著者
藤原 修治 余語 真夫
出版者
日本生理心理学会
雑誌
生理心理学と精神生理学 (ISSN:02892405)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.193-203, 2011-12-31 (Released:2012-06-27)
参考文献数
26
被引用文献数
1

本研究では,実験室での急性ストレス課題に対する唾液中の免疫グロブリンA(s-IgA)の反応について,時系列的な変化を検討した。29名の実験参加者が,1 週間おきに三つの課題-能動的対処を要するストレス課題として暗算,受動的対処を要するストレス課題として寒冷昇圧,統制課題として中性映像の視聴-に取り組んだ。各実験条件について,安静期,課題期,回復期にわたって計5回唾液検体を採取した。実験の結果,暗算条件においてs-IgA分泌量は,統制条件に比べて課題の前半に有意に減少し,課題終了直後に有意に増加した。これに対して,寒冷昇圧条件においてs-IgA分泌量は,統制条件に比べて課題終了直後に有意に減少した。これらの結果は,能動的対処課題と受動的対処課題を実施した際のs-IgAの測定値が,唾液採取のタイミングにより影響を受けることを示している。
著者
辻 浩史 望月 昭英 保坂 愛 吉澤 利弘 玉岡 晃
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.328-332, 2008 (Released:2008-05-25)
参考文献数
12
被引用文献数
2 3

症例は62歳女性で意識障害のため入院した.入院後,意識はすみやかに改善したが,血液検査で炎症所見,髄液蛋白高値をみとめた.頭部MRI上,拡散強調画像,T2強調画像にて脳梗塞様高信号域が散在していた.抗生剤,抗ウィルス薬を投与したが炎症反応は改善せず退院した.退院後,亜急性に異常行動が出現し,しだいに活動性が低下したため,再入院した.炎症反応の増悪と,頭部MRIにて脳梗塞様高信号域の増大をみとめた.脳生検にて,intravascular lymphomatosis(IVL)と診断し,rituximab併用多剤化学療法にて寛解しえた.RituximabはIVL治療において重要な追加薬剤となる可能性がある.
著者
渡辺 一郎
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.557-561, 1995-01-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
2

近年の社会構造の変革に伴い, 疾病の病態にも変化がみられる。桃核承気湯証の増加もその一つであろう。当院においても本方剤が頻用処方となったので, 1992年1月~10月末までの外来患者で本方エキス剤投与183例中効果判定可能な125例 (男12例, 女113例) につき臨床効果の検討を試みた。投与例数の多い順に有効率をみると, 月経困難症82%, 過多月経74%, 高血圧随伴症状69%, 更年期障害72%, 腰痛59%, 冷えのぼせ55%, 月経不順55%, しみ38%, にきび60%, 痔核57%, アトピー性皮膚炎60%, その他外陰打撲症, 前立腺肥大, 脳血栓後遺症がみられる。本方は古典 (湯液) の指示, 構成生薬から陽明病期・〓血病態で精神不安, 上熱下寒などの気逆を示すものに有効で, ストレスの多い, 美食で運動不足, 便秘などの背景をもつ今日的症例に幅広く適応されるべきと思う。
著者
中村 明
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1500, pp.112-114, 2009-07-20

今年3月、「関西独立リーグ」が初めてのシーズンを迎えました。女子高生プロ野球選手、吉田えり投手が活躍するリーグとして、ご存じの方も多いと思います(編集部注:鋭いナックルボールが武器で、メディアやファンの間では「ナックル姫」の愛称で親しまれる)。彼女のおかげで、リーグの知名度が大幅にアップしました。

1 0 0 0 OA 南撰要類集

出版者
巻号頁・発行日
vol.[11] 第四中 (上納地願等),
著者
菅原 民枝 大日 康史 多屋 馨子 及川 馨 羽根田 紀幸 菊池 清 加藤 文英 山口 清次 吉川 哲史 中野 貴司 庵原 俊昭 堤 裕幸 浅野 喜造 神谷 齊 岡部 信彦
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.81, no.5, pp.555-561, 2007-09-20 (Released:2011-05-20)
参考文献数
19
被引用文献数
6 8

目的: 現在ムンプスワクチンの予防接種は任意接種であるが, 定期接種化された場合の費用対効果分析を行った.方法: 本研究は, 外来診療における医療費と家族の看護負担に関する調査を行い, 入院や後遺症死亡例の重症化例の情報を加味した.外来診療の医療費と家族看護に関する調査は, 平成16年6月15日から平成18年1月15日までの19カ月間, 人口10万人都市で, 小児科を標榜する9診療所と県立病院大学付属病院の11医療機関で実施した.入院例調査は, 平成16年1月から平成17年12月までの2年間, ムンプス及びムンプスワクチン関連により24時間以上入院あるいは死亡した例について実施した.結果: 外来診療に関する回収は189枚家族票112枚であった. 外来診療の疾病負担は, 家族看護費用も含めて平均値471億円 (最大値2, 331億円, 最小値6億円) であった.ムンプスの入院患者数は全国で4596例と推測した. 入院は, 家族看護も含めて平均値13.5億円であった. 後遺症, 死亡例を加え総疾病負担は, 平均値525億円 (最大値2434億円, 最小値109億円) であった.費用対効果分析では, 予防接種費用を6000円とすると, 増分便益費用比は, 5.2であり, 95%信頼区間下限においても1を上回っていた.考察: 増分便益費用比は1を上回っており, 定期接種化によってもたされる追加的な便益が, 追加的な費用を上回っていた. したがって, ムンプスワクチンの定期接種化に向けて政策的根拠が確認された.
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンピュ-タ (ISSN:02854619)
巻号頁・発行日
no.762, pp.82-84, 2010-08-04

