著者
猪股 正秋 照井 虎彦 遠藤 昌樹 久多良 徳彦 千葉 俊美 折居 正之 鈴木 一幸
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.47, no.8, pp.1556-1567, 2005

内視鏡的十二指腸乳頭括約筋切開術(endoscopic sphincterotomy;以下EST)において出血を避けるためには,切開方向,高周波の出力波形の問題に加え,切開線周囲の凝固層の範囲をコントロールすることが重要である.切開方向は11時から12時の間,出力波形は切開波を選択する.通電は断続的に行い,(1)初期凝固の形成→(2)火花放電による切開→(3)通電の休止による冷却の過程を繰り返す.この断続的切開により,切開波のみでも一定の凝固層を形成しながらの切開が可能となる.ハチマキ襞付近までは膵管口へのダメージの防止を優先し,迅速な切開で凝固層の範囲を最小限にとどめる.ハチマキ襞より口側への切開では径の太い動脈枝の存在する可能性があり,十分な凝固層を形成させつつゆっくりと切開する.切開の過程では「メスが走る」事態に注意する.「メスが走る」事態を避けるためには,ブレードを張りすぎず押しつけ過ぎないことに加え,(1)漏電を回避する,(2)ブレードと組織の接触面積を極力小さくする,(3)「counter traction」の3点に留意し,切開がスムーズに開始されるようにすることが重要である.
著者
奥田 俊博
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:09162151)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.73-86, 2006-09

正倉院文書に見える複数の字体を有する助数詞の多くは、偏や旁などの一部分が共通する字体になっている。これらの助数詞の中で、「條」と「条」、ならびに「〓」と「斗」は、異なる字義を担っていない点で、他の複数の字体を有する助数詞と性質を異にする。さらに、「條」「条」と「〓」「斗」の間においても用法に差が窺える。「條」は律令制公文に多用され、「条」に比して規範性が強い字体であるのに対し、「〓」「斗」は、(イ)「〓」が使用される場合、一般的に大字が上接する、(ロ)「斗」が使用される場合、大字・通常字のいずれも上接する、(ハ)小書においては「斗」が使用され、通常字が上接する、といった傾向が認められ、「斗」が「〓」に比して規範性が強い。ただし、「〓」が、同じ物のかさの単位である「斛」と対応しながら大字に下接する点を勘案するならば、書記者によっては、「〓」に規範性を持たせようとする意識が働いていたものと考えられる。
著者
碇屋 隆雄 ジェソップ フィリップ G. 野依 良治
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.358-369, 1995-05-01 (Released:2010-04-23)
参考文献数
48
被引用文献数
4 5

Most homogeneous catalysts have higher selectivity but lower rates than heterogeneous catalysts in gas-phase reactions. An ideal catalyst would have the best of both worlds, high selectivity and high rates which may be possible with homogeneous catalysts in supercritical fluids rather than liquid solvents. These fluids are compressed gases heated past their critical point. Preliminary results have confirmed that increased rates and selectivities can be obtained because of several unusual properties of supercritical fluids : high solubility of reactant gases, rapid diffusion between phases, and possibly weaker solvation of the catalyst. This review will describe research on organic reactions and homogeneous catalysis in supercritical fluids, with emphasis on supercritical carbon dioxide and water as reaction media.
出版者
愛媛県立果樹試験場
雑誌
愛媛県立果樹試験場研究報告 = Bulletin of Ehime Fruit Tree Experiment Station (ISSN:03892867)
巻号頁・発行日
no.17, pp.19-25, 2004-03

難脱渋品種で、日持ち性の良くない'横野'のフィルム個装脱渋法について検討した。その結果厚さ75μmのポリプロピレン/エクシード/ポリエチレンの組み合わせフィルム(0E)で脱酸素剤(商品名:エージレス、鉄系自立反応型)と果実を脱気個装し、40℃の高温処理を4時間行い、20℃で約6日間貯蔵後、5℃の冷蔵貯蔵を行えば約80日程度の日持ち性を確保することが可能で、ハチマキ果の発生もみられなかった。

1 0 0 0 OA 町触 17巻

出版者
巻号頁・発行日
vol.[16] 九 分冊ノ一 自安政三年至慶応四年,
著者
猪股 正秋 照井 虎彦 遠藤 昌樹
出版者
日本胆道学会
雑誌
胆道 = Journal of Japan Biliary Association (ISSN:09140077)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.448-457, 2005-10-31

内視鏡的十二指腸乳頭括約筋切開術(EST)における切開方向は11時から12時の間とする. 出力波形は原則的に切開波を選択する. 通電は断続的に行い, 切開線周囲の凝固層の幅をコントロールしながら切開するイメージを持つ. ハチマキ襞付近までは膵管口へのダメージの防止を優先し, 凝固層の範囲を最小限にとどめる. このためには, 比較的迅速な切開が必要である.ハチマキ襞より口側への切開では径の太い動脈枝の存在する可能性に配慮し, 十分な幅の凝固層を形成させつつゆっくりと切開する.切開の過程で最も注意すべきなのは「メスが走る」事態である.「メスが走る」のを避けるには, いつでも切開線の伸張を止められる態勢を整えておくことに加え, 切開が通電開始後可及的すみやかに始まることが重要である.切開線の伸張をいつでも止められるようにするには, 必要以上のブレードの張りや過度の押しつけは禁忌である.さらに, 連続的な通電・切開は行わないことが大切である.切開が通電開始後すみやかに始まるようにするには, (1)漏電を回避すること, (2)ブレードと組織の接触面積を極力小さくすること, (3)「Counter traction」を意識的に活用することの3点を意識することがポイントとなる.
著者
農商務省林業試験場 編
出版者
東亜印刷
巻号頁・発行日
vol.第2号, 1926

