著者
斉藤 仁
出版者
一般社団法人 日本歯科理工学会
雑誌
日本歯科理工学会誌 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.241-265, 1991
被引用文献数
5

超微小荷重を用いたビッカース硬さ試験では, 試験荷重の微小化に伴い, 荷重保持時間依存性, 負荷速度依存性, 荷重依存性, 圧痕の計測誤差などに従来よりはるかに厳密な検討が要求されてくる.本研究はこれらの基礎的問題を検討した上で, ヒト歯質における超微小硬さ, 特に従来, 測定が困難であったセメント質を中心に, 歯質の硬さを組織別, 部位別, 方向別に系統的に測定し, 以下の結果を得た.1.超微小荷重を用いた象牙質のビッカース硬さは荷重保持時間依存性, 荷重依存性, 圧入速度依存性を示した.2.3g以下の微小荷重では計測機器による計測値の差が大きくなり, 計測機器の選択は慎重に行われるべき事が示唆された.3.3gの微小荷重を用いた今回の硬さ試験方法により, 従来困難であったセメント質の硬さ分布の測定が困難となった.また象牙質の硬さ分布は従来の報告とほぼ同様であった.4.0.2gの超微小荷重を用いることにより, 管周象牙質と管間象牙質の硬さを測定することができた.
著者
溝部 佳代
出版者
日本クリティカルケア看護学会
雑誌
日本クリティカルケア看護学会誌 (ISSN:18808913)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.34-41, 2013 (Released:2014-04-05)
参考文献数
15

本研究の目的は,手術中待機している家族のコーピングの実態および属性・看護介入によるコーピングの差異を明らかにすることである.研究参加者は,A病院にて全身麻酔下で手術を受ける患者の家族62名(回収率76.5%)である.方法は,自記式質問紙法による量的記述的研究で,質問項目は1)属性,2)看護介入,3)神村らの3次元モデルにもとづく対処方略尺度24項目とした.結果より,待機中の家族のコーピングは肯定的解釈,気晴らしの順に多かった.また,待機人数,手術時間超過の有無,家族の年齢により,コーピングに有意差が見られた(p<.05).そして,手術中待機している家族へのケアとして,1人で待機する家族,手術時間が予定時間を超過する場合には,特に介入が必要であり,手術に関する情報提供あるいは肯定的な気持ちで待てるような情動的支援が重要であると示唆された.
著者
上野 昭彦 池田 博
出版者
東京工業大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1997

シクロデキストリン(CD)は環状オリゴ糖であり水溶液中でさまざまな分子を包接することができる。本研究では、蛍光性単位(ダンシル)とタンパク質結合性単位(ビオチン)を有する修飾CDを合成し、タンパク質アビジンが結合すると修飾CDの分子認識センサーとしての能力がいかに変化するか検討した。これまでのダンシル修飾CDでは、タンシル単位がCD空孔内に自己包接され強い蛍光を発するが、ゲスト包接に伴いダンシル単位は空孔外の水環境に追い出され蛍光強度が減少する。この減少がゲストの検出に利用されてきた。本研究では、CDとしてはグルコース単位を7個有するβ-CD、ダンシルを含む単位としてはダンシルそのもの及びダンシルグリシン残基を用いた(各修飾CDを1、2とする)。ダンシル単位は1よりも2の方が、グリシン部分を介するだけ自由に動きやすくなっている。両者とも励起波長360nmで測定すると550nmに蛍光のピーク示した。そして、ゲストである1-アダマンタノール添加による最大の蛍光強度減少は1ではアビジン不在下で19.2%,アミジン存在下では10.9%であった。他方、2では、それぞれ39.2%,4.2%であった。このように両センサー系とも、タンパク質の存在によってゲスト添加による蛍光強度の減少の程度が抑制された。この事実は、タンパク質が結合することによってダンシル単位がCD空孔外に出ることが制限せれていることを示唆している。なお、結合定数は2-1-アダマンタノールの系でアビジン存在、不在下で9730M^<-1>、63700M^<-1>となり、アビジンの存在によって著しく増大した。タンパク質がCD空孔近傍の疎水的環境を増大てさせいるのもと推測される。
著者
山下 直之
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊星人 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.326-331, 2015

NASAのDawnミッションは,惑星誕生の鍵を探るべく小惑星ベスタと準惑星ケレスを周回して元素,鉱物の分布調査や地質学的,地球物理学的観測を行っている.Dawn衛星に搭載されたガンマ線及び中性子検出器(GRaND)はベスタ赤道域において,炭素質コンドライト起源と考えられる水素が濃集する領域を発見した.南極域ではダイオジェナイト的な下部地殻が露出していることが確認された.またベスタの平均元素組成から,HED限石のベスタ起源説を強く支持する結果が得られた.
著者
山元 隆春 居川 あゆ子
出版者
広島大学大学院教育学研究科附属特別支援教育実践センター
雑誌
広島大学大学院教育学研究科附属特別支援教育実践センター研究紀要 (ISSN:18835406)
巻号頁・発行日
no.14, pp.43-54, 2016-03