新規顧客である大塚製薬の商談で、若手の営業担当者がミスを重ねた。競合は顧客と長い付き合いがある。京セラコミュニケーションシステムは劣勢だった。にもかかわらず、営業チームには「受注できそうだ」といった楽観ムードが漂う。「このままではまずい」。営業部長はメンバーを叱咤し、最終プレゼンテーションに臨んだ。
著者
松田将大 久代紀之 高原邦夫
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.579-580, 2014-03-11

本稿では真空ポンプの音響診断手法について説明する。 半導体製造装置に搭載される真空ポンプは、稼働率向上のために常時運転している。部品摩耗による故障のリスクを防ぐため、現在は定期メンテナンスを行っている。しかし、メンテナンス間隔は経験によって決定されたものであり、機器個体差の無視などの問題がある。 上記問題に対し、機器特徴に則した故障診断手法を開発することで、メンテナンスの最適化を行う。その際、診断材料として動作音に着目する。これは実フィールドにおいて音が診断指標として使われていることに起因する。 実験室・実フィールドでの動作音を解析した結果、二つの故障の特徴を発見した。結果を元に故障進行のモデル化を行い、簡易な精度検証を行った。
著者
佐々木 均 本多 寛子
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
巻号頁・発行日
vol.64, pp.70-70, 2012

北海道内における吸血性アブ相を把握するとともに,蔓延する牛白血病対策の基礎資料を得る目的で,2011年7月7日から同年9月15日までの期間,隔週1回,計5回(9月1日は雨天のため中止),北海道檜山管内江差町にある元山牧場(41°52'9.1"N, 140°11'14.6"E)で,ボンベから1,500ml/min.放出される二酸化炭素を化学的誘引源とするNZIトラップを用いて吸血性アブ類の捕獲調査を行い,ニッポンシロフアブを最優位種 (5,551個体,58.57%)とし,ヤマトアブ (2,862個体,30.20%),キンイロアブ(540個体,5.70%)と続く,5属12種合計9,478個体を得た.1トラップ1時間当たりの捕獲数は,7月中旬と8月中旬にピークを示しその後減少する双峰型の消長を示したが,ニッポンシロフアブは 7月中旬に,ヤマトアブは8月中旬にそれぞれピークを持つ単峰型の消長を示し,種によってピークの時期が異なる傾向を示した. 7月21日,8月5,19日には,朝8:30から16:30まで1時間毎に捕獲された個体を回収して日周活動性を調査したが,気温の上昇に連動する形の消長を示した.得られた種類は,これまでの調査で記録された種のみであったが,種構成の変遷と発生消長についてはこれまで調査されておらず,本調査によって短い発生期間ながら,時期によって牛白血病媒介種として防除対象となる種が 7月 8月の2ヶ月はニッポンシロフアブ,8月中旬はヤマトアブと異なることが明らかになった.
著者
石井 照周 米沢 俊彦 呉 慶和 川口 一司 石橋 徳雄
出版者
日本官能評価学会
雑誌
日本官能評価学会誌 (ISSN:1342906X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.24-36, 1997-03-20 (Released:2013-07-26)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

We conducted a series of survey to find the source of difference in preferences among the U.S.A., Germany and Japan through the relationship between food preferences, dietary habits and evaluation on beer taste. We tried to find a measure to seize food preferences and dietary habits by questionnaires and we unveiled, by beverage preference survey, the degree of importance of factors in consumers' minds concerning both functions of beer in daily life and factors which compose deliciousness of beer. The relationship between drinking occasion and taste of beer was analyzed by the evaluation of taste of beer from the result of a test drinking using the same samples across the three countries. We recognized that there were clear differences among the three countries in food preferences, dietary habits, images toward beer, evaluation on preference and flavor strength of beer after the test drinking. It was made clear that the origin of regional difference in the taste of beer was related to the differences in food preferences, dietary habits and functions that consumers desired.
著者
虎谷 安孝 平山 亮
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.72, pp.201-202, 2010-03-08
参考文献数
3
被引用文献数
2
著者
伊藤(神庭) 真理子
出版者
東京大学大学院人文社会系研究科・文学部言語学研究室
雑誌
東京大学言語学論集 = Tokyo University linguistic papers (TULIP) (ISSN:13458663)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.119-126, 2018-03-31

日本手話は、視覚で認識する言語であり、語は常に手の形・手の向き・位置・動きの要素からなる。先行研究では、異なる2つの空間利用のシステムが提案されている。本論文では、この2つのシステムが並存しうるかどうかを明らかにするため指さしに関する調査を実施した。名詞の種類により2つの異なるシステムが利用されている可能性があることを示す。Japanese Sign Language is perceived by visual perception and its word is consisted of Handshape, Orientation, Space, Movement. Earlier studies exhibit two different space systems. This paper is about an investigation into pointing to judge whether the two systems can work. They can be available if they are related other noun groups.
著者
Wongsakorn Chaochankit Osaree Akaraborworn
出版者
The Editorial Committee of Annals of Vascular Diseases
雑誌
Annals of Vascular Diseases (ISSN:1881641X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.355-357, 2018-09-25 (Released:2018-09-25)
参考文献数
10
被引用文献数
29

Venous thromboembolism (VTE) is a major healthcare problem that results in significant mortality, morbidity, and expenditure of resources. It compounds with pulmonary embolism (PE) and deep vein thrombosis (DVT). Phlegmasia cerulea dolens (PCD) is an uncommon but potentially life-threatening complication of acute DVT characterized by marked swelling of the extremities with pain and cyanosis, which in turn may lead to arterial ischemia and ultimately gangrene with high amputation and mortality rates. The key in treating such patients is to provide quick and effective treatment to save the limbs and the patient.