1 0 0 0 OA 上代の雨

著者
壬生 幸子
出版者
共栄学園短期大学
雑誌
共栄学園短期大学研究紀要 (ISSN:09115358)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.265-276, 2000-03-31
著者
松下 拓樹 権頭 芳浩
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.355-365, 2000-07-15
被引用文献数
2 2

雨氷発生の気候学的な地域特性を調べるため, 長野県を解析対象地域として, 雨氷発生日の特定を行い, その年平均日数の地域分布を求めた.<BR>雨氷は, 過冷却の雨滴が地物などにあたり氷になる着氷現象の一種で, 上空暖気層 (気温0℃以上) で雪片が融解して雨滴となり, それが地表付近の寒気層で冷されて過冷却の雨滴 (気温0℃以下の降水) となり発生する (melting ice process).その他, 大気全層の気温が0℃以下の場合 (supercooled warm rain process) でも発生することがあるが, ここではmelting ice processのみを対象とした.<BR>高層資料から上空暖気層の有無を, AMeDAS資料から地表付近の寒気層と降水の有無を調べ, 二つの気象条件を満たす日を雨氷発生日と定義した.過去20冬季 (1979年11月~1999年4月) について調べた結果, 雨氷の発生は3月に最も多く, 次いで12月に多いことがわかった.また, 最近6年間は雨氷発生日数が少ない傾向にある.<BR>次に, 地形因子値を用いた重回帰分析から, 年平均雨氷発生日数のメッシュマップを得た.その結果, 年平均雨氷発生日数は長野県中部と東部で多いことがわかった.特に標高との関係が強く, 山岳地域や高原地域で多くなる傾向が得られた.一方, 北部と南部の低標高地域では少ない傾向にある.
著者
下原 光幸
出版者
日本鉄道電気技術協会
雑誌
鉄道と電気技術 (ISSN:09159231)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.29-32, 2011-05-31
著者
松島周一
雑誌
森林治水気象彙報
巻号頁・発行日
vol.2, pp.88-93, 1923
被引用文献数
2
著者
松下 拓樹 尾関 俊浩 西尾 文彦
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.675-680, 2005-09-30
被引用文献数
1

2004年2月に北海道の岩見沢周辺で発生した雨氷現象について, 地上気象観測資料と客観解析資料を用いた解析を行った.その結果, 岩見沢で着氷性降水があった期間は, 22日21時30分頃から23日5時頃までであり, 雨氷が発生した地域は, 岩見沢から滝川までの約40kmの範囲と推定された.着氷性降水時, 岩見沢における地上気温は-0.5℃前後で推移し, 雨氷の形成環境としてはそれほど低い気温状態ではなかった.しかし, 雨氷表面における理論的な熱収支計算によると, 北東からの6m/s前後の風による通風効果によって負の熱フラックスが増加し, 雨氷が発達しやすい大気環境であったことが示された.
著者
牛山 素行 宮崎 敏孝
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.47-54, 1993-01-31
被引用文献数
6

1991年3月23日未明,長野県中部の山岳地帯で発生した雨氷現象について,発生時間中の移動調査や直後に実施した聞き取り調査などによって,発生の状況を詳しく調べた.今回の雨氷現象は,長野県中部の山脈の北側斜面のほぼ標高1200〜1800mの範囲内で確認できた.総観規模の気象データでは,雨氷発生の条件とされる0℃前後の気温逆転層は確認できなかったが,発生地付近の地上気温データからは,現象発生時に標高2000m付近に暖気が入ってできた0℃前後の気温逆転層が解析された.しかし,同時間帯に山脈の南側斜面では気温逆転は見られず,山脈の存在が現象発生に影響を及ほすものと考えられた.雨氷発生域内では,発生中の気温変化がほとんど無く,ほぼ0〜-1℃の範囲で安定していた.雨氷発生中の降水量は1〜3mm/hと少なく,このため森林等への被害には至らなかった.
著者
鳥田 宏行 武田 一夫
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.89, no.1, pp.39-44, 2007-02-01
被引用文献数
2

森林の雨氷害を軽減する知見を得るため,2004年2月に北海道日高町で発生した雨氷害の調査データを解析したところ,直径階ごとの本数被害率の分布形状は,大きく五つのタイプ((1)中庸木に被害が多い,(2)劣勢木に被害が多い,(3)優勢木に被害が多い,(4)立木のサイズに関係なく被害率の変動が激しい,(5)直径階の大小に関わりなく被害率が一定)に分類された。分布形状に差異がみられるのは,風や着氷量などの気象因子が少なからず影響したためだと推察される。また,密度管理図上で軽害林分と激害林分間の判別分析を行った結果,的中率は75%であった。判別分析で得られた判別式と収量比数0.9線を用いて安全城と危険城の境界線を描き,被害軽減が期待できる範囲を密度管理図上に示した。次に,林分平均樹高との限界形状比の関係をロジスチック式で近似して限界形状比曲線を求めたところ,生育段階で限界形状比は異なることが示された。これらの結果は,森林の雨氷害を軽減するためには,植栽密度に沿った適切な間伐が重要であることを示唆している。