本論文は,国語科の「読むこと」の学習指導における「アクティブ・ラーニング」の実践形態を実践的に探究するものである。国語教科書教材「冥王星が「準惑星」になったわけ」を起点とする単元の実践とその検討を通して,そのことによって,学習者のさまざまなニーズに応じた,多様な学びを成り立たせる国語科での「アクティブ・ラーニング」成立の条件を探った。In this paper, a plot of lesson for eliciting students' active learning was constructed and examined the process and outcomes of the unit and lessons implemented in any junior high Japanese classes. Any conditions for creating active learning in the context of learning reading any Japanese expository texts as follows; finding out many texts for evoking each student's interests; showing appropriate tasks linking each student's everyday life; struggle with reading and writing and thinking, etc.
著者
杉田 菜穂
出版者
日本人口学会
雑誌
人口学研究 (ISSN:03868311)
巻号頁・発行日
2018

<p>戦後日本の政策論議に生産年齢人口の<質>という観点を導入したのは,大来佐武郎(1914-1993)である。官庁エコノミストとして知られる大来は,1961年からの10年間で名目国民所得を倍増させることを目標に掲げた所得倍増計画(1960年)作成の中心人物であった。この計画は,経済的な発展だけでなく福祉や職業訓練,教育といった社会的な発展に対する政府の責任を重視したという点で経済計画におけるひとつの転機となった。その背後には,生産年齢人口増加率の低下という問題意識がある。1961年に『人間能力の開発:現代の国富論』という書名でエリ・ギンズバーグの<i>Human Resources: The Wealth of a Nation</i>の翻訳を出版した大来は,アメリカの人的資源開発をめぐる議論にいち早く注目し,その観点を経済計画作成にも取り入れた。それは,1960年代以降の日本における社会的発展を考慮した経済的発展という政策基調の起点となった。本稿は大来に焦点を当てて,戦後日本におけるマンパワー・ポリシーをめぐる議論の史的経緯を明らかにする。</p>
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.1055, pp.36-39, 2015-09-10

建設会社に起きているもう1つの変化がインフレを意識した受注だ。将来のコスト高騰が予見しにくいデフレ経済では、建設会社は発注者に対して価格上昇を織り込んだ受注額を提示しにくい。 しかし、新国立競技場の整備費が設計側と施工側で大きく乖離したよ…
著者
浜田 恭輔 武井 藍 﨑山 佑介 森山 宏遠 橋口 昭大 髙嶋 博
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.30-34, 2018 (Released:2018-01-26)
参考文献数
15
被引用文献数
3

症例は43歳男性である.緩徐に進行する構音障害と歩行失調,幼児退行などの精神症状,脳幹・小脳の萎縮性所見より脊髄小脳変性症が疑われ入院した.口内炎,陰部潰瘍,毛囊炎様皮疹,HLA-B51をみとめ,髄液IL-6高値より慢性進行型神経ベーチェット病と診断した.ステロイド,メトトレキサートの治療効果に乏しく,インフリキシマブで髄液IL-6の減少が得られたが症状は改善しなかった.本症例は広範に不可逆性の脳組織障害が生じた難治例と考えられた.脳幹の萎縮が進行する前に免疫治療を介入すべき疾患であり,精神症状と運動失調症がみられる症例では診断に有用である髄液IL-6を測定することが望ましい.
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.1015, pp.34-37, 2014-01-10

東京五輪で変わる街神宮外苑東京都は現在の国立霞ケ丘競技場の周辺を13年6月に再開発等促進区に指定した。様々な議論を巻き起こしながら進む新国立競技場の整備は、神宮外苑改造の目玉であると同時に、再開発の序章でもある。 東京五輪のメーンスタジアムと…

1 0 0 0 OA 南撰要類集

出版者
巻号頁・発行日
vol.[112] (第三十六上) (欠所、隠売女之部),
著者
張 永杰 吉村 尚久
出版者
一般社団法人 日本鉱物科学会
雑誌
岩鉱 (ISSN:09149783)
巻号頁・発行日
vol.92, no.9, pp.363-378, 1997 (Released:2006-09-22)
参考文献数
33
被引用文献数
1 1

南部丹沢山地に分布する安山岩質—玄武岩質火山岩類からなる中新世丹沢層群は,束沸石,濁沸石,ブドウ石—パンペリー石,緑れん石,緑れん石—角閃石及び角閃石帯に分けられる。これらの帯に産出するブドウ石,パンペリー石及び緑れん石のFe3+/(Fe3++Al)値は変成温度の上昇に伴い低くなり,一つのサンプルあるいは変成帯でも産状と共存鉱物によって,異なっている。グランダイトザクロ石が同定され,また,その形成条件が検討された。ブドウ石,パンペリー石及び緑れん石が高いFe3+値を示すことと赤鉄鉱+スフェンが広く出現することによって,変成時の高いfo2が推定される。高いFe3+値のブドウ石,パンペリー石及び緑れん石の安定条件はfo2に強く支配されることから,ブドウ石—パンペリー石帯から角閃石が出現しない緑れん石帯への転換が解釈できる。
著者
宋陳暘撰
巻号頁・発行日
vol.[2], 1000
著者
森本 光生
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.350-354, 1986-10-30 (Released:2008-12-25)
参考文献数
7