい.
著者
田中 美保子
雑誌
東京女子大学紀要論集 (ISSN:04934350)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.289-304, 2016-03-15

Lucy M. BostonのGreen Knoweシリーズは、Bostonが長年住んでいた、ケンブリッジ州セント・アイヴズ市近くのヘミングフォード・グレイ村にある大ウーズ川沿いの家で、イングランドで人が住み続けている最古の民家と言われているものを元に創られた想像上の館を舞台に書かれた全6巻からなるシリーズである。シリーズ全体が、非常に深いレベルで「宇宙に受け入れられる」感覚と、時の変化と死を受け入れることにまつわる物語になっている。そして、シリーズのどの作品においても、音と静寂が繊細で神秘的な効果をもたらしている。ともすればBostonの情景描写の巧みさに目がいくが、真に注目すべきは、それぞれの巻には独特のテーマがあり、文体や構成なども巻ごとにテーマ(あるいはBoston自身が語ろうとしているもの)に合わせて、随時、選択されていることである。作家の姿勢として、児童書に当然とされているものを拒み、幼い子ども読者にもかなり多くの理解力を要求する点も個性的である。第1巻The Children of Green Knowe (1954)では、「歓迎」と「帰郷」という奥深い物語と共に、時間と過去の世代という中心的テーマが語られる。そこでは複雑な時代模様が提示され、過去がさまざまな形で主人公の少年の周りを囲んでいる。また、その文体も、「音調詩」や「雰囲気語り」とでも命名したい独特のものである。第2巻The Chimneys of Green Knowe (1958)でも現在と過去の物語が語られるが、第1巻よりも物語は淡々と進む。「音」の小説であると言えると同時に、Bostonは、描写できないことを描写する言葉の使い方に文体上の挑戦を行い、イメージのないものを意識的にイメージして、見えない存在を言葉の絵画に塗りこめたような描き方を選択している。第3巻のThe River at Green Knowe (1959)では、Bostonは、三人の新しい人物を登場させることで、ふさわしくない場に無理矢理移住させられることへの問題意識を明らかにしている。また、この作品は「子どもであること」についての物語でもある。そこには、作家Bostonの、子どもという存在に対する飾りのない一貫した理解が表れている。Bostonは子どもたちと同じ地平に立つ同類なのである。同時に、この作品は、時間と宇宙の全体論的観点と、その中にいる子どもたちの位置を示しているとも言える。章立てをせず、大きな絵の中に描き込まれたエピソードのようにさまざまな事件が起きる。(次号に続く)