著者
江口 洌
出版者
千葉商科大学
雑誌
千葉商大紀要 (ISSN:03854566)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.94-73, 2003-09-30

『書紀』は,天皇位に空白があってはいけないことを書いている。しかし『書紀』の紀年構成を見ていくと,その天皇位空白年が六ヶ所もある。それも3年に及ぶ空白もある。どうしてその空白を『書紀』は認めているのだろう。その理由を探ってみたい。紀年構成の理解には,暦数と易数への理解が必要である。日の皇子思想を強調する天皇王権は,太陽神と天皇権を重ねる目的で,太陽の運行(暦数)や天・地・人の相関関係の数字(易の三才関係の数字)を神秘化して,天皇紀を創っている。ここではその空位期間の1つである初代天皇神武崩御年から2代天皇綏靖即位年までの3年間の空位がどうして生じているのか,その理由を探ってみた。『書紀』時代の天皇を基軸として組み立てられた紀年構成において,神武と綏靖とを「威霊再生の関係」で以て,天武と元明とに関係づけようとした結果であることを説く。
著者
長尾 真
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. FACE, 情報通信倫理
巻号頁・発行日
vol.95, no.261, pp.55-65, 1995-09-25

自然科学の発展は目覚しい。それは古典力学から量子論へといった質的転換をとげ、今日では科学技術という1つの概念さえ出来上がった感がある。こういった科学の発展を哲学的、歴史学的に考える学問として科学哲学がある。本稿はこれまでの科学哲学の考え方を批判し、新しい科学哲学的立場を明かにするとともに、科学は価値中立であるが工学はそうでないこと、工学は人間を中心として価値概念を伴った設計という立場から科学技術を駆使するものであって、工学の方が科学技術よりはるかに困難であるが崇高な倫理的課題を伴ったものであることを明かにする。
著者
山内 祥史
出版者
神戸女学院大学
雑誌
論集 (ISSN:03891658)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.1-52, 1985-12
著者
コー ダイアナ 釜野 さおり
出版者
Japan Society of Family Sociology
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.124-134, 2013
被引用文献数
2

本稿では,成人子と親との関係に関する研究のレビューを通じて,母娘関係の研究では異性愛が前提とされていることを示し,娘が異性愛的理想を拒否する・それを達成できないことを視野に入れることで,母娘関係の研究に新たな課題を提起することを指摘した.筆者らが過去に実施した同性間の関係に関する質的調査のデータを用いて,(1)異性愛規範性は,異性愛の母親とレズビアンの娘の関係において強化されると同時に揺るがされること,(2)母娘関係において距離をもつことと親密性は排他的ではないこと,(3)娘から母親に向けた,同性愛的指向・同性とのパートナー関係の開示は複雑であること,(4)母と娘のジェンダーの共有が,異性愛規範を強化せずに親密性の促進につながる場合があること,(5)娘の女性パートナーは母娘関係に重要な影響を与える存在であることを,実例で示した.レズビアンの娘とその母親との関係に着目することは,家族のダイナミックスのクィア分析に有用であることが示唆された.
著者
明治大学刑事博物館
出版者
明治大学
雑誌
明治大学博物館研究報告 (ISSN:13420941)
巻号頁・発行日
no.8, pp.55-58, 2003-03

The reproduction of "Iron Maiden of Nurnberg" is told to be a tool for torture or execution in Germany in the medieval ages and is well-known as only one exhibition material in Japan. A lot of sharp nails are driven inside of capsule like a coffin for mummy. This was a device to make a skewer of human body easily and instantly, whenever the cover was shut down. Recently we were instructed concerning the whereabouts of "Iron Maiden of Nurnberg" in Europe by Ms. Silvia Schlegel, vice director of the Museum Schloss Kyburg in Switzerland. Having immediately made also our own original research regarding the whereabouts of "Iron Maiden" and grasped information mentioned in the attached list, we report it here. Mr. ODA Jun was mainly in-charge-of this research. Taking this opportunity, we would like to express my sincere appreciation for Ms. S. Schlegel.
著者
三浦 洋子 Yoko Miura 千葉経済大学 CHIBA KEIZAI UNIVERSITY
出版者
千葉経済大学
雑誌
千葉経済論叢 = The Chiba-Keizai ronso (ISSN:0915972X)
巻号頁・発行日
no.40, pp.77-89,

北朝鮮は慢性的食料不足に陥っていて、韓国はじめ各国はさまざまな支援を行ってはいるが、実態がよくわからず、支援の方法も暗中模索の感がある。そこで、植民地時代の日本資本による「有畜畑作農業」でのじゃがいも栽培と、2000年代、いわゆる「金正日じゃがいも革命」の支援に赴いた日本人の経験を取上げて、北朝鮮の農業発展の方向性を考えてみた。その結果、北朝鮮の気候や土壌は、北海道式のじゃがいも栽培技術が十分適応可能であることがわかった。そこで、そうした技術を利用して、植民地時代、日本人によって行われたような、まず土つくりから始め、家畜を飼い、その糞尿を厩肥として畑にまき、じゃがいもやその他の畑作物を輪作体系で栽培して家畜の餌や人間の食料をつくり、可能であれば肉や乳を生産加工して販売する、といった「循環型農業」を目指すべきであり、こうした計画のもとに各国の支援を要請することが重要であると思われた。
著者
西川仁史
雑誌
臨床スポーツ医学
巻号頁・発行日
vol.9, pp.33-37, 1992
被引用文献数